ベノムハウンド/エメラルドクライシス   作:サバ缶みそ味

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5話.踊れない捜査線

「さてと…次はっと」

 

 あちら側の情報と証拠の方は鳰に任せてお次は自分なりに捜査してみるか。というわけでレキを連れてやってきたのは警視庁。

 

「警視庁…?」

 

 レキが珍しく首を傾げた、かわいいな。たしかに警察と武偵じゃほとんどが違うし、武偵の方が武装してあちこち動けるから武偵庁の人間をあまり良く思ってない人が多い。だから捜査としてここに来るのは誰もがお門違いだ。

 

「ちゃんとアポ取ってっから。入っても追い出されはしねぇさ」

 

とはいっても仲悪い間なもんで白い目で見られるのは違いない。知り合いは中にいるし目立たないようこそっと行くとしますか。

 

 さっそく入って人混みを通り抜けて目的の場所へ。たどり着いた場所は捜査一課。中は厳ついガタイがいいおじさん達がわんさか。たぶんこの中に……あぁ、いたいた。

 

「歩さーん、六さーん!」

 

 厳つい男達の中に向けて手を振る。厳つい男達の中でヤのつきそうな顔たちをした男性とゆで卵のようにつるっとした頭の男性がやってきた。

 

「よう!ノブツナじゃねぇか!元気してたか?」

「なんだ、アキオが言ってた助っ人つぅのはお前さんのことか」

 

 久々の再開に二人が嬉しそうにわしゃわしゃと頭を荒々しく撫でる。どやされるどころか歓迎されている様に不思議そうにレキが見ていた。あー、説明してあげないとな。

 

「レキ、この人は寺島歩さんと六半直政さん。中学時代世話になった人達だ」

 

 二人はアキオの親父さんの古い友人であり、中学時代俺とアキオは歩さんの家に居候し世話になり、六さん達の捜査に協力し点数稼いだおかげでなんとか進学できた。

 

「おいおいノブツナ!誰だこのかわい子ちゃんは!お前のあれか?」

「ノブも隅に置けねぇなあ。あんなこんまかったガキが今やめんこい娘を連れてくるとは」

 

「茶化さないでくださいって。彼女はレキ、捜査に手伝ってくれるの!」

 

 レキは静かにペコリとお辞儀をする。歩さんはニヤニヤしながら俺を小突く…だから茶化さないでって!はやく本題に入ろう。

 

「それで、捜査の方はどうなってんです?」

 

「そうだったそうだった。此方に来てくれ」

 

 六さんが俺達をデスクの方へ連れて行く。歩さん達以外の厳つい男達の輪の中に入ることに…他の刑事さん達の視線が俺とレキに集中する。圧が、圧がじわじわくるなこれ。

 

「はぁ、警察学校の若い少年少女はみーんな武偵校に引っこ抜かれちまうからなぁ~…レキちゃんみたいな美人がうちのとこに入ってきてくれねぇかなぁ~」

「それなりに女性警官もいるじゃないですか。早く本題!」

 

 ちぇっと歩さんは口を尖らせながらホワイトボードを引っ張り出す。

 ホワイトボードには事件の写真が6つ貼られ、日付けと詳細がやや汚い字で書かれている。

 

「ノブツナ、知ってるだろうが今は『武偵殺し』の捜査を行っている。この『爆破事件』と『武器密輸組織』の2つだ」

 

 3つは爆破事件の写真、爆弾によるチャリジャック事件だ。どれも未遂で終わっているが…ちゃんとキンジが襲われた事件の写真と詳細が載ってあるな。

 もう片方は武器密輸組織による事件。捜査中の武偵が2名襲われたと聞いたが、他にも武偵が警備している武器を管理している施設を襲撃、大量の銃器を奪われたようだ。

 襲撃犯達は全員黒い衣装に黒いフルフェイスのマスク着けて身元をバレないようにしている。

 

「どっちの事件も世間じゃ『武偵殺し』って呼ばれちまってる。そのせいかお上の連中はよく思ってねぇ」

 

 六さんの言う通り、過去に『武偵殺し』の事件があった。こっちは警察が犯人を捕まえて無事解決と聞いたけども六さん達は解決と思ってなかった。

 

「あれは犯人にしちゃお淑やかすぎる。でもなんでか証拠が揃ってたんだよなぁ…」

「六さん、この2つの事件との関連性は?」

 

 方や爆弾、方や襲撃、見たところ全く関係なそうにみえる。

 

「実のところ3件目の爆弾事件でセグウェイに取り付けられていた銃器が襲撃され強奪された銃器と一致したんだ」

 

 ここで2つの事件が繋がったというわけか。しかし如何せん違和感を感じる。

 繋がるとすれば犯人は同一人物というわけだが何故3件目で一致するのか…

 

「主犯が同一なのか別々なのか…今悩んでいるところさ」

 

「3件目で一致したってところが気になりますね…」

 

「ノブツナが気になるってところは勘が当たるってことだ!」

 

 歩さん張り切りすぎだって…一致とすれば3件目で本腰を入れた?狙いはキンジって訳だがまだ情報が少ないし早とちりかもしれない。

 

「狙われたのは遠山……ん?『遠山』って確か……」

「六、なんか気づいたのか?」

 

「ほら歩、確か去年の事件の……!」

 

 六さんは何か気づいたようだ。キンジと関係しているとすれば…!

 

「歩さん、去年の事件ですよ!六さん、資料って何処です?」

「資料室にあるぞ。行こう!」

 

「いやおい!二人で勝手に納得して行くなよ!な、なあ嬢ちゃんもわかってないよな?」

 

「……」

 

「って、無視かいな⁉」

 

______________________

 

 そんなこんなで鍵を開けて資料室に入る。過去の事件の記録が納められているだけあって中は広い。

 

「な、なあお前らだけ納得してねえで早く折れにくい分かるよう教えろよ~」

 

 歩さん、分かってないの?ここまで来れば分かると思うんだけど…

 

「ノブツナさん…誰かいます」

 

 いきなりレキがドラグノフを構えた。確かに鍵を開けて入ったのに先客が潜んでいる気配を感じるな。ホルスターから銃を引き抜いて気づかれないよう進む。

 

「挟み撃ちにします…俺は右から、六さん達は反対方向からお願いします」

 

 六さん達は「マジでいるの?」とぎょっとしながら進む。出入り口はレキがドラグノフを構えてスタンバってるから逃げられはしない。

 気配の元に慎重に進みながらだんだん追い詰めていく。よし、この距離なら……勢いよく出て相手の虚を突く!

 

 

「動くな‼」

 

「うひゃあっ!?」

 

 は?うひゃあ?少し情けない声を上げて尻もちをついた気配の主を見下ろす。

 

 なんということでしょう。気配の主は我らが武偵のアイドル(?)理子であった。

 

「なんだ、理子かよ」

 

「なんだとはなんだよぉ‼びっくりしたじゃない‼しかもノブちゃんとレキュのコンボってズルくない!?」

 

 理子はプンプンガオーと頬を膨らませながらバシバシと叩く。正体が知り合いだとわかると六さん達も苦笑いする。

 

「なんだノブツナの知り合いかよ。まためんこい子だな」

「つくづく武偵校が羨ましいと思うぜ……」

 

「それで、お前はどうしてここにいるんだ?」

「えーと、キーくんに頼まれたんだよー!『武偵殺し』について調べてくれって」

 

 なんだお前もか。確かに当被害者のキンジも気にはなるだろうしな。

 

「だったら話は早いな。俺らも『可能性事件』を調べてんだ。」

「げっ!?ノブちゃんとレキュも!?」

 

 おい、なんだその嫌そうな顔は。こちとら今週中にSランク任務を済まさなくちゃ退学されるかもしれねぇんだぞ

 

「丁度いいじゃないか。えーと資料は…これだ」

 

 『可能性事件』というのは今起きた事件が前にあった事件と関連性があるかもしれない事件のことである。

 

「警視庁が『武偵殺し』の事件と関連性があるかもしれないって言うのが一年前に起きた『豪華船舶沈没事故』だ」

 

 一年前の12月、豪華客船アンベリール号に爆弾が仕掛けられ爆発を起こし沈没した事件。乗客は全員脱出できたが、彼らを脱出させて爆弾の解体をしようとしていた武偵が1人犠牲になった。確か名前は…

 

「遠山金一…キーくんのお兄さんが亡くなった事件だね」

「あー、確かそんな名前だったな。男女?女男のイメージしかなかった」

 

 金一さん、結局男なのか女なのかわからないままいなくなっちまったもんなー…

 キンジ、あの時はまいってたよな。あいつを叩くマスゴミがあまりにもうるさいんで俺が消火器を噴射させまくって爆竹と腐った卵を投げまくって追い払ったことしか記憶にない。

 

「なあ、なあ、可能性事件つうことは今回の爆弾魔が武偵殺しの真犯人ってか!?」

 

 歩さん、やっと気づいたようだ。六さんは難しい顔して資料を見つめる。

 

「爆弾魔の可能性があるがこいつをしょっ引けば襲撃犯にも繋がるだろう」

 

「手掛かりは一年前の事件。関連あるとすれば…」

 

「……乗り物、でしょうか?」

「わお、レキュ鋭いね!」

 

 関係あるとすれば乗り物か。一年前の事件は船に仕掛けられ、今回の事件は自転車だ。

 

「今は自転車で規模は小さいがどんどんデカくなるのかもな……」

 

「次はタクシーかバスだったりしてな!」

 

 ガハハ度歩さんは笑う。マジでなりそうだから怖いな…後は関係あるとすれば……

 

「狙いはキンジか?」

 

 狙われたのは『遠山』の人間…次もあるとしたらまたキンジを狙うだろう。だけど目的がわからないな。なんでキンジを狙うんだろうな?

 

「よっしゃ、そうとくれば『遠山金次』を張り込みして様子見だ」

「ノブツナ、知り合いだしお前にも協力してくれねぇか?」

 

「勿論、任せてください!」

 真の武偵殺しの犯人をとっちめて襲撃事件の犯人との関係性を暴く。うん、一石二鳥ってわけだ。

 

 

____________

 

「いやー、ノブちゃんのおかげで情報収集できたよー!」

 

 警視庁を出て理子はキャピッとあざとくウィンクする。それに対し俺は真顔で理子にチョップをお見舞いする。

 

「忍んで来るな。コソ泥じゃあるまいし今度はアポ取って来やがれ」

「むぅノブちゃんの意地悪ぅ!レキュに食費全部取られちゃえ!」

 

 理子はあっかんべーとした後にゃはっとあざとく笑って去っていった。

 ああ見えて情報収集の腕はピカいちだもんなぁ……ん?情報収集してたって言ってたが、あいついつから警視庁に潜んでたんだ?

 そう考えると理子もなかなか恐ろしい奴だな…敵に回したら厄介だ。

 

「ノブツナさん…」

 

 ふとレキが袖をツンツンと引っ張る。はいかわいい。レキは何か気づいたのかな?はいかわいい。

 

 

「……お腹すきました」

 

「」

 

 

 そっちかぁぁぁ……俺の財布もつかなぁ……

 

 

 

 その後、レキにめちゃめちゃ食費絞られた。

 

 




駐在さんやドクター彦次郎もけっこう面白くて好き

六平さんも刑事役イイ…
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