日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
中央暦1639年/西暦1963年9月20日正午
アルタラス王国 王都ル・ブリアス
王都ル・ブリアスでこれほど血が流れる事態が起こったのは、王国建国時以来の惨状であった。
パーパルディア皇国大使館では、怒り狂ったカストの命により、窓ガラスに面している廊下からタンスやテーブルなどで投擲物を防ぐと同時に、隙間からマスケット銃から狙いを定めて発砲音が鳴り響く。
パーパルディア皇国の大使館に駐留していた武官や軍人、述べ200名あまりが大使館前でデモ行進を行っていた民衆に向かって、突如として銃を発砲したのである。
それも、一度や二度だけではない。
数十発もの銃撃を行い、抗議をしていたアルタラス王国市民の虐殺を実行し始めたのだ。
「パーパルディア皇国に歯向かう蛮族共は皆殺しにしろ!」
「奴らは丸腰だ。目をつぶっていても当たるぜ……」
「弾込めが終わり次第、存分に撃て!どうせ剣か弓矢しか攻撃手段のない連中ならこっちが負ける道理がない」
赴任されている武官や軍人は、基礎訓練を受けて銃の扱いにも手慣れている者達だ。
それ故に、彼らが丸腰でデモ行進をしていた民衆を殺傷するなど、容易いことであった。
まるで、貴族の遊びでもあるトロフィーハンティングのように、パーパルディア皇国を非難するデモ隊に向けて銃口が向けられて、撃たれていく。
女性や子供にも容赦ない銃撃が加えられ、最初の発砲から3分も経たないうちにパーパルディア皇国大使館の前の大通りは、人々の亡骸が転がっていた。
銃撃を受けて腹部や頭部に穴が空き、血が染み渡っている者。
パニックで逃げていた際に、将棋倒しになって踏みつけられて息が絶えた者。
大使館前の大通りには、数十人以上の犠牲者が動かない。
その光景を見て、カストは腹の底から大声を出して笑い始める。
「ハハハハハ!蛮族共が!!列強たる強者にひれ伏していればこのような犠牲が生まれなかったのに……全く、列強国の我々が蛮族に教育しなければならないな……おい、まだ建物の裏側に隠れている連中も【教育】しておけ」
「はっ……しかし、ここではマスケット銃が届きませんので……」
「ならば携帯式魔導砲を使え、必要であれば沖合を航行している監察軍の竜母から飛竜を呼び出して燃やすのだ。我々は
本来であれば明日予定されていたカストがパーパルディア皇国に帰還させるために、監察軍が派遣させていたのだ。
というのも、列強国が周辺国や傀儡国に足元を見られないようにするために、大使が交替する際には本国から軍が派遣されるのが通例となっており、周辺国も威圧に耐えてこれを受け入れていたのだ。
それが最悪の形となって実現したことにより、カストはアルタラス王国沖を航行していた監察軍東洋艦隊に救援要請を魔導通信で行ったのだ。
『監察軍東洋艦隊へ、こちらパーパルディア皇国大使館カスト全権大使。至急、至急救援求む』
『こちら監査軍東洋艦隊司令官のポクトアールです、カスト殿……緊急通信をして如何なされた?』
『アルタラス王国で大規模な反パーパルディア皇国運動が発生して大使館が襲撃を受けている。今、一時的に襲撃部隊を退けたが、いつ再攻撃が行われるか不明の為、大至急飛竜による上空援護を求む』
『そ、それは本当ですか?!』
『本当だとも!今の銃声が聞こえるだろう!今大使館にいる武官や軍人が必死に応戦している。緊急事態につき、懲罰も兼ねてル・ブリアスの重要施設への攻撃も要請する!』
『大使館を攻撃する者を飛竜で攻撃するのは可能だが、重要施設への攻撃は致しかねる。それは戦火を拡大するだけです。一度本国とのやり取りを行い、許可を求めてからにします』
『クソッ、大使館には200人の職員がいるんだぞ!中には皇族との関わりのある者もいる!万が一彼らに被害が出たら、我々の責任になるんだぞ!』
カストは喚くように監査軍に嗾けるが、堅実な司令官でもあったポクトアールは飛竜の出撃はあくまでも『パーパルディア皇国大使館への脅威』にのみ限定して行うように指示をだした。
その一方で、カストは自分の配下や武官や軍人に対して、携帯式魔導砲の無制限攻撃使用を許可し、大使館周辺から抗議の声や投石を行っている市民への砲撃を開始させた。
携帯式魔導砲を中庭で展開し、建物の陰に隠れている者に対して砲撃を加えていく。
砲撃が鳴る度にデモ隊に着弾し、周囲に人間だった部位が四散していく。
魔導砲が使用されたのを確認すると、人々は何処から持ってきたか、バリスタや投石器を使用して大使館に攻撃を行っている。
死んだ者達への怒りの抗議も兼ねて行っていたようだが、そんな人々の頭上から火炎弾が降り注ぐ。
竜母から発信した飛竜がル・ブリアスに到着し、大使館に攻撃を加えていた者達を容赦なく焼いていく。
「飛竜の火炎弾の着弾確認!群衆は散り散りに逃げていきます!」
「沖合に停泊している監察軍東洋艦隊より通信”飛竜による攻撃を開始する、職員は大使館より一歩も出るな……”だそうです」
「素晴らしい!!!よーし!このまま逃げ惑う者達には背後から銃撃を加えて教育だ!動く者は全て撃ち殺せ!」
カストは生き生きとしながら虐殺命令を執行していく。
笑顔で、アルタラスが殺されていく光景を見て喜んでいるのだ。
飛竜が空を舞い、魔導砲による砲撃とマスケット銃による銃撃でアルタラスの市民が殺されていく。
そして、カストは自分達が優勢になっている事を確信し、武官や軍人に命令を出した。
「これはパーパルディア皇国に対する攻撃だ!!そして、我々は蛮族の攻撃を跳ね返した……今こそ攻撃部隊を編成しろ!この攻撃を許したのはターラ14世の策謀だろう。アテノール城を奇襲し、国王の首を跳ね飛ばせ!!!」
武官や軍人の中でも戦闘能力に長けている者達が集まり、小隊規模の編成ではあるが魔導砲やマスケット銃で完全武装した兵士がアテノール城への攻撃に向かっていくのであった。
混沌の前兆