デジタルアート・オンライン   作:さるモンキー

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気分が乗った時だけちまちま書いてたり書いてなかったりしてたら
1年以上経ってました。スミマセンm(__)m

そんな感じですが今回もよろしくお願いします。


拓かれる未来、進化する力

ボス攻略会議から数日後にはボスの存在する部屋が発見され、さらにその翌日にはボス――《イルファング・ザ・コボルドロード》討伐が実行されようとしていた。

 

僕ら攻略メンバーはボス部屋の前で最後の作戦会議をしていた。

 

「俺たちの仕事は《ルインコボルド・センチネル》の足止めと討伐、それと危なくなったらすぐ下がる。いいな」

 

「了解よ」

 

「分かった」

 

キリトから作戦の確認も終わり他のパーティーも話し合いが終わって静かになってきたのを見計らい、ディアベルが号令をかける。

 

「皆……俺から言えることは一つ、勝とうぜ!」

 

響き渡る歓声、その中でディアベルがボス部屋への大扉を開く。

 

「――行くぞ!」

 

そうして、《SAO》初のフロアボス討伐作戦が始まった。

 

 

 

 

ディアベル達に中央の《イルファング・ザ・コボルドロード》の相手を任せて、僕らは取り巻きの処理を担当していた。

 

その中でキリトとアスナと交代しながら《ルインコボルド・センチネル》と戦っていたのだが、その戦いぶりに非常に驚いた。

 

彼らの動きは見る限りかなりの上級者に見える。キリトは相手の行動を読み最小の動きと的確な攻撃による確かな立ち回り。

 

アスナは何よりもその速度だろう。その速さから繰り出される細剣(レイピア)の突きは残像すら辛うじてでしか見えない。

 

だが、何より洗練されているのは二人の連携だろう。互いが互いの隙を埋めるように下がり、前に出ている。

 

『オレたちも負けてられねーな!』

 

「うん、そうだね!……それはいいんだけど人前じゃあんま喋らないでね?」

 

分かったぞ!と元気よく答えるズバモン、ホントに分かってるのか?

 

そんな中センチネルの突撃がこちらへ向かい、それをキリトが弾き返す。その直前のタイミングでキリトがこちらへ声を出す。

 

「タクミ!スイッチいくぞ!」

 

「ああ、了解!」

 

キリトが敵の攻撃を弾き返したのに合わせて前に出る。それによってセンチネルが体制を崩してがら空きの喉へソードスキルを叩きつける。

 

しっかりと喉元に命中し、そのまま首を刎ね飛ばした瞬間、センチネルの胴体と頭は青い結晶となって砕けた。

 

よし、実力が完全に置いてけぼりな訳ではない。このまま二人のペースについていこう!

 

 

 

 

 

 

おかしい。明らかに火力が異常だ。

 

つい数日前に知り合ったばかりの赤髮の青年……タクミ。彼は普通の人だ。実力(プレイヤースキル)自体はビギナーであると考えればかなり上位の方になってくるだろう。(隣で細剣を振るっている女剣士はさておくとして)

 

だが、それはまだいい。おかしいのは彼の攻撃力だ。まず最初にスイッチした際に彼が一撃を加えたセンチネル。

 

あのHPバーの残り具合からしてまだ数発はソードスキルを当てなければいけないレベルの残量だったはずだ。

 

けれども実際はそのまま一撃で消滅した。

 

その後もアスナや俺の一撃とは明らかに相手のHPを削る量が多い。

 

初対面の時から気になってはいたが……彼の持っている金色の剣と深緑の丸盾、あれはベータテスト時代にも見たことがない装備だ。

 

ベータ時代に発見されていない隠しイベントによるものなのか……もしくは正式版になって追加された要素なのか……あるいは他の――

 

「キリト君!」

 

《イルファング・ザ・コボルドロード》のHPがついに最後の1本に突入し、大きな雄叫びを上げる。

 

それと同時に追加の《ルインコボルド・センチネル》が再出現(リポップ)し、そちらへ意識を向けようとした。

 

だが、妙な悪寒が体を這い回り、中央の方へ目を向けるとディアベルが正面から突撃していた。

 

おかしい……ここは集団で囲んで戦うのがセオリーのはずだ。

 

そうして突撃していくディアベルと一瞬、目が合った。その瞬間、理解した。

 

彼――ディアベルはボスのLA(ラストアタック)ボーナスを狙っている。

 

そして、LAボーナスの存在を知っているという事はつまりベータテスターであることを同時に指し示していた。

 

だが、それ自体は別に構わない。俺だってベータ時代には同じような事をしていた。

 

だがさっきの悪寒は……違う。身体を這い回り背中から刺してきそうな程の嫌なあの感触。

 

まるで……このままだと最悪の事態を迎えるとも告げてそうな予感。

 

再びボスの方に目を向けると、持っている武器に違和感を覚えた。

 

あれはベータテスト時代に見覚えがある、しかしこの第一層ではなかったはずだ。

 

一瞬の思考の後、結論が出た。あれは――かつての第十層で散々戦った強敵たちが持っていた《野太刀》だ。

 

先ほどの悪寒の正体が掴めた。まずい、このままだと――

 

「だめだ!下がれ!全力で後ろに跳べ――――ッ!!」

 

その声は、響く雄叫びと直後に発動したソードスキルのサウンドエフェクトに阻まれ、届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

ウガァアアァアアアアアッ!

 

《イルファング・ザ・コボルドロード》の雄叫び。それと共にディアベルが前に出ているのが視界の端に映りこんだ。

 

このままボスに止めを刺そうとしているのだろう。

 

「……だ!下が……ろに……――ッ!」

 

だが、キリトの声と思わしき叫び声がうっすらと後ろから聞こえてきた。

 

一体何を叫んでいるのか。その答えはすぐに分かってしまうこととなった。

 

キリトの声の一瞬の後、コボルドロードの持っている大太刀が光り輝き、大きく飛び上がった。

 

そのまま天井を蹴って縦横無尽に跳ね回り、一瞬貯めた後、地面へ飛び掛かり、ディアベルへそのまま斬りかかろうとしている。

 

まずい――!

 

「二人共、ここは頼んだ!」

 

「待て、タクミ!」

 

目の前のセンチネルはキリト達へ任せ、急いでディアベルの元へ走る。

 

斬りつけられたディアベルが後方へ吹き飛んだ。そこに更なる追撃を加えようと突撃するコボルドロード。

 

「ルドモン!」

 

『わかった!』

 

左手の丸盾――ルドモンをディアベルとコボルドロードの間に投げる。

 

途中、ルドモンが光に包まれ盾の形態から変化を遂げる。その勢いのまま振り押された太刀に対して両手の盾で受け止める。

 

「ごめん、ちょっとだけ持ちこたえて!」

 

ジリジリと火花のエフェクトを散らしながら野太刀を防ぎながら、コクンと小さくこちらへ頷いた。

 

その間に倒れているディアベルを起こし、後方の部隊へ下がらせる。

 

「ディアベルさんを頼みます。僕たちがボスの気を引きますから」

 

「……君は、広場での……それに……今戦っている、あの小さなモンスターは?」

 

「とりあえず、今は下がって回復してください。後で話します」

 

ディアベルを後ろの部隊へ預け、急いでボスの方へ駆ける。

 

よし―――奴はルドモンの方を向いている、これなら――――!!

 

『ヘヘッ、コッチだぜ赤オニモドキ!!』

 

背後からコボルドロードの足へ一撃、返す刃でもう一撃。

 

コボルドロードが雄叫びを上げ、握った刀を振り回し、勢いよくこちらへ振り向く。

 

「ルドモンは一旦下がって体制を立て直して!」

 

コボルトロードと向き合いながらルドモンへ指示を飛ばす。

 

コクンと頷き、ディアベルたちのいる所まで下がっていくルドモンを軽く目で追った後、改めて正面へ意識を向ける。

 

目の前の太刀が光り、ソードスキルの構えに入った。

 

相手フロアボスのソードスキル。僕よりレベルが上であろうディアベルでさえ一撃食らってあの体力だった……

 

直撃すれば恐らく―――(ゲームオーバー)だ。

 

ならば避けるか?ダメだ、初めて見る攻撃を回避出来るほど反応速度は速くない。

 

それなら……!

 

「ズバモン!何とかして奴の攻撃を受け切るぞ!!」

 

『いいぜ、タクミ!』

 

互いの意志の確認と同時に相手の連撃が始まった。

 

初撃は縦の一撃、向かって来る相手の刃にズバモンの刃を垂直に合わせる。

 

そして刃を当てたまま斜めに力を加え、無理矢理方向を逸らす!

 

体を半身逸らし、縦振りを薄皮一枚の差で躱す。

 

まだ刀身は光っている。つまりまだ、二撃目がある!

 

振り下ろされた刃がそのまま横へ構えられる。

 

こちらも上方へ構えたままのズバモンを振り下ろす。

 

そして横薙ぎの刀身へ合わせて叩きつける!

 

一撃が……重い!!

 

一瞬、刃と刃がぶつかりジリジリと音を鳴らしたが、ズバモンが弾き飛ばされてしまった。

「ズバモンッ……!」

 

胴体にそのまま太刀が叩きつけられる。痛みは無いが腹に鈍い衝撃が来て横へと大きく吹き飛とばされた。

 

運が良い事に直前で相手のソードスキルがキャンセル扱いになったらしく左上の体力はまだ少し残っている。だが足が動かない。

 

弾き飛ばされたズバモンは手の届く位置には居ない。

 

ソードスキルの硬直を終え、目の前にコボルトロードが迫ってくる。

 

やられる―――!

 

目前に近寄ってくる死。その恐怖につい眼を閉じてしまう。

 

だが、その瞬間はいつまで経っても訪れることはなかった。

 

眼を開くとそこには蒼き鎧に包まれ、両腕には六角形の盾を構えた騎士のような姿の二足歩行の獣がいた。

 

「大丈夫、タクミ」

 

後ろを振り返り目の前の獣騎士はそう言葉を発した。そして、続けて話す。

 

「ボクが、守る」

 

そう言うと正面を向き直し、大きく振り下ろされる太刀に対して両腕の盾を使い防御した。

 

そして―――振り下ろされた太刀ごとコボルドロードを仰向けに押し返した。

 

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