あれから何とか敵に遭遇することなくホルンカへたどり着けた僕らは、最初に《森の秘薬》クエストを完了させに行き、《アニールブレード》を無事に入手した。
その後、ルドモンからの話も聞こうと思ったのだが、ぐっすりと眠っていたのでズバモンと僕もその日はもう宿屋で休むことにした。
翌日、目が覚めると視界の端に《Zubamon》《Ludomon》の文字とその下にHPバーが表示されていた。
昨日の寝る前にはこんなものなかったはず……?と頭を捻らせていると、先に起きていたズバモン達に呼び出され下の階に向かう。
そして下の階に行くと何か緊張している様子でこちらを見つめているルドモンがいた。じっと待っているとズバモンに「早く言えよ!」と急かされていた。
そして軽く一呼吸置いたのち、ゆっくりと口を開いた。
「ボクも……タクミについて行っていい?」
驚いた。ルドモンは人間に対してトラウマがあるだろうにこうしてこちらについて行きたいと言ってくれたのだ。
きょとんとなりながらもこちらもすぐさま返事をする。
「いいよ、っていうかホントはこっちから誘うつもりだったから。」
少し驚いた表情を見せた後、ありがとう、と返ってきた。
その後ルドモンとズバモンが持っていた食料を一緒に食べ、様々なことを話した。昨日のこと、この
その中で色々分かったことがある。
まず、今朝から視界の端に映っていた《Zubamon》《Ludomon》の2つの文字とその下のHPバー。
これらはパーティーメンバー…並びにテイムしたモンスターの名前とそのHPということらしい。
さらに、彼らは《Legend-Arms》と呼ばれるデジモン……簡単に言えば自分たちを武具として変形させられるデジモンのようだ。
その話を聞き、改めて武具状態の二人を装備してみると自分のステータスが急上昇していた。詳しく調べてみると、SAO内に存在する装備品には《ステータス補正》が存在する物があり、ズバモンとルドモンの場合は二人のステータスがそのまま補正値になっているようだ。
先日は存在しなかったはずのHPバー、反則のようなステータス。
これらは恐らく本来存在しないはずの
この後モンスターを倒した際にも、ズバモン達にしっかりと経験値が割り振られていた。
それらの事からどうやったのかは分からないがゲーム側がこちらを認識して、その上で動いているのは間違いなさそうだ。
それを踏まえてここからどう行動するかだが……
「迷宮区に行こう」
「「迷宮区?」」
あそこに黒い塔があるだろ?と遠くに見える天まで伸びる黒い柱のような塔に指差す。
《迷宮区》……それはこのSAOで第百層以外の全ての層にある次の階層へ進むためのダンジョンである。この第一層なら近くに《トールバーナ》という街があるため探索の拠点もある。
「ああ、多分僕らはこれからもっと強くなって……前に進んでいかなきゃいけない。そのためにも必要なことだ」
そう、彼らを元の世界へ帰すのも、この世界から抜け出すのも前に進むしかない。
仮にここでただじっとしていてもいつかはこの世界をクリアする人間が出てくるだろう。
だが、それが何時になるのかは分からない。
もしかしたら進んでいる内に
ならば進もう、少しでも。
そして何より――この世界から出るためには避けては通れない道だからだ。
そういうと二人は「「分かった!」ぞ!」と屈託のない笑顔で答えてくれた。
◆
それから《迷宮区》を目指して動き始め、そこから3週間……この
現時点での死者――二千人。
ついに、第一層のフロアボス攻略会議が始まろうとしていた。