日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第六十三話

中央暦1639年/西暦1963年9月21日午前8時

パーパルディア皇国 皇都エストシラント

 

皇都に陽の光が輝いていく。

 

しかし、路上に斃れている者の多くの瞳は深淵のまま動かない。

 

急進派の人間と見なされた者の多くが、憲兵隊や皇都防衛隊によって捕殺されており、市街地であっても問答無用に銃殺や軍事裁判なしの口頭命令のみで処刑が命じられている。

 

どこから入手したのか、中立を維持しているムーから秘密裏に供与された6.5mm重機関銃による実戦も開始されていたのだ。

 

重機関銃から放たれた弾丸が人間の頭部、心臓、臓器を次々と貫いていく。

 

乾いた発砲音と共に銃弾が急進派の人間だったものを貫き、半ば公開処刑のようなやり方で統治をしなければならない。

 

甘ったるい体制など必要ないのだ。

 

急進派を中心に広がっていた汚職や権力の腐敗を撲滅するためにも、殺さなければならない。

 

機械的に、まるでベルトコンベヤーで流されていく商品に異常がないかを確認するかのように、兵士達は銃を構えて処刑リストに載っている急進派を殺していくのだ。

 

屋敷で、議事堂で、街中でクーデター部隊は粛清を淡々と実施していた。

 

既に、皇都では黒煙がいくつか立ち込めているが、それは決して悪い事ではない。

 

これは夜明けなのだ。

 

パーパルディア皇国にとって、今日から新しい皇国の体制が構築されていく。

 

汚職と腐敗によって根元から腐らせていく前に、諸悪の根源を絶やす。

 

所謂『痛みを伴う外科手術』というやつだ。

 

急進派の多くが上級階級者だったこともあり、彼らの大半が死に際まで抵抗したり、平民出身者を侮辱する言葉を発して死に絶えていった。

 

レミールのお膝元であった外務局監査室の職員に至っては、真実を公言されない為、口封じとして銃殺刑に処されている程であった。

 

これがカイオスによる武力的な政権の簒奪であることを悟らせてはならない。

 

あくまでも、レミールを中心とした急進派が引き起こした惨事を一掃するためのスケープゴートでなくてはならないのだ。

 

真実を語る口を塞ぐしかないのだ。

 

兵士達は戒厳令が発せられた皇都を練り歩く。

 

いつもなら出勤をする人であふれかえる市場も、今は野良犬しか歩いていない。

 

経済活動が停止している状態でもやるべきことは混乱を収拾し、一日でも早く日本とアルタラス王国との和平を結ばなければならない。

 

その為に、皇都で血を流すしかない。

 

レミールを中心に築かれた汚職と腐敗の権力者を殺し、権力を簒奪して皇帝の権限すらも国家の非常事態下に伴って制約する。

 

この国は、カイオスを中心とした新しい国家に生まれ変わるのだ。

 

その証拠に、魔石ラジオから流れているのは、無機質な男性の声で発せられているアナウンスであった。

 

普段なら明るい音楽を流したり、国際情勢などを語ることで有名であったが、カイオスが用意した原稿を読み上げて淡々と現在の状況を宣伝していた。

 

『本日、帝国政府は皇帝陛下の名の下に新秩序体制を構築するべく、逆賊レミールをはじめとする我が国の権益を害して私服を肥やしていた者たちを一掃する事を宣言しました』

 

ラジオ局は既にクーデター側の勢力下にあり、陸軍や海軍もこのクーデターに同調し行動していた。

 

レミールは負けたのだ。

 

彼女は既に囚われており、その間に圧政を強いられていた植民地や傀儡国出身者によって辱しめを味わっていた。

 

身ぐるみをはがされた上で、彼女がしてきた数々の暴挙に対する鬱憤を晴らす機会であった。

 

皇族といえど、ただで殺されるわけにはいかないのだ。

 

命乞いをしても、絶望と苦しみを味わってからでないといけない。

 

アルタラス王国出身者を広場に集めた上で、彼女を殺さない限り自由にしてやったのだ。

 

彼女はまだ日本政府とアルタラス王国に引き渡して切り札にする必要がある。

 

だが、彼女が無傷のままで引き渡されたとして、果たして反省しているのだろうか?

 

それは否である。

 

権力者であれば、その権力が続く限り暴虐を働き、虐げることを生業とする鬼畜として自身の行為を正当化するだろう。

 

故に、カイオスは心を鬼にして彼女に特別な想いを寄せていたルディアス皇帝の目の前で、彼女が壊される現場を見せつけたのだ。

 

人間の尊厳を壊すという行為は、ルディアス皇帝の前では絶大な効果を発揮し、彼はあまりの衝撃に声を震わせながらカイオスに尋ねた。

 

「か、カイオスよ……これはどういうことだ……」

「陛下、あの女は我が国を窮地に陥れた張本人です。急進派を駆除しております」

「で、では……レミールはどうなる……このまま殺すのか?」

「いいえ、この刑が済み次第日本政府を通じてアルタラス王国に引き渡します。そして、この国をもう一度栄光ある国家へと生まれ変わり、繁栄をもたらすため一から再出発するための行動を開始します。陛下、ご心配をおかけしてしまいますが、必ずや復活を果たすために行動いたします」

「あ……あ……」

「ですから陛下、どうか今はゆっくりお休みください。後は我々が執り行います」

 

カイオスは無機質なロボットのように語り、固まってしまった皇帝の代わりに権限を行使する。

 

皇帝とて、カイオスの鋭く冷たい目線の前では成す術がない。

 

カイオスの覚悟は決ってしまった。

 

冷酷で、残忍な手段を執ってでもこの国を旭日の太陽の下で一時的な汚辱を与えられても、必ず蘇らせると決意したのだ。

 

軍用無線からは淡々と作戦行動が読み上げられて、兵士達は行動を開始している。

 

『全ての戦闘員は、直ちに皇都の守りを固めて敵対リストに載っている人物の排除を……』

『この国を破壊せしめんとする急進派を排除するべく、皇帝陛下より懲罰の命が下った』

『各員、急進派を殲滅せよ。殲滅せよ。二度とこの国で汚職と腐敗を享受することのないように、根絶やしにせよ』

 

命令は絶対だ。

 

兵士達は軍靴の音を奏でながら急進派を殺していく。

 

この日、パーパルディア皇国は死んだのだ。

 

国の切腹

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