日本国召喚 × The new order: last days of europe 作:アレクセイ生存BOTおじさん
クワ・トイネ公国 視点
クワ・トイネ公国海軍の目の前に現れた勢力の海軍力は圧倒的であった。
彼らの前にはクワ・トイネ公国の海軍が有する帆船など小さな小人のような存在だった。
臨検を実施しようとしていた、クワ・トイネ公国の第二艦隊司令官は、あまりにも巨大なその船体を見て、身体を硬直させた。
(なんだこれは……まるで島が海に浮かんでいるではないか……それも木材で出来ているわけではない、少なくとも鉄で出来ている巨大な船だ……ただでさえ、こんなに大きいのに、これと同じ船がもう一隻もあるとは……!)
巨大な黒船を護衛している船も鉄で出来ており、それだけでもクワ・トイネ公国水準では十分に大きいのだが、その船ですら目の前の島のような巨大な船と比べたら小舟であり、その小舟よりも木造で小さな船に乗っている自分達との【文明水準の差】が顕著に現れているのだ。
(先ほど我々の上空を飛行していた見慣れない飛竜も……そして、マイ・ハークに落下した国籍不明騎の飛竜も……
第二艦隊の指揮官は確信した。
これほどまでの巨大な船を動かせるのは、列強諸国だけだ。
中小国、ましてや大陸における文明技術ではなしえないものであると理解した。
理解したくなくても、軍人としての
さらに、彼らを驚かせたのは島のような船に搭載されている巨大な砲である。
まるで城で建設された砦よりも高く、そして大きな砲が前方に三つ、前後に合計で六門も搭載されているのだ。
その砲がゆっくりと旋回をして、
「閣下……これは……」
「間違いない、あの船首の方に付いているのは巨大な野砲だろう……それも列強諸国が作っているような砲だとしても巨大すぎる……塔のような大きさの砲なんて聞いたことがないぞ」
「で、ではマイ・ハークの方に向けているのは……」
「恐らく、我々を交渉の座に引き下ろそうとしているのだろう……断れば、マイ・ハークに一撃をお見舞いするとな……」
やがて、島から不気味な音を立てる船が発進し、クワ・トイネ公国の帆船に近づいた。
小型でありながら、物凄い速さで動く小舟に度肝を抜かれた司令官であったが、幸いにも小舟に乗っていた軍人と話が通じ合える事に安堵したのである。
「こちらは、大日本帝国海軍第一艦隊である。貴国の指揮官は何処にいる?」
「私だ……これは、貴公らの乗り物か?」
「良かった、日本語が通じるぞ……勿論だ、艦隊司令官が御呼びだ。内火艇に乗って頂きたい」
「分かった、だが部下を二名随伴させたいのだが、よろしいか?」
「ちょっと待て……相手方の指揮官が随伴者の同行の許可を願っていますが……はい、分かりました……許可が出た。一緒に来て欲しい」
「あ、ああ……助かる……」
司令官は、相手の小舟に乗る前から既にカルチャーショックを受けていた。
遠方との通信手段を確立しており、しかも魔導通信ではない。
奇妙な軍服、奇妙な道具、そして圧倒的な力。
クワ・トイネ公国海軍第二艦隊の指揮官は、言われるがままに大日本帝国と名乗る彼らと、クワ・トイネ公国の上層部との交渉役としてのコンタクトを迫られたのであった。
◇ ◇ ◇
「て……転移国家だと……」
「はい、先日マイ・ハークを襲い、多数の死傷者を出した所属不明の国籍不明騎の所属であり、かつ我が国を凌駕する海軍力を持った国家……大日本帝国だと名乗っております」
「大日本帝国……では、マイ・ハークの街に大きな損害を出した国家が我々の目と鼻の先までやってきているのか!」
「マイ・ハークの沖合10キロの地点まで来ております……それも、推定300メートルを超える巨大船が二隻、他の随伴している船も100メートル越えであり、すべて鉄製で巨大な砲をマイ・ハークに向けているとのことです……」
「300メートルの鉄製の船だと?!パーパルディア皇国ですらそんな大型船は持っているなんて話はないぞ!」
「さらに重大なのが城砦の砦よりも長い三門の砲が二つ……これが仮に装填されているのが魔導弾だと推定しても、相当の威力を有しているものであると思われます!」
クワ・トイネ公国の政治の中枢ともいえる蓮の庭園では、蜂の巣をつついたような騒ぎとなっていた。
マイ・ハークに侵入した国籍不明騎が、海岸沿いの要塞の城壁に接触した後に、炎を上げて墜落してからまだ日も浅い。
どの火炎魔法よりも鼻に障るような、おどろおどろしい臭いと共に焼け出されたのは、鉄で出来た飛竜の残骸と、落ちた場所にいた建物であった。
マイ・ハークの沖合で採れた新鮮な魚などを卸している市場に国籍不明騎が落下したこともあり、その被害は大きい。
現在判明しているだけで死者は287人も出ており、負傷者に至ってはマイ・ハーク中の魔導士だけでは治療が追いつかない事から公都の魔導士を連れてきて治療に専念している最中でもあった。
「……で、相手から何か要求はあったのですか?」
一歩間違えれば、今度こそ戦争になる。
クワ・トイネ公国の首相であるカナタは、報告をしてきた海軍司令官に対して慎重に尋ねた。
「はっ、彼らは転移国家を名乗っており、先のマイ・ハークの件を含めた上で話し合いの場を設けたいとのことです……」
「話し合いですか……いずれにしても、我々は彼らを客人として出迎えて上げなければならないでしょう。対立関係にあるロウリア王国にさえ手一杯の状況です。これ以上敵を増やすような真似だけは慎むように全軍に通達し、大日本帝国という転移国家との交渉の場を設けましょう……」
もし、ここで転移国家と名乗っている大日本帝国がクワ・トイネ公国に攻撃をしてきたら……。
ロウリア王国との戦いどころではなくなる。
カナタには大日本帝国との対談を行う選択肢しか残されていなかったのである。
「彼らとの対話を準備しましょう……少なくとも、彼らが理性的であるうちに」
相手は何を言ってくるだろうか……
Fiat iustitia, et pereat mundus
正義はなされよ、たとえ世界は滅ぶとしても……
神聖ローマ皇帝 フェルディナント1世
11時だ