リリィバーンズレッド   作:ハルホープ

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コラボの始まりは大体異世界転移

 

 百合ヶ丘女学院。突如現れた謎の侵略者、ヒュージと闘う為に集められた少女たちを育成、戦闘させる為の学校。

 

 その校内では、一柳梨璃を隊長とする一柳隊の面々が、待機室に集まってミーティングをしていた。

 

 

 司令塔である楓や神琳、リーダーである梨璃ではなく、アーセナルであるミリアムが中心となっている。というのも、ミリアムのシュッツエンゲルである真島百由から、ある情報が入ったからだ。

 

「特殊なケイブ反応?」

 

「まさか、また特型ヒュージ?」

 

「正直分からん。百由様が言うには見たこともない反応をしており、しかも一瞬で消えてしまったそうじゃ。だからこそ、少し遠いが調べてきて欲しいと言われての」

 

「うーん、たしかにそれは気になりますね」

 

「場所はどこなんだ? 市街地が近いなら急いだ方がいいと思うゾ」

 

「心配せんでいい、山奥の辺鄙なところじゃ。もしただのケイブでヒュージが溢れ出てきてたとしても、すぐには影響はないじゃろうて」

 

「ケイブならもちろんのこと、そうじゃなくてもヒュージが跋扈してる場所ね……梨璃、調査とはいえ、気を引き締めて行くわよ」

 

「はい、お姉さま! 一柳隊、出動です!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、揃ったようね」

 

 学園基地。突如現れた宇宙からの侵略者、キャンサーと闘う為に集められた少女たちを育成、戦闘させる為の学校。

 

 その司令官室には、茅森月歌たち31Aの6人と司令官の手塚が揃っていた。

 

「任務の説明の前に一つ確認よ。パラレルワールドという概念は知っているかしら?」

 

「漫画とかアニメでよくあるやつ?」

 

「地球外生命体と戦ってるアタシらが言うのもなんだが、SFの中じゃ比較的現実味のある考え方だな」

 

 可愛らしく首を傾げながら確認する可憐に、ユキが補足する。

 

「そうなの?」

 

「昔は物理学者の先生が大真面目に研究してたこともあったそうだ。量子力学的には一応筋の通った考え方だしな」

 

「で? もしもボックスがどうしたって?」

 

「急に例えが幼稚になったな」

 

 真面目に聞いていたように見えた部隊長の月歌のふんわりした理解度にジト目を向けるユキ。

 

「いえ、今回の作戦の荒唐無稽さで言えばそのくらいの認識が丁度いいかもしれないわね」

 

「荒唐無稽? なんだ、パラレル旅行にでも行くってのか?」

 

「……そのまさかよ。ワームホールの応用で、パラレルワールドへの移動が理論上可能になったの」

 

「マジかよ……」

 

 信じられないという思いと今さらそのくらい出来ても不思議じゃないという妙な納得感の混じった声を出すユキ。

 

「大丈夫? ワームホールって今んとこ地味だけどなんか設定の根幹に関わってそうじゃない? いいのそんなこと盛っちゃって?」

 

「茅森さん、貴女は何を言ってるの?」

 

「んなことより司令官、行くのはいいけど帰れるのかよ、時空の迷子でGo To HellからのBack To The Futureとかそういうのはごめんだぜ」

 

 一瞬ピクリと頬を動かした手塚だが、月歌の奇行妄言はいつものことなので手塚もスルー。さっさと話を進めることにした。

 

「その心配はないわ。一定時間経つとワームホールが再び開いて、強制的にこちらに帰還させられるの。むしろ上層部的には、そちらの方に頭を悩ませているようね」

 

「帰還させられる? なるほどな……そういうことか」

 

「和泉さん、どういうことなの? さっぱり分からないわ!」

 

「お前はもう少し察せよ諜報員だろ」

 

 ったく、と前置きしてからユキは続ける。

 

「パラレルワールドへの移住計画でもあるんだろ……言っちまえば避難先が欲しいってところか」

 

「いざとなったらキャンサーがいない世界へ、逃げるってこと……? ワシらが必死に戦ってやってるというのに、逃げ腰な奴らよ!!」

 

「逃げ腰の人間がいることは否定しないけど、決して後ろ向きなだけの作戦ではないの。パラレルワールドの中には、もしかしたらセラフの代わりに銃火器等がより発達した世界があるかもしれない。そういった世界の技術を一部でも持ち帰れれば、今後の戦いに活かせるわ」

 

「想像するだけでワクテカ! ひょっとしたらめぐみさんのようなサイキッカーがメインで戦ってる世界もあるかもしれませんね!」

 

「……ん、そやな、アイツらみたいのが戦ってる世界、か」

 

「めぐみさん?」

 

「いや、なんでもない! 気にせんといて!」

 

 サイキッカーが闘う世界、と言えばてっきり燃え上がると思っていためぐみが、なぜか暗い表情を浮かべる。そのことに不思議がるタマだが、すぐにいつものめぐみに戻ったこともあり、この時はそこまで気にも留めなかった。

 

「まぁ今回は行って帰ってこれるという結果の箔付けのようなものよ。ある程度の情報は欲しいけど、特に向こうでして欲しいこともないわ」

 

「よっしゃ! じゃあ向こうで遊びまくろうぜ!」

 

「言うと思ったけどせめて司令官の前では言うなよ」

 

「大丈夫、私も言うと思っていたから問題ないわ」

 

「もはや諦められてるじゃねーか」

 

 帽子を深く被り直す司令官。

 

「ただし、どんなパラドックスが起こるか分からないから、みだりにパラレルワールドから来たなどと流布しないように。詳細は追って七瀬から伝えるわ。では解散」

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び、百合ヶ丘近郊。近郊とは言っても百合ヶ丘の担当範囲ギリギリの山奥に、一柳隊はいた。

 

「この辺りから反応があったはずなんじゃが」

 

「私の鷹の目でも、それらしいものは発見できません!」

 

「やっぱり、百由様の見間違いだったのではなくて?」

 

「いえ、一瞬で消えたというのが本当なら、今軽く探した程度では見つからないのも無理ないわ」

 

「怪しい痕跡がないか、地道に調べるしかありませんね」

 

「ん? あれ? あれは!!」

 

「どうしたんですのちびっ子1号?」

 

「遠方にヒュージの群れを発見しました! しかも、一般の方が近くにいます!」

 

「なんでこんな所に一般人がいるんですの!?」

 

「と、とにかく助けに行きましょ……あれ〜!? あれは一体!?」

 

「さっきからあれあれあれあれと、どうしたんですの!?」

 

「い、いやでもあれ見てください、あの人たち……!」

 

 

 距離が縮まったことで、二水が鷹の目で先んじて見ていた光景が、他の面々の目にも入る。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「見たこともない化け物! キャンサーより殺しがいがあるといいのだがのう!!」

 

「私の推理では……この世界にはキャンサーとは別の脅威がいるみたいね!」

 

「おいおい、本当にこっちの世界でもセラフ使えるんだろうな!? 使えなかったらヤバいぞ!」

 

「ぎぃえええぇえええ!!!! ガクブルですぅ!!」

 

「はっ! いざとなったらウチのサイキックに任せとき!」

 

「ここがどんな世界だろうと、あたしらならきっと大丈夫さ……みんな! 行くぜ!!」

 

 

 先頭に立っている、左目を前髪で隠した金髪の少女が、手を天に掲げながら叫ぶ。

 

 

 

 

「あたしの伝説はこれから始まる!!」

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「あの人たち、見たこともないCHARMでヒュージと戦ってます!」

 

「ほう、リリィだったのか……しかしどこのガーデンの者じゃ? CHARMだけでなく制服も見たことがないぞ」

 

「詳しいことは本人たちに聞きましょう! 今は、あの人たちを援護します!」

 

「そうね……行くわよ、梨璃!」

 

「はい、お姉さま!!」

 

 

 

 ソシャゲだったらアイキャッチの後に戦闘が入りそうな流れの中、梨璃たちは武器を構える少女……茅森月歌たちの近くに駆け寄る。

 

 

 

「百合ヶ丘女学院所属、一柳隊です! これより貴女たちを援護します!」

 

「えっ、援護!?」

 

「なぜこんな場所に他所のガーデンの人間がいるのか聞きたいところだけど……お互い、まずは目の前のヒュージを殲滅する方が先決よ」

 

「……そうだな! みんな、とりあえずいつも通りに行こう!」

 

 パラレルワールドに着いたらいきなり化け物に襲われ、かと思えば突然現れた少女たちから援護するなどと言われて混乱する月歌だが、そこは普段から楽天家の彼女、とりあえずノリで共闘することにした。

 

 ──或いはセラフ部隊の真実……無意識のうちに周辺の環境に溶け込むヒト・ナービィの性質がそうさせたのだろうか。

 

「まずは牽制する! 東城!」

 

「ええ、サポートするわ! これで行けるはずよ!」

 

 ヒュージ相手にどこまでセラフが通用するかは分からないが、だからこそいつも通り戦う。つかさがエンハンスをかけて、ユキが威力の増したブレイクカノンで弾幕を張る。

 

 雑魚キャンサーの外殻くらいならこれで一気に破壊できるそれは、数だけは多いスモール級ヒュージを蹴散らすのには十分だった。

 

「よし、通じてるぞ!」

 

 セラフがこちらの世界の敵にも通用することに一安心するユキ。だが、たまたま近くにいてそれを見ていた神琳に首を傾げられる。

 

「今のは一体? テスタメント……ではなさそうですが」

 

 レアスキルの力を広域化するレアスキル……神琳自身も使い手であるテスタメントと同じような効果があるように見えたが、どう見てもテスタメントそのものではない。

 

「みんなはエンハンス、って呼んでるわね」

 

 訝しむ神琳の前で、つかさがなぜかすっごいドヤ顔で自慢げに言う。

 

「エンハンス? エンハンスメントではなく? そんなレアスキル聞いたことが……」

 

「あーーー! 今はそんなこといいから、東城こっち来い! なんでよりによって察しが良さそうな奴に話すんだよ!」

 

「あの子オッドアイで目が綺麗だったから」

 

「お前は綺麗な目に何か思い入れでもあるのか!? ていうかあったとしても迂闊なこと言うの止めてくれ!」

 

「……なんだか苦労してそうじゃのお主」

 

 

 

 

 

「そこの可愛らしい方! そのままでは囲まれてしまいそうですわよ!」

 

「殺す……」

 

「え?」

 

「殺る殺る殺る殺る殺るぅ! 殺らせろぉおおおおおお!!! キリング・ターーイム!! ヒャッハーーー!!!」

 

「ひぃっ!? なんですのこのイカれた方!? まるでルナティックトランサー中の夢結様みたいですわ!」

 

「楓さん、聞こえているのだけど」

 

 

 

 

 

「よっしゃ、小さいのは和泉や東城に任せて、そこそこデカいのに一発食らわしたる!」

 

 スタンブレード。斬るのではなく打ち付ける技で、ミドル級ヒュージを叩き斬ろうとするめぐみ。ヒュージはスタンブレードを受けて動きを止めたものの、トドメを刺すには至らない。

 

「ちいっ、ちょこざいわ……ってうおっ!?」

 

 後方から飛んできた弾丸が、めぐみが動きを止めたヒュージを的確に撃ち抜いて撃破する。

 

「なんや今の!?」

 

 ユキとつかさ、味方の銃使いどちらでもない狙撃が来た方を振り返ると、なんだか自信のなさそうな少女……雨嘉が撃ち終わった後の銃を構えていた。

 

 

「なんや自分、ええとこ取りか!」

 

「ご、ごめん! でもせっかくチャンスを作ってくれたから、トドメをと思って……」

 

「いやそんな、マジで謝らんでええやん」

 

「うん、ごめん」

 

「天丼か! それとも天然か!」

 

「え? その、ごめん?」

 

「分かっててノッたのか素なのか分かりにくいわ!」

 

 

 

 

 

 

「15人もいればどう見ても勝ち確です、本当にありがとうございました!!」

 

「危ないゾ!」

 

 いつもよりも大勢で戦っていることに気を良くしたタマが迂闊にも前に出て案の定襲われる。

 

「ぎぃいいいやぁあああああああ!!! 死んだンゴ!!」

 

「あははっ、大丈夫大丈夫、死んでないゾ」

 

 が、横合いから縮地で飛んできた梅が、その勢いのままタマに迫るヒュージを弾き飛ばす。

 

「す、すいません、助かりました!」

 

「……下がってて」

 

 タマの前に出た鶴紗が、続けて迫りくる小型のヒュージを一気に殲滅する。

 

 

「あの人、小さいのに強いです!」

 

「……アンタに小さい言われたくない」

 

「ふふん、そうだろうそうだろう、うちの鶴紗は強いんだゾ!」

 

「いや梅様まで乗っからなくていいから……まだヒュージは残ってる、行くよ!」

 

 

 

 

 なんか約1名足引っ張ってた気もする(雑魚戦でヒーラーの見せ場作るの難しいからね、仕方ないね)が、協力して概ね順調にヒュージを撃破していった一柳隊と31A。

 そのタイミングで、二水が改めて鷹の目で周囲を警戒する。

 

「周辺を索敵しました! 残るは、あのラージ級だけです!」

 

「一気に決めるわ! 梨璃、いくわよ!」

 

「はい、お姉さま!!」

 

 梨璃と夢結がCHARMをクロスさせ、互いの力を増幅させるかのようにマギを輝かせながらヒュージを斬りつける。

 

「くっ、固いっ!」

 

 が、想定していたよりも外殻が固い。流石にノインヴェルト戦術を使う程ではないが、このまま二人で押し込んでも埒が明かない。

 

 

 

「アタシが続く!」

 

 

 一度引こうかとも思った二人だが、後ろから月歌が自らの二刀をクロスさせて、梨璃と夢結のCHARMを押し込むように振るう。

 それを受け、梨璃と夢結も引きかけていたCHARMに再び力を込める。

 

「砕けろぉ!」

 

「「やぁああああ!!!」」

 

 3人による4つの武器が、ラージ級ヒュージを斬り裂いた。

 そのままの勢いで月歌は左に、梨璃と夢結は右に駆け抜けていき……奇しくもそれぞれの仲間たちが集まっている方に行き着いた。

 

 

 

 

 

 

「月歌ちゃーん、ウィン!」

 

「疲れた……もうダメぽ……ミリしらの敵と戦うの、やっぱ辛ぇです」

 

「元艦長が真っ先にダウンするなよ、今回は特殊だけど外征にはお前が一番慣れてるはずだろ」

 

「おいタマァ!!!」

 

「はっ、はぃい!」

 

「ウチらはご当地ヒーローみたいなもんや、地元で負け知らずだったらそれでええ」

 

「あたしら一応世界規模で戦ってるからな、地元だけ守れても世界救えないからな、それでいいのか救世主」

 

 

(描写の都合で)一時的に即席の連携をすることはあったが、基本的には31Aは31Aで、一柳隊は一柳隊で闘っていたので双方に物理的な距離がある。

 

 この距離なら話の内容は聞こえないだろうということで、つかさが声を潜めて相談する。

 

「それでどうするの? なるべく正体を隠せとは言われたけど、まさかこんなに早くこっちの人間と接触することになるとは思ってなかったから何も言い訳考えてないわよ」

 

「お前は考えとけよ諜報員だろ、本職だろ」

 

「わざわざ誤魔化すのも面倒じゃ! いっそのこと殺ってしまうか!? キヒャハハハ!!」

 

「ただでさえ孤立無援なのに敵を増やすなよ!? しかも6対9だぞ!? いやそれ以前に人として止めろよ殺人鬼に言うのもなんだけど!」

 

 

「仕方ない、ここは私に任せておけ」

 

 月歌がスッ、と前に出て梨璃たちの方に歩み寄る。月歌が近づいてきたのに気づいた梨璃もまた、一柳隊の隊長として前に出る。

 

「私、百合ヶ丘学院一年生、一柳梨璃です! 一応一柳隊の隊長やってます! あなた方は……?」

 

 明るい笑顔で挨拶する梨璃に対して月歌は……

 

 

 

「同じ数字での計算繰り返してる最中に一回別の数字が紛れ込むと計算が狂うってだけの話にカオス理論とか名前ついてんのカッコ良すぎだよな」

 

「え? あ、あの?」

 

「ばっ、お前こんな時までそんな調子で話すんじゃねぇよ!」

 

 いつものエキセントリックかつ脈絡のない、ゲームの変な選択肢みたいなことを言い出す月歌に後ろからツッコミを入れて、ヒソヒソ話が聞こえない位置にまで引っ張るユキ。

 

「いや、私なりにパラレルワールドとかバタフライエフェクトについて真面目に考えた結果なんだよ」

 

「だとしてもいきなり脈絡もなくそんなこと言うか普通!? ただでさえ不審人物なんだから、頼むから怪しまれるようなこと言わないでくれ」

 

「よし分かった、今度こそ任せろ」

 

「頼むぜほんと」

 

 月歌が再びスッ、と前に出て梨璃たちの前に立つ。

 

「あたしは茅森月歌。簡単に言えばハガ○ン的なアレでこっちに来た」

 

「馬鹿かーー!! 何を言ってるんだお前はーー!!」

 

 二度目のおふざけ選択肢めいた言葉に、後ろに引っ張って声を隠すのも忘れて叫ぶユキ。

 

「いやさ、最近あたしらにも強力なライバルが現れたじゃん? ここは牽制も兼ねてガンガンいこうぜ! と思ってね、ハガレ○だけに」

 

「意味不明ーー!! ていうかそもそもハ○レンって別にそんな話じゃないだろ、アタシも詳しくないけど!」

 

「ユッキー知らないの? 古い方のアニメは最終的に錬金術を奪おうとするパラレルワールドの軍隊と闘ってたんだよ」

 

「知らねぇーー! 多分ほとんどの人は古い方は曲しか知らねぇ! なんならアタシだってメリッ○とリライ○しか知らねぇーー!!」

 

「お、おいユッキー、アタシらがリラ○トって言うと別の作品みたいだから止めようぜ……」

 

「お前らなぁ、こんな状況でなにいつも通りイチャイチャしとんねん!」

 

「今はイチャイチャしてねぇーー!」

 

「今は、って言ったわね」

 

「うんうん」

 

「訂正ーー! 今も昔もイチャイチャなんかしてねーー!!」

 

「みなさん、助けてくれた方々の前で失礼でしょう! この國見タマ、あまりユルユルすぎるのは良くないと思います!!」

 

「お前にツッコまれると思わなかったよ、なんだこの惨めな気分は」

 

「でもそうだよな、見ず知らずのあたしたちに加勢してくれた人らの前で失礼だったよな」

 

 とても神妙な顔をした月歌が改めて梨璃の方に向き直る。そしてそのまま重苦しく口を開き……

 

 

 

 

「てへぺりんこ!!」

 

 

 

 

「止めろぉおおおおお!!!!!」

 

「うわっ、びっくりした」

 

「お前こっちの世界にケンカ売りにきたのか!? イラつかせて向こうから手を出させる誘い受け戦法か!? それで正当防衛だっつって後からボコすヤンキーかなんかか!?」

 

「ゆ、ユッキー落ち着いて、こっちの世界とか言っちゃってるから」

 

「わ、悪い、確かに良くなかったな」

 

「ユッキーのうっかりてへぺりんこさん♪」

 

「うがああぁあああああ!!!! いい加減にしろーーー!!!」

 

「ぎゃー! ユッキーが壊れたー!」

 

 

 

 

「あ、あはは……なんだか楽しい人たちですね」

 

「ただの不審者じゃありませんこと?」

 

 

 

 一柳隊もそれなりに緩い雰囲気のレギオンではあるが、それ以上にグダグダでゆるゆるの月歌たちを前に、流石の彼女らも困惑しているのだった。

 

 




補足すると月歌たちがセラフ呼び出した時のワームホールはタッチの差で見られてません。◇で囲んだ部分は微妙に時間が巻き戻ってる感じです。
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