特典が発動する度にトラウマと胃痛が増えるのだが・・・   作:修道女は正義

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おまたせしました。


仕事のほうでバタバタして中々時間が取れませんでしたが、昨日のリコリコ最終話を見て気力がわいてきました。


ネタバレになるので詳しくは言えないのですが。
リコリコ、本当に良かった!!


激突・・・の前に

結論から言おう。

 

(これ無理ゲだわ。負け確イベント戦だわ。)

 

ほのの少し前。

次の部屋に移動しようと通路へ出た瞬間だった。

私の後から追いかけてるはずの少女、錦木 千束がなぜか目の前に現れた。

混乱する私をよそに彼女がとった行動はシンプルだった。

足元に一発ペイントダウンを撃つ。

前に移動しようと体重をかけていた私はそれだけで体制を崩しかけてしまった。

そんな隙を彼女は逃がすはずがない。

「すごいね貴女。こんなに手こずったの久々かも」

気付いたときには。

私の利き腕を左手で掴み、

腹の上には右膝をのせて、

体重をかけるように右肩に右ひじを乗せながら、

錦木さんは見惚れてしまいそうな笑顔で私に話しかけてきた。

「あんま戦おうとしないけどなんか理由とかあるのかな? 倉庫の時はものすごく好戦的にみえたんだけど」

私の顔に自分の顔を近づけ、囁くように話しかけてくる。

話すたびに彼女の吐息が顔に当たり妙な気分になってくる。

「サードにしてはそこそこ動けてるけれど、昨日のほうが断然すごかった。まるで別人みたい」

何度も動こうとするが、動くことができない。

しっかりと体を固定されている、だけではない。

「逃げ方はうまかった。私じゃなかったら多分完全に逃げられてたと思うよ? 『攻撃してくれない』からこっちもやりづらかったし」

ニコニコと笑いながら、ルビーのような目で私の瞳をのぞき込んでくる。

「私目がいいからさ、近づいてきてくれたほうが相手の動き読んで反撃しやすいんだ。逆に貴女みたいに距離取って姿を隠そうとするほうがかえって戦いづらいのよ」

錦木さんの左手が私の肘、手首、と移動していく。

最終的に銃を持つ私の手に重ねられた。

「・・・少しだけさ」

笑顔から一転。険しい顔つきになった錦木さんは私に向かってある提案をしてきた。

「お話、しても良いかな?」

 

 

 

 

 

 

魅力的な相談だが言わなくちゃいけないことがある。

 

(いやあの頬に銃ゴリゴリ押し付けながら言われたもしゃべれないから困るんですけど!? 

怖すぎて私の中のHSSセンサもドン引きしてるんですけど!?)

 

とりあえず、HSSが発動しないようにかつペイント弾とはいえ銃を突きつけられる恐怖から逃れるため、体を離してくれるよう交渉するところから始めなくてはいけないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『勝者、錦木 千束』

訓練場のアナウンスを聞きながら、私は休憩室の椅子に座り、ある人物を待っていた。

「おーまーたーせー」

ある人物、錦木さんが両手にジュースを持ちながら私に話しかけてきた。

私の隣に座るとジュースの一つを私に押し付けてくる。

飲め、ということだろう。

「ありがとうございます」

「あぁ、硬くならなくて良いからね。フランクにいこう、フランクに」

そう言いながらジュースをごくごくと飲む錦木さん。

うん、見た目はかなりの美少女。

顔面偏差値東大レベルばかりのこの世界の女子たちの中でも頭一つ抜けている。

ずばり、ハーバードクラスなり。

しかし、先ほどの『銃でゴリゴリ事件』があったせいかHSSも彼女に反応しにくいようだ。

(性欲よりも生存本能が勝ったってことかなぁ? 別の感情で塗りつぶしてHSS発動を防ぐのは考えたことあるけど、喜んでいいのかこれ?)

というか、HSSを塗りつぶすほどの恐怖て、この人の敵意というか殺意というか、どんだけヤバいんだ?

先ほどの模擬戦で見せた戦闘能力と殺意、しいていうなら『殺しの才能』。

『歴代最強』は伊達ではないということか。

(マジで心臓止まるかと思った!! 気付いたら死んでましたでもおかしくなかった!!)

これが実弾だったらと思うと・・・想像したくない。

「金衛ちゃんはさ・・・」

しかもいきなり名前呼びとかヤベエよこの人。

同年代の童貞だったら絶対恋してたよ。

まあ、プロの童貞(精神年齢50歳)には効かないけどな。効かないけどな!?(重要なことなので2回言っておきました。)

「この仕事、どう思ってる?」

「仕事・・・リコリスの事ですか?」

「そうそう」

リコリス。

国の平和を守る組織、と聞こえは良いがやっていることは射殺・絞殺・刺殺となんでもありの暗殺組織だ。

私のように孤児を幼いころから教育して構成員にしていることも吟味して、本音を言うとクソッタレな組織といえるだろう。

(だから転職したいんだよなぁ。この体質の事もあるし。)

向いてないです。

やりたくないです。

そんなことを言ったら待っているのは良くて村八分。

もしくは処分か。

どっちにしろ本音なんて言えない。

かといって私は嘘をつくのも下手糞なのだ。

無難な回答で返そう。

「国の安全を守ることに繋がっている・・・誇りある仕事だと思います」

そう答えると、錦木さんは目を細めながら私を見つめてきた。

私の事をすべて見通しているかのような紅い瞳。

まるで刃物を突き付けられたようだ。

「行動記録、楠木さんに頼んで見せてもらったよ」

(何書いてあったんだろう? つか眼光怖いよ、ギャップ怖だよ・・・)

普段だったらHSSが発動しそうになって苦しくなるところが今は全くない。

むしろ命の危機を感じるまである。

先ほどの瞬殺頬銃グリグリが相当効いているようだ。

(HSSを気にせず話せることはうれしいが恐怖に耐えながら話したいとは言っていないよクソ神)

「昨日の戦闘でさ、人殺さなかったけど、それは何で?」

何で?

HSSの余計な機能なせいです、とか絶対に言えない。

殺されかけている状況で『可愛い女の子に血を見せたくない』と考える馬鹿がいるのだろうか?

 

私だ。

 

銃弾撃ちまくられている状況で『女の子を喜ばせるにはどうしたら良いんだろう』と考える馬鹿がいるのだろうか?

 

私だ。

 

ドシリアスで流血の可能性もある状況で『性的興奮で強くなって女の子をお姫様抱っこして手の甲にキスまでした』馬鹿がいるだろうか?

 

私だ。

 

(やっべ何答えても『ふざけてるのか?』て思われるッ!?)

 

落ち着け。

落ち着くんだ。

冷静に思い返してみると、元々人殺しとかそんなに好きじゃないし。

というかしたくないし!?

まあ、しいて言うなら・・・。

「・・・気分がよくない、からでしょうか」

「ッ!!」

「殺すことによって、誰かの時間を殺すことは気分が良くありません」

 

もちろん今の職務上殺しが優先されていることは理解している。

しかし、できるなら殺しはしたくない。

前世一般人の甘えた倫理観だというのは分かってはいる。

ただ、押し付けられたとはいえHSSという体質を持っているのだ。

『緋弾のアリア』の主人公遠山 キンジを始めとした遠山一族は義のために戦ってきた者が多い。

特にキンジは『誰かを守るために戦っている』。

相手を『倒す』事はあっても『殺す』ことはしない。

むしろ倒した相手が味方になることが多い。

発動するトリガーは非常に厄介だが、そんな彼と同じ体質を持っている者として、できるだけ彼の面子に傷をつけたくはない。

変な使命感だというのは理解している。

しかし、

「できるだけ、人を殺すよりも人を守ることを優先したい」

 

 

 

 

その方が気分がいい。

まあ、後方勤務が一番だけどね!!

裏から皆を守るのがベストよ!!

 

 

 

 

無言の時間があった。

錦木さんは驚いた顔でこちらを見続けていた。

やっぱりまずかったかな!?

 

 

「金衛ちゃんさ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと提案あるんだけど良い?」

 

 

 

 

 

 

 




問:自分と全く同じ考えを持った人間が目の前に現れた時の気持ちを考えよ。
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