ベノムハウンド/エメラルドクライシス   作:サバ缶みそ味

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 やっとこさ戦闘パート……


7話.必殺、お仕置き人

「な、なあ、予定と違うやつが出てきやがったぞ?」

 

 突然、黒ずくめの連中のひとり、食べすぎて太った熊みたいな体格で派手な虎髭を生やした大男が隣りにいる男に不安気に話しかけていた。

 

「少なくとも途中まで成功していたが失敗したということだ。我らは時間稼ぎだろう」

 

 痩せ型の真面目そうな顔をした男は冷静に語る。なんだろうか、仲が悪そうな雰囲気が漂うな……

 

「じゃ、じゃあ俺達は使い捨てってことか⁉」

「使い捨てではない。あくまで罪を擦り付けるためにひと役買うだけだ」

「な、なんだぁ!そういうことか‼じゃあ納得だぜ!」

 

 焦りを募らせる虎髭の男に対して真面目そうな男は虎髭の男を冷静に宥める。虎髭の男は納得して落ち着きを取戻すと咳払いをして俺をあざ笑うかのように睨みつけてきた。

 

 見た目に反して頭悪そうだから怖くない……

 

 

「…おうおう‼まさかてめえ一人で俺達を相手しようと思ってんじゃねえよな?」

 

 最初のくだりのせいか挑発になってない…てかバスから一人降りてお前らの前に立ってんだぞ?

 べたすぎるシチュエーションだよね。言っても無駄だろうから、鼻で笑って返す。虎髭の男はギロリと睨み付けさっそくHK416を構える。

 

「調子に乗ってんじゃねえぞこのクソガキィィっ‼」

 

 虎髭の男の怒号を皮切りに連中は乱射してきた。

 

 突然話は変えるけど、豚に真珠、猫に小判という諺はご存知だろうか?

 いくら価値があるものでも価値を分からない者に与えても意味はない事。

 いくら性能がいい銃をあげても戦闘力は上がるけども、それ以上の相手に挑むのには無駄である。

 

 一呼吸を置いて駆ける。蛇行するように駆けて飛んでくる銃弾の間を縫うように躱す。

 LARグリズリーで相手の肩、腕、足を撃ち抜く。一番威力の低い武偵弾だけどもその中でもマグナム系だからそうとう痛いので相手はのた打ち回る。

 命あっての物種、死にはしねえし後で処置してやっからそこで寝てなさい。

 

「あと16」

「このやろおおおっ‼」

 

 躊躇わず狙ってくるは虎髭の大男とその周りにいる部下であろう連中。あそこでごちゃごちゃされてはなぁ…かっこうの的だ。

 残りのスタングレネードの全てピンを引き抜き一気に投げつけバンの後ろへ隠れる。

 

「やべっ⁉下がれっ‼」

 

 虎髭の男が叫んだ直後に爆破と耳鳴りしそうな高音が響く。

 

「うわああああっ!?」

「目が、目がぁぁぁっ?!」

 

 複数の悲鳴が響くとバンから飛び出してスタグレで怯んでのたうち回っている奴らに撃つ。

 

「あと10」

 

 隠れきれてなかった奴らは短い悲鳴をあげて倒れていく。そこでゴロゴロしてなさい。

 

「怯むな!狙い続けろ‼」

 

「うおっ⁉あぶねっ⁉」

 

 慌てて再度バンな後ろに隠れる。虎髭の男も連中もしつけえな。あ、さっきのスタグレ全部使うんじゃなかった。テヘっ…じゃねえよ!

 

「面倒くさいなぁ…無理矢理突撃するか?」

 

 残りの弾数を確認しながら様子を覗きながらそんなこと考えていると、突然撃ってきている敵がひっくり返って倒れた。

 

「ひでぶっ⁉」

「あべしっ⁉」

 

 しかも一発だけじゃない、次々と立て続けに倒れていく。

 

「な、なんだ!?狙撃!?」

「一体どこから‥‥」

「あ、あの向こうに飛んでるヘリか!?」

 

 あと9、8。レキ、ナイスアシスト。遠く離れたところで飛んでるヘリからの狙撃に連中は驚いている。

 

 聞いて驚け、俺のパートナーのレキは学園最強の天才の狙撃手、『殺傷可能範囲(キリングレンジ)』は2051mだ。

 

『ノブツナさん、突撃してください』

「ありがとうよ。ぱぱっと片付けるぜ」

 

 拳銃をホルスターに納め、愛刀を引き抜き駆ける。距離を詰めればこっちのモノ。

 相手の銃を斬り、斬られて驚いている隙に横腹を峰打ち。ナイフに取り換えて襲ってくる奴の攻撃を躱して背を峰打ち。

 

「このやろっ‼」

 

 虎髭の男が銃器の手持ちを持ち替えて鈍器を振るうように振り回してきた。刀で銃器を受け流し奴の手の甲を狙って刀の峰で強く打つ。

 

「あがっ⁉」

 

 虎髭の男は苦悶の表情を浮かべて手から銃を落とした。前屈みになっているところを奴の顔めがけて回し蹴りをお見舞いする。

 

「ふごべっ⁉」

 

 虎髭の男は体をギュルっと回転しながら宙を舞って地面にぶつかり倒れる。

 

「よし、あと5」

 

 もう一人痩せ型の真面目そうな男は残りの部下達と共に下がりながら撃ってきた。

 乱射してくる奴には倒れている奴のナイフを拾って膝小僧を狙って投擲。呻いてる隙に踵落としをお見舞い。

 

「あと4」

 

 刀を投擲。相手の股間を掠め相手がちびっている隙に踵落とし、あと3。

 一人が隙きを狙ってアサルトを撃つ寸前にレキの狙撃に撃たれる。あと2。めんどい、LARグリズリーで肩、足を撃って寝かす。

 

「あと1…あんただけだがどうする?」

 

 俺はグリズリーをホルスターにしまう。残りは痩せ型の男だけだ。しかし痩せ型の男はこの状況に観念せず首を横に振った。

 

「あくまで時間稼ぎだからな…足掻くだけだ」

 

 銃を構えて撃とうとしたその刹那、バシュっと鈍い音が響くと同時に仰け反って倒れた。

 

 レキの狙撃だ。俺が銃を引き抜くよりも速かったな……ま、これで片付いた。

 

『標的、鎮圧です』

「ナイスアシスト、助かったぜ。後始末はやっておくから戻ってくれ」

 

 ヘリが去って行くのを見送った俺は背伸びして地面に突き刺さっている刀を引っこ抜いて鞘に納める。

 さてと、後は他の武偵が駆けつけて後片付けしてくれるまでここで待っておこうか。

 

「なかなかやるじゃないか‼」

 

 ふと五月蝿いくらい元気すぎる声が聞こえたので振り返…る前に、殺気がしたのでしゃがむ!

 

 ブオンと鈍重そうな金属が空を切る音が頭上を過ぎる。あぶない、身を翻して伺うと目の前に刀の刃が迫っていた。

 

「うおぃっ!?」

 

 サッと横へ躱して後ろに下がる。危なかったぁ…

 

「うんうん!元気があってよろしい!」

 

 短い黒髪で日に焼けた肌の筋肉質の大男が分厚い刃のある薙刀を構えてニコニコしていた。まだ一人隠れていやがったか。なんというか体育の先生みたいな奴だな……

 

「隠れてみてるたぁ随分といい身分で」

「身分も何も僕は仁田ティモンという者だ!」

 

 名乗っちゃたよこの人。なんだかお笑い芸人みたいな名前だな。

 

「知らないな。どこの組織のもんだ?」

 

 おそらくだが使われた銃器や武装からして武器密輸組織で間違いないだろう。口の軽そうな奴だから喋ってくれると嬉しいのだけど…

 

「それはね……あっ、教えるなって言われてた」

 

 ちっ、おつむは悪そう見えるから喋ってくれるかと思ったがそう軽く吐いてくれる相手ではなさそうだ。

 

「だったらとっちめて吐かせるだけだな!」

 

「よし‼じゃあかかってきなさい‼」

 

 満足気に頷く仁田ティモンは薙刀を力いっぱい振り回してきた。

 しまったな、レキを帰らすんじゃなかった。まいた種だ、責任もって片付けておこう。んで、頑張ったとレキに撫でてもらおう。

 

「でえぇいっ‼」

 

 仁田ティモンは怒声と共に薙刀を両断するかの如く上から振り下ろしてきた。横へ躱すと足を狙って下段から横へ薙ぐ。

 

「っと!」

 

 下段からの薙刀の刃を宙返りして躱すとブオンと鈍い音が空を切る。思った以上のパワータイプの敵だな…銃で制したいが弾数は少ない。相手を仕留めきれるかギリギリのところか。

 

「しゃあないか…!」

 

 薙刀の突きを体を翻すと同時に刀を抜いて構え、相手の動きを探る。

 

「はあああっ‼」

 

 仁田が再び怒声を上げて薙刀を袈裟斬りに薙いできた。襲いかかる分厚い薙刀の刃を刀で受け止めると柄を握りしめている手に鈍い衝撃が走る。

 ぬぐっ…パワータイプは面倒くさいから受け止めたらすぐに反撃しないとな!

 

「ふんぬっ!」

 

 力を込めて刀を振るい弾かせる。ガチッと硬い音を響かせ薙刀の刃が弾かれるや否や薙刀の柄の部分を狙って刀を振り下ろし斬り落とす。

 

「なんとっ⁉」

 

 一瞬にして薙刀を斬られたことに仁田が驚愕して動きが止まったのを見逃さない。刃を持ち替えて相手の顔面に峰打ちする。

 

「ぶぬふっ⁉」

 

 顔面を強打した仁田は顔を抑えて数歩下がるが体力と気力があるおかげか刃を落とされた薙刀、もはや太い木の棒を力強く振り回す。

 

 

「しぶてぇな…だがこいつで終わりだ!」

 

 振り回してきた棒を刀で受け流して一気に迫り、腹に峰打ち。怯んだ所を脳天めがけて峰打ちをした。

 仁田はガクリと膝をついてドサリと倒れた。これで仕舞だよな…辺りを見回し敵はいないことを確認して刀を鞘に納めた。

 

「っしゃ、一件落着だな」

 

 一息ついて携帯で時間を確認……もう授業の時間じゃねぇか。後はこいつら全員を縄かなんかで縛っとかないと。その費やす時間を考えると……

 

「……遅刻確定じゃん」

 

 

 __

 

 

「いやー、なんとか?バスジャック阻止して武装集団を捕えたんですよー?」

「確かにな…一応Sランクの任務も熟したし、良しとしよう」

「ですよね、ですよね?だけど…」

 

 はい、今俺はいるところは武偵校の事務室。近くには蘭豹先生の親友、綴梅子先生がいらっしゃる。

 んで、俺は机に座って目の前に置かれている白紙を目の当たりにしています。

 

「始末書を書くことはないんじゃないですか⁉」

「確かにバスジャックを阻止して武装集団を捕えた…だが、レインボーブリッジを封鎖してどうする!」

 

 あ、そうだった。ドンパチして彼方此方壊しちゃったからレインボーブリッジは交通不可能になって通行に大きな痛手を与えちゃったんだ。

 遅刻は免除してくれたからここは真面目に始末書を書くしかないか…!

 

「先生、真面目に書きました」

 

「おい、真面目に書いたのが『ゴメンヌ』の五文字だけかよ」

「いやー、その一言しか思い浮かべませんね」

 

 綴先生はため息をついて座る。すまない先生、真面目に考えてもその一言しか言えねえんだけど。

 

「わかったわかった…あとはやっとくからよ。どうせ煙幕を撒き散らして逃げるんだろ?部屋中を煙だらけにすんのは勘弁だ」

「さっすが綴先生!わかってらっしゃる!」

 

 俺は一礼して颯爽と部屋を出る。あーよかった、逃げる準備してたし怒られる覚悟でいたから安心したぜ。

 

 さてと、そそくさと携帯を取り出し電話を掛ける。

 

『はーい、こちたら鳰ちゃんっス‼』

「よう、証拠の方はどうだった?」

 

 

『鑑識科が全部回収したみたいッスね。でもそれといった手がかりは見つけられなかったようッス」

 

 まあそうなるわな。犯人はよほどの完璧主義のようだ。

 

『でも、うち面白いものを見つけたッスよ?』

「おっ?どんなの見つけたんだ?」

 

『ハイエースバンは爆弾魔が用意したものだとわかったッス』

「そう判断したのはなんだ?」

『一台のハイエースバンの運転席に一本だけ、金髪の髪の毛が落ちてたッス』

「おいおい、バンに乗ってたのは襲撃犯達だけだろ?金髪の奴なんて一人や二人いたんだぜ?」

『ふっふっふ、聞いて驚けッス!その髪の毛、DNAで調べたら女性のものだったんっス‼』

 

 女性…今日戦った襲撃犯は全員男だったな。リストには女性は載っていないし…となると髪の毛の主は武偵殺しの爆弾魔の可能性があるな。

 もしや武偵殺しの真犯人は金髪の女性ってことか?それで武偵殺しと襲撃犯は手を組んだか?

 

 まだまだわからないことが沢山残っている。一つずつ整理しておくか。

 

 

「よっしゃ、鳰。次は捕まえた襲撃犯共を尋問にかけてくれ。連中の頭を掴むぞ」

『ラジャ―ッス‼』

 

 そのまま携帯を切る。今日の晩飯何しようか考えながら校舎を出ると校門でレキが待っていたのを見かけた。

 

「ノブツナさん、ご苦労様です」

「待たせたな‥‥アリアの奴はどうだった?」

「額に傷がついた以外大きな怪我もなく無事のようです」

「そっかー、まあ聞きこむのは後にすっか」

「それと…まだ武装犯が残っていたのならちゃんと私を呼んでください」

 

 …あれ?レキさん、なんか怒ってます?無表情でよくわからないんだが…

 

「あなたは今、私と手を組んでいます。それは自覚するように」

「ア…ごめんなさい」

 

 

 

_______

 

 

 

 

 

「よくも私の邪魔をしてくれたな」

 

 闇市で銃器や車輌をいい値で私に売りつけてきた連中にクレーム電話を掛けている。

 

 ほんと嫌になるよね……最初はアリアがやられてジュンチョーに進んでいた。

 だけどノブちゃんとレキュが乱入してくるし、二人が乱入してきた直後に売りつけてきた奴らが更に乱入してきて番狂わせ。   

 

 しかも私のいつ回収したのか髪の毛を車輌にわざと置きやがって…銃器火器管理センターと武偵の襲撃の罪を私に擦り付けようとしやがった。

 

『なんのことか、心当たりないな』

 

 は?電話の声の野郎はわざととぼけてやがる……キレそう。

 

『貴殿の目的と我等の目的…違えど目的の場所は同じ。問題はなかろう』

 

 こいつら…私の狙いの場所と一緒、つまりはこいつらは武偵の誰かを狙っているのか?

 だらかといって狙い場所は同じだから仲良くする気は全くない。

 

「私の狙いは『オルメス』ただ一人。これ以上私の邪魔をしたらたたじゃおかねぇからな!」

 

『邪魔をするつもりは毛頭ない。専念して励むといい』

 

 電話の主はそう言って電話を切りやがった。偉そうな奴……ほんとあったまくる!

 

「このままノブちゃんにボコられてしまえ」

 




 鎌倉殿の13人、ギャグもありつつホッコリしてると思いきやドロドロしてて面白い
 
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