グビ姉vsビールバカ、霊峰富士の聖杯大決戦! 作:三流FLASH職人
・・・いや、「下手の横好き」が発動しましてw
「お!志摩さん早いねぇ、おはよー。」
「おはようございます刈谷さん、あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。」
「はい、おめでとさん。」
1月4日、名古屋のしゃちほこ出版も本日から新年の業務がスタートだ。とはいえ元旦から
取材に走っていたリンにとって、今日が仕事始めの認識はあまりない。早朝から記事を
まとめていた彼女に勤勉さに感心しつつ、先輩の刈谷は席に着きながらふぅ、と一息つく。
「そういやキャンプ場の取材、あの木村氏と一緒だったんだって?」
「ええ、とても勉強になりました・・・ってもう写真来てるし!」
パソコンを操作しながら返事したリンがメールボックスを開くと、いきなりビバークの
木村氏から大き目の添付ファイルの付いたメールが送られていた。
早速解凍ソフトでファイルを開けると、まぁあるわあるわ大量の写真が・・・年末年始に
取材に行った松ぼっくりキャンプ場の数々の情景からフォトコンテストの各人、そして
うまそうなキャンプ飯の大量の画像に思わず見入る二人。
しかし流石と言えばさすが木村氏だ。その構図の取り方もそうだが、逆光をうまく使っての
シルエットを強調したものもあれば、フラッシュや光量をうまく調整して表情をうまく浮かばせた
一枚もある、その鮮明さがよりそのイベントの楽しさを浮かび上がらせていた。
「ほぉ~、楽しそうだねぇ、俺も一度行ってみようかな。」
「いいと思います、というか会社の慰安旅行でどうですか?楽しいですよ。」
リンの返しにそりゃいいね、と笑う刈谷。彼を含むリン以外の社員はあまりアウトドアに
明るいわけでは無い、ならば彼女を幹事にしてのキャンプ旅行などやってみたら面白そうだ。
写真を吟味するリンは、その何枚かに赤いチェックマークが入っている写真を見つける。
何だろうとメールの本文を確認すると、案の定木村氏の注釈が入っていた。
『赤チェック入れている画像は
なるほど、この企画はビバークとしゃちほこさんぽの同時企画だ。そこに載っている写真が
同じものばかりでは面白味が無い。なのでなるべく違う写真を使った方が良いのでは?という
木村氏の気遣いなのだろう。
「さすが一流のライターだな、こちらに先に手の内を明かすとは余裕じゃないか。」
リンの後ろで覗きながら刈谷がそうこぼす。その言葉の裏にある意図は、今までの彼女には
通じなかったのだが・・・今日の、いや今年の彼女は違っていた。
「じゃあこちらは違う方法から攻めてみます!」
午前10時から始まった新年仕事始めの会議。一通りのあいさつやお土産の交換が終わった
和やかな会議室にて、リンは資料を机に置いて編集長に提案する。
「このダイヤモンド富士の記事、こちらはとことんぶっ飛んだ方向で行きたいです!」
その言葉に全員がざわっ、とした感情を覚える。
提案とは思えないその言葉面と、なにより今までの彼女には無かった気迫めいたその表情に。
「ビバークさんがどういう記事を書くかは、使用する写真を見ればだいたい予想がつきます。
ならこちらは全く違う方向性で攻めてみたいんです。」
リンは覚醒していた、というのは大袈裟なのだが、確かにこの年末年始に経験した雑誌記者との
邂逅、黒岩悠希の自由な発想と木村氏の大らかなスタイルに触れ、明らかな意識改革があった。
良い子ちゃんで記事を書いても面白い物にはならない、だったらもっともっと自分を出して
記事を、雑誌をわたし色に染めていくつもりでやってみたい!と。
むろん迷いもある。地域ローカル雑誌ならいくらかは優等生的な記事が求められるものだ。
そこにライターの個性をぶち込むのはかなりのギャンブルといえる、うまくハマればいいが
失敗すればただでさえ数少ない読者にそっぽを向かれる可能性すらあるのだ。
しばしの沈黙の後、まず編集長が、そして会議室の全員が思わず笑いだす。
「え、え?ええーっ!なんで笑われるの??」
「いやー、志摩さんが取材に行っている時に一度会議したんだけど、その時に全く同じ話が出てね。」
「どうも志摩さんの記事は個性がないな、って話してたんだよ。」
編集長に続いて刈谷がニヤニヤしながらそう答える。彼らが思っていたライター、志摩リンへの
期待が、年が明けた途端に実現したんだからそりゃ笑うしかないだろう。
「やってみたまえ、いい記事を期待しているよ!」
◇ ◇ ◇
1月15日、
テーブルに集まって、紙袋に包まれたふたつの雑誌に注目している。
「んじゃ開けるぞ~、まずはビバークさんからたい。」
あの山梨、高下町のキャンプ場の特集が組まれたビバークとしゃちほこさんぽの最新号。実は
どちらも発売日はまだ少し先なのだが、みんなが集まれるこの日に合わせて黒岩が雑誌のコネを
利用して先行入手していたのだ。
各々が工夫を凝らしたフォトコンテストや、山梨の友人たちとの10年ぶりの邂逅がどんな記事に
なっているのと興味は尽きない、皆かぶりつくように封を切られ取り出される雑誌に注目・・・
「「ぶーーーーっ!!!」」
全員が一斉に噴き出す。なんと彼女らの恩師である
豪快にジョッキをあおっている姿がデカデカと表紙を飾っているのだから。
「なんでさやかちゃんがー!?」
「なんかもう・・・ラブ・ビールって言葉がピッタリだなー。」
「でもすごくいい絵です、コマーシャルとかに使えそう。」
呆れる陽渚と夏海に続いて、大野が絵面の良さに感じ入る。確かにビール好きの酔っ払い先生の
印象を別にすればいい絵ではある、雄大な富士山と輝く朝日に負けない図々しい存在感が、
ある意味見事な一体感を醸し出している。
ちなみにしずくは腹を抱えてコロコロと笑い、さやか本人は腕組みして胸を張り「当然でしょ!」
と鼻息を荒げてのドヤ顔・・・ああこれはまた今夜は爆飲みだなぁ。
特集ページはセンターカラーだった。元々アウトドア用品の広告が多いこの雑誌に在っては
事実上トップページと言って良い。
「さーて、フォトコンの結果は・・・やっぱさやかちゃんか。」
一番上の賞はダイヤモンド富士にあやかってダイヤモンド賞と名付けられている。
以下金賞一枚、銀賞と銅賞が2枚づつ掲載されていた。
「
「お!健吾と冬美ちゃんも銀賞じゃない。んっふっふ~、これは報告が楽しみね。」
「って、ひえぇぇ、わたしちょっと変顔になってる~」
陽渚が自分の写真を見てちょっと困惑している、いかんせんアップで映り過ぎたせいかちょっと
微妙な表情の崩れが見られる。
「にゃっはっは、陽渚は相変わらず写真写り悪いな~。」
笑う夏海に「でも銀賞だもーん」と開き直って返す陽渚。まぁこの一枚はカクテルの逆さ富士に
アングルを合わせた故の評価も大きいだろうが。
「大垣さんと犬山さんもいい絵です・・・。」
「あおいちゃん綺麗だからな~、あれでまだ独身って不思議だよ。」
「大垣さん寒さでめっちゃ震えてたよねー、バーテン服のままで撮ってたから無理もないけど。」
写真を吟味した後、キャンプの記事に目を通す一同。そこに書かれていたのは、かつて
アウトドアの部活をしていた女子達の10年ぶりの邂逅、自分たちでキャンプ場を作りあげた
野クルと、この日の為に大量の振る舞い海産物を自ら釣り上げて持ち込んだ遠い南国の
ていぼう部のOG達の物語。
「なんか、こう・・・照れるね。」
「あたしは慣れとるけどね~。」
「よし、これで来年のていぼう部、新入部員殺到間違いなし!」
「ウチの漁業組合の名前も出てる・・・景気が良くなるといいねー・・・って、真ちゃん?」
最後に感想を述べたしずくが、後ろで顔を押さえて赤面している大野の態度に不思議がる。
雑誌に目を戻すと、ページ半分を使って大野の写真と、彼女が語った「海なし県と
海洋汚染の関係」の記事が丸々載っていた・・・まさかここまで大きく取り上げられるとは。
「んじゃビバーク撤収~、発売日までネタバレ厳禁たい。」
そう言って雑誌を袋に戻す黒岩。今時のネット社会ではこういう発売前の記事を垂れ流す困った
輩もいるのだ。あくまで今日は身内で見せるだけである。
「じゃあ次は志摩さんの雑誌だね、しゃちほこさんぽ、だっけ?」
「うむ、こっちも楽しみたい。あたしや大野、ゆら先輩の画像あっとかな~?」
そう言いつつもう一冊の封を開け、雑誌を取り出す黒岩。そこにあったのは・・・
さすがに間が開きすぎたので、一話の話を二話に分けました。
ビバーク写真アンケート
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下手な絵見せんじゃねー(作者号泣)
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やっぱさやかちゃんでしょ
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グビ姉に一票
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お子様は優遇されるべき(仮装大賞並感
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逆さ富士と変顔の陽渚
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あきちゃん可愛いよ(作者の本音)
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たわわエキスあおいちゃん