デジタルアート・オンライン   作:さるモンキー

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モチベとアイデアと時間がある内に投稿






最初はルドモン視点です


天使が持てば世界を救い、悪魔が持てば世界を滅ぼす

 

 

 

ニンゲンは怖い。

 

ボクは少し前に生まれてからずっと一緒にいた友だちとはぐれた事があった。知らない場所で初めて一人で動いた。そこでニンゲンってモノを初めて知った。最初は優しかった。ボクを拾ってくれて食べ物もくれた、でも少し経ったらボクを戦わせようとしてきた。ボクはそんな事したくないのにムリヤリ戦わされて、イヤだと言ったら『使えねーな』って言われて牢屋に閉じ込められた。

 

でもある日、そうしたボクを助けてくれたニンゲンがいた。そのニンゲンはデジモン達や他のニンゲンを引き連れてボクみたいな訳も分からないままこっちに来たデジモン達を守ってたみたい。

 

だけどボクはその手を信じられなかった。その差し出された手を跳ね飛ばして逃げた。

 

逃げて逃げて暗い場所でずっと一人で隠れてた。ある日、はぐれた友だちがボクを見つけて(助けて)くれた。それが嬉しくて、安心して、別の場所に行こうとしてもボクは怖くてワガママを言ってしまった。

 

でも、そのワガママを友だちは聞いてくれた。ボクはそれからその優しさに甘え続けてしまった。最近はそれも抑えてきたはずだった。

 

ここに来る少し前にボクたちは謎の穴を見つけた。その穴から流れてくる雰囲気が昔いたあの場所と同じモノを感じて、とても怖くなった。

 

その穴を通ろうとする友だちをボクは必死に止めた、でもそれを振り切ってその友だちは穴の向こうへ行ってしまった。ボクは咄嗟にその後ろをついていった。

 

独りになるのが怖くて、自分と同じ目にあって欲しくなくて、何より――そうなった時に今度はボクが見つけ(助け)られるようになりたかったから。

 

 

 

……ここに来る前に自分が思っていた事を思い出した。でも実際はどうだろう。ニンゲンに怯え、友だちの優しさに甘えようとしたら今度は突き放され、独りになってしまった。

 

それはそうだろう。いつまでも甘えさせてくれることなんてない。ズバモンがボクのその甘えた態度に不満を持っていたのは薄々気づいていたのに。

 

そうして後悔の念を重ねていると近くの茂みでガサゴソと音が鳴りその音にありもしない理想(妄想)を重ねた。

 

「もしかしてズバモンが戻って来てくれたのかな!?」

 

そう思い音の方向へ走り出す、だがそこにいたのは大きな実をつけた自分の体長の何倍もある花の怪物だった。

 

 

 

 

今まで見たこともない生き物に体全体が硬直する。だがその怪物は自分の花から生えた茎のような触手を

ゆっくりとこちらに向けてきた。

 

間違いない。ボクを狙っている。だが頭でそれを理解していても足が恐怖で竦み動くことをしない。

 

恐怖の中動いた腕で近くの石や小枝を目の前の怪物に投げつける。だがそのような抵抗などないようにジワジワとこちらににじり寄る。そのままゆっくりと大きな触手を振り上げる。

 

――――とっさに両腕の盾を目の前に構える。次の瞬間、衝撃が盾越しの両腕に響く。

 

その一撃で後ろへのけぞる。続けて花の怪物は口から液体を吐き出しこちらへの攻撃を続ける。その液体も盾で防ぐ。

 

粘性の高い液が盾に貼りつき液体の重さを感じる。その時、シュワシュワと自分の盾から音が立つの聞いた。

 

そして盾を見てみると盾の表面が溶けており、そこで初めて心の底から命の危機というものを感じた。

 

逃げる。ようやく動き出した足を使って走り出す。だからだろうか、抜けきらない恐怖で足を滑らせ転んでしまったのは。

 

転んだ状態で上を見上げる、そうすると怪物は再び触手を構えた。

 

殺される――――そう思った次の瞬間、目の前の触手がポトリと落ちた。

 

 

 

 

 

「今の……ルドモンの声だ!」

 

悲鳴を聞いた瞬間ズバモンが森の奥へと駆け出していく。その速度は僕のスピードじゃ到底追いつけない速度だった。

 

あの悲鳴がルドモンの物ならば何かあったのは間違いない。僕も早く追いつかなければ。

 

無事であることを祈りながらパラメーターの許す限りの最大速度で僕も走り出した。

 

だがその後ろ姿は距離を重ねれば重ねるほど遠くなり、やがては見えなくなった。

 

そしてたどり着いた場所で見たのはバラバラにされ消滅していくリトルネペントとギラついた目をしたズバモンの姿だった。

 

「ズバモン……大丈夫か?」

 

そう聞くとズバモンはギラついたままの目でこちらに顔を向け、僕だと認識した瞬間さっきまでの子供じみた表情へと戻った。

 

「大丈夫だぞ!タクミって意外と遅いんだな!」

 

「ズバモンが早いんだよ……それよりルドモンは?」

 

「ルドモンはケガしてるみてーだからよ、あっちの方で休ませてるぞ!」

 

そうズバモンが指差した方向にはかなりの大きさの木があり、その根元が軽いほら穴のようになっているのが見えた。

 

「とりあえず無事で良かった……ん?」

 

ふと気がつくと自分たちの周りに漂う異臭の存在に気付いた。その臭いの元をたどるとそこは先ほどリトルネペントが消滅した場所だ。

 

地面をよく見ると一部色が違う。もしかして……

 

「なあ、ズバモンが倒してた花の怪物――リトルネペントには大きな実とかついてなかったか?」

 

「ああ、ついてたぞ!でも切ったら割れちまった!」

 

まずい――ズバモンが倒したのはほぼ間違いなく《実つき》だ。しかもその実を割ってしまったらしい。ガイドブックの通りなら間もなく大量のリトルネペントがこちらに向かってくるはずだ。

 

「ズバモン、ルドモンを連れて今すぐこの場所から離れるぞ。」

 

「んあ?どうしたんだよタクミ!」

 

「いいから早く!」

 

ズバモンはよくわかんないけどわかったぞ!と言ってルドモンの方へ駆け出していった。囲まれる前に逃げきれれば良いが……

 

少したつとズバモンが戻ってきた。ルドモンはその場にはいない。

 

「ルドモンは?」

 

「『ボクはニンゲンと一緒には行きたくない……』だってさ。」

 

ルドモンはやはりこちらを警戒し続けているみたいだ。でも今はそんな事を言っている場合ではない。無理矢理にでも連れていくしか――

 

そう考えルドモンがいるらしい巨大な木の根の方向へ歩こうとしたその時、周辺のあらゆる方向からガサガサと茂みをかき分ける音が聞こえた。

 

時間切れだ。もう逃げ出すことは叶わないだろう。ならばこのまま囲まれてHPが0になるのを待つか?そんなことなどするつもりはない。索敵スキルに映る敵の数は10を超えている。

 

無謀な挑戦だが――やるしかない。そう決まれば戦闘に思考のスイッチを切り替える。

 

「ズバモン、まだ戦えるか?」

 

「オレは大丈夫だぞタクミ!どうしたんだ?」

 

「僕らは今さっきの花の怪物に囲まれてる。だからどうにかして倒さないと……」

 

「そのぐらいなら大丈夫だぞ!」

 

そうニカッと笑うズバモン、それに安心しながら目の前を見据える。正面にいる数だけでも5匹はいる。

 

「ズバモン、背中は任せた!」

 

「おう!任されたぞ!」

 

それを聞き届けながら僕は目の前の敵に向かって足を踏み出す。

 

 

 

 

 

まず正面の奴から片手直剣の基本技、水平斬り《ホリゾンタル》で茎へ一撃。続けて同じく基本技の斜め斬り《スラント》でもう一撃、これで正面の奴は瀕死、隣の個体が溶解液の発射体制に入っているのが見えたので盾を構えて防御する。

 

溶解液を防御したせいか盾にそのまま穴が開く。この盾はもう使えない――そのまま盾を投げ捨て体制を整える。

 

そうしている間にも他の個体がこちらに回り込み、触手を振り下ろそうとしている。それを回避するため正面のリトルネペントに突撃し剣を突き刺す。すでに瀕死だったためかそのまま光の結晶となり消滅したがその奥にもまだリトルネペントが存在している。

 

このままでは囲まれる――!思いっきり後ろに飛び退くが大した距離は稼げない。だが空いた正面にリトルネペントが2体一列に並んだ。

 

これは好機――!相手の側面へ回り込み、最近覚えた新しいソードスキル――片手直剣二連撃技《ホリゾンタル・アーク》を使う。

 

左右への往復斬撃は見事に両方の茎に命中し――光となり爆散した。

 

これで残り1体、ズバモンの方は――!?

 

振り返るとこちらにズバモンが吹き飛んできた。剣をその場に投げ捨て慌ててキャッチする。

 

「ズバモン大丈夫!?」

 

「へへ……すまねぇタクミ、ありがとな。まだ戦えるから大丈夫だぞ。」

 

そういうとズバモンは腕の中から飛び降りボロボロの体で敵に向かって歩き出す。

 

あちらのリトルネペントの数は残り4体――無茶だ。あの体では倒せても1体が限度だ。倒せたとしてもその後に待つのは――

 

嫌な想像を頭から振り払う。だがそれでも一人で行かせるわけにはいかない。

 

「ズバモン!戦うなら一緒にだ!」

 

そういいながら先ほど投げ捨てた剣を拾って――!?

 

足元に目をやるとそこにあったはずの剣は光の結晶となって消滅していた。恐らく先ほど投げ捨てたので残り少ない耐久値が0になったのだろう。

 

敵の目の前で消滅しなかったのがせめてもの救いか。だが代わりの武器など持ってはいない。

 

頭の中に逃げる選択が湧き上がる。だがその選択はルドモン――最悪ズバモンすらも見捨てる選択になる。

 

そんな選択肢はないと同義だ。だが現実問題どうしようもない状況にあった。

 

そんな中気がつくとこちらを向いていたズバモンが何かをつぶやいている。

 

「一緒に……そうだタクミ!オレを使え!」

 

そういうとズバモンはこちらに飛び掛かってきて光に包まれた。

 

「俺を使えって……どういうこと!?」

 

「そういうのは後だぞ!」

 

そして光の中から出てきたのは『剣』の姿をしたズバモンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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