ようこそ間違った教室へ   作:あもう

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Bクラスと皇

問ーーーDクラスにいる価値はあるか否か

現在、この学校では·····いや、このクラスは。

 

悪いのは冤罪だと伝えなかった学校のせいだと言い、自らの罪から逃れ、罰を避ける事しか頭に無い。

 

例として上げるのならば、池。毎日俺は悪く無いと言わんばかりに何かに怯えながら、或いは何かに取り憑かれたようにペンを動かしている。俺の虐めの責任を感じているのかもしれない。

 

『加害者』だと決定するのは社会の大衆であるとして、自分だけが『可哀想な加害者』に訂正したところで意味はなく、被害者が何かしらの心身的な傷を患っていることは残酷なまでに事実だ。

 

 

今やDクラスは虐めの首謀者や行動を起こした加害者といったA級戦犯達はどんなに授業を真面目に頑張っても周りから与えられる評価は最低ランクのものである。彼らは自分達が不良品であり、また虐めの加害者、或いは傍観者であるという事実を毎日びくびくと怯えながら送っている。

 

 そんな体裁を取り繕うだけの欺瞞に満ちたそのクラスで、俺は思う。

 

『平等』とはなにか

 

 

 かの福沢諭吉は『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず』という立派な言葉を殺伐とした社会に生み出した。けれどなにも、彼は皆が平等であると明記したわけではない。

 

 有名すぎるこの言葉の次にはまだ、まるで自らの論説を裏切るかのようなフレーズが記されているのだから。

 

 その続きは訳すとこうだ。

 

 産まれた時は皆平等だけれど、将来、仕事や身分で違いが出てくるのはどうしてかと訴えている。

 

 さらには、こうも続いている。

 

 差が生まれるのは学問に励んだのか励まなかったか否か。それで生まれると。

 

 それが、有名すぎる『学問のすゝめ』の著者、福沢諭吉が語った言葉だ。

 

 つまり彼は、スタートラインはあくまでも同じであり、様々な可能性をその手で摑めるか否かは自分の手に掛かっており、他人や環境には左右されないと言ったのだ。

 

 その例として学問を述べたにすぎない。

 

何が言いたいかと言うとこれまでの俺のように不幸に満ちた人生を送る人間もいれば、平田や櫛田の様な約束された人生を送れる人間もいるのだ。大半の人間は不幸に満ちた人生寄りの人生を送るのだろう。

 

 だからこそひとはその現実を受け入れるわけにはいかず、様々な問題を自分で生み出していくのだ。

 

 環境問題しかり、戦争しかり。

 

 醜い欲望は際限なく湧き、やがてじわじわと世界に浸透していく。けれど不思議なことに、その欲望が同時に世界を前へ前へと進出していくのだから皮肉なものだ。

 

『平等』ではないからと、人は過ちを繰り返す。

 

しかして何処に平等が有り得るだろうか、いや、何処にも無いのだ。

 

俺は·····虐めにあうまではただ『普通の人生』が送りたかっただけだった。

 

だが今やどうだろう·····心の奥に潜む憎悪とも愉悦とも言い難いこの感情が止まりそうもない。

 

俺を虐め続けたあいつら、1年Dクラスや、それを傍観し噂し続けた奴らに、何よりこの冤罪を被せた張本人であるAクラスにいるアイツに復讐したくて仕方ないこの感情は日に日に増して止まりそうもなかった。

 

この1ヶ月、心が折れそうだった。何度も何度も生きてる自分の価値が解らなかった。だが·····

 

茶柱先生の地獄の発表から12日が経ち、俺はこのDクラスから別のクラスへと移ることを心に決めた。

 

行先はBかC、Aはアイツがいるし、Dはクズの集まりだ。尤も、受け入れて貰えるかも怪しいが·····まぁいずれにしても無能の集まりなのならそれはそれで遅かれ早かれアイツに何かしらの手を打たれるかもしれない。俺はそれぞれのクラスを尋ねることにした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すいません、Bクラスのリーダーの方は何方ですか?」

 

昼休み、俺はBクラスを訪ねていた。要件は二つある。

 

一つ目は過去問という方法と過去問そのものを売り付ける事。そしてもう一つはBクラスが俺が移るに相応しいクラスかどうかを見極める事だ。

 

·····それにしてもさっきから視線が凄いな。

 

「リーダー?学級委員長なら帆波ちゃんだよ〜?」

どうやらしっかりと原作通り一之瀬らしい。

 

「今一之瀬さんはどちらにいますか?」

 

「ん?呼んだ?」

 

どうやら教室にいたらしい。後ろには神崎と誰かわからん男、網倉に白波が着いてくる。心做しか警戒したオーラのようだ。てかこの男誰だ?

 

「はじめまして、確か天野君·····だよね?冤罪事件の、気を悪くしたらごめんね?」

 

「神崎だ。」「白波です。」「網倉です。」「木山だ。」

 

全く知らんやつは木山というらしい。本当に誰だこいつ、原作改編か?

 

「いや、気にしないでくれ、そんなに警戒もしないで欲しい。」

 

「ごめんね〜ちょっとこの間Cクラスとの間に色々あってさ、皆気が立ってるんだよね〜。別に天野君のせいとかじゃないよ?」

 

そーいえばそんなこともあったなぁ。取り敢えず俺の悪評のせいじゃなくてよかった。本当かはわからんが。

 

「そうか、それで話なんだが、中間テストで赤点を取ったら退学って話は聞いたか?」

 

「うんうん聞いたよ、酷い話だよね〜。」

 

みんなで一之瀬の後ろから睨んでくるのはやめて欲しい。怖い。

 

「それで、赤点をほぼ確実に取らない方法があるって言ったらどうする?」

 

「そんな方法があるなら誰も苦労しないんじゃないかな?」

 

「いやあるんだよ、俺はその方法を知っている。」

 

「もし仮にそんな物があるんだとして、それでなんで私達にその話をしに来たのかな?」

一之瀬は不思議そうに言うが後ろの奴らはずっとこっちを警戒している。Cクラスとの間に何があったんだよ·····

 

「それは、その方法をプライベートポイントと交換で売りに来ようと思ったからだ。俺のDクラスでの現状は有名な話だろ?」

 

「まぁ·····うんそうだね·····プライベートポイントを貯めて他のクラスに行きたいってところかな·····?」

 

「大正解だ。」

 

どうやら一之瀬は原作通り優秀らしい、後ろの面々も警戒が薄れて来てるようだ。よかったよかった。

 

「ちなみにいくら欲しいの?」

 

「クラス一人あたり月2000ポイントで良い。」

 

クラス一人あたり月2000ポイント、つまり月80000ポイントが俺の懐に入る計算だ。1年で96万ポイント、割とバカにならない金額である。

 

「月·····って事は今回のテストだけじゃなく、他のテストでも使えるって事かな?だとしてもテストも無い時に毎月払うのはちょっといただけないかな?」

 

「ならテスト毎に皆から2000ポイントでどうだ?」

 

「うーん·····方法を聞くのは1回だけだよね?流石に毎回そんな大金は払えないかなー。」

 

まぁ当然の反応である。

 

「じゃあ今この場で30万ポイントでどうだ?」

 

「流石に高すぎるかな〜15万でどうかな?」

 

15万か·····恐らく一之瀬は俺がDクラスから脱出したい事が分かっていて、足元を見ているのだろう。

 

「25万なら乗るぞ。」

 

「20万·····これ以上はさすがに無理かな」

 

ここが潮時のようだ。後ろの面々も警戒がなんか強まってきてる気がするし。

 

「わかった。」

 

「それじゃあ送るから連絡先教えてね〜」

 

俺は一之瀬と連絡先を交換し、20万プライベートポイントを貰う。なんか何処かから殺気を感じるが多分気の所為だろう。それにしても先輩と綾小路に続いて3人目か·····友達は綾小路ぐらいしかいないな俺は

 

「確かに受けとった。方法ってのは過去問だ。」

 

「過去問?」

 

「小テストの最後の3問は習っていない内容だった。そして先生は成績には反映しないが今後の参考にすると言った。つまりこれは俺達生徒が参考にするって事に違いない。事実小テストは去年と全く同じ内容だったからな。」

 

「にゃるほどね〜過去問はちなみに貰えるのかな?」

 

「5万ポイント」

 

「流石に高いかな、3万で」

 

一之瀬は話してる中、こちらを見ているようでこちらを見ていない。まるで別の所に意識を割いているような·····

 

「わかった、3万で頼む。」

 

端末に3万プライベートポイントが送信されたのを確認して、俺はその場を後にする。

 

·····それにしても俺が居なくなっても警戒がとかれる様子はない。一体何を警戒しているのだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は山脇真二、古参から俺の隣にいる男、龍園翔に使えている部下だ。

 

「それで龍園、あんたなんであの冤罪野郎を監視している訳?」

 

不機嫌そうに伊吹が聞く、こいつは最近龍園翔の軍門に下ったが、早々に幹部扱いをされている。それに比べて俺は下っ端のままだ。

 

「いやぁ·····あいつはなかなか優秀じゃねぇか。スカウトもありだな。そう思わねぇか?伊吹。」

 

それに対してCクラスの王、龍園翔は高らかに笑みを浮かべる。今やCクラスの大半はこの男に頭を垂れて従っている。恐ろしい男だ。底が見えない。

 

俺みたいな落ちこぼれには理解もできない発言や思想、だがそれこそがAクラスに登れる唯一の道なのだろう。

 

「意味わかんないんだけど·····だいたいもし仮にアイツが優秀だとしてうちのクラスに来てくれるの?移動する分のポイントは?どう頑張っても無理でしょ?」

 

「無理か·····クハッハッハ」

 

龍園はとつぜん笑い出す。伊吹も俺も理解が及ばない。

 

「お前はバカなのか?聞いた話じゃああいつはDクラスに虐められてたそうじゃねぇか、しかも他クラスに移動先を探してるって話だろ?

つまりあいつはある程度移動分のポイントがどうにかなる算段があって動いてる。

しかも恐らく目的はDへの復讐だけじゃねぇ、あいつをハメたり、笑ったりした全てへの復讐の目だ。

しかもDの小テストでは1位を取った上に過去問っていう裏技にも気づいたらしいじゃねぇか。

あれはお前ら駒と同格じゃねぇ、寧ろ俺と同類の匂いがプンプンするぜ。しかもあいつはSシステムにも気づいていたらしいしな。」

 

龍園と同類の人間などこの世にいるのだろうか。

 

俺は冤罪をかけられた天野に同情を覚えながら龍園と共にクラスに戻るのだった。




アホキ モトカス
阿保木 元数
誕生日5月21日
学力 E-
身体能力 B-
知性E-
判断力D-
協調性A-
面接官からのコメント
頭脳が著しく欠落しており、勉強面でも学年最下位の成績なのでDクラスへの配属とする。また、身体能力は一般高校生をやや上回り、協調性はとても高いので、その部分を磨くことを期待する。

Dクラスを

  • 許すな!
  • 許してあげよう
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