日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第六十話

中央暦1639年/西暦1963年9月21日午前0時

パーパルディア皇国 皇都エストシラント

 

「駆け足!総員、前進開始ッ!!!」

「ワイバーン離陸、繰り返す、海軍のワイバーンは無事に離陸した。皇都上空に間もなく到着する」

「一般部隊にはパラディス城に集まるように指示を出せ、憲兵隊は予定通り、急進派の排除に掛かれ。皇族や貴族であっても容赦はするな」

 

皇都エストシラントでは、けたたましくも兵士達が武装をした状態で街中を駆け巡っている。

 

海軍の飛竜隊がエストシラント上空を飛び回り、マスケット銃や携帯式魔導砲を携帯している兵士達は戦列を組んで駆け足で向かっている。

 

陸軍と海軍の武器庫から、銃や大砲、携帯式魔導砲まで持ち出している。

 

あまりにも突然の軍事行動に、夜中まで酒場を開いていた店主や客たちは何事かと外を見てみると、完全武装した陸海軍の兵士達が行進をしているのを目撃する。

 

「おいおい、今日は夜間訓練なんてあったのか?」

「分からんが……おい、飛竜まで飛んでいるぞ?!」

「それだけじゃねぇ!地竜(リントヴルム)まで動員しているじゃねぇか……一体全体どうなっているんだ?」

「なんだこりゃ……分からねぇ、分からねぇけどよぉ……一体なんの騒ぎが起こったんだ?」

「ただ事じゃねぇかもしれないってことだな……」

 

客たちは知る由もないが、一つだけ分かっているのは、行進をしている彼らの向かっている先が、皇族の住まう宮殿であるパラディス城であった。

 

多くの者が、夜遅くに兵士達が戦列を組んで歩くという行為に疑問を持った。

 

昼間に軍事パレードや移動のために行進する事はよくあることだ。

 

しかし、こんな真夜中に動くということはほとんどない。

 

おまけに、宮殿に向けて進軍をするという行為そのものが不可解である。

 

兵士達もどこか違和感を覚えており、彼らの部隊の上官である作戦本部長のマータルを含めた陸軍上層部の命令で従っているだけに過ぎない。

 

「なぁ、これってどういうことなんだ……就寝時間の直後に叩き起こされて出撃だなんて……」

「夜間戦闘訓練の実施とも通達は聞いていないからな……ただ、緊急事態につき出撃するって言われているからな……」

「緊急事態……何があったんだ?」

「聞いた話だと、急進派の連中が戦争を起こそうとしているらしいな」

「戦争……どこの国とやり合うつもりなんだ?」

「さぁな……とにかく、言われた通り、パラディス城の前に集まればいいさ……」

 

陸軍の多くの兵士がパラディス城を目指して行進をしていた。

 

勿論のことながら、彼らにはクーデターの詳細は伏せられたままである。

 

突然に軍の動員と、各外務局の行動には急進派にとって寝耳に水であった。

 

その中でも急進派のトップであり皇帝を言いくるめようとしていたレミールは、自身の屋敷で皇帝と自分が愛を育む妄想をしながら就寝中に、女性職員から叩き起こされて事態を知る程であった。

 

本来の彼女であれば、眠りについていた自分を叩き起こす行為など解雇処分相当ものであったが、あまりにも血相を変えた様相を見て、その怒りすら吹き飛んだ。

 

「レミール様!先ほどより皇都防衛軍、第1、第3外務局、軍参謀本部、海軍海兵隊が皇都内にて武装した状態で行進をしているのと情報が入りましたッ!」

 

あまりにも突然の軍事行動の第一報が入るなり、レミールは思わず固まってしまった。

 

彼女からしてみれば、全く思い他当たる節がない。

 

そればかりか、勝手に夜間で訓練を行う道理もなければ、大規模な訓練を実施する旨の連絡すらしていないのだ。

 

「は……陸海軍の部隊が勝手に皇都で行動を起こしているだと?」

「はい、それに空を見てください!海軍の飛竜が空を飛んでいるのです!」

 

ここにきて、レミールは悟った。

 

パーパルディア皇国の中でも、宥和的な方針を掲げる第3外務局のカイオスが中心となって独自のグループが結成されていることは耳にしていた。

 

近いうちに、かのひ弱で弱腰外交的な行動をしている彼を解任し、代わりに別の急進派のメンバーをトップに据えおこうとしていた矢先の出来事であった。

 

「クソッ……狙いは私か……私を排除しようと仕組んだのか!!!」

 

つまり、レミールはこの時点で軍隊が寝返り、クーデターを起こしたことを悟ったのだ。

 

クーデターを起こされては命も危うい。

 

宝石だけでも身に着けて逃げようとした時であった。

 

ズスズ……ドォォンン……という爆発音と共に、屋敷が大きく揺れたのだ。

 

レミールは窓の外をのぞき込むと、そこには大砲を打ち込んでいる憲兵隊の姿が見えたのだ。

 

「憲兵隊だと……ッ!一体なにを考えているのだ!ここは私の屋敷だぞ!皇族の屋敷を攻撃するなんて重罪だ!」

 

顔を真っ赤にして激怒するレミール。

 

だが、砲撃で空いた屋敷目掛けてマスケット銃に銃剣を取り付けた兵士達がなだれ込んでくる。

 

「なんで憲兵隊が攻撃してくるんだよ!」

「俺に聞くな!畜生!」

「うわああああ!目が!目がやられた!目が見えない!!!」

 

屋敷の内部で待機していたレミールお抱えの警備隊が応戦するも、正規軍との戦闘を想定していなかった警備隊は短剣ないしロングソードぐらいしか配備されていなかった。

 

警備隊は容赦なく殺された。

 

急進派の手先として、その行為を黙認していた罪に問われたのである。

 

最も、そんな中でもレミールは何としてでもこの事態を国王に知らせるべく、屋敷の秘密の通路から脱出を図っていた。

 

彼女は女性職員を囮に使い、安全に退避するまで時間稼ぎをするように命じたのだ。

 

「レミール様、ここは私が時間を稼ぎますので、皇帝陛下にこの現状をお伝えしてください」

「分かった。それまでお前はここを死守しろ……いいな?」

「はい、くれぐれもお気を付けて……」

「うむ、私に忠義を尽くせ……ではな……」

 

10分程で屋敷の一回を制圧した憲兵隊は、2階の奥の部屋から脱出しようとしていた女性職員を確保するも、彼女は予め仕掛けておいた魔導弾を使って秘密の通路を破壊してしまう。

 

すでにレミールは通路を駆け抜けて、何度か経由を施してからパラディス城を目指して駆け足で向かうのであった。

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