グビ姉vsビールバカ、霊峰富士の聖杯大決戦!   作:三流FLASH職人

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またまた遅くなりましたー。
フォトコンにしたせいで画像が無いと寂しすぎるんですよ・・・地の文で写真の説明を
延々やるのもあれですしねぇ。


第20話 しゃちほこさんぽ1月号

「ぐふっ、ぐふふふふふふ・・・」

 東京。雑誌”ビバーク”編集部で雑誌を読みながら不気味な笑いをこぼしているのは

人気アウトドアライターの木村氏だ。手にしているのは名古屋から送られてきた発売前の雑誌

”しゃちほこさんぽ”の最新号。

「お!例の山梨の記事、あちらさんも出来たのか。どんな塩梅だい?」

 編集者の高尾が興味津々で食いついてくる、木村とは長い付き合いなので彼がこういう

笑い方をする時はご満悦なのをよく分かっている。

 が、木村は高尾に明白に答えを返すでもなく、天井を見上げてひとり呟く。

「・・・いやぁ、化けましたなぁ、志摩さん。」

 

 

      ◇           ◇           ◇    

 

 

 芦方町、喫茶店ほだか店内。ビバーク最新号の閲覧を終え、次にしゃちほこさんぽの新年号を

取り出したていぼう部OGは、その攻めた表紙に思わず「おー!」と息を漏らす。

 

【挿絵表示】

 

 何と表紙を飾っているのは松ぼっくりのアップだ。ダイヤモンド富士にかざされたそれは

朝日に、富士山に、そして読者に\アケマシテオメデトウ/と新年の挨拶をしていた。

「なんか和むねー。」

「松ぼっくりが喋っているのがいいよなー、あたしも昔フナムシが喋ってるの想像したし。」

夏海の想像に思わずひぃっと身を縮める陽渚、というかそんなこと考えてたの・・・付けエサに

してたクセに。

 

 山梨高下キャンプのページを開くが、どこにもフォトコンテストの文字が無い。代わりに

誌面頭にあったのは”しまりんのアウトドアレポート”という表題だ。どうやらコンテストの

ほうはビバークに丸投げして独自の企画を打ち出してきたようだ。

「しまりん・・・志摩さん本名で勝負してます。」

「ほーう、思い切ったたいねぇ。」

黒岩がリンのまさかの”自分出し”に感心しつつページをめくり、先にある記事を眺めて・・・。

 

「あははははは!あたしジンジャー君で載ってる!」

「ゆらさんヘビ酒アップ・・・写真でもコワイ。」

 記事は年末年始のキャンプ進行をリポートしながら写真を挟む体を取っている。で、その

肝心の写真だが、明らかにウケを狙ったものが多数あった。夏海のカツラをかぶった

ジンジャー君や、ゆらさんがとっ捕まえたヘビ酒などインパクトのある絵面が並ぶ。そして・・・

 

「ほぼ全部の画像に志摩さんのツッコミ入ってます・・・」

 大野がクスリと笑って言う通り、画像の隅にはSNSチャットのような志摩さんのアイコンで

写真に注釈やコメントが語られていた。黒岩+斉藤さんはすっかり妖怪扱いだし、犬山あかりちゃんの

マティーニにうへぇする一枚は某アニメ会社のアングルを揶揄されていて、土岐綾乃さんは

人型シュラフで撮影したのをいいことに富士山登山者のごとく画像合成されて掲載されていた。

「お!赤井店長と志摩さんのお爺さんのツーショットまで。ワカサギ美味かったなー。」

 

【挿絵表示】

 

「でも、これ大丈夫なのかな・・・。」

 陽渚が心配そうにそうこぼす。彼女の写真こそ無いがこの記事自体が志摩さん劇場というか

完全に彼女の日記帳と化している気さえする。よく言えば個性的だが、悪く言うと雑誌の

私物化とも取られかねない記事だ。

 

 その陽渚の言葉に、黒岩はふふん!と鼻息を鳴らして返す。

「心配いらんて、そもそも問題なら校正の段階でひっかかっとるはずやっけんね。」

 その返答にそれもそうか、と納得する一同。そこに黒岩はもう一言お褒めの言葉を付け足す。

「志摩さんも”記事を書く”から”誌面を作る”にランクアップしたみたいやね。」

 

 そんな意見に一同は”さすがプロ”と感心する。まぁ黒岩は自分好みの記事しか書けない

ライターだけに、優等生的な記事が求められる大手にはあまり縁が無かった。その代わり

個性的な切り口から記事にして行って、見る人が見たら「あ、コレ書いてるの黒岩さんだ」

と分かってしまう程、雑誌を自分色に染める傾向があった。

 今まではやや優等生的な記事を書いていた志摩さんも、この記事はいかにも彼女らしい

感性とエッセンスが注がれた個性的な記事になっている、チャット風のツッコミがいかにも

若者向けなのも好感が持てるポイントだ。

 

「お!次は料理特集・・・って大野先輩!?」

「・・・なんですか、このポーズ?」

 キャンプ飯のアタマを飾っているのは調理担当の大野と各務原なでしこが調理場の前で

並んで映っていた。それはいいのだが問題は二人がまるでどこかのファンタジーアニメの

必殺技のようなポーズを取っていたことだ、オタマや綿棒を武器代わりにして・・・

「ゆ・・・雪合戦の後、志摩さんに呼ばれて、そのポーズしてって言われただけで///」

 

【挿絵表示】

 

 彼女らは知らない。あのキャンプでリンは雪合戦をキッカケに、記事の書き方を100%

方向転換してきたのだ。ただつらつら出来事だけを書いても面白くはない、ならば多少の

演出(フィクション)を盛ってでも、自分のアイデアを生かそうと。

 この年末年始のキャンプ旅行で、個性的なライターの黒岩や大手の売れっ子木村との出会いは、

彼女に大きな意識改革を促していたのだ。

 このポーズも雪合戦の後、リンが大野となでしこを引っ張って来て、調理道具をわざわざ

元に戻してまでして撮影したものだ。もっともオドオドしていた大野に対してなでしこは

ノリノリで必殺技ポーズを決めていたのだが。

 

「写真とツッコミは容赦ないけど記事はしっかり書いてるわね、使い分けが上手。」

 さやかが文章に目を走らせてそう感心する。確かに写真も文章もしっちゃかめっちゃかでは

記事としての体を成さないだろう、インパクトのオンとオフを使い分けたその雑誌のコーナーは

誰が見ても間違いなく「面白い」と言える出来であるだろう。

 

「これ、今頃ビバークさん真っ青になっとるかもね。」

 雑誌を読み比べた結果、面白さという一点なら明らかにしゃちほこさんぽ側に軍配が

上がりそうだ。地域ローカル誌が有名雑誌を食いかねない特集記事に思わず苦笑いを

こぼす黒岩。

 

 まぁ、当のビバークではちょうど木村が記事を見て不気味に笑っているのだが。

 

 

      ◇           ◇           ◇    

 

 

「うはははは!はっちゃけすぎだろリン!!」

 山梨県富士川町のキャンプ場で、発売された”しゃちほこさんぽ”を見て大笑いする千明。

同席しているなでしことあおいも、その思い切った記事に思わず笑みがこぼれる。

「あの真面目な志摩さんがなぁ・・・」

「リンちゃんはできる子だと知ってましたっ!」

感心するあおいに続いて、なでしこが胸を張って鼻息を鳴らしながらドヤ顔する。久々に

集結した”野クル生徒のみメンバー”の3人がページをめくっては騒がしいリアクションで

友人の書いた記事を絶賛し続ける。

 

 その管理棟の壁に張り付いて聞き耳を立てていた女性、志摩リンは安堵の表情でずるずると

崩れ落ちる。

(ウケたー、少なくともあいつらには・・・よかったあぁぁぁぁ。)

 はっちゃけた記事を書き、校正をあっさりクリアして、いざ雑誌になった段階でリンは

めっちゃくちゃネガティブになっていたのだ。もしかして自分はとてつもなく痛々しい記事を

書いてしまったのではないか?社に苦情は来ないのか?今後このノリで仕事していいのか・・・?

 いてもたってもいられなくなった彼女は、「仕事で来られない」と言ったはずの今日の

寄り合いに無理に駆け付けて、友人たちの正直な感想を聞くべく壁に張り付いて聞き耳を

立てていたのだ。

 

「良かったねー、面白いって言ってもらって。」

「うぉっ!斉藤、い、いつからいたんだ。」

突如目の前に現れた恵那に思わず声が出る、相変わらず神出鬼没な女だぜ。

 

「お!なんだリンに恵那、結局来たのか、入れ入れ!」

「リンちゃーん、この記事すっごく面白いよ!」

「なんか本格的に一皮むけた感じやなぁ。」

 

 管理棟からわらわらと湧いて出た友人たちに連行されて、手荒い歓迎を受けるリン。

かつては騒々しいと苦手だった野クルのバカ騒ぎは今、リンにとって胸に染みるほどに

温かく、そして有り難かった。

 

 そんな様をイスに座ったままで眺める大町美波(グビ姉)。彼女は教え子の成長を喜びながらも

心の中でこう呟いた。

 

(今後からが大変ねぇ、志摩さん今回のクオリティが最低基準になるの、分かってるかしら?)

 




もう当分絵はいいです・・・次回、ついに最終回!

しゃちほこさんぽ写真アンケ。

  • だから下手な絵見せんな!
  • 作者渾身の一枚!意外、それは松ぼっくり!
  • ジンジャー君と夏海の見事な融合
  • 黒岩と恵那の曲者コンビ
  • あかりちゃんの〇ャフ度
  • シュラフ原人綾乃
  • 蛇エキス現地調達!湯浦しずく
  • たまにはこんなのも、元気じーさんズ
  • なでしこと大野のお料理頑張るぞ
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