日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
中央暦1639年/西暦1963年9月8日午前1時
パーパルディア皇国 カイオスの屋敷
深夜1時を過ぎても、カイオスの屋敷から灯りが消えることはない。
彼は今、一族の人生と国家の生命を賭けた一世一代の計画を遂行中であった。
ここの屋敷に集まっているのは、全員日本から供与された映像フィルムを閲覧した者達ばかりだからだ。
第1外務局局長のエルトをはじめ、財務局長のムーリ、軍参謀を務める作戦部長マータルもこの計画に加担している。
軍でも、現実的なプランを考えられる者からしてみれば、熱核兵器を実用化している時点で恐るべき相手であり、絶対に歯向かってはいけないと五感で分かる。
それ故に、第三文明圏外において神聖ミリシアル帝国を上回る経済力と軍事力を兼ね備えた超大国の出現は、彼らのプライドを完膚なきまでに破壊した上で、如何にして日本帝国との戦争を回避できるかに焦点を絞って議論が進められていた。
もし、日本帝国と戦争になれば間違いなくパーパルディア皇国は解体されるだろう。
良くて……国家の解体だ。
最悪の場合、熱核兵器が皇都エストシラントの頭上に投下されて数十万人の皇民が焼死するだろう。
国家機構は瓦解し、属国も反乱を起こされた末に、パーパルディア皇国は屍となって野ざらしにされた死体のように、腐臭と腐敗が進んで朽ち果てるだろう。
そこに遺されるものは何もない。
民族と国家の死だけだ。
これは現在カイオスの屋敷にいる者達の共通認識であり、それぞれの派閥や役割、地位や階級すらも超えて滅亡を回避するための手段を講じるべき段階に突入したのだ。
……にも拘わらず、一部の皇族や軍内部の急進派は日本帝国の企業が買い取ったアルタラス王国のシルウトラス鉱山を巡り、懲罰も兼ねて監察軍と竜母艦隊、地上戦力を持ってアルタラス王国への軍事侵攻を画策している始末であった。
その音頭を執っているのも若き皇帝ルディアスとの仲の良い皇族であるレミールである。
彼女は日本帝国とのやり取りを閲覧した際には、激怒した様相で「文明圏外の策略に乗せられているのではないか!!!」と配下に当たり散らしているという事が漏れている。
さらに、レミールはルディアスとも親しい間柄であるため、皇帝を言いくるめて日本帝国との交渉を直接指揮する恐れすら生じている。
そうなれば、どんなに有能であるエルトやカイオスが進言したとしても、皇帝は耳を貸さないだろう。
逆に、皇国を見下しているような相手であり、文明圏外の国家であれば叩き潰せと急進派であるレミールの考えを支持するだろう。
これでは、懲罰どころか皇国の首にナイフを突き立てて自殺するに等しい行為である。
それを止めるべく、彼らは練りに練ったある計画を実行しようとしている。
それは国家機関の掌握と権力の簒奪である。
若きルディアスは皇帝として野心を隠さず、周辺国への威圧を繰り返して巨大化する事を望んでいる。
それと同時に、彼は若さ故に政治的にも疎い場面も見られる上に、能力や手腕こそ一流であるが傲慢さも相まって重要な課題を見落としている。
レミールの進言を真に受けてしまえばパーパルディアに未来はない。
カイオスは決断する。
皇都エストシラントにおいて外務局と陸軍を中心に軍事クーデターを起こし、行政大会議場や軍司令部、皇国軍防衛司令部の制圧後に皇帝ルディアスの権限を奪い、皇帝を誑かしている急進派の皇族・軍人・政治家の粛清を実行し、パーパルディア皇国に蔓延る不正と政治的腐敗を撲滅するのだ。
作戦決行後の行動方針や、クーデター後の政治方針が記載された項目が44項に達した事から、カイオスはこのクーデター作戦を『指令第44号』と命名し、第44号作戦に動員される外務局職員や憲兵隊、陸軍部隊は実に7万人にのぼる勢いだ。
彼らにはクーデターの詳細を伝えておらず、単に『首都における重大かつ緊急権を有する事態が発生したという事案に備えて、外務局と陸軍、さらに首都防衛司令要員と憲兵隊、航空戦力である飛竜も動員した大規模な実弾訓練を実施』すると伝えており、すでに陸軍はマータル指示の下で動き始めている。
レミールをはじめとした急進派の排除と粛清は、もはや皇国の存続を考えた上で避けられない決定事項であるのだ。
国家が生まれ変わるためには、まずは膿を吐き出し、皇国において腐敗と汚職によって肥えた者達を排除しなければならない。
武力を使ってでも……。
指令第36号
レミールの処遇……彼女は容姿端麗ではあるが、狂犬と揶揄されるほどに急進的であり、見せしめとして文明圏外の住民を殺傷することも厭わない。カイオスたちは彼女を急進派として粛清することを望んでいる。
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粛清はやむを得ない(レミール死亡)
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皇族には使い道がある(レミール生存)