日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第五十五話

中央暦1639年/西暦1963年9月20日午後2時

アルタラス王国 王都ル・ブリアス アテノール城

 

アルタラ王国が誇る王都の各地から黒煙が噴き上がる。

 

ターラ14世をはじめとする多くの王族が住まうこの街は今、戦場と化していた。

 

パーパルディア大使館が襲撃を受け、さらに監察軍東洋艦隊の飛竜までも駆けつける騒ぎをうけて、王都の中心部は大混乱であった。

 

流言飛語も飛び交い、王都はパニック状態となって人々は広場から逃げ出し、大勢の群衆が建物などに隠れている。

 

突然戦端が開かれたことにより、国王であるターラ14世もまさかパーパルディア側がここまでの暴挙を起こすことまでは想定外であった。

 

「パーパルディア……いや、カストめ……気でもおかしくなったか……」

「陛下、ここは危険でございます。一度城から退避してください!城内の中央部に集まって避難しますので急いでください!」

「お父様!皆様と一緒に行きましょう!」

「ああ、分かったルミエス。いますぐそっちにいこう……」

 

城を守る衛兵たちは、城中央の広場にて国王を含めた王族を集めて、安全な場所に向かおうとしていた。

 

しかし、衛兵たちの行為が裏目に出てしまった。

 

アテノール城に奇襲攻撃を敢行した小隊規模のパーパルディア皇国の武官や軍人達が、城目掛けて砲撃を開始したのだ。

 

パーパルディア皇国軍の携帯式魔導砲による砲撃が数発行われ、このうちの1発が城の中央部にある主塔の基盤部分に着弾し、主塔を支えていた屋根の基盤が破壊されてしまったのだ。

 

これにより、城の主塔が崩れたことで城内の中央広場に集まっていた王族たちの真上に、主塔とその瓦礫が一気に降りかかってきたのである。

 

「「「うわああああああああああっ!!」」」

 

広場に集まっていた王族たちの真上に降り注ぐ主塔の部位、破片は轟音と共に容赦なく押しつぶした。

 

彼らの肉体は煉瓦などの塊が無慈悲に叩きつけてしまい、アルタラス王国の王族の大部分が死亡したのだ。

 

辛うじて中央部から離れていた王女ルミエスと彼女の護衛を任されていた女性騎士リルセイドだけが難を逃れたのだ。

 

その際に、ターラ14世は咄嗟にルミエスとリルセイドを守るために、彼女たちを突き放したのだ。

 

ターラ14世だった身体は瓦礫に押しつぶされ、辛うじて右手だけが瓦礫から姿を現しているに過ぎない。

 

「おっ、お父様!!!それに、皆さんは?!」

「姫様!すぐに退避してください!今はご自身の安全を守ることを最優先にッ!」

「いやあああっ!お父様が!お父様が!!!」

「姫様!ご無礼をお許しください!」

「嫌!離して!離してよぉぉぉっ!!!」

「生き残っている者は立ち上がれ!姫様を何としてでも守り抜くのよ!」

「「「はいっ!!!」」」

 

父親の死を受け入れられないルミエスを抱きかかえ、後ろを振り返らずに走りだした。

 

生き残っていた衛兵たちは、ルミエスを抱きかかえているリルセイドを守るように、囲みながら駆け足で馬車に乗り込み、アテノール城を脱出した。

 

馬車には先導と後続の護衛を含めて5台の馬車を駆けており、万が一先導や後続がやられても中央にいるルミエスとリルセイドだけでも安全な場所まで退避させるつもりだ。

 

「リルセイド様!どちらに向かいますか?!」

「……闇雲に逃げていたらパーパルディアに殺されるわ。ラジオ局を目指して頂戴!」

「ら、ラジオ局ですか?!」

「そうよ!少なくとも日本側に助けを求めるのよ。確か治安警察隊の人も駐在していたはず、急いで!」

「はいっ!」

 

城を脱出した彼らが向かった先は、財閥企業が放送を行っているラジオ局であった。

 

四井と八菱が合同で立ち上げたこのラジオ局には、多くの日本人とラジオ局で働いているアルタラス人が身を寄せていた。

 

日本軍……基、治安警察隊が向かってきているという情報を発信しており、知ってか知らずかリルセイドはラジオ局を選んだのだ。

 

その判断は正しかった。

 

ラジオ局に到達した彼女たちは、日本側に事情を伝えるとすぐにラジオ局の中に通してもらえた上に、ラジオ局を警備していた武装警官から、すぐに治安警察隊の本隊が王都に来ることを確認したのである。

 

そして、リルセイドはラジオ通じて現在起こった事を日本にも届く程の広域出力に切り替えて、緊急放送を行ったのである。

 

『こちらは……アルタラス王国の王都、ル・ブリアスから中継をしています。そして私はアルタラス王国の王族に仕えている上級騎士、リルセイドと申します……先ほど、パーパルディア大使館から銃撃と砲撃が突如として行われ、王都の各地が攻撃を受けております。アテノール城も例外ではなく……魔導砲による砲撃によって城の主塔部分が崩壊し、国王陛下であるターラ14世を含めた王族の多くが死亡しました……』

 

パーパルディア皇国の攻撃によって、王都のみならず……王族が住まう城まで砲撃を受け、国の中枢を司る国王が死亡した事も伝えたのだ。

 

リルセイドもその事を読み上げることが辛いが、一番辛いのは実の父親を目の前で死んでしまったことを目撃した王女ルミエスだろう。

 

ルミエスはショックとストレスにより、休憩室の長椅子の上でぐったりと横になってしまっている。

 

リルセイドは、その光景を見て泣きそうになるのをこらえながらも、次のように語った。

 

『……ですが、幸いにも王女ルミエス様は無事です。現在、王都を襲撃しているパーパルディアは、王都に住んでいる国民のみならず、国王陛下を含めた王族までも殺しました。これは許されない暴挙です。駐留している日本の治安警察隊に対して、正式に出動要請をお願いしました。アルタラス王国全軍には、現時刻を持って戦時体制下に基づく治安維持行動を開始してください。そして国王陛下を殺し、傍若無人な振る舞いを続けるパーパルディアに……正義の鉄槌が下ることを……』

 

リルセイドが渾身の演説を終えた後、彼女も糸が切れたように椅子から倒れてしまった。

 

放送を受信した治安警察隊は、もはやパーパルディア側の決定的な暴虐に対する正当な反撃行為の大義名分を与えられたも同然であった。

 

一方のパーパルディア側の言い分としては、大使館を襲撃した実行部隊が城に逃げ込んだというものであったが、これはカストがでっち上げたものである。

 

実際にパーパルディア大使館に投石行為を行った者の大半は、マスケット銃や飛竜による火炎弾による攻撃によって命を落としていた。

 

アルタラス王国の統治機構を破壊し、混乱した際に乗じてパーパルディアが実権を掌握する……というのがカストの狙いであった。

 

それに、王城が砲撃によって壊滅的打撃を与えたことを知るや否や、カストは嬉しそうに微笑みながらワインを飲み、パーパルディアに対する攻撃を行った蛮族を殺すことが出来たと大いに喜んだのだ。

 

あくまでも自分を含めたパーパルディア側は被害者、そう決め込んでのことであった。

 

……それが全て、間違いであったと思い知らされるとも知らずに……彼は嗤うのであった。

 

許さない。貴方たちは、決して……許さない

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