悪の組織所属のTS魔法少女、はじめました   作:布団から出られない

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Memory99

突如現れた魔法少女マジカルドラゴンシュートスターの手により、絶望的だった状況は一転した。今までは余裕の笑みを見せていたアストリッドも、魔法少女マジカルドラゴンシュートスターの登場に困惑し、現在では動揺しているような表情を見せている。

てか、名前長…。略してマドシュターとかでいっか。

 

で、肝心のマドシュターちゃんについてなんだけど。

なんかめっちゃ強かった。よく分からないが、ドラゴンバズーカなるものの威力は凄まじかったし、遠距離攻撃特化の魔法少女なのかと思えば、まさかの近距離も可能な魔法少女だったらしく、その実力も半端なものじゃなく、光の反射魔法を自身の剣でズタズタに引き裂いてしまうほどだ。

 

「魔法少女マジカルドラ……なんだっけ? まあいいk「よくない!」はぁ…。名前なんだったっけ? 君」

 

「魔法少女マジカルドラゴンシュートスター!!  名前は覚えないと、ダメ。ダメダメ!!」

 

「そう。まあいいよ。はぁ……わがままで生意気な子は嫌いだ。全く。君、何者なんだ? (アストリッド)の知る限り、櫻よりも強い魔法少女は存在していなかったはずだけど」

 

「だって私、最強だもん。最強だから、強い。そう! 最強最強!!」

 

「話にならないな……。やるしかないか」

 

はっきり言って、万全な状態の櫻よりも強いと思う。会話の流れから、アストリッドの方もそう感じているようだし。

それに、さっきのマドシュターちゃんの猛攻で、光は腰を抜かしてしまっている。反射魔法を安定して出すことは難しいだろう。

 

いける。これなら勝てる。

 

「茜、辰樹達を連れて行ってあげて」

 

「あ……うん。いいけど、クロはどうするの?」

 

「どうせシロが逃してくれないだろうし。でも大丈夫。マドシュターちゃんがいるし。とりあえず今は辰樹達を優先してほしい。できそうなら来夏達を呼んできて。万が一があるかもだから」

 

「そう。クロがいいなら別にそれでもいいけど………ん? マドシュターちゃん……?」

 

とりあえず、マドシュターちゃんの爆撃の巻き添えをくらわないよう、辰樹と愛のことは茜に頼んでおく。茜は俺を置いていくことに若干の抵抗があったみたいだが、マドシュターちゃんを一瞥した後、渋々受け入れてくれた。

 

「アストリッド!! 覚悟!!」

 

「させない!」

 

マドシュターちゃんはアストリッドに向かって、王冥斬で斬りかかりにいく。が、シロの光の壁により、防がれてしまう。

 

先ほどは光の反射魔法を切り刻んでいたマドシュターちゃんの王冥斬だったが、流石にシロの光の防御壁は突破できないらしい。というのも、光の反射魔法は確かに強力で、通常なら破ることはできない強力なものなのだが、シロの防御壁と違い、光の反射魔法は、反射に多くの魔力を割く必要がある。そのため、反射に必要な分の魔力量だけ、光の防御壁よりも防御力が劣ることになってしまうのだ。それに、根本的に人間の光の魔力と、現在吸血鬼の眷属となったシロの魔力では、その量が大きく異なっているというのもある。

 

なんて、勝手に俺はそんな理論を組み立てていたわけだが。

 

「鬼龍術・捌きの王(サバ・キング)

 

全くもって関係ない。なぜなら、たった今、そのマドシュターちゃんの手によってシロの防御壁も破壊されてしまったからだ。シロの防御壁の方が防御力が高いからだとか、そんな話じゃなかった。

単純に、攻撃の仕方が違ったから。ただそれだけだった。

 

マドシュターちゃんはシロの防御壁ですら、あの鬼龍術という剣技を扱えば、簡単に突破することができてしまうのだ。

 

「っ! 爆!」

 

シロは焦ってマドシュターちゃんの足元を爆破させる。そんな魔法覚えてたっけ? いや、アストリッドの眷属になったことで使えるようになったのか………。

 

「ドラゴンじゃーんぷ!」

 

が、そんなシロの攻撃もさらりと飛んでかわし、さらに上からアストリッド目掛けて手に持った大剣(王冥斬)を振りかざす。

 

そして、そのままアストリッドの脳天に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、クロ。少しの間人質になってくれ」

 

気づいた瞬間には、アストリッドは俺の背後へと回っており、さらにアストリッドは、俺の首元に血狂いの魔刃(吸血鬼のナイフ)を突き立てていた。

 

「な……んで。さっきまで向こうに……」

 

「いいリアクションだ。いや、まさか私も再びこの力を使えることになっていたとは思っていなくてね」

 

アストリッドの声は、心なしか弾んでいるように思える。まるで、興奮しているかのように。

 

「クロ、君は、ベアードのことを覚えているかな? 2年前、君と戦った、私の眷属の男のことだ」

 

ベアード…。

確か、時間停止の魔法を扱っていた男だったはず。

結局は2年前、八重によって殺害されてしまったのだが。そのベアードが何か関係しているのだろうか。

 

「本題は彼がどこで時間停止の魔法を扱えるようになったかってことだ。当然だけど、彼は男だし、元人間だ。つまり、元々魔力は持っていないことになる。じゃあ、魔力を得たのは、私が彼を眷属にしてからだ。それじゃ、彼がどこで時間停止の魔法を手に入れたのか、分かるかい」

 

普通、後から反射や時間停止のような特殊な魔法を覚えることはないとされている。一応反射は光の属性に属しており、時間停止も無の属性に属してはいるが、光属性の使い手だから反射が使えるわけじゃないし、無属性の使い手だから時間停止が使えるというわけでもない。

 

つまり、反射や時間停止は、後から身につけるようなものではなく、最初から才能として、その人自身に備わっているような特殊な魔法なのだ。

 

しかし、ベアードの場合、魔法を扱えるようになったのは、アストリッドに眷属にされてからだ。当然、時間停止の魔法も、アストリッドに出会ってから手に入れたことになる。そして、普通は時間停止を後天的に身につけることはできないはずだから、時間停止を手に入れたとすれば、アストリッドに眷属にされたその瞬間からだと言えるだろう。

 

そうなると。

 

「アストリッドが与えた……?」

 

「正解だよ。そう、時間停止は元々、私が持っていた魔法だったんだ。けど、ベアードに与えてしまったことで、私は時間停止の魔法を失ってしまったんだ。ベアードのやつ、時間停止の魔法を私に返さないまま死んでいったわけだしね。でも、私は進化した。そして、再び手に入れたんだ。時間停止(この力)を」

 

そうか。さっきはマドシュターちゃんからの攻撃を時間停止でかわして、ついでに俺のところまでやってきていたのか。まるで瞬間移動したかのように感じたのは、アストリッドが時間停止で移動したからだったのだ。

 

アストリッドの表情は自慢げだ。無理もないだろう。時間停止なんて、使えるやつは限られている。というか、今現在いる魔法少女で、時間停止が扱える魔法少女など存在するのだろうか。

 

「ちなみにだけど私も使えるよ。アストリッド様のものとはちょっと違うけど」

 

そういえばシロが使えたか。元々は八重の魔法だったのを、シロが受け継いだんだっけ?

 

「私も使えたー!! ていうか、このナイフ何? なんか血生臭くて嫌い。嫌い嫌い」

 

 

 

 

 

 

 

 

えっ?

 

 

「っ!? ふざけるなよ!!」

 

「ホーリーライトスピア!!!!」

 

一瞬、何が起きたのか分からなかった。

 

気がつけばマドシュターちゃんが俺とアストリッドの背後にいて、さっきアストリッドが俺の首元に当てていたナイフはマドシュターちゃんが持っていて。

 

次の瞬間には、アストリッドとシロがマドシュターちゃんに攻撃を加えていて………。

 

あれ? なんでだ? 俺今、屋根の上にいる…? ていうか、誰かに抱えられて……。

 

「人質なんて、せこいことするなぁ! 私は正義の味方だから、人質は絶対に見捨てない。絶対絶対!」

 

はぇ?

なんで俺、マドシュターちゃんに抱えられてるんだ?

てかいつのまに屋根の上に来てたんだ?

 

状況についていけない……。

これがジェネレーションギャップってやつか。え、違う?

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