悪の組織所属のTS魔法少女、はじめました   作:布団から出られない

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好き勝手に書いてる感


Memory40

 

「『ホーリーライトスピア』!!」

 

真白が唱えた瞬間、無数の光の槍が、人面魚に襲い掛かる。

『ホーリーライトスピア』は、威力こそかなり低めだが、大量の光の槍で相手を串刺しにすることができる技だ。

 

真白の『ホーリーライトスピア』は、人面魚達を串刺しにした後、霞のように消えていっている。

 

炎壁(ファイアーウォール)!!」

 

「うちのも混ぜるよ〜」

 

焔は炎壁(ファイアーウォール)という技によって、名前の通りの炎の壁を作り出す。馬鹿正直に焔達の元へ向かおうとした人面魚が、次々に焼かれていく。

 

また、炎壁(ファイアーウォール)に美希が雷を混ぜることで、炎壁(ファイアーウォール)に近付いただけで人面魚達が痺れ、また辛うじて炎壁(ファイアーウォール)にたどり着いた人面魚達は焼かれてしまうような状態となっている。

 

「人面魚焼きって、美味しいのかな…………」

 

そう言いながら、笑深李は火で燃えている人面魚に水をかけて消化する。別に人面魚達が可哀想だからというわけではなく、単純に人面魚が燃えている場所から火事になってしまうような事態を避けるためだ。

 

元々、焔が怪人と戦った時も、炎の消化は笑深李の役割だったためか、その作業はかなり手際良く行われている。

 

「うぉおおおおぉぉぉおおおお!!!」

 

辰樹も雄叫びをあげながら、拳を振り回して人面魚達を薙ぎ倒していく。

 

「“風薙ぎ”」

 

束は“風薙ぎ”により、次々と人面魚を斬りつけていく。

また、束の周囲では、リリスの死体人形が、人面魚達をあの手この手で仕留めている。

 

その傍らではまた、散麗が人面魚を一匹一匹蹴り飛ばしている。

 

「オラオラどけどけぇ!!!!」

 

来夏は電撃をバチバチと飛ばし、周囲にいる人面魚を一掃しながらビーチ中を高速で駆け回っている。

 

また、来夏の電撃の余波か、倒れた人面魚と接触した人面魚もまた、電撃によって倒れていく。

 

「うーん。全然手応えないなぁ。皆私の毒で倒れちゃうし」

 

ユカリは一見何もしていないように見えるが、ユカリの周囲では次々と人面魚が倒れていっている。ユカリは、自分の周囲に人面魚特効の毒を撒き散らしているのだ。

 

人面魚はユカリの周囲にやってくるだけで息絶え、さらにはユカリが通り過ぎた場所も、人面魚が通ると、その人面魚は一瞬で活動不能になっている。

 

「ブォォォォオオオォォォォォオオオ!!!!!」

 

次々とやられていく人面魚を見てか、鯨型の怪物は3度目の雄叫びをあげる。

 

「来るぞ!!! 皆櫻とクロを守れ!!!」

 

来夏が言うと同時、鯨の怪物は口から水の大砲を発射する。

 

「天使の障壁!!!」

 

真白は、鯨の怪物が発射した水の大砲の前に、大きくて透明な光の壁を発生させ、それを防ぐ。

 

「はぁ……はぁ……うっ、さっきの攻撃、もし、直撃してたら……はぁ……ごめん、私は少し、休まないと……」

 

しかし、真白は先程発生させた巨大な光の壁で大量に魔力を消費し、戦闘続行が不可能になってしまった。

 

「はっ! 水を見るとさっき溺れた時のトラウマが………ごぼぐぼげぼぐぼ」

 

「ほ、焔ちゃん!?」

 

「え……流石にうちも水見ただけで溺れるとは思わなかったんだけど……」

 

また、焔は巨大な水の塊を見たことで、先程溺れた時のトラウマが蘇り、溺れていないのにも関わらず、脳が勝手に溺れたと勘違いしたことで、気絶してしまった。

 

「はぁ…………はぁ………悪い…………俺もそろそろ………限界………か………も………」

 

辰樹も体力が尽き、息切れまでしている。無理もない。辰樹は来夏達と違い、一般人だ。そのため、魔法なんて扱えないし、今まで喧嘩だってしたことがない普通の男子中学生だ。

 

そんなただの1少年が、拳をがむしゃらに振り回していれば、すぐに体力を消耗してしまうだろう。

 

「きゃぁあ!!」

 

「散麗!!」

 

散麗もまた、大量の人面魚による魔法攻撃によって、地面に倒れ伏してしまう。束が助けに行こうとするも、人面魚の数が多すぎて中々散麗の元に辿り着けそうもない。

 

「ちっ、クソっ!」

 

次々と倒れていく仲間達を見て、来夏は思わず舌打ちしてしまう。

 

現在、真白、辰樹、焔、散麗が戦闘できない状態になっている。

 

笑深李は戦闘向きの魔法をあまり上手く扱えないし、美希もそこまで戦闘向きというわけではない。あの2人は戦闘はほぼ焔に任せて、サポートに回ることが多かったからだ。

 

ユカリはまだまだ余裕がありそうだし、来夏だってまだ戦えるが、敵の数は無限。

魔力は無尽蔵ではないし、いつまでもつか分からない。

 

 

 

絶望的とも言える状況。

 

 

 

 

「皆待たせて、ごめん!」

 

 

 

 

しかし、そこで、2人の少女が現れる。

 

 

 

…櫻とクロだ。

 

何故かこのシリアスな状況で2人は恋人繋ぎをしているが、恋仲というわけではないだろう。

 

「クロちゃん、行くよ!」

 

「わかった」

 

「「友情魔法(マジカルパラノイア)!!」」

 

櫻とクロは、互いに声を合わせて、高らかに宣言する。

 

「「ブラックホール!!!!」」

 

 

 

☆★ ☆★ ☆★ ☆★ ☆★

 

 

 

「なんじゃありゃ。ブラックホール? うわぁ。とんでもないね、これ。1、2、3、4…………いや、物凄い数あるなぁ」

 

アストリッドは魔法少女と鯨の怪物の戦闘を見ながら、1人決意する。

 

「決めた。クロは私の眷属にして、吸血鬼にしよう! 一生私の元で仕えさせる! そうと決まれば……………」

 

 

 

☆★ ☆★ ☆★ ☆★ ☆★

 

 

 

鯨型の怪物が生み出した大量の渦巻きに対抗するかのように、砂浜の上、また、海上にも黒い渦巻き………ブラックホールが点々として現れていく。

 

ブラックホールは、渦巻きから湧き出てくる人面魚を次々に吸い込んでいく。

吸い込むスピードは、渦巻きから人面魚が出てくるスピードよりも速く、人面魚はどんどん数を減らしていく。

 

「すげぇ………………」

 

「クロ……あんな力どこから………」

 

「今がチャンスだ!! ちっこいのはほぼいなくなった! あとはあのデカブツを片付けるだけだ!」

 

来夏はそう言って、鯨型の怪物の方へと突撃していこうとするが………。

 

「待って、来夏ちゃん!」

 

櫻によって呼び止められる。

 

「あの鯨型の怪物を倒すには、友情魔法(マジカルパラノイア)しかないと思う」

 

「あん? でも、友情魔法(マジカルパラノイア)はさっき使ったばかりじゃねぇのか……?」

 

「ううん。使えるよ。多分、私とクロちゃんの友情魔法(マジカルパラノイア)は、ちょっとズルくて、ブラックホールで吸収したものの魔力を、私達の魔力の回復に使えるみたい」

 

「つーとつまり………」

 

「うん。もう一度友情魔法(マジカルパラノイア)を使える。というか、ブラックホールで魔力の回復どころか、私達の本来持ってる魔力量よりも多く魔力がある状態なの。だから、来夏ちゃんと私とクロちゃん、3人で友情魔法(マジカルパラノイア)を使えるかもしれない」

 

「え、まだ恋人繋ぎするの?」

 

クロは思わずそう質問してしまう。無理もない。先程からかれこれ20分ほど櫻と恋人繋ぎをしていたのだ。手汗なんかも出てきてるし、正直気恥ずかしいと思っていたところだった。

 

やっと終わるかと思っていたのに、再び恋人繋ぎをさせられることになるのはクロにとっては結構辛い事実だったのだ。

 

「大丈夫。次はそんなに時間かからないから。すぐだよ」

 

そう言って櫻は来夏と()()()手を繋ぐ。

 

「ちょっと待って! 恋人繋ぎじゃないとダメなんじゃなかったの?」

 

「それは私とクロちゃんとの話で……その、私と来夏ちゃんは、友達だから。あっ! クロちゃんが友達じゃないとかじゃなくて、えっと、私はクロちゃんとも友達になれたらいいなって思ってるっていうか……」

 

「ごちゃごちゃうるせぇよ。さっさとやるぞ。ほらクロ、お前も私と手繋げ」

 

なんだか気を遣われてる気がして居た堪れないなと思うクロだったが、来夏がぶった切ってくれたので少し助かった気がした。

 

「はい」

 

クロは手を差し出して、来夏と普通に手を繋いだが…………。

 

「あっ、えとクロちゃんと来夏ちゃんも恋人繋ぎで、お願い……します」

 

櫻に恋人繋ぎを指定されてしまう。

 

「うっ、なんかめちゃくちゃ恥ずかしい………」

 

櫻と来夏、2人との恋人繋ぎを強制させられたクロは、顔をつい真っ赤に染めてしまう。無理もない。前世から数えても、クロは女性経験がなかった。というか、妹思いのシスコンだったせいでそういう機会もなかった。

 

まあ、どちらにせよクロの現在の恋愛対象は女性ではない(男性でもないが)ため、女性経験云々よりも単純に気恥ずかしいというのが正解だろうが。

 

「じゃあ、いくよ……せーの!」

 

「「「友情魔法(マジカルパラノイア)!!!三連結!!!」」」

 

櫻、来夏、クロの三者は、輪っかになりながら、もう一度同時に叫ぶ。

 

「「「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」

 

鯨型の怪物の周囲に、無数のブラックホールが現れる。

しかし、今度は全てを吸い込む、文字通りのブラックホールではない。

 

鯨の怪物の周囲に現れたブラックホールから、次々に稲妻が走り、鯨の怪物へと直撃していく。

 

「ブォォォォオオオォォォォォオオオ!!!」

 

鯨の怪物は呻く。

 

雷撃は鳴り止まない。

 

先程発生させた友情魔法(マジカルパラノイア)の効果によって発生したブラックホールで、無限に湧き出る人面魚が、櫻達の魔力となっているせいで、櫻達の魔力は、人面魚が渦巻きから湧かなくなるまで尽きることはない。

 

しかも、渦巻きの人面魚が湧かなくなるというのは、鯨の怪物の死を意味している。

 

 

 

つまり

 

 

雷撃は鯨の怪物が死ぬまでブラックホールから撃ち続けられるということだ。

 

「ブォォォォオオオォォォォォオオオ!!!」

 

大量の雷撃が、黒い闇の中から敵を仕留めんと放たれていく。

 

「ブォォォォ……………………」

 

やがて鯨型の怪物の呻きは小さくなっていき…………。

 

「ブォ……………」

 

そして、力尽きた。

 




・鯨型の怪物

通称ブォォォォオオオォォォォォオオオ

突如ビーチに現れた巨大な怪物。
「ブォォォォオオオォォォォォオオオ」という鳴き声が特徴的。

試作品ではあるものの、怪人強化剤(ファントムグレーダー)をはじめて使用された怪人(怪物)
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