日本国召喚 × The new order: last days of europe   作:アレクセイ生存BOTおじさん

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第七話

1963年6月3日正午 クワ・トイネ公国 マイ・ハーク沖

 

「当該目標海域に接近!現在までに大鳳より発艦した偵察機が、こちらに接近する艦影群を感知!」

「総数はどのくらいだ?」

「約20隻ほどです……しかし、偵察機からの情報によれば、20隻全てが帆船とのことです」

「帆船とはいえ、こちらに集団で接近しているということは、現地の国家ないし武装勢力のものである可能性が極めて高いです伊藤閣下」

「うむ……陸軍はYS-11R(いちいち)で低速、低空での偵察をしていた際に、飛竜に襲われたらしいからな……何か飛び道具を持っているかもしれん。警戒を怠らないようにな」

 

大日本帝国海軍第一艦隊の旗艦大和では、作戦実行の為に水兵たちが慌ただしく動き始めていた。

艦隊司令官である伊藤*1も、戦争時に経験した緊張感を再び、その体で味わっている。

 

陸軍の偵察機が撃墜された陸地付近の海域に向かい、沖縄を経由して接近を試みていた。

 

既に小型艦を重武装化させる時代の転換点にきていたこともあり、こうした戦艦に関しては大艦巨砲主義を重視していた海軍の古参株以外からの評価というのは、諸外国への威圧程度しか役に立たないのではないか、という意見が占められていたのである。

 

「しかしながら、武蔵の換装が間に合って良かったですね」

「全くだ。原子力エンジンを積んでいるからこそ、高速戦艦として駆逐艦と同じ速度で随伴できるのだからな」

「近代化改修されているとはいえ、この戦力が現状我が国における海軍戦闘能力の限界値でもあります」

「だが、石油が無ければ他の艦隊や戦闘機を動かすことも出来ん。近代化改修予定だった紀伊と信濃も、今は呉のドックで待機中だ」

 

太平洋戦争に勝利した後、海軍は太平洋諸島の利権や海上の保安維持能力の為に、第二次世界大戦後も多くの戦闘艦が近代化改修を終えて現役のままだ。

 

戦艦大和もその例外ではない上に、大和と武蔵に関しては武装に対空ミサイルを装備している上に動力源を原子力エンジンに換装している。

 

転移前は、戦艦7隻、空母13隻を中心とした大小合わせて440隻以上の戦闘艦を保有する世界最大の海軍国家でもあった

 

しかし、この世界にやってこれたのは僅かに80隻程……。

大型艦は大和型戦艦4隻、大鳳型空母2隻のみであり、それ以外は軽巡洋艦と駆逐艦、近海警備艇、潜水艦となっている。

 

現状の日本海軍は、転移前の5分の1にも満たない艦隊しか有していないのだ。

 

その理由としては太平洋各地に展開していた空母機動部隊や、駆逐艦艦隊などの殆どが本土ではなく、サンフランシスコやラバウル島、東南アジア地域の海上航行上の重要な拠点にある軍港に配備していた為である。

 

そのような現状日本海軍は転移した影響で、既に海軍の主戦力は壊滅したに等しい打撃を受けたのである。

 

これは陸軍でも同様であり、陸軍は常備軍43個師団で構成されていたのが、本土にいた守備隊や、海外での動乱の鎮圧に当たって本土に帰還していた陸軍精鋭の戦車軍団を含めても僅か12師団しかいないのだ。

 

とはいえ、陸軍に関しては幸か不幸か、まだ補充が直ぐに効く部隊が多い。

 

というのも12師団のうち、戦闘を特化とする戦車師団が2個師団、自動車化師団が2個師団、加えてヘリコプターを中心とする空中強襲部隊、海軍陸戦隊などの特殊な兵科が1個師団、残りは近衛師団や歩兵師団といった部隊が主軸を占めている。

 

それ以外の海外に派兵していたのは戦車師団を含めても、現地人を使った守備隊や歩兵旅団が多く、海軍よりも補填がしやすいのだ。

 

おまけに陸軍では急遽在郷軍人会や失業したサラリーマンなどを中心に、陸軍への再招集などを実施している有様である。

最大2年間の兵役義務があることで、予備役を含めて即座に400万人規模の人間を動員できるのは、帝国陸軍ぐらいだろう。

 

「いずれにしても、我々は食料と燃料を回収できるように現地の国家ないし勢力への交渉をしなければならない。その為に、外務省のお役人を乗艦させているのだからな」

「外務省から派遣されたのは技術官僚派の田中さんでしたな……」

「幸いというべきか、かなり話が好きな人で、そこまで我々軍人に対して嫌味などを言う人ではなかったよ。現地勢力との交渉に関しても積極的に行いたいと申し出ていたぐらいだ」

「では、これからの行動によって我々の……いえ、日本の運命が決まるというわけですね」

「その通りだ。ここは既に戦場だと心掛けた上で、備えなければならない。改めて、各兵士に厳戒態勢を強化する旨を伝えよ」

「はっ!」

 

陸軍の偵察機が撃墜された事は既に伊藤長官だけではなく、各艦艇や外務省の田中にも伝えられていた。

もし海上で一触即発の事態になったら、その時は大和をはじめとした第一艦隊の戦闘艦による一斉攻撃が開始されるだろう。

重々しい空気の中で、現地勢力である帆船との接触が開始されようとしていた。

 

未知との遭遇

*1
海軍軍人であり、史実では戦艦大和の特攻作戦ともいえる天号作戦において第二艦隊司令長官として従事、最期まで長官室に残って職務を全うした後に戦死した。TNO世界では艦隊司令長官として存命している




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