グビ姉vsビールバカ、霊峰富士の聖杯大決戦! 作:三流FLASH職人
いやなんか夏の疲れが出てるのか、夜は気付いたらスヤァしてる・・・
「白樺湖、到着ー!」
「うっひー寒かばい、さすが長野やねー!」
千明、なでしこ、あおいの各車に分乗した一行が白樺湖に到着する。さすがに標高の高い
この地にはチェーン無しでは来られないため、しずくの保冷車は富士川のキャンプ場に置かせて
もらっている。
さぁ、いよいよ旅行の締めのイベント、南国の釣りクラブていぼう部OGの憧れ、
氷上ワカサギ釣りの開始である。既に湖面には何組もの釣り人がテントの際で、または中で
小さな釣り竿を垂らしている。
「そんじゃ、またチーム分けして釣る?」
「「いーねー。」」
かつて芦方で釣ったペア同士が組になり釣果を競うチーム戦方式で釣る事になった。前回陽渚は
千明とリンとの3人体制だったが、今回リンはしずくとのコンビとなった。
受付でお金を支払い、レンタルの釣り具とエサを買って各人に配る。追加料金を払えば
レクチャーも受けられるのだが、さすがにそこまで拘る必要も無いだろう、釣りは釣れなくても
楽しむものなのだから。
「さーて、どこにする?」
「やっぱポイント探しは重要だし・・・釣れてる人を参考にするのも手かも。」
陽渚の提案に従い、各釣り人の釣果を遠目にチェックする千明。基本ワカサギ釣りは釣ったら
すぐにでも天ぷらや焼き魚にして食べるので、遠目にも釣れてる人は分かる。その人たちの
直線上なら魚の通り道になっている可能性はあるだろう。やがてそのライン上にある一組の
老人のコンビの近くに狙いを定めて移動する。
「すみませーん、この近くで釣らせてもらっていいでしょうか?」
声掛けする陽渚に、二人の老人が顔を上げて笑顔で答える。
「構わないよ。」
「あー、よかとよー。」
・・・
彼らと目を合わせた千明と陽渚が思わず固まる。老人たちも、ん?と目をぱちくりさせた後、
知っている若い女性達を認識して驚きの表情。
「赤井店長!?どーしてここに??」
「陽渚ちゃんじゃなかとかー!こんなトコまで来とんやねぇ。」
「リンのお爺さ・・・新城さんじゃないッスかー!なんつー偶然ヅラ!」
「おお、大垣君か。久しぶりだねぇ。」
なんと芦方にいるはずのたこひげや店長赤井繁松と、リンのお爺さん新城肇のコンビが
居並んで釣りを楽しんでいたのだ。肇はふっ、と笑って竿を置き、火にかけている油鍋の中から
箸でほどよく揚がったワカサギをつまんで千明に差し出す。
「ワカサギ・・・食うかい?」
「懐かしいフレーズっすねぇ・・・いいん、ですか?」
その声を聞きつけてまずリンが、遅れて全員がわらわらと彼らのもとに集まって来る。
「お爺ちゃん、今年はここに来てたんだ。」
「ああ、ワカサギ釣りのツアーに参加してね。」
彼ら曰く、繁松と肇は縁あってから度々連絡を取り合い、年に2~3度のペースでお互い会いに
行ったり、一緒に旅行を楽しんだりしているそうだ。かつて亀ヶ浜キャンプ場で出会い、野クルと
ていぼう部の縁を結んだ二人の老人は
「店長~こんな所まで来て釣りッスか、好きだなぁ。」
「がっはっは、まだまだ現役は譲れんたい!」
夏美の言葉に朗らかに笑う繁松。現ていぼう部顧問の夏海にとって繁松は相変わらずお馴染みの
釣具店店主だ。せっかくだからとワカサギ釣りのコツを少し聞いてみた。
「とにかくちっこい魚やけんねぇ、アタリは繊細なんでゆっくり合わせるのがコツたい。」
「シロギスやアジゴのさらに小さい版ですよねぇ、アゴも弱いし気を使いそう。」
「水温も低いから食いも悪そうですけど、大丈夫なのかな?」
元ていぼう部のいかにもな釣り人の意見に、山梨勢はさすがと感心しきりだ。彼女らには未経験の
釣りとは言え、さすが餅は餅屋だなぁ、と。
「で、エサはコレね。動きと体液の臭いで魚を誘うから死んでしまうと食わないよ。」
「ひええぇぇぇぇぇぇぇ!」
しずくが手にしたアカムシを見て陽渚がものすごい勢いで後ずさり、氷で足を滑らせて
尻もちをつき、そのまま氷上を滑っていく・・・餅は餅屋の前言撤回。
各自がポイントを決めて氷上ドリルで釣るための穴をあけ、虫エサを刺して湖面に投入
していく。ちなみに健吾と冬美のペアは釣りをほったらかして氷上遊びに夢中だ。もっとも
南国育ちの健吾はしょっちゅう転んで、冬美に助け起こして貰っていたのだが。
それを苦笑いしながら見る美波とさやかが揚げ物と焼き物の用意をして皆の獲物を待つ。
「ほい釣れた。」
最初に釣ったのは恵那だ。しかも針を外して再投入したすぐに2匹目をゲットする。
隣で釣っている黒岩が「さすが器用たいねー。」と感心している。まぁ黒岩の釣果が芳しく
ないのは寒さのあまり釣りに集中できていないのもあるが。
大野は真剣そのものの目で竿先を凝視している。念願のワカサギ釣り、しかもなでしこちゃんに
無理を言って氷上釣りに来たのだからなんとしても釣果を上げなければ!
そんなガチの彼女になでしこは「真ちゃん、リラックスリラックス」とたしなめる。同い年で
高いフィジカルを持つ両者だが、こと釣りに関しての楽しみ方は案外真逆だったりする。
だからこそいいコンビではあるのだが。
「アタってるよ志摩さん。」
「え・・・マジで?」
しずくのアドバイスを受けてリンが小さな竿をがしっ、と握る。繊細なワカサギのアタリは
竿先のわずかなしなりで判断するしかない、何度かの小さなシャクリの果てに乗った魚を
引き上げ、よし!とガッツポーズを見せるリン。しずくはお見事!と小さく拍手、元々
釣り船屋で働いていた彼女は自分で釣るより、同伴者が釣果を上げる方が何か幸せな気分になれる。
「よし、じゃあ次はあっちだ!」
「またー?もうここでええやん、釣れんでも。」
夏美はここでも
ポイントを変えまくっていく・・・そのうち怒られるでコレ。
で、一番苦戦しているのが陽渚だ。とにかく虫エサが付けられないんじゃ話にならない、
変顔涙目でエサに手を伸ばしては引っ込める陽渚を見て千明はメガネをくいと上げ、その様を
スマホのカメラに収めていく、頑張れ鶴木嬢!
「って写真撮ってないで、大垣さんも釣ってよ~。」
「釣ってるぞ~、ほい3匹目。」
スマホ片手に難なくワカサギを釣り上げる千明。この釣りに相性がいいのかはたまた
ビギナーズラックか、いいペースでワカサギをゲットしていく。
2時間の氷上バトルを経て、結果発表。
「一位、お子様コンビー!」
「おっしゃぁ!」
「やったねケンちゃん。」
なんと一位は健吾&冬美コンビだ。氷遊びに飽きて釣りを始めた途端アタリまくり!ポイントも
良かったのだろうが、子供の小さな手にはワカサギの繊細なアタリを敏感にキャッチできたのかも
知れない。
以下、黒岩&恵那組、しずく&リン組、大垣&陽渚組(陽渚はボウズ)、大野&なでしこ組、
最下位に夏海&あおいチームと相成った。なんとお子様チームを除けば10年前とほぼ真逆の
結果となった。
で、その後は繁松と肇も交えてのワカサギパーティとなった。大きさ別に揚げ物と串焼きに
調理して皆で舌鼓を打つ。寒さで冷えた体にアツアツのワカサギが口に幸せな熱と味を
与えてくれる・・・ワカサギ釣り最高!
量的にはささやかなものだが、なにぶん朝食が
入らない。なのでワカサギの小さな魚体でも満足する事が出来た・・・なでしこを除いてだが。
食事を終え、後片付けをして車を荷物に積み込む。それは、この楽しい旅の終わりを告げる時。
「では、キャンプ場に戻りましょう。」
美波の言葉で各々が車に乗り込む、横目で「彼女」を見て、意識しながら。
健吾の腕にぎゅっ!としがみ付いて、泣きそうな表情の大町冬美の姿をチラ見して、全員が同じ
感想を心で漏らす
(やっぱり・・・こうなるよなぁ。)
ワカサギ釣りは作者も無知なので色々調べながらの話でした。修正すべき
矛盾などありましたらお願いします。
(意訳、感想ちょーだいw)