ONE PIECE FILM SCARLET 作:リーグロード
もっといいボス創れたやろがいいぃ!!!
結果がこの小説です。
子供ながらに俺はたった一人でこの島で暮らして生きていた。
ちなみに、両親はもうとっくにいない。
幼いながらに覚えているのは、両親と共に海に出て海王類に襲われ船が沈没したということのみだった。
そして気が付いたときにはこの島にたった一人漂着しており、両親は勿論のことほかの乗客員も見当たらず、今日までこの島でたった一人生き残ってきた。
厳しい自然に身を晒しながら生きるということは辛く苦しい日々の毎日だったが、その日々の過酷さが俺を強くしていった。
食える果物を採る為に険しい崖を登る身軽を身につけ、肉を喰らう為に島に生息する獣と死闘を繰り広げ、やがて俺は立派にこの島で暮らしていけるだけの逞しい肉体を手に入れたのだった。
そんなある日のことだった。今日は魚を獲ろうと海岸沿いを歩いて散策していると、ふと目の前に小さな宝箱が流れ着いていたのが目に入った。
好奇心に突き動かされるまま宝箱を拾い中を確認すると、グルグル模様の不思議な木の実が入っていた。
「なんだこれ? 食えんのか?」
怪しい物ではあったが、日々食うものに困る身だ、多少腹を壊すくらいは覚悟して齧ってみる。
「うぇっ!? なんだこれ、クソまずいじゃねえか!! 腐ってのかよ!」
口の中にまだ残っていた果肉を吐き捨てると、手に持っていた果実も同じように投げ捨てる。
いくら腹を空かしているとはいえ、こんな明らかに腐ったような不味い実を食す気にはなれず、多少の勿体なさもあったが即座に捨てることに躊躇は無かった。
そしてそれが、後の自身の運命を大きく変えることになるであろうことはこの時はまだ知る由もなかった。
「あああああぁぁぁ!!!??」
突如として人の叫び声が後ろから聞こえてきた。
この島には自分を除いて人などいない完全な無人島だった筈。だというのに声が聞こえたということはこの島に誰かが漂着したか船でやって来たかのどちらかだろう。
振り返り声のした方へ駆けつけてみると、俺がさっき齧って投げ捨てた実を大事そうに抱えている男がいた。
「なんだアイツ?」
なんか泣きながら俺が齧った部分を凝視してやがる。
メッチャ不気味だが、この島から脱出することが出来るなら声を掛けるしかないと思い行動に出た。
「お~い! 助けてくれぇ!!」
「っ!!? テメェか! この悪魔の実を食った犯人は!?」
俺を見るなり男はそう言ってきた。確かにその実を食べたのは俺だけどそんな腐ったようなマズい実なんか価値は無いだろう。
「悪魔の実? そんなことどうでもいいからさ、お前船でこの島にやって来たんだろ? なら俺を近くの島まで送り届けてくれよ!」
「そんなことだとぉ!!! どうやらよっぽど死にたいらしいな!?」
男は急に顔を真っ赤にして立ち上がり、腰にぶら下げてた剣をコッチに向けてきた。
だがそれは悪手の類だった。この島で長らく生活していくうちに少年は動物から発せられる殺気を敏感に感じ取れる能力が備わっており、その殺気を受けると反射的に殺られる前に殺れ! と体が勝手に動くようになったのだ。
それは人間でも同じようで、剣を向けてきた男の懐へ潜り込むと、鳩尾に拳をメリ込ませた。
「ガハッ──―!!?」
いくら大人と子供とはいえ、この誰もいない無人島でたった一人だけで生き延びてきた少年に油断していた男が勝てる筈もなく、少年のパンチ一発で倒れ伏してしまった。
「なんだこのオッサンは? そんなにこの果物が大切だったのか? ……にしては滅茶苦茶まずかったけどな?」
さっき捨てた果実をもう一度拾うと、まじまじと観察してみる。
だが分かったことといえば、これは普通の果実では絶対無いという以外の特徴は無いということしか分からなかった。
足元には気絶した状態のオッサンが1人。このまま起きるのを待っていてもいいが、食料も日が出ているうちにさっさと確保もしておきたい。
ちょうど近くに海もあることだし海水でもぶっかけて叩き起こすかと考えたとき、遠くからこちらに向かってやって来る人影が見えた。
「おいおい、こりゃ一体どうなってんだ?」
やって来たのは倒した男と似たような恰好をした連中だった。
複数人ということはやはり少年と同じような漂着ではなく、船でこの島にやって来たのだろう。
だが問題は少年が彼らの仲間を1人ぶっ倒してしまったということだ。
案の定、連中は倒れた仲間と少年が手に持った齧りついた痕の悪魔の実を眼にした瞬間に、ギャー!? と絶叫を上げた。
そして続けざまに口汚く罵りの声を上げながら剣を振り上げて襲い掛かって来る。
「やる気かゴラァー!!」
先程戦ったばかりで気が大きくなっている少年は売り言葉に買い言葉と言わんばかりに、襲い掛かってくる連中と殴り合いの喧嘩を始める。
複数人の―――それも武器を装備した大人を相手に、素手の子供に何ができると思える状況。
だが、予想外に少年は強く、その動きは人というよりも獣のようで、俊敏さと型に嵌らない柔軟さを合わせ持ち、常に誰かを盾にすることで死角へ入り込むことで輪をかき乱しながら着実に1人づつ倒していった。
「ぐっ、こいつガキのくせして強えぞ!?」
「背後をとられるな! 急所を守りながら戦え!!」
「グワーッ! や、やられた……」
バタバタと倒れていく仲間を見ながら、戦場を動き回るガキに殺意と敵意が溢れ出る。
だが、仲間が倒れていくことで少年にとっての盾は無くなっていき死角から奇襲するという戦法もできなくなってきた。
そうなると、冷静さが残っている連中は互いに背を預けて死角を殺して立ち回ることで少年の姿を捉える。
「おい……」
「ああ、あの姿は……」
「ちっ! 間違いねえ、やっぱりあのガキが悪魔の実を食べやがったんだ!!」
なんだ? 俺の姿を見て驚いてんのか? 何をそんなに……
「って、なんだこりゃ~!?」
自分の手を確認すると、その手は人ではなく正真正銘の獣のような毛の生えたものになっており、よく見れば手だけではなく体全体が何らかの動物にへと変化していた。
そんな自分の体の変化に困惑していると、突如として巨大な力がこっちに迫ってくるような感覚があった。
その感覚に従って力がやって来る方に振り返ると、そこには動く山があった。
その山はよく見ればドデカイ大男で、俺の叫び声を聞いていたのか、俺の疑問に答えてくれた。
「ゴバババ! ソイツは
「なんだテメェは?」
「せ、船長!?」
明らかに人間サイズではない太った男が連中がやって来た道から現れた。
連中もその男を見るなり船長と呼んでいたことから、コイツが親玉なのだろう。
じかに目にしてよく分かる。見た目からしてだけじゃない、身に秘めたる異常な力。この島で暮していくうちに自然と身についた第6感のようなものが危険だと警鐘を鳴らしている。
逃げるか? いや、体格の差からして向こうのが速い!
なら──―
「やってやるぅ!!!」
真っ正面からでは絶対に倒せない。だったら、ここはいつも通り敵の死角に潜り込んでの不意打ちでぶっ倒す!!
「ゴバババ! ずいぶんとすばしっこいな。だがまだ遅い!」
「グエッ!?」
俺を見ることなく放たれたたった一発の裏拳で俺は吹き飛ばされた。
その威力は尋常ではなく、今まで生きてきた中で間違いなく一番といえるほど強烈なモノだった。
何故まだ自分が気を失わずに意識を保っているのかが不思議だった。
「ほぉ、今のを受けてまだ意識があるか……。流石は
また訳の分からない単語が出て来やがった。悪魔の実?
まったく把握出来てはいないが、おおよその事なら理解できた。
つまり、俺がこんな姿になってるのもあの一撃を受けて意識を保ってられているのもあのクソマズい果実を食ったからだということ。
だからこいつらはあんなに必死になっていたのだろう。
状況は大体理解した。っで、この状況をどう乗り切る?
島育ちで半分が野生動物の思考で動く少年には降伏という手段を知らず、ただ生き残る為に足搔くのみ。
勝機の一切見えない戦いに少年はただ正真正銘獣の如く立ち向かう。
「ゴバババ! 思い切りはよし、だがまだ若いな……策もないままただガムシャラにぶつかるのは勇気じゃなくただの蛮勇だぜ?」
そんな男の言葉を最後に少年の意識はそこで途切れてしまった。
♦
「──―っ!!?」
目を覚ますと体にかけられていた毛布を蹴飛ばして警戒態勢に入る。
周りを見回すと島の何処かではなく、どこかの部屋の一室だった。
久方振りに見る木製の壁に興味深げに近づいて確認していると、部屋の扉がノックも無しに急に開けられた。
「っ!?」
「お、気が付いたか。っとっと、急に暴れんじゃねえぞガキんちょ、いくらあの悪魔の実を食ったからって船長の攻撃を2回も受けてんだ。医者として言わせてもらえりゃ絶対安静にしてろって話だ」
いきなり入ってきた男には警戒心丸出しで威嚇の声を上げると、男は両手を前に出して落ち着くように説得する。
そんな男の雰囲気に少しではあるが警戒心を緩めて唸り声を出すのを止める。
「まあここじゃなんだ。テメェも今の自分の立場ってのを理解したいだろ? 船長の元に案内してやるからついてきな」
そう言ってこちらの確認も取らずに部屋から出て行った男の後について行くかほんの僅かばかし悩み、結局はついて行くことを決めて恐る恐る部屋から出て男の背中を追いかける。
そして、男が向かった先には巨大な力を感じる。間違いない、この先にあの大男が待ち構えている。
逃げるか? と悩みもしたが、周りには海しか見えなかった。どうやら寝かされている間に船に運び込まれて海へ出たようだ。
こうなっては逃げ場など何処にも無い。諦めてあの大男の元へ行くしかないのだろう。
「おっ、来ましたぜ船長! ほら、お前もそんな影に隠れてないで出て来いよ!!」
「…………」
未だどうすればいいか悩んでいる少年はタルの影に隠れながら様子を伺っていると、こちらに気づいたのか先程の男が大声で呼んでくる。
正直うぜぇ……と思ったが、きっかけができたことで渋々とタルから離れて前に出る。
その場に集まった連中の目線は敵意と懐疑心のようなもので正直凄く居心地が悪かったが、それよりも気になるのは目の前に座ってバクバクと大量のメシを食っているこの大男の視線だ。
それは周りの連中の敵意とも懐疑心とも違ったモノだった。例えるなら、高価な壺の鑑定をする職人のような視線といった感じだろうか?
「……どうやら傷の方も一眠りしてだいぶ回復したようだな。流石は
「いやいや、医者として言わせてもらうが出鱈目過ぎだぜ? いっとくがこのガキ内臓から骨まで結構なダメージだったぞ! それを一晩眠ればほぼ回復ってありえねえからな!?」
現実離れした驚異の回復能力に苦言を申し出る医者を名乗る男の意見に肉を片手にゴバババ! と笑って受け流す大男。
見ている分には愉快で面白いかもしれないが、当事者である少年からすれば早く自分の置かれている状況を説明してくれといったところだろ。
「おい! さっきからゴチャゴチャと訳わかんないことばっかり言いやがって、いい加減に教えろよ俺が食ったあのクソマズい果実はよぉ!?」
「……そうだな。アレを食ったテメェには知る権利がある。あれは悪魔の実……そいつを食った者には特殊な能力を授けられる代わりに一生海に嫌われカナヅチになっちまう、まさに悪魔のような果実さ」
「それを俺が食っちまったってのか?」
「ああ、それもただの悪魔の実じゃねえ。悪魔の実には大まかに分けて3つの能力がある。自然と同等の力を得る
大男から指を指された俺は多少たじろぎながらも、俺はどうすればいいかを訊ねる。
「なに簡単な事だ。お前、俺様の船に乗れ!」
「はぁ?」
何を意味の分かんないことをといった顔で大男の顔を見る。
「そういやまだ互いに名前も知らなかったな?俺様はこのグラトニー海賊団船長のダリオス・ゼイルだ。それで、お前の名前はなんだ?」
「……名前なんざあの島で生き残るのに必要無いからもうとっくに忘れたよ」
不貞腐れたような顔でそう言う少年にゼイルはマズい事聞いちゃった?とばかしに周りにいる仲間たちに目を合わそうとしたが、全員がプイッとそっぽを向いて答えてくれはしなかった。
「そ、そうか……。ならよし!俺様がお前に名前をつけてやろう。そうだな……」
「別にそんなの「よし決めた!」……いやはえぇよ!!」
ビシとツッコミを入れる少年の言葉をサラッと無視してつい先ほど考え付いた名前を口にする。
「テメェが食った実と俺様たちの海賊団の名前からとってバグラス・グラトニー!それが今日からお前の名前だ!」
「バグラス・グラトニー……」
そう、あれがこの俺様バグラス・グラトニーの第2の人生の始まりの日でもあったのだ。
まずはアニメオリジナル的な展開からスタートしました。
この後、大人になって色々あってエレジア行って映画ボスになるバグラス・グラトニー君の物語が始まるわけです。
ちなみに、名付けの参考にしたのは前作のダグラス・バレットさんです。