リリィバーンズレッド   作:ハルホープ

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アッサリ異世界転移を受け入れるリヴァイ兵長は偉大。


コラボ先の世界観の把握イベントは意外とめんどくさい

 

 梨璃や夢結からの誘いを受けた月歌たち31Aはスムーズに百合ヶ丘に招き入れられ、今は少々手狭ながら与えられた一室で休んでいた。

 

「至れり尽くせりのユルユルですね!」

 

「というか、上手いことあたしらの素性を勘違いしてくれたんだろうな……怪しすぎて逆に深読みしてくれたみたいだ」

 

「最悪ここで何日か立て籠もっていれば、そのうちワームホールが開いて元の世界へ帰れるわね」

 

「なんにせよ野宿しなくて済んだのはうれしー! セラフもしまってさっさとシュワシュワ♪ シャワシャワ♪ しようぜ!」

 

「待て月歌、セラフはしまうな。アレは呼び出すのに一々派手だからな、なるべく携帯してよう」

 

 いまいちどんな世界かも分かっていないのに戦う度にあんな大きなワームホールを呼び出していては目立つなんてものではない。

 百由がワームホールを特殊なケイブだと思っていることまではユキも知らないが、結果的にこの判断は最善だった。

 

「それに、梨璃さんたちはずっと武器を持ったままだった……多分私たちみたいに、ワームホールにしまえないんじゃないかな」

 

「東城のセラフ以外デカいから出しっぱは不便やけど、しゃーないか」

 

「ふふん、諜報員はいざという時の武器はコンパクトに隠し持ってるものなの!」

 

「ドヤ顔のとこ悪いけど上手いこと言ってるようで実はこの状況と何一つ噛み合ってないからな」

 

「私のセラフはそこまで大きくないですよ?」

 

「使い手の身長で言えば相対的に一番デカいのは多分お前だけどな」

 

「ち、小さくないし!」

 

「おいタマぁ!!!」

 

「は、はいぃ!!」

 

「ちびっこいのがデカい武器持ってる方がギャップがある」

 

「むしろステレオタイプ過ぎてもはやギャップなんてないわ、あと慰めてるようで小さいのは全く否定してないからな」

 

「うん……私の好きなゲームでもそういうキャラ、よく出てくるし」

 

 

 そうしてやいのやいのといつも通り騒いでいた月歌たち。だが突然、彼女たちに与えられた部屋の扉が開く。

 

 

 

「一応軟禁されてるってのに、随分元気そうだね」

 

 現れたのは安藤鶴紗。どうやら彼女一人だけのようだ。

 

「あれっ、たっさんじゃん!」

 

「たっさん?」

 

「うん、尊敬の念を込めたさん付けと親しみを込めた『ん』付けの合わせ技」

 

「……まぁいいや、一応百合ヶ丘にも建前ってのがあるから手短に要件だけ言う」

 

 マイペースな人間に振り回されるのは慣れてるからか、月歌の変なあだ名にも動じずに鶴紗は言う。

 

「明日、あんたらには身体検査を受けてもらう」

 

「まぁ、そりゃそんくらいはするわな。流石にこれだけの待遇を受けて何も対価がないわけがない」

 

「そんな! 等価交換かよ! ハガ〇ンのほんとのテーマは無償の愛なんだぞ!! たっさんまでハ〇モバに手を貸すってのか!」

 

「お前は頼むから少し黙っててくれ、ていうかまだハ〇レン引っ張るのかよ」

 

「アンタらはスキラー数値とかが普通のリリィと違うかもしれないけど、それはこっちも薄々分かってるから変に構えなくていい……百合ヶ丘の人たちは、いい人たちだから」

 

「スカラー量がどうかしましたか?」

 

「國見は國見でここぞとばかりに理系に強い人感を出してくるなよ」

 

「感じゃなくて本当に強いんですが!? むしろそういう風に作られたんですが!?」

 

「……作られた……やっぱりね」

 

「ちょっ、馬鹿!!」

 

「え? モガぁ!?」

 

 眼の前に鶴紗がいるのに自分の出自に繋がることを言い出したタマの口を塞ぐユキ。

 

「おい和泉、タマのこと馬鹿呼ばわりすんなや!!」

 

 しかしそこに、めぐみのサイキックがバチッと音を立ててユキの手に当たった。

 

「痛った!? サイキックの静電気か!? いや今は馬鹿って言うかアホって言うかとかそんなこと言ってる場合じゃないだろ!」

 

「ユッキー、おタマさんのデザイナーベビーがダメならめぐみんのサイキッカーも多分アウトじゃね? 怪しまれるかもよ?」

 

「そうだったーーー!! アタシとしたことがー!! 逢川のは天然の力だから意識が及ばなかったーー!!」

 

「こっちにもユ〇ゲラーがいるなら誤魔化せるかも! ほらめぐみん、ハンドパワー!! 来てます来てます!!」

 

「それは別の人ーー!」

 

「はっ、気にすんなや和泉! もうとっくにサイキックを雨嘉に見せてもーたさかい!!」

 

「敢えて言うけどやっぱりお前ら馬鹿ばっかーー!!」

 

 ユキの悲鳴のようなツッコミが、部屋に木霊した。

 

 

 

 

 

「……ここはいい人が多いとは言ったけど、それはそれとしてアンタらはもう少し用心深くした方がいいと思う」

 

「くぅ、アタシまでお笑い枠だと思われちまったじゃねぇか……!」

 

 自分まで呆れたような目で見られることにめちゃくちゃ納得のいってなさそうな悔しげな顔を浮かべるユキ。

 

「アンタらのラボがどんな所か知らないけど、とにかく、今後の身の振り方を考えた方がいい。もしも移籍するなら、協力できると思う……それじゃ」

 

 そう言って部屋を出ていく鶴紗。

 

 

 

「なんだかドッと疲れたな」

 

「でも鶴紗さんのおかげでなんとなく私たちがどんな風に思われてるか分かりそうです!」

 

「そうだな、でもまずは情報を集めないとな……正直、なにをあんなに気にかけてくれてるのか分からん」

 

「たしか視聴覚室から貸し出したとか言ってたパソコンがあったよね? 

 

「ああ、あのやけに古い型のやつな」

 

 ヘブバンあるある、ユッキーがデンチョ以外の機械弄る時は大体古い機械。

 

 

「流石に色々制限はされてるだろうが……一般的な検索エンジンくらいなら使えるようになってるな」

 

「さっすがユッキー、ナーイスハッキーング!!」

 

「ハッキングしてねーわ最初から使えたわ」

 

「ねぇ、さっきのキャンサーに似たモンスターのこととか、百合ヶ丘のこととか……この世界について調べてみない?」

 

「せやけどウチらが知りたいようなこっちにとっての常識って、逆になんて調べたらええか分からへんとちゃう?」

 

「まずはキャンサー、CHARM、百合ヶ丘といった聞き慣れない単語から調べて、そこから派生して調べていきましょう」

 

「そうだな、ちょっと待ってろ、今調べる」

 

「ねぇねぇユッキー、シークレットタブで検索した方がいいんじゃない?」

 

「家族パソコンでエッチなこと調べる中学生か、そりゃログくらいは漁られるかもしれないが、今さら検索履歴が少し変なくらいでこれ以上怪しまれないだろ」

 

 途中で「活字大好きな私の出番ね……やっぱり無理! 歴史上の出来事がズラーっと並んでるの見ると頭痛い! なってやろう系が打ち切られた時の年表エンドは大丈夫なのに!」とかアホなことを言ってるのが1名いたが、ユキが順調にこの世界のある程度の情報を集めた。

 

「なるほどな……」

 

「ユキさん、何か分かった?」

 

「細かい所は大分違うけど、大まかに言えばこの世界とうちの世界はかなり似てる。まずあの化物はヒュージって言うらしい」

 

「ヒュージ……巨大という意味の他に、日本で言う『ヤバい』的なスラングもある言葉ね」

 

「突然現れたヒュージには現代兵器が通じない。一応小さいのには効くらしいが、大きいのが現れるとお手上げらしい。人類は次々と活動地域を狭められたが、今は人類の叡智の結晶である武器、CHARMが開発されたことで小康状態」

 

「ほんまに、うちらとほとんど同じなんやな」

 

「ガーデン……あたしらでいう学園基地がたくさんあって人類も結構残ってるみたいだがな」

 

 

「鶴紗さんの言ってたことはどうですか?」

 

「この世界にはマッドサイエンティスト……山脇はもちろん樋口よりヤバそうな研究機関があるらしくて、百合ヶ丘はそこと敵対してて実験台の保護に積極的らしい」

 

「なるほど、つまり、つまりえーと、整理すると……」

 

「キヒャヒャ……そうだゆっくり整理しろ、焦ることはない」

 

「うわっ、急にカレンちゃんになった!」

 

「私たちは、鶴紗さんに……いえ、百合ヶ丘の人たちに、その危ない組織の実験台だと思われてる!」

 

「そうだその通りだ、よく頑張ったなぁ」

 

「やった! 私、やったわ!」

 

「相変わらずカレンちゃんに孫娘のように可愛がられてんじゃねぇか……」

 

「でも、どうしてセラフの攻撃が効いたんだろ? CHARM以外の攻撃は大きいのには効かないはずなんだよね?」

 

「今度は急に朝倉になったな!? ま、まぁこれだけ似てる世界なんだ、多分、セラフとCHARMは本質が同じなんじゃないか?」

 

 むしろコラボだってのに最初はラージ級に攻撃が通じなかったなのはイベみたいなのの方が律儀過ぎる説。

 

「考えてみれば、私たちはセラフについて知らなすぎるのよね……」

 

「軍の秘匿している情報が多いのは分かってたことだろ」

 

「軍の秘匿……ねぇ、おかしいと思わない?」

 

「なにがだ東城?」

 

「やっぱり、この世界はあまりにも私たちの世界と似すぎている。それなのに一つだけ、どうしても気になる違いがあるの……」

 

「おいみんな、やべぇよ見ろ! ここテレビ映るぞ! うちみたいに昔の映画とか番組流してるんじゃなくて新作の生放送だって!」

 

「生放送!? なーんそれ!?」

 

「まったくはしゃぎ過ぎよ。私たちよりは余裕のある世界なんでしょ、テレビくらいあってもおかしくないわ」

 

「あれ? ねぇ、この雑誌に載ってる女の子、さっきつかささんが話してた子じゃない?」

 

「え? そんなまさか……って本当に神琳さんだわ!? え、私本業のモデルの前であんなに得意げに美容について語ってたの!? なんだか急に恥ずかしくなってきた!」

 

「ハッ、普段もっとしょーもないことしとるくせに、なにを恥ずかしいことがあんねん」

 

「逢川さん、貴方ねぇ」

 

「なんや神琳の目ぇが綺麗か!?」

 

「うん綺麗」

 

「とにかく今日はいきなりパラレルワールドになんて来て疲れたし、さっさとシュワシュワ♪ シャワシャワ♪ しよう」

 

「ええ、そうね、私もクタクタよ」

 

「諜報員ー!! なにかに気づいたんだろ、テレビ番組やら雑誌くらいで忘れるなーー!!」

 

「え?」

 

「似たようなくだり前もやったー!!! いいからさっさと気づいたことを話せーー!!」

 

「ねぇ、おかしいと思わない?」

 

「そっから始めるのか……」

 

「私たちがこんなに似た世界にいるのはおそらく偶然じゃない。何らかの法則性によって明らかに似たパラレルワールドに飛ばされたんだわ」

 

「たしかにそうとしか考えられないな」

 

「この世界のセラフ、CHARMには少女しか使えない理由がハッキリあるのに、セラフ部隊に女の子しかいないのは男性が別の基地にいるだけなんて……やっぱりおかしいわよ」

 

「待て待て、七瀬が嘘を言ってるってのか? いくら類似点が多いとはいえパラレルワールドだ、セラフ部隊にも女しかいない隠された理由があるってのは飛躍しすぎじゃないか?」

 

「それもそうね! きっと気にしすぎね!」

 

「アッサリすぎーー!! 気にするなって言ったのはあたしだけど、いくらなんでも気にしなさ過ぎだーー!!」

 

「どっちにしても、推測しかできない事を今考えても仕方ないんじゃない?」

 

「まぁな……とにかくこっちにもあんな化物がいるんじゃ、避難先を探してるお偉方の期待通りにはいかなそうだ」

 

「なんやねん無駄足かいな」

 

「いや、司令官も言ってたが、あのCHARMって武器を調べてあたしらの世界でも再現できれば、セラフ部隊とは別の戦力ができるかもしれない」

 

 

 そう言ってカタカタとパソコンを操作するユキ。

 

「とはいえ……ちっ、流石にただの検索エンジンじゃ大したことは乗ってないな」

 

「どうするの? ナイスハッキングる?」

 

「どんな動詞だよ……今は被害者だと思ってくれてるが、下手に探ってスパイかなんかだと怪しまれる方が問題だ、今は大人しくしておこう」

 

「よっしゃ! そうと決まればさっそくお風呂イベントだ! 世界観の擦り合わせなんかカクカクシカジカで済ませてさ! シュワシュワ♪ シュワシュワ♪」

 

「盛り上がってる所悪いが流石に軟禁してる体の部外者に大浴場は使わせないと思うぞ」

 

「月歌ちゃーーーん、ショック!!」

 




原作アサルトリリィにしたくせにヘブバンのキャラばっか書いてんなコイツ
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