日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第六十一話

中央暦1639年/西暦1963年9月21日午前0時

パーパルディア皇国 皇都エストシラント

 

 

皇都で派手な砲撃音と、銃撃音が鳴り響くのは初めての事であった。

 

外務局、憲兵隊、皇都防衛隊が急進派の人間を排除するために武力行使を行っている。

 

夜中の急襲ということもあり、ほとんどの急進派のメンバーは対応が出来なかったのだ。

 

急進派のメンバーが通い詰めているバーや娼館なども包囲されており、その場にいた者の中でも急進派に親しい人間は構わず殺すように命じられていた。

 

【これは虐殺ではない、我が国を救うための行為だ。逮捕や殺害を含めて諸君らの行為は全て不問になるだろう】

 

カイオスはクーデターの際に、兵士や職員にこう宣言した。

 

つまり、クーデターによって生じる犠牲やそれに伴う殺戮は『やむを得ない処置』であるとして、大いに推薦したのだ。

 

急進派の人間が生きていては困る上に、いずれクーデター後ものし上がって寝首を掻くような真似をされても困る。

 

故に、皇国で膨れ上がった膿を出し切ることに舵を切るのだ。

 

平民出身者の多くが、傲慢な皇族や貴族に対して虐げられることもあった。

 

その恨みは傀儡国で虐げられている民族以上に恨みつらみが籠っている。

 

この負の感情が一気に咎められることがないと判断した瞬間に、彼らに溜まっていたモノが爆発して、急進派の人間を処刑する大義名分の名の下に、排除が実施されていた。

 

エストシラントの高級娼館の多くが急進派のパトロンであったり、交流の場でもあったことから憲兵隊や皇都防衛隊による襲撃を受けたのだ。

 

娼館に通い詰めていた貴族は夜のお楽しみを銃声と共に中断される羽目になり、その多くが生まれたての姿となっていた。

 

突然の出来事に、右往左往している貴族たちに向かって兵士は一喝する。

 

「いたぞ!急進派の貴族だ!」

「な、なんだね君たちは!」

「貴様ら急進派は現時刻を持って、その特権を停止及び剥奪された。たとえ貴族であっても例外はない」

「な、なんだとォ!!!ふざけるな!何のための貴族だと……」

「構わん。反省の色すら見られん。処刑しろ」

「はッ!撃てーッ!!!」

 

マスケット銃から白煙が上がり、各部屋で銃声が鳴り響く。

 

彼らは弁明することすら許されなかったのだ。

 

銃声が鳴り響くたびに、急進派は殺されていく。

 

それは娼館だけにとどまらない。

 

彼らの居住している屋敷でも惨劇が行われているのだ。

 

召使いや執事を含めて、急進派に属している人間の多くは殺されたのだ。

 

これほどまでに皇都で血が流れる事態は建国以来起こった事がない。

 

まさに空前絶後ともいえる虐殺であった。

 

そんな惨状が産み出されている現在においても、カイオスは部下からの報告を淡々と聞いている。

 

「急進派の貴族を次々と捕縛ないし殺害しております」

「数はどのくらいになりそうだ?」

「現在までに160人以上が無力化されたとのことです」

「陸軍省はどうなっている?」

「はっ、すでに憲兵隊が陸軍省を制圧し急進派の軍人を捕殺しました。憲兵隊が執り行ってくれたお陰で、軍を掌握することが容易ですな」

「海兵隊は予定通り市街地に展開しているか……ふむ、あとは皇帝陛下だが……パラディス城は制圧したのだな?」

「はい、ただパラディス城において近衛守備隊との一部と戦闘状態となっており、皇帝陛下の身柄に関しては安全のため海軍司令部に移送しております」

「ご苦労、陛下には申し訳ないが……この状況を作った急進派の始末が完了するまでの間は、ご不便をかけるがやむを得ないな……」

 

カイオスにとって、急進派を排除するにはこのような非情な手段を取るしかなかった。

 

皇帝は第1外務局の職員が連れ出し、海軍司令部まで護送しているのだ。

 

最も、皇帝に関しても急進派にそそのかされている節が見受けられるので、彼の権限も一部制約させるつもりでいるのだ。

 

それから、カイオスにとって一番重大な問題は急進派のトップであるレミールが屋敷から逃走している点である。

 

レミールが屋敷から逃走しているという情報を掴んだものの、すでに憲兵隊や皇都防衛隊が出動しており、レミールに対しては可能であれば『捕縛』するように命令が出されている。

 

しかし、それが出来ない場合には『無警告射撃』及び『捕殺命令』が下っているのだ。

 

急進派として彼女がアルタラス王国でカスト全権大使の起こした不祥事を咎めるばかりか、王国における王族関係者の殺害に関する命令を下していた事は、パーパルディア皇国の存亡に関わる重大な問題でもあったからだ。

 

可能性であれば捕縛した上でアルタラス王国に犯罪者として身柄を引き渡すのが関係修復を図る上で『最低限必要な行為』であり、いずれにしても国内を不安定化させる要因の一つを排除しなければならない。

 

「何としてでもレミールは捕縛するか殺すのだ。彼女は危険すぎる。皇族といえど容赦はいらん。あの女は我が皇国にとって百害あって一利なし……害獣とも言うべき女だ。アルタラス王国に引き渡すか、罪を償って死ぬことでしか国に貢献できぬからな……」

「捕縛命令だけではなく、一般大衆にも情報提供を呼びかけを行ったほうがいいかもしれません。多額の懸賞金を賭ければ、それだけ一般市民からの情報提供も行えるでしょうし……」

「よし、すぐに懸賞金をかけたまえ。急進派のトップである彼女は、生かしてはおけないのだ。何としてでも見つけ出すのだ」

 

レミールの運命は既に決していた。

 

それでも、レミールは敬愛する皇帝のために走り続けており、午前1時38分……彼女は銃声が鳴り響くパラディス城にたどり着いたのであった。

 

反逆的で狂気の魔女狩り

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