日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第五十話

中央暦1639年/西暦1963年9月5日午前11時

パーパルディア皇国 第1外務局

 

「なんなのよ……これは……」

 

目の前に映し出された映像に、エルトは驚愕した。

 

海に浮かんでいる大きな環礁が、突如光ったと思った瞬間に白い柱が空高く舞い上がる。

 

柱は瞬く間に球体のような形状となって、周囲の雲すらも呑み込んでいく。

 

爆発が起こった際に、近くに停泊していた大型船が水しぶきをあげて見えなくなり、やがて大きな雲に包まれていく。

 

まるでキノコのような大きな雲によって包み込まれていき、爆発が起こった場所ではいつまでも白い霧が消えないのだ。

 

大型船の大きさ、爆弾を観測している航空機を比較すれば、小舟ではないのは明らかだ。

 

(あの爆発は……船の大きさを100メートルとしても、2キロ以上からしら……2キロもの範囲を一発で消し飛ばすなんて……そんな兵器は聞いたことがないわ……)

 

どんなに魔導技術が発展していたとしても、これだけの破壊力のある兵器を取り扱える国家は存在しないはずだ。

 

しかも、秘匿せずにこちらに情報を公開している時点で、日本側からしてみれば”秘匿技術”ではないのだ。

 

それを理解したエルトは、カイオスにこの未知の兵器の詳細を求めたのである。

 

「カイオス……これは一体……なんなの?」

「これは熱核兵器……大日本帝国が世界大戦末期に敵国の島に投下した爆弾だ。彼らは”原子爆弾”と呼んでいて、一発で島に駐留していた敵国の艦隊と市民5万人を焼き殺した兵器……だそうだ……」

「ごっ……五万人を……?!たった一発で……?!」

「ああ……この兵器をかの国ではその後に同盟国同士での仲違い等で、独自路線を歩んだそうだ……他国に遅れを取らないように原子爆弾の開発と研究を推し進め、本土を中心に領内に大量配備を進めていたそうだ……」

「これはまるで……神話に登場するコア魔法みたいじゃない!!」

「それに関しては日本の外交官も興味深い事を言っていたよ……”恐らくメカニズムが違うだけで類似した兵器だ”とな……」

「それじゃあ……日本は……」

「あの神話に登場するラヴァーナル帝国が使ったと言われているコア魔法と同程度、それ以上の威力を持つ兵器を保有しているということだ」

 

神話の時代に圧倒的な力で全世界を支配したと言われている魔帝こと、ラヴァーナル帝国で使われていたとされるコア魔法は、エモール王国の前身となったインフィドラグーンを壊滅させたとする伝承が残されている。

 

その伝承通りであれば、コア魔法に匹敵する熱核兵器を保有している大日本帝国はラヴァーナル帝国に匹敵する力と技術を有している……と仮定すれば、このコア魔法に対抗できる兵器すらないので敵う相手ではない。

 

ここで、ようやくエルトは理解した。

 

万が一、日本と戦端を開くようなことがあれば忽ち、この国は日本によって灰燼に帰すだろう。

 

文字通り、パーパルディア皇国は日本にしてみれば薄い紙も同然だ。

 

あの岩礁をいとも簡単に吹き飛ばす爆弾だ。

 

2キロを吹き飛ばす爆弾を投げ込めるようであれば、これまでのパーパルディア皇国が得意とする軍団規模での作戦なんて破綻してしまうだろう。

 

兵力の分散をさせたとしても、力を本領発揮できず各個撃破されるのが目に見える。

 

そうなったらもはや皇国本土は、先ほどの映像に写っていたような岩礁のように跡形もなく消し飛んでしまう。

 

……首都に、あの兵器が投下された場合、行政省庁や政府機関が集中している皇都エストシラントはどうなるだろうか?

 

皇帝陛下は勿論のこと、皇都エストシラントに住む大勢の民間人が一瞬で消し飛ぶだろう。

 

無情にも、一発の爆弾で全てが変わる。

 

制空権を喪失すれば、ほぼほぼ間違いなくエストシラント上空にあの原子爆弾が投下される。

 

それを理解したエルトは、強烈な吐き気を催した。

 

「……まってカイオス……気分が悪くなってきたわ……」

「ああ、無理もない。私も意味を知った時は吐き気が止まらなかったよ……日本は、我々を敵とは思っていない……むしろ『赤ん坊』か『やんちゃ坊主』としてしか見ていない……」

「では……日本側の要求を呑むつもりかしら?」

「呑まなければ蹂躙された上で皇都エストシラントは灰燼に帰すだろう。あの原子爆弾が我々の頭上に落ちてな……その時は、我々だけではなく一般市民も大勢死ぬことになる」

「……島に投下された際に5万人が即死したのよね?皇都で万が一これが投下されたら……」

「……場所にもよるが即死者だけで10万人は軽く超えるな……それに、日本はこれを一発だけではなく、パーパルディア皇国全土の都市だけでなく、属領の都市、港湾に至る全ての場所を破壊するだけの原子爆弾を保有している……と語っていたよ」

 

ここに来て、カイオスが魔帝と同じだと揶揄した意味をエルトは納得した。

 

コア魔法と同程度の威力を有する爆弾を()()()()数百発保有しているのだ。

 

そんな狂気じみた国家がパーパルディア皇国と対立した場合、いや……対立した瞬間に皇国は滅亡してしまうのだ。

 

カイオスはこの事実をエルトに話した上で、交渉を持ちかけた。

 

「エルト、どうか手を貸してくれないか……この国を救うためにな……」

「……カイオス、あなた一体何をするつもりかしら?」

「……この国から急進派を排除する。このままではこの国はあの岩礁のように木端微塵に吹き飛ぶぞ……」

「……?!それって……クーデターを起こすというの?」

「残念ながらこのままでは開戦まで秒読みだ。監査軍や各省庁の伝手から、迎賓館やアルタラス王国の鉱山利権売却の一件で、強硬論を唱える皇族の方々やそれに追従している軍人達が、アルタラス王国への武力侵攻を画策している。その際に日本人を複数人殺害した上で、属国になるように要求をしようとしている……」

「……!!」

「エルト、時間がない。この国を滅亡から救うんだ」

 

カイオスの目をエルトは見る。

 

既に覚悟を決めた人の目つきであった。

 

覚悟を決めたカイオスに対して、エルトは少しだけ間をおいてから頷いた。

 

「分かったわ……やってみましょう」

 

こうして、上下関係の対立が深かった省庁組織が一つにまとまったのだ。

 

指令第18号

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