日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第五十八話

中央暦1639年/西暦1963年9月20日午後4時

アルタラス王国 王都ル・ブリアス

 

カスト全権大使は、目の前で起こっている惨劇を楽しむように、熟成されたワインを飲みながら鑑賞していた。

 

「ははは、いいぞ。アルタラス王国め、身の程を思い知れ。ガハハハッ!いやー、ワインがより一層美味しいな」

 

アルタラス王国への懲罰と称して、大使館に待機していた陸戦隊を使った戦闘作戦は一定の成果を挙げており、彼や急進派のレミールが執り行っている「パーパルディア皇国に反抗的な態度を示した国家への懲罰」を執り行っている事に愉悦を感じていた。

 

最も、事の発端はカスト自身の身勝手な言動や振る舞いが原因であるにも関わらず、彼はそのことに気が付いていない。

 

気づいてすらいないのだ。

 

列強国が弱小国を踏みにじる行為というのは当然であり、属国化の際には奴隷を送ったりすることが当たり前という認識なのだ。

 

奴隷はパーパルディア皇国の工業地帯やプランテーション農園に売り渡され、死ぬまで労働させることが美徳とすらされている。

 

「アルタラス王国も馬鹿な事をしたものだ。よりにもよって我が国を裏切るような真似をしたからこのような結果になったのだ。日本という国家への忠誠を誓った裏切り者は懲罰し、再びパーパルディア皇国が偉大であり、平伏すべき相手であることを教育してやらねば……」

 

彼のような価値観は、皮肉なことに……転移してきた大日本帝国における財閥企業が考えている事と酷似していた。

 

植民地や属国からの資源を格安で輸入し、国内の経済体制を発展させる。

 

傀儡化した中国で生産された米は日本人の胃袋を満たし、東南アジアや満州で生産されている石油のお陰で、日本は世界第二位の経済大国と軍事大国に上り詰めた。

 

その基盤を転移直後は失ってしまったものの、代用としてクワ・トイネ公国の食糧庫と、クイラ王国の石油・鉱石資源を確保し、これまで通りの繁栄が約束されたのだ。

 

突き詰めれば、両国ともに植民地支配体制を執っている国家であるが故に、考え方や行動も類似していた。

 

唯一違う点を挙げるとすれば、日本側は飴と鞭の使い方を熟知しているのに対して、パーパルディア皇国は鞭だけしか使う事を知らない。

 

それ故に、パーパルディア皇国はアルタラス王国に駐留している日本に対して、同じように鞭を振る舞っても良いと考えてしまったのだ。

 

その考えが間違っていたと知るのは、カストが一本目のワインの半分を飲み干した時であった。

 

突如、カスト大使の目の前で上空を旋回していたパーパルディア皇国監察軍の飛竜が次々と撃墜されてしまった。

 

「な、なんだ!飛竜が爆発したぞ!」

 

無数のミサイルが飛竜に着弾し、轟音と共に飛竜は搭乗員諸共爆発四散した。

 

血しぶきが大使館の屋根に降り注ぐと同時に、飛竜や搭乗員の身体の一部がバラバラになって降り注ぐ。

 

あまりにも突然の光景に、カストは呆然と外を見つめていた。

 

「なんだこれは……一体なにが……」

「カスト殿!あれを見てください!」

 

大使館職員が指差す先には、未知の航空機が大使館めがけて接近してくる光景があった。

 

治安警察隊に引き渡されていた中島飛行機の旧式ジェット戦闘機「KI-201 火龍」と新式のジェット攻撃機「KI-209 青龍」であった。

 

ル・ブリアス郊外の航空基地から出撃した戦闘機・攻撃機の混成飛行部隊は、ル・ブリアスで我が物顔で蹂躙をしていたパーパルディア皇国への反撃を開始したのだ。

 

『よーし、大半の飛竜は撃墜できたぞ。残っている飛竜も纏めて始末しろ。撃ち漏らすと地上部隊やヘリ部隊に被害が出る。飛竜を始末したら次は沖合にいるパーパルディア皇国海軍への攻撃だ』

『間違っても王都に爆弾抱えて墜ちるなよ!機銃掃射開始!』

『普段狙っている気球の標的だと思って撃て、速度ではこっちのほうが有利だ』

 

航空隊は近接航空支援のために生き残っていた飛竜めがけて機銃掃射を開始した。

 

ミサイルという攻撃手段を理解できなかった彼らは、右往左往している間に次々と機銃掃射によって落ちていく。

 

先ほどまで、パーパルディア皇国は自分達が列強国であり、覇者であるという認識であった。

 

その認識が彼らに理解できない形で崩れていく。

 

「有り得ない……こんなことは一体……」

 

轟音と共に、彼らの威信が音を立てて崩れていく。

 

そして、武藤率いる治安警察隊の本隊が王都の中心部に進入したのだ。

 

パーパルディア皇国大使館まであと3kmの地点まで迫っている。

 

『間もなくヘリコプター部隊と合流します。地上の第一歩兵大隊、第五野砲中隊と共に大使館に乗り込みます』

『なるべくカスト大使を生け捕りにしろ。生け捕りが無理なら死体でも構わん。絶対に奴を大使館の外に逃がすなよ』

『第三機甲連隊、第四支援中隊はパーパルディア皇国軍と市街地で戦闘を始めている模様……これより、王都市内の掃討作戦を実施します』

『抵抗してくる者は射殺して構わん。奴らは王族殺しをしたのだからな。大使館外にいるパーパルディア皇国人も同様に脅威と見なし、逃走ないし抵抗する者への無警告射撃を許可する』

『了解……武藤閣下、沖合の海軍はいかがいたしましょうか?』

『ある程度数を減らした後、降伏勧告に従って降伏旗を掲げないようであれば抵抗の意志ありと見なし、海上艦艇によって全て海に沈めろ』

 

武藤は、自分達の部下に対してパーパルディア皇国大使館並びに沖合の海軍への攻撃を命じた。

 

それはこの世界の列強国と転移国家による直接的な文明の衝突でもあった。

 

銃声、サイレン、そしてすぐに……命令

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