モチベがまた上がったり下がったりしてるので気長に待っていただけたらなと思います。
では失礼しました、本編です。
目の前に現れた金色の剣――持ち手は少し斜めになっており鍔の部分はズバモンその物のような姿をしている。刀身はズバモンの特徴的だった角の部分が変化した物のようだ。
『さあタクミ!オレを使え!』
そう言われるがままに剣を握る。その瞬間、体の中に力が湧き上がる。この力は一体――
不意に自分の内から湧き上がる力に戸惑っていると背後のリトルネペントがこちらへ向かってきた。
『後ろから来てるぜタクミ!』
あわてて振り返り剣となったズバモンを構える。そのまま《ホリゾンタル》を発動して先ほど残したリトルネペントに斬りかかる。
そのまま連続で再び《スラント》を発動しようとした時、背後のリトルネペントはそのまま消滅した。
「一撃!?」
『これがオレたちの力だ!』
明らかに上がっている攻撃力に困惑しながらも次の敵へと思考をシフトしていく。
そして先ほどまでズバモンが相手をしていた残りの4体が一斉にこちらへ向かってくる。そのまま直線上に並んだ。ならこのまま突進技の《レイジスパイク》で一掃する!
腰を落とし目の前を見据える。そして地面を蹴り正面の敵に向かって全力で走り出す!
リトルネペントの茎を剣先が貫く。そのまま切り口から縦に裂け、できた穴をくぐり抜ける。そのまま2体3体と貫いていく。
そして最後の4体目に剣が突き刺さる。そのまま苦しみだし悲鳴を上げて光の結晶となり消滅する。
これで……全部か?
構えを解きながらそんな事を考える。だがその見通しは甘かったようだ。索敵スキルにはまだ多数の反応が存在している。
『まだまだこれからみたいだぜ!』
「ああ、そうだな!」
新しい
◆
ボクは何をしているのだろう。
未だ戦いの音が鳴り止まない外を見ながら、過去の自分と現状の自分を見つめている。
嫌いなはずのニンゲンに守られ、助けたいと思っていた友だちにはまた助けられて、何もできずに怯えたままの自分。
どうしてあのニンゲンはあのような事にまでなっても戦っているのか。盾には穴が開き、剣は砕け、体中がボロボロになっているのに。
ズバモンの事を気にしているのなら手に持ってそのまま逃げればいい。逃げる体力がないのならそもそも戦うことすら出来ないはずなのに。
そうして見つめていると、彼らがこの場所に近づこうとしている怪物を優先的に倒している事に気付いた。
「ボクを……守ってる……?」
どうしてそんな事を。
ズバモンが一緒にいるから?ボクを捕まえてムリヤリ戦わせるため?ううん、多分違う。だとしたらあそこまでボロボロになる必要がない。
そこまで考えてようやく気付いた。あのニンゲン――タクミという人はただ、助けたい、見捨てたくないだけなんだ。
少し考えれば分かることだった。ただ、自分自身が信じようとしなかっただけだった。
頭の中によぎるのはあの日、悪いニンゲンたちからボクを助けてくれたあの人。
あの日から変わるために、前は出来なかった選択を。
信じることから逃げ、払いのけてしまったあの手をもう一度、信じてみよう。
◆
もう何十体倒したのか……20より先は数えていない。どれほどの時間が過ぎたのだろうか。
いくら一撃で倒せると言ってもそれはソードスキルを使えばの話だ。ソードスキルでは発動硬直や使用間隔もあるため連発は出来ない。
通常攻撃では数発当ててやっと倒せる相手、それを何十体も。
肉体的疲労の存在しないこの世界では疲れなど感じるはずもないと思っていたがそれは誤りだった。
果ての見えないギリギリの命のやり取り、それを何十回もやっていれば肉体は疲れずとも精神はそうはいかない。
その証拠に段々と回避の精度が下がっており、直撃はせずともかすり傷を重ねて、視界の端に映るHPバーが4分の1を下回り始めた。
このゲージが尽きたら……見えない汗が頬を伝う。その嫌な想像を頭から振り払おうとズバモンと共に再び前を向く。
「ズバモン、まだいけるか?」
『へっ、ヨユーだぜ!って言いたいところだけどよ……流石にキツくなってきた所だ。』
ズバモンも限界が近づいているようだ……このまま続けるのはこちらの限界の方が早そうだ。
どうにか打開策を練らなければ……無理矢理ルドモンを連れて脱出するか?ダメだ、この体力では2、3発直撃してしまったら終わりだ。
ただ耐えるしかない状況に焦りを覚える。
長い戦闘と緊張感からくる精神の疲労、そして終わりが見えないことによる焦り。致命的なミスを犯すには十分過ぎる条件だった。
『タクミ!後ろだ!』
ズバモンの声で背後へ振り返ったその瞬間、リトルネペントの触手に脇腹が叩きつけられた。
そのまま
まずい――さっきの一撃でHPはもう瀕死だ。次の一撃は耐えられないだろう。
万事休すか……そう諦めかけたその時、後ろから深緑の小さな影が目の前に飛び出してきた。
「ボクが……守る!」
◆
「『ルドモン!?』」
ルドモンが助けてくれた?あそこまで人間を怖がっていたのにいったい何故?
だが何も言わずともすぐさまその回答は返ってきた。
「守られてるだけじゃ、イヤだから。今度こそ信じたいと思ったから!」
ルドモンがそう言った次の瞬間、目の前で触手が振り下ろされる。だが――ルドモンは微動だにせず、触手たちをそのまま弾き返した。
「大丈夫!?」
「ボクが守るから早く逃げて!」
『バカなこと言ってんじゃねぇ!』
そうだ、そんな事は出来ない。だからこそ僕とズバモンはここまで戦ってきたのだ。
だが流石にこれ以上の戦闘は不可能だ……ならばどうするか、やるべきことは一つ、ルドモンを連れてここから撤退する!
倒れた体に力を入れ、その場に立ち上がってポーションを飲む。これで多少のダメージなら耐えられる。
そして恐らく――この直感が当たっていれば。
「ルドモン!ズバモンみたいに盾の姿になれるか!?」
「なれるけど……そしたら二人を守るものがなくなっちゃうよ!」
やはり……
「大丈夫、僕らがスイッチって叫んだら後ろに下がって盾の姿になってくれ!」
「わ、分かった!」
困惑しながらも返事が来たのを確認して意識を目の前に集中する。
「やるぞ、ズバモン!」
『ああ!』
「『スイッチ!』」
ルドモンが後ろへ下がり、目の前で先ほどまでルドモンを囲っていた数体のリトルネペントと対峙する。
剣を構え、静かに
眼前の植物たちは光の結晶となり、砕け、消滅した。
直近の危機は去ったことを確認し、後ろへ振り向くとそこにはズバモンの時と同じく、光の中に浮かび上がる
そのまま
『盾になったけど……ここからどうするの?』
「ここから少し離れた場所にホルンカって村があるからそこに向かう。そこなら安全だから。」
『うん、分かった。』
『まっ、ショーガネーな。流石にもうキツいぜ。』
二人にも了解が取れたので、すぐさま敵に気づかれないように細心の注意を払いながらホルンカへの帰路を走り出す。
◆
腕に揺られ、風を感じながらひっそりと思う。
多分、ボクに盾になってって頼んだのだって一緒に逃げるためだったのかな?
だって、ボクが逃げてって言っても逃げる素振りすらなかったから。
あそこまでボロボロになっても、守ってくれた。
あの時から、信じてもいいのかな、って気持ちから、信じたいって思えたんだ。
色々言いたいけど……最初に言いたい気持ちはこれかな。
『助けてくれて……ありがとう。』
そうつぶやき、腕の中でゆっくりと意識を閉ざした。