デジタルアート・オンライン   作:さるモンキー

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2025/01/12

最初のやり取りをちょっとだけ書き直しました。


prologue はじまりの日
再び起こる事件


数ヶ月前、ある大事件があった。

 

現実と電脳が交差し、混ざり合い、衝突したある事件。

 

ある探偵とその仲間たちによって解決したその事件はある事情からこの世界から消え去っていた。

 

その探偵と仲間たち以外、誰も知らない、世界でさえも知らない大事件。

 

この記録は彼らもその事件を少しずつ忘れ始めていた頃の話だ。

 

 

 

 

 

 

「そういやおたくらは最近話題のSAOってゲーム知ってるか?」

 

休みの日、いつものみんなとチャットしていた時、友達の一人がそんな話を始めた。

 

「アタシ知ってる~!あれでしょ?世界初のめんそーるえむえむのーだとか何とか!」

 

「VRMMOな……」

 

うーむ、いつもの光景だ。

 

「なんだか凄そうですよね。同じ電脳空間でもEDENとはコンセプトから違いますし……」

 

「そりゃそうだ。現実の延長みたいに使われるEDENとは違ってありゃ完全に体験型のゲームとして作られてる。人によっちゃ現実以上に熱中するMMORPGときたもんだ。ある意味、異世界みたいなもんだぜ」

 

「しかも、茅野晶彦っつー『あの』ナーヴギアの基礎設計者が開発に関わってるって話だ」

 

「知ってますその人、前にカミシロにいた時に楽しそうに父と良く話をしてました」

 

「正直、話してる内容はよく分からなかったですけど……」

 

「そんなスゴイものならアタシも欲しかったなぁ~」

 

「アホか、ありゃ初回ロット1万本しかない超がつくレアソフトだ。そんな簡単に手に入る訳ねーだろ」

 

と、ここまで話を聞いててふと思い出した。茅場晶彦……ゲーム……そういえば前の依頼で……

 

「そういえば」

 

「タクミ、どうした?」

 

「いや、そういえばこの前依頼の報酬でもらったゲームソフトの名前がそんなのだったなって、杏子さんは『私はゲームとかあんまりだから』って僕に」

 

「おたく…さっきも言ったがあれは手に入れるのにも一苦労な超絶お宝ゲームだ、それをそう易々と渡す奴がいるとは……」

 

ちょっと待ってと言ってガサゴソと音を立てながら部屋を漁る。

 

「あった!タイトルは……《Sword Art Online》……うん、本物っぽい」

 

「噓だろ!?」でしょ!?」と二人から驚きの声が上がる。

 

「そんな激レアな物を依頼の報酬で渡す奴……どんだけ富豪だよ」

 

「ちょ~っとだけで良いからアタシにもやらせてー!」

 

「はは……まぁそれだけレアならせっかくだしやってみようかな。確かナーヴギアってのが必要なんだっけ?」

 

「そうそう、多分電気屋にでも行けばあるぜ」

 

「じゃあ明日のサービスの開始までには買いに行かないとね」

 

「しかし本当に不思議ですね、手に入るのにも一苦労な品物なのに……」

 

「ま、そのうち買えるようになるだろ」

 

「あ、そうそう!皆聞いて~!最近さ~」また話題を変えて話をする

 

これが今の僕の平和になった日常、それは今日も変わらず続いてく…… 

 

 

 

 

 

 

翌日、僕――相羽タクミはナーヴギアを買いに、秋葉原の家電量販店へ来ていた。

 

デジヴァイスのコーナーへと足を運ぶ。目的の場所へたどり着くとそこには様々な形のデジヴァイスが並んでいた。

 

今まで使っていたゴーグル型や目元を全部覆うバイザー型など色々あるようだ。だが、今回の目的はそれらではない。

 

少し奥に進むと派手なポップと共にズラッと並んでいる棚を見つけた、そこには少し大きめの箱があった。

 

そこには変わった形をしたヘルメット状の物の写真と《ナーヴギア》と書かれている箱があった。

 

その箱を手に持ち素早くレジへ運び、会計を済ませ家への帰路を辿る。

 

素早く自分の部屋に戻りセッティングを済ませる。

 

「えっと……これでいいんだよな?」

 

しっかりと電源ランプが点いたのを確認してベットに横になり、ナーヴギアを頭に装着し,説明書にあった起動の言葉を告げる。

 

「リンク・スタート!」

 

その瞬間、プツンと電源が切れたように僕の感覚は現実空間から切り離された。

 

 

 

 

 

 

この世界に来てはじめに感じたのは体の感覚、EDENとは違う手足の感覚に街の中を通り抜けるさわやかな風、

 

そして賑わいのある広場や商店の数々、その全てに感動を覚えながら僕はしばらく呆然としていた。

 

そうして少しの間時間が過ぎたのち、ハッと我に返り周囲を見回して……

 

「このゲームって何をすればいいんだ?」

 

とりあえず始めたのはいいものの大したチュートリアルもなかったしやるべき事もわからない。

 

VRMMOどころか普通のMMOすらやったことがないのにどうしたら……

 

またしばらくその場で考え、とりあえず街の中を探索し始めた。

 

 

 

 

 

しばらく街を探索していると中世の市場のような屋台が立ち並ぶ商店街のような場所についた。

 

「狩りに行く前にアイテム色々買っとこうぜ」

 

「それ賛成!」

 

後ろの方からそんな会話が聞こえてきた。

 

なるほど、一番最初にやるべき事は装備やアイテムを揃えることかもしれない。

 

最初の街で買える装備品などはすぐ変える羽目になるかもしれないが最序盤のステータスが足りない時期のレベル上げには十分だろう。

 

そうしてあちこちの屋台を行ったり来たりして片手装備の店を見つけ悩んだ末に武器は初期装備の剣を使い、盾を買う。

 

所持金の半分以上が無くなり後は残った金でポーションなどのアイテムを揃え、街の外へ出てみることにした。

 

 

 

 

 

 

街の外には広大な草原が広がっていた、その景色の奥へと鮮やかな緑の大地を踏みしめ、駆け出していく。

 

そうして走り回っていると一つの動く影が見えた、それをよく見ると青色の猪のような姿をしている。

 

その猪はこちらに気付き、突進の構えをしてきている。恐らくあれがこのゲームのモンスターなのだろう。

 

こちらも剣を引き抜き、応戦の構えを取る。そしてそのまま突進してくる猪。

 

直線的な動きだ……躱せる!

 

身体を半身そらして突進を避ける、その通り際に横から一太刀いれるがあまり効いている様子はない。

 

猪の上に出てきている緑色のバー、あれがHPゲージだとするならばあまりにも減らなすぎている。

 

周りを見る限り当たり前のようにその辺にいるあのモンスターは中ボスやレアな強敵というわけでもなさそうだ。

 

最初の街周辺だから初期レベルでも相手に出来るバランスのはず……

 

だが減り方が明らかに少ない……そんな思考をしている間にも再び突進の構えを取る猪。

 

また来る!

 

同じように半身そらして攻撃をかわしその間に一太刀切り込む。そんなやり取りを繰り返して相手のHPゲージが半分を割った辺りで異変が起きた。

 

また突進に対して剣を構える。動きに慣れてきたため構えが怯え腰からしっかりと手に力を入れて腰を据える、その時、刀身が光り出した。

 

それに戸惑いながらもそのまま向かってくる猪に対しそのまま剣を振り下ろそうと力を込める。

 

身体が何者かに背中を押されているかのような感覚、そのまま足を踏み出し剣を眼前の猪に振り下ろす。

 

そのまま猪とぶつかると思ったのも束の間、目の前で苦しみだした猪が光の結晶となり砕けて――消えた。

 

そして戦闘が終わったことを知らせるであろうウィンドウが出現し、ホッと一息つく。

 

入手した経験値と通貨が表示され、レベルアップのファンファーレが鳴る。

 

メニューを開いて確認してみると先ほどの動きの正体が分かった。

 

《ソードスキル》だ。このSAOの目玉要素の一つでさっき発動したのはスキル名《ホリゾンタル》片手直剣の初期スキルだ。

 

先ほどの動きについては分かったのでついでにメニューを色々眺めているとある事に気づいた。

 

ログアウトの表示が……ない?何か他のログアウト方法があるのだろうか?

 

そんなことはナーヴギアの説明にもSAOの説明にもなかった。

 

そしてその場で頭をひねらせていると直後――大きな鐘の音が鳴り、青白い光に体が包まれた。

 

 

 

 

真っ白な世界から解き放たれた……そして今の状況を確認する。

 

ここは最初にこの世界に降り立った時の広場だ。だが最初と違うのが空が血のような赤に染まっている。

 

空をよく見ると《Warnig》《System Announcement》の文字列が書かれている。

 

そして空から赤い雫か零れ、その雫が赤いローブをまとった人間……だが本来顔があるべき位置には黒い靄がかかって顔がない。

 

そしてその赤ローブは見えない口をゆっくりと開き衝撃的な発言をした。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

『私の名は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』

 

そしてその後に続く言葉によってこの世界は仮想(デジタル)の世界ではなく、現実(リアル)と変わらない価値を持ってしまった。

 

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