特典が発動する度にトラウマと胃痛が増えるのだが・・・   作:修道女は正義

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感想をくださり誠にありがとうございます。
次の話で主人公ヒステリア・サヴァン・シンドローム(HSS)について解説していきます。

軽くヒントを出しておくと『遠山 雪花』の亜種だと思ってください。


胃痛の種、その名は・・・

(不味い・・・)

春川 フキは焦っていた。

遮蔽物が限られた密室空間。

無くなりつつある弾薬。

そして今自分の下にいる黒髪の華奢な少女『遠山 金衛』を守りながら考える。

(このままじゃジリ貧・・・)

思考の海に沈みかけたその時、物陰から2つの銃口。

思考を挟むことなく横回転。

勢いを殺さず、そのまま背中を壁にぶつける様に密着させる。

そしてそのまま遮蔽物に隠れながらけん制の銃弾を撃つ。

何度も訓練で繰り返した動き。

だから、すぐに自分がヘマをしたこと気付く。

(しまった『釣られた』!?)

自分の体の真正面。

コンテナの上からこちらを狙うアサルトライフルの銃口。

自分の銃は物陰の先に見えた敵に向けられている。

今からコンテナの上にいる敵に向けて撃つまで絶対に間に合わない。

(畜、生)

ここで終わりなのか?

『アイツ』に置いつくこともできず、思い人に思いを伝えることもできない。

(畜生)

後輩を守ることもできず、導くこともできず、ただ死んでいくのか?

(畜生!!)

視界がスローになる。

敵の指がゆっくりと引き金を引いていく。

(畜ッ生おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお)

そして、銃弾は放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の胸で抱えている少女から。

 

 

 

 

 

 

ヒステリア・サヴァン・シンドローム。

頭文字を取ってHSS。

 

私が前世で読んでいたライトノベル『緋弾のアリア』の主人公、『遠山 金次』含む遠山家の人間が持つ特異体質だ。

その特性は種類にもよるが思考力・判断力・反射神経などが通常の30倍にまで向上するというもの。

原作主人公である遠山 金次はこの体質により様々な事件に巻き込まれ、数々の強敵と戦っていく。

まあ、ここまで聞けば王道バトルストーリーだと思うだろう。

しかし、この体質はとんでもない発動条件、いや『欠陥』が存在する。

 

 

 

「いけないな、可愛い女の子達に武器を向けるなんて」

 

 

 

春川さん、いや、『フキ』さんが腕の中でキョトンとした顔をしている。

それもそうだろう。

つい先ほどまで自分の体でかばっていた、自分よりも小さな女の子が片手で自分を逆に抱きかかえていたから・・・ではない。

 

分かりやすく言おう。

俗にいう『お姫様抱っこ』をされていたからだ。

 

「へ?」

思考が止まってしまったのだろうか。

殺されかけたんだのだから無理もない。

自分もまだ実力不足だな、と深く痛感する。

『背面撃ち』で敵の武器を破壊。

片手でフキさんを抱きかかえながら壁を蹴り、コンテナの陰に飛び込みながら物陰にいた敵の武器を『跳弾』で破壊。

大きな音で怯えさせてしまった。

全く情けない。

若干三白眼に近い目が自分の顔を見ている。

改めてみると、本当に魅力的な娘だと思う。

女性らしく華奢で筋肉質な体から発する体温が服を通じて自分の体に伝わってくる(変態かな?)。

柔らかい清涼剤の匂いに交じって女性らしい甘い匂いが鼻孔をくすぐる(変態だな)。

 

目の前にいる少女の存在を意識する度五感が活性化していく。

自分の世界が広がっていく!!

 

負ける気がしない。

 

 

「失礼、先輩」

「あ・・・」

衝撃が伝わらないよう、ゆっくりとフキ先輩を地面へと降ろす。

本当はこんな埃だらけのところに女の子を下すことなんて許せないが、今だけは我慢してもらおう。

「少しだけ待っててください。貴方達を傷つけた野蛮な男達に女性の扱い方を教えてまいります。だから、少々お待ちくださいませ。」

手の甲に触れるか触れないかの距離で軽く唇を当てる。

映画で見たのを真似してみたのだけれど、うまくできただろうか?

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」

近くで何か幸せな悲鳴が聞こえたが、気のせいだろう。

 

 

 

 

「教育の時間だよ、おじ様方。」

 

 

 

 

XDM-9 4.5。

俺の銃。

片手で持ち、腕をだらりと垂らす。

 

 

「お し お き か く て い」

 

 

その瞬間大量の銃弾の嵐が俺に襲い掛かる!!

けれど、

 

(見える!!)

 

銃口、相手の呼吸、筋肉の動き、そして何より飛んでくる『銃弾』!!

 

見える、そして反応できる!!

前に突進しながら敵の数を把握。

(全員で16人、この部屋で14人、『音から索敵して』奥に2人)

部屋の形は長方形。

敵はすべて私より前にいる。

どうやら先ほどの3人は私達を挟撃しようとしていたらしい。

けど、それも無力化を確認した。

 

『銃口に向かって弾を撃ち破裂させた。』

 

暴発の衝撃で3人とも気絶しているらしい。

 

ならば悩む必要はない。

 

相手の使っている銃はAK-47。

カスタマイズしているのか、それとも銃弾が良いのかほぼほぼ真っ直ぐに飛んでくる。

(釣れた!!)

敵は私に集中している、後ろの仲間にヘイトは集まっていない。

 

ダッシュ、ローリング、そして、

 

「『銃弾撃ち(ビリヤード)』」

 

銃弾に、銃弾を『当てる』。

 

通常ではありえない。

けれど今の俺、『HSS』になった俺ならできる。

 

真正面からぶつけるのではなく、斜め横から銃弾を当てる。

そして、弾かれた銃弾がさらに別の銃弾に当たり、私の周りで火花を起こす。

(危ない花火だな・・・)

そう思いながら、薬室に一発残しながらマガジンをリリース。

背中にあるカバンからマガジンを出し、キャッチ、銃に叩き込む。

初弾を装填する必要はない。

 

「う、撃てえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」

 

下手糞なオペラを鳴らされる前にさっさと終わらせよう。

XDM-9 4.5の装弾数は19発。

薬室に1発残っているから合計20発。

 

パルクールの要領でコンテナを蹴り、空中へと舞う。

 

停止した、といっても過言ではない。

スローになった俺だけの世界で、体を捻りながら敵の銃口に1発ずつ叩き込んでいく。

(おっと)

着地した先にいる1人の男。

残り段数は5発。

 

1発目、男の武器を破壊。

2発目、男のヘッドセットを破壊。

3発目、男の右足先の地面に着弾。逃げ道を封じる。

4発目、左肩に吊り下げられたハンドガンを破壊。

5発目、急所・・・は撃たず、直下のズボンに穴をあける。

 

距離、ゼロ。

 

「やぁ♪」

「ふぇッ?」

 

情けない声を上げる男に放つものは決まっている。

 

桜花。

骨格、関節、筋肉などを順番に高速で加速させることによって超音速(はちょっと可哀そうだったので)1歩手前の打撃を、男の顔面に叩き込む。

 

 

 

 

「乙女の肌に傷をつけた・・・罰だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、思考がまとまっていく。

そう、

 

 

 

 

 

(やっちまったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ)

 

 




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