日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第五十二話

中央暦1639年/西暦1963年9月20日午前11時

アルタラス王国 王都ル・ブリアス 在パーパルディア大使館

 

本国でカイオスらによるクーデター計画が大詰めを迎えている頃。

 

アルタラス王国では反パーパルディア派の民衆が大使館を取り囲んで大規模なデモが発生していた。

 

それも百人や二百人だけではなく、在パーパルディア大使館のある大通りを埋め尽くす人だかりが出来ていた。

 

大勢の人たちがアルタラス王国の国旗を掲揚し、ある者は国歌を謳いながら、またある者は怒りに満ちた声でパーパルディア皇国を罵っていた。

 

「パーパルディアはアルタラスから出ていけ!」

「王女様への奴隷要求を行う輩はこの国には要らない!」

「俺たちはお前らの奴隷じゃない!人間だ!」

「大使を追い返せ!」

 

通りを埋め尽くすデモ隊に対して、パーパルディア皇国側はまだ反応を示していない。

 

このきっかけは在パーパルディア皇国大使であるカストが、アルタラス王国国王ターラ14世との会談の様子が外部に流出したからであった。

 

2時間前……

 

午前9時……アルタラス王国 アテノール城……謁見の間。

 

この場所にて、カストはターラ14世との会談の際に、国王に向かって【日本と契約しているシルウトラス鉱山の利権を無条件でパーパルディア皇国に引き渡す事と、王女ルミエスの献上】を堂々と要求していたのである。

 

「困りますな……堂々とパーパルディア皇国に対する反乱ともいえる行為を行うのは……」

「何を仰っておるのですか……カスト殿、我々は少なくとも正規の手順を踏んでシルウトラス鉱山の採掘権を日本に売却したに過ぎません」

「それですよ。パーパルディア皇国と貴国は長年の間交流を持っていた。それをこうしてコケにしてくれたのは初めてですよ……全く、貴国は立場を弁えているのですか?」

 

パーパルディア皇国でも、貴族階級ということもあってカストは傲慢かつ侮辱的な対応を国王に対して繰り返し浴びせる。

 

ターラ14世は、その様子をジッと堪えるようにしている。

 

ここで短気を起こしてカストに殴りかかりでもしたら、それこそ一瞬でアルタラスは滅んでしまう。

 

しかし、日本側がこうした事を見据えて、()()()()()を貸してくれたのだ。

 

ターラ14世は装置のボタンを会談前に入れてから、カストの傍若無人な振る舞いを堪えて聞いていた。

 

「そもそも、日本という新興国家に手厚い待遇を行い、我が国への待遇を冷遇するようなことでは、懲罰も止む終えないですな」

「……カスト殿、それは脅迫ですか?」

「脅迫?いいえ、これは立派な懲罰案件であり、我が国と貴国が結んでいる条約にも違反している。貴国の王女ルミエスに関しては条約に違反した罰として、王族としての身分を剥奪し、本国において彼女を教育するつもりだ」

「身分剥奪に教育……いや、それでは奴隷要求と変わりないではありませぬか!」

「そうだとも、俺に味見させてやるのであれば、王女ルミエスの生命は保証しましょう。最も、そうしたほうが娼婦になっても暮らしていけますからな……」

「あ、貴方という人は……」

「22日!22日まで回答をお待ちしましょう。その時間までに回答が無ければアルタラス王国に反逆の意志ありと判断し、本国から軍を派遣する予定です。せいぜい大人しく言う事を聞くことですな。ガハハハッ……!!」

 

カストは下品な笑い声と共に、謁見の間から去っていく。

 

そして、その会談の様子はアルタラス王国中に生中継されていた

 

これはシルウトラス鉱山の利権を買い取った日本の財閥企業である四井と八菱が【アルタラス王国】の放送利権を創設し、この国の電波法などを独占した事に由来している。

 

電波規制がないことに目を付けた彼らはラジオの電波をこの財閥が作り上げた上に、財閥が利益を出して生き残るためにラジオ局を創設したのである。

 

とはいえ、ラジオを持っていないアルタラスの国民のために、既に本国で型落ちであったり大戦前に作られた粗造なラジオなどを輸送した上で、王都において人通りの多い場所に無償配布したのである。

 

電池の代わりに魔石を使用して動くように現地改修が施された設置型の大型魔導式ラジオが、この時点でアルタラス王国内に50台あった。

 

ロデニウス国際連合商社の開発している魔導式広域通信機「TFM-63」と違うのは、無償提供された点だろう。

 

輸出目的ではなく、インフラ整備の一環で行っているのだ。

 

王都に放送局を構え、ル・ブリアスを中心に放送を流すことで新しい娯楽を提供する仕組みは、彼らの新しい娯楽になりつつあった。

 

そんな日本から供与されたラジオを通じて、王国の主要都市を中心に会談の生中継が音声で流れていたのだ。

 

人々は国王に対する無礼な振る舞いや、王女ルミエスの奴隷化の発言を聞いて怒っている。

 

そしてラジオ局はこの会談の様子を繰り返し放送しており、ラジオを通じて事の重大さを知った彼らは大使館前に集まりデモは過熱していく。

 

やがて、デモ隊の一部が大使館に向かって投石が行われるようになる。

 

投石された石が窓ガラスを突き破り、部屋に籠っていたカストの頭部に直撃した。

 

これに痺れを切らしたカストは大使館職員にある命令を下した。

 

それは絶対に命じてはいけない発言であった。

 

小賢しい連中めッ……撃てッ!これ以上大使館を破壊させるな!魔導砲を使用しても構わん!デモ隊を解散させろ!武器の無制限使用を許可するッ!蛮族どもめ!奴らを殺せ!

 

カストは大使館に集まっているデモ隊を鎮圧させるために、大使館に駐留していた武官や軍人を集めてデモ隊に向かって実弾攻撃を命じたのである。

 

発砲、発砲……発砲が鳴り響いている……

 

レミールの処遇……彼女は容姿端麗ではあるが、狂犬と揶揄されるほどに急進的であり、見せしめとして文明圏外の住民を殺傷することも厭わない。カイオスたちは彼女を急進派として粛清することを望んでいる。

  • 粛清はやむを得ない(レミール死亡)
  • 皇族には使い道がある(レミール生存)
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