転生した俺は、一般的な家庭に生まれた。割とてきと……強引に転生させられた身としては、生まれた瞬間は一体どんなやばい家庭に産ませられたのだろうと思っていたので拍子抜けだった。
俺はいたって一般的な家庭ですくすくと育っていき、小学校入学の日を迎えた。
……それまでのことを語るのは勘弁してほしい。理由は一つ。めんど……恥ずかしいからだ。
一つだけ言えるのは、この世界がどのラノベの世界で、転生特典が何なのかなどのことは、未だ一切分かっていない。何も起きていないとも言う。
そんなことを考えながら、俺は現在両親に写真を撮られていた。それはもう一杯に。
「択也ちゃ~ん!ほら笑って笑って~!」
「そうだぞ択也~!笑えよ~!一生に一度しかない写真なんだからな!」
親バカである。もう一度言おう、親バカである。ここまでずっと可愛がられてきたが、それが異常なのだ。前世でもこんなことはなかったぞ。
だが、俺はこの親に逆らえない。反抗期にはまだ早いのだ。小学校高学年辺りからなら、不自然ではないだろう。それまでは我慢の時だ。
「あっ!笑った!可愛い~!」
「よーし!そのままだぞ!あと20枚は撮るからな!」
「う、うん……」
いや多すぎぃ!どんだけ取るねん!あっ、関西弁でちゃった。
心の中でそう突っ込んだものの、止まる気配がない。小学校の前で撮っているのだが、そんなに多く撮ると他の人の邪魔になるのでは、という思考は我が両親には存在しないのだ。
しかも、もう式が始まる時間が近くなっている。しかし、俺には止められないのでどうすることもできない。
「ねえねえ。もうあと少しで入学式、始まりますよ?遅刻はいけないことだって、おじいちゃんが言ってた」
俺がなすがまま撮られていると、俺の両親に声をかける子供が現れた。誰だこのモンスターペアレンツ(我が両親)に声をかけるような勇者は!ありがとう!助けてくれてありがとう!
「な、なに!?もうそんなに時間がたっていたのか!?」
「択也が可愛すぎて時間のことを忘れてたわ!教えてくれてありがとうね!えっと……」
「天之河光輝です!」
……は?ちょっと待って今この勇者なんて言った天之河光輝だと?
嘘だっ!そんなことがあってたまるか!せっかく、なんや普通の世界やんけ平和でよかったとか思ってたのに!
ありふれた職業で世界最強かよくそったれぇ!普通に異世界ファンタジーで戦闘あるやん!
っていうかなんで最初にエンカウントするのが天之河光輝なんだよ!?普通は主人公の南雲ハジメとかヒロイン枠の八重樫雫とか白崎香織とかだろ!
「光輝君ね!家の択也ちゃんと仲良くしてあげてね~!」
「ほら択也!光輝君に自己紹介しなさい!」
なんでやねん(ハジメ風)
いや確かに自然な流れかもしれんが、俺はこいつと仲良くしたくもよろしくしたくもありません!だってめんどくさいじゃん!
【悲報】俺を助けてくれた勇者は将来勇者(笑)になるやつだった件(現実逃避)
「僕は天之河光輝!よろしく!」
よろしくしたくありません。原作に関わりたいとは思うけど勇者(笑)と関わりたいとは言ってない。
どうするか……。断るのは駄目だ。逆に目を付けられる。駄目なやつの方向で。となれば……時間がないことを理由にさっさと式場に向かうか?
よし。それだ。それがいい。じゃあ早速行動に――って、あ?
【選べ ①キレて殴る。そして病院送りにする ②弱弱しく自己紹介する】
……あーそういうことね完全に理解した。
その上で、言わせてもらおう。
……なんでやねん(二回目)
拝啓女神様。いくら何でも転生特典が絶対選択肢なのはあんまりではないでしょうか!?
読んでくださりありがとうございます!