日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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レミール好きな人はごめんなさい。
彼女を壊します。


第六十二話

中央暦1639年/西暦1963年9月21日午前1時

パーパルディア皇国 皇都エストシラント

 

パラディス城内には血塗れになって斃れている近衛兵。

 

大勢の近衛兵が死んでおり、尚且つその周辺を陸軍の憲兵隊や海軍の陸戦隊が一人一人、確実に死んでいるか確かめるために銃剣で突き刺したりもしている。

 

これは単なる虐殺などではない。

 

腐敗と流血によって作り上げられた皇国の歴史を清算している最中でもあるのだ。

 

多くの兵士達はこの光景を『必要不可欠なもの』であると捉えており、何の躊躇もなく近衛兵を殺したのだ。

 

そればかりではない。

 

パラディス城内部にいた貴族や皇族に関しても例外ではなかった。

 

当然ながら、その情報を掴んでいた外務局の職員らが彼らを捕縛し、どの程度深く関与していたかを探り、関わりが深いとみなされた者から脅威であるとして「処刑」されるのである。

 

「急進派に属している主な貴族や皇族の方々を確保しました」

「よし、抜かりなくやったな……では、彼らにはそれ相応の刑を執行せねば……」

 

少数ではあったが、城の中にも急進派に属している貴族や皇族の面々がいたのだ。

 

彼らは皇帝を説得して、アルタラス王国への軍事侵攻を執り行うべく集まっていた者達でもあった。

 

高貴な身分の出身であったが、今、彼らは縄で縛られている状態であり、とても威厳を感じられる格好などではなかった。

 

その中でも、皇都において有力な貴族とされていた男に、第3外務局の職員は近づいた。

 

「では、先ずは貴方から始めましょう」

「おい、一体なんのつもりだ!こんな事をしてタダで済むと……」

「貴方は貴族という地位でありながら、皇国を危険に晒し……尚且つ皇都において【皇帝陛下への反逆】をレミールと共に行おうとした実行犯です」

「は……?一体何を言って……」

「急進派として属していることは既に把握しています。貴方は急進派の貴族として、皇族の面々にも説得してアルタラス王国への武力衝突を援助していた……それは事実です」

「ま、まて……それは一体どういうことだ!?」

「つまるところ、皇国への裏切り行為、並びに売国行為そのものです……」

「ふざけるな!一体なんの権限が……」

「失礼します。例のリストが載っている本を持って参りました」

「ご苦労、これでようやく事が捗るよ」

 

貴族が抗議をしている最中、職員の下に彼の部下が駆け寄ってくる。

 

黄色い本を持ってきており、職員は本をめくるようにして読んでいる。

 

いくつかのページを捲った上で、男は貴族の容姿と名前を確認すると、彼に宣告を行った。

 

「では、まず貴方から……現在発足したばかりの臨時政府の行動方針に則り、貴方は死刑となります」

「死刑だと……?」

「ええ、私は第3外務局員ではありますが、司法修習を有しております。現在は非常事態下でもありますので、裁判官としての役割を担えるのですよ」

「し、死刑なんて聞いていない!一体そんなことが許されるとでも……」

「許されますよ。私はカイオス閣下より国賊に対する捕殺権限を託されているからです。残念ながら貴方は捕殺リストに記載されております。如何なる例外も認められません」

 

死刑を宣告された貴族は抵抗する。

 

無意味だと分かっていても逃げ出そうとした。

 

しかし、傍にいた憲兵隊の兵士によって頭を殴られ、額からは血が流れ出ている。

 

「処刑場所はそこの噴水近くの傾斜でいいだろう。今は死体を入れる袋すら惜しい……彼をお連れしろ。最低でも貴族としての誇りを持たせた状態で刑を執行する」

 

痛みを和らげる魔法を唱えた上で、貴族や皇族の処刑を実行する。

 

貴族や皇族にのみ許された処刑……毒の入った酒を飲み、その毒によって斃れるという毒殺でもあった。

 

貴族や皇族の面々ですら、このやり方を大いに驚愕し、必死に抵抗した。

 

だが無意味であった。

 

強引に口を開けさせる工具を使い、嫌がる彼らの口の中に毒を大量に含んだワインやウイスキーを飲ませたのだ。

 

毒が回り始めると口や鼻から出血が起こり、最終的に意識障害を起こして10分以内に死ぬ。

 

中には自分から進んで毒の入った酒を飲んで死ぬ者もいたが、それはほんの一握りの貴族だけであった。

 

死んだ貴族や皇族の死体を傾斜面に置いてから、城の中にあった絨毯を彼らの上に覆い被せる。

 

赤く染まった絨毯に、彼らのにじみ出た血が染み込んでいく。

 

パーパルディア皇国の膿ともいえる急進派の最期は、実にあっけないものであった。

 

「これで急進派の貴族、並びに皇族は処したか……」

「あとはレミールだけですが……依然行方が分かっておりません」

「……恐らくだが、この城の中にいるはずだ。手分けして夜が明ける前に見つけ出そう」

「掃討戦になりそうですね……」

 

外務局、そして憲兵隊による城内の掃除が始まった。

 

彼らは隈なく捜し、息のある近衛兵を尋問して隠し部屋などを隈なく探すことにした。

 

午前4時……空が明るくなり始めたころ、城内に大きな声が響き渡った。

 

「レミールだ!レミールを見つけた!!!」

 

急進派の中心人物が、ようやく姿を現したのであった。


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