なお作者がシリアスに耐えきれなくなっただけの模様。
「――――――まあ簡単に言うと、今回の事件は特異点を使って終末捕喰を起こそうとした、ということに尽きる。
単純明快、それが起これば世界はリセットされる。
そうなればもうおしまいさ。
だけどね。
私は考えたんだ。
終末捕喰を特異点が起こすのならば
幸いにも、特異点に近しい存在は存在していた。
人間の言語を理解し、人並みの知性を持つ、そんな存在が。
あとは簡単さ。
その存在を、特異点たるシオとぶつける。
そうすれば、終末捕喰同士がぶつかり合い、相殺されるっていう寸法さ。
力の差はあるかもしれない。
だからその力の差を埋めるために少し細工をしたのさ。
え、もしそれが失敗していたら?
なあに、命のひとつやふたつ、研究者なら捨てていて当然だよ。
だからねみんな、相談もなしにぶっつけ本番でぶちかましたのは悪いと思ってるからちょっと話し合おうか」
平謝りするペイラー榊。
そしてそんなペイラー榊を囲むメンバーたち。
いやまあうん。
仕方ないとはいえ、これはひどい。
特に私に相談もなしにぶっ放されてた結果、毛並みが酷い荒れ具合だ。
……まあ、ソーマと抱き合うシオを見れば、それも仕方のないことで終わらせることができるのだが。
「ソーマ、ソーマ……!」
泣きながらソーマに抱き着いているシオ。
いや本当に一緒にいたかったんだなあ。
あの二人組を見ていると、どうしてもツバサを思い出してしまう。
うーん悪い癖だ。
もう少し、気持ちをしっかり持たないといけないかもしれない。
これ以上長居をする理由はない。
私はそそくさと退散することにする。
……ソーマだけは、ここに残るようだ。
父親との最後の会話だ。
邪魔する必要もないだろう。
数日後の話。
「今日はあれから変な影響がないかチェックするよ!」
「え、クロちゃんにそんなことしたんですか?」
「いやだってあのタイミングじゃそれしかなかったし、ね?」
最近なんだかアリサが遠い。
いや、物理的には近いのだが。
それはともかく。
検査である。
何を検査するのかは不明であるが、まあ悪いようにはされないだろう。
……多分。
ちなみにだが、私が喋れることについては内緒にしてある。
だってそうだろう。
アリサに関しては割とプライベートなことも知ってしまったし、喋ることが可能だと知られてしまえば、何に使われるか分からない。
メッセンジャー的な扱いに終始する羽目になる可能性もある。
ちょこんと台座に乗せられた私を、ゴッドイーター達がじっと見ている。
いつものメンバーだ。
シオは未だにソーマにべったりとくっついている。
それ以外はいつも通りだ。
いつも通りが戻ってきた。
「ふむ。やはり数値が上昇しているね」
「なんの数値がですか?」
「アラガミの強度というか、まあそんなところだね。何か変化はあるかい?」
そう聞かれて、最近背中がむずむずすることを思い出した。
なんというか、歯が生えかけていたことの記憶が蘇る。
ぐぬぬぬ、と力を込めて踏ん張っていると、急にポン、という音が聞こえた。
背中からだ。
ちらりと背中の方を見ると、翼が生えていた。
……おもちゃみたいに小さい奴が。
「かっ……」
「かわいい……!」
そうだね、可愛いね。
私は頭を抱えたいよ……。
なんだろう、マスコット化が進んでいる気がしてならない。
「おー……シオとおそろい、だな!」
「にゃー」
そう言われてみればその通りで、まるでシオの背中から生えているそれと酷似していた。
それを見てシオが喜んでいるので、まあ悪いことではないかと思いなおす。
はぁ……これで空を飛べたらいくらか気持ちは上向くのだが……。
「あ、クロちゃんが飛んだ」
飛べちゃったよ。
暫く私をぽんぽん投げる遊びが流行ったが、アリサの猛抗議によって終了した。
そして更に数日後。
今度は別の支部で問題が発生したらしい。
「ここから北の支部が壊滅したとの報告を受けた」
「北の支部が……」
「人数は把握したものの、発見されていないゴッドイーターが一人いるんだ」
そうして出されたのは一枚の写真。
そこには特徴的な少女の姿が映されていた。
「うう……ひもじいよぉ……」
同時刻。
その写真の少女は雑草を食べていた。
服装は黒を基調としたゴシックロリータ。
フリフリのレースを大量あしらったその服。
背中からは小さな羽が生えている。
彼女のお気に入りであった。
髪の色はピンクブロンド。
それをツインテールにまとめており、長さは腰に届かない程度。
瞳の色は赤。
両太ももには巨大なガンホルダーがつけてあり、その異様さが際立つ。
とはいえ、それも彼女的にはアピールポイントだと思っている。
しかし今はそれどころではなく。
「ひもじいよぉ……おなかへったよぉ……」
今彼女は神機の制御キットを担いで、歩いているのであった。
雑草を食べながら。
彼女が何故こうして生きているのか。
それは彼女が唯一神機を調整中で、役立たず状態だったからである。
仕方なしに逃がしてもらったようなものなのだ。
神機の制御キットを持ち運んでいるのはそれが理由の一つである。
もう一つの理由は、神機はこれがないと暴走し、宿主を食べてしまうからである。
いや、正確にはアラガミになるのだが、彼女の持っている情報ではそうなっていた。
神機に食べられちゃうのは嫌だ、ということで巨大な調整キットを担いでここまで歩いてきたのである。
「携帯食もなくなっちゃったぁ……はぁ、美味しいもの食べたいぃ……」
もさもさと、美味しくもない雑草を毟っていると。
不幸にもアラガミの来襲である。
「うええぇーヴァジュラぁ……」
相手はヴァジュラである。
彼女があんまり得意ではないアラガミであった。
彼女は遠距離型神機の使い手であるが、エイムが苦手。
しかし適合する神機がなかったのでそのまま、というわけである。
彼女はガンホルダーから神機を
右手の銃はボロボロで、長年使われていたであろうことがうかがわれる。
色は黒く、削れた場所からは銀色の下地が見える。
形状はリボルバーである。
左手の銃は新しく、ピカピカの白い色。
ところどころ黒い模様が施されている。
こちらもリボルバー。
世にも珍しい
それが彼女――堕天使ちゃんことラーフちゃんである。
ぐしゃ。
「ああああああああキットがあああああああぁ!」
なお跳躍したヴァジュラにキットをぺしゃんこにされた。