日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
中央暦1639年/西暦1963年9月20日午後3時
アルタラス王国 王都ル・ブリアス
治安警察隊の総指揮官である武藤は、アルタラス王国の上層部が機能不全に陥っていることを部下に確認すると、魔導通信も通じて治安警察隊だけではなく、アルタラス王国全軍に動員令を発令した。
動員令の発令と同時に、彼はアルタラス王国軍に対して事態の状況を整理した上で、淡々と説明を行った。
『諸君、私は日本の治安警察隊司令官の武藤である。現在、アルタラス王国は未曾有の危機に晒されている……カスト全権大使とパーパルディア皇国軍の暴挙によって、王都全域が攻撃を受けている……残念ながら国王陛下であるターラ14世をはじめとした多くの王族が死亡・行方不明となり、王女ルミエス様も現在指揮が取れない状況である』
王女ルミエスは目の前で父親が圧死する現場を目撃しており、精神的なショックによってラジオ局から身動きが取れない。
さらにルミエスの護衛を任されていたリルセイドも、疲労困憊の末に倒れてしまった。
アルタラス王国では王族の多くが軍の指揮官を担っていたこともあり、パーパルディア皇国側の王城攻撃によって王族の大部分が死亡・行方不明となってしまった。
その結果、王国軍の大部分は組織的な行動を執ることが出来なかった。
散発的な反撃を行使するのみで、大半は指揮系統の混乱によって身動きが取れない状況でもあったのだ。
『現在アルタラス王国では最高責任者が不在になっている状況であり、一刻も早く秩序を回復させるためにアルタラス王国と結んだ軍事協定により、私が臨時でアルタラス王国軍の総指揮も執ることになった。アルタラス王国軍は治安警察隊と共に王都防衛のための行動を開始せよ』
その混乱を武藤は利用して、広域魔導通信にてアルタラス王国軍の権力を咎められることもなく、武藤はたった今、アルタラス王国軍の権力の掌握を宣言したのである。
現地は混乱しており、アルタラス王国軍も単独で行動することが出来ず、王都ですら足止めを食らっていたからだ。
友好国を守るでのはない、これは友好国の隙を狙った簒奪なのだ。
しかし、アルタラス王国軍にはどうすることもできない。
指揮官の多くが王族もしくは王族の関係者だったことを踏まえると、彼らをアテノール城に集めていたことは悲劇でもあり、同時に起こり得る最悪の事態に対処できないことが確定していたも同然であった。
アルタラス王国軍に必要な事は、王都を攻撃しているパーパルディア皇国を撃退することである。
そして、自分が軍隊の最高権力者となって軍事力を行使すること示したことにより、アルタラス王国軍の各部隊は武藤の指示の下で動くようになった。
これは中国大陸での戦役において、武藤がよく行動していた手段でもあった。
武藤は彼らが自分の意のままに操るために、彼らの忠誠心を掻き立てる言葉を巧に使ったのだ。
『現在、アルタラス王国はパーパルディア皇国から攻撃を受けており、これを我々は撃滅する。アルタラス王国のために、そしてこの国を守るために、共に戦おう』
広域通信で呼びかけると、アルタラス王国中で大きな戦意が巻き起こった。
治安警察隊の指示の下で、アルタラス王国軍はようやくまとまって軍事行動を開始することが出来る。
苛烈ともいえる程に憎悪を募らせたアルタラス人の闘志に火が付き、彼らは街中に繰り出して武器を手に取りパーパルディア皇国への報復を誓った。
その中でも治安警察隊は、武藤という主人のために一刻も早くアルタラス王国の政治中枢を掌握し、ラジオ局に真っ先に部隊を向かわせて生き残った王族を確保するように手配した。
同時に基地に駐留していたヘリコプター部隊、並びに沖合に停泊していた型落ちの哨戒艇は、完全武装で大使館ではなく本命のパーパルディア皇国軍を殲滅するべく行動を既に開始していた。
また、全部隊に以下の命令文を発令した。
・アルタラス王国の出動要請に則り、全ての治安警察隊及びアルタラス王国軍全部隊は王都における治安維持行動を開始せよ。
・パーパルディア皇国に属している軍民は無力化せよ。
・王都を攻撃している飛竜隊を無力化すべく、ヘリコプター部隊と哨戒艇部隊は沖合にいるパーパルディア皇国軍の艦隊を攻撃せよ。
・王都を守るためには、如何なる手段を問わない。
・武力行使によって、秩序を取り戻す。
・無警告射撃、及びパーパルディア皇国に属する勢力の破壊を承認。
この武藤の指示の下で、治安警察隊は行動を開始した。
正式な治安維持出動と、それに伴い被害を被るであろう損害は全て度外視しても良いというアルタラス王国からのお墨付きである。
満州事変と、それに次ぐ南京事件において武藤の部隊は、苛烈なやり方をすることで悪名高いものであった。
さらに、航空基地から離陸した攻撃機などが王都上空を通過した時、このアルタラス王国は最悪の形で生まれ変わることになるのだ。
大いなる陰謀は、成熟を迎えた