ようこそ間違った教室へ   作:あもう

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期末試験 前編

7月1日、今日はクラスポイントの発表日だ。それは勿論このCクラスでも例外ではなく緊張の空気を纏っていた。そして期末テストの結果発表も今日だ。本来はもっと早いのだが、Dクラスにのみ設けた特別試験の影響だろう。

 

扉を開けて坂上先生が入ってくる。空気は張り詰めており、Dクラスとは違う独特の空気がある。そう言えば唯一Dクラスに緊張感があるのはテスト結果の発表とクラスポイントの発表日だけだったか。

 

「皆さん席に着いてますね、それでは期末テスト並びにクラスポイントの発表をします。まずは期末テストです」

 

そう言いながら坂上先生がテスト結果を貼っていく。一部の生徒は固唾を飲んで見守っている。恐らく勉強のできない生徒だろう。ちなみに俺は期末テストをやった後Cクラスに来ているがテスト結果はCクラスとして処理されるらしい。

 

「見ての通り赤点は無し、平均点は81点です」

 

やはりCクラスに学力は足りて無さそうだな。ちなみに龍園は全教科69点だった。綾小路みたいな事をしている.......

 

まぁ問題なのは次、クラスポイントだろう。石崎なんか意識が保ててるかすら少し怪しいラインだ。

 

「こちらがクラスポイントです。よく頑張りました」

 

そう言いながら坂上が手に持った紙を黒板に貼る。

 

Aクラス1151ポイント

 

Bクラス951ポイント

 

Cクラス721ポイント

 

Dクラス0ポイント

 

貼られた結果を見てクラス中の雰囲気が和む、というかDクラスだけ原作から大きく逸脱しているような.......ラッキー!

 

「Dクラスの不良品共は救いようがないなぁ、おいおい」

 

龍園が笑いながらお得意の煽り節を披露する。それは俺も前々から思っていたよ。

 

「何はともあれ君達が「ふざけんじゃねぇ!!!クソが!!」な、なんだ!?」

 

坂上先生が驚いて思わず声を荒らげるがまぁ無理もない。

 

「坂上、Dクラスに様子を見に行ってもいいか?」

 

「いいだろう、ただし行くのは2人までだ」

 

龍園が許可を貰う。俺としては是非とも行きたいところなんだが.......

 

「礼を言うぜ、天野、行くぞ」

 

お望み通り龍園からお呼びがかかったのでDクラスに向かう。

 

Dクラス前に着くとDクラスの前の扉を思い切り龍園が開ける。ちなみに後ろの扉には坂柳派と葛城派が居る。なぜだ。

 

坂柳派は坂柳と神室、葛城派は葛城と誰か知らん奴、多分モブだろう。

 

「クハハ、Aクラス様もいるのかよ」

 

龍園が突っかかる、こいつはなんというか.......恐れ知らずだな。

 

「あらあら、お久しぶりです龍園君。そしてまた会えて嬉しいです天野君」

 

綺麗なお辞儀を坂柳がする。てか俺の名前覚えられてるのか怖すぎるだろ。

 

「龍園、お前も来たか」

 

葛城は龍園に目を向けると興味無さそうにすぐにDクラスに目を戻した。

 

「お前らも.......先生の許可を貰ってきたのか.......騒がせてしまってすまない」

 

茶柱先生が心の一切籠っていない事務的な謝罪をすませる。それにしても窶れたような気がする。この前土下座してる所の写真を龍園が全クラスの黒板に貼ったのが原因だろうか。

 

「クククククク、まぁそういう事だ。それにしても面白い見世物を見せてくれるんだろうな?」

 

龍園は楽しそうに言うがおそらくもう事後だろう。

 

教室には顔を赤なのか青なのか分からない色にして虚ろな目を震わせながら椅子から手を離す山内とご機嫌斜めの高円寺、頬を真っ赤に腫らした堀北と頭を抱えている阿呆木、暴君モードになっている平田がいた。女子達は怯えて泣いている子もいた。

 

「殴ったのか.......?まぁ山内は救いようのないクズだしやりそうだけどな」

 

俺も毒を吐いておく。まぁそんなのに反応出来るやつもいないだろうが。

 

ピロン、ケータイのチャットの着信音がなる。誰かと思ったら松下だった。

 

『今日のお昼一緒に食堂で食べない?何があったか教えてあげる。』

 

願ってもない救いの手に、俺は即答で了解した返信を送る。やはり二人しかいないのDクラスの友達は流石だろう。

 

「見苦しい限りですね。彼は」

 

坂柳は優しく微笑みながらその反応に似ても似つかないような毒舌を披露する。

 

「救えんな」

 

葛城がさらに追い打ちをかける。こいつらこんな性格悪かったっけか。

 

「違う、俺は、俺、俺は不良品、不良品なんかじゃ、こんな、こんな、あんな、あんなふざ、ふざけ、ふ、ふ、ふざけた試験なんかで、いや、俺は、退学なんかじゃ、た、退学なんか!!しねぇ!!」

 

山内はもはや壊れた機械のようになっていた。退学を受け止められないらしい。心做しか顔はやつれているが体は少しがっちりしたような感じがする。

 

「それにしても、山内君がアベレージ60超えは予想外でしたね。まぁ事実として退学なのは変わりませんが」

 

坂柳の発言を受けて俺と龍園はホワイトボードに貼られたテスト結果を見る。そこには60点前後の点を全教科でとる山内の結果があった。平均点は僅かにだが60を超えている。クラス内でも11番目の成績を収めており、山内と同一人物なのか疑うレベルだ。てかそんな力あるならさっさと勉強しろよ中間テスト。そして社会の科目には阿呆木の上に赤色の線が引かれていた。阿呆木の点数は24、平均点は黒板に51,6と書かれている。

 

「クハハハハハ、退学者が出るなんてな、もしかして腹でも下したのか?」

 

龍園は心底楽しそうに笑う。こいつ本当にいい性格してるよな、最高の相棒だぜ。

 

「腹が、テスト中に腹を下したんだ」

 

阿呆木は頭を抱えながら何とか口から言葉を発する。

 

「間違えて飲み物に下剤でも突っ込んじまったんじゃねぇか?まぁなんにせよお前も晴れて退学だな。良かったな」

 

煽り続ける龍園。こいつがどうやら下剤を突っ込んだらしい。

 

「可哀想に..............ポケットに入っていたカンニング用紙を使っても赤点だなんて.......」

 

ハンカチで涙を拭うように目を抑える坂柳。おそらく絶対演技なのだろうが。

 

そしてそれを聞いた阿呆木がポケットを探ると中にはカンニング用紙らしきものが入っていた。

 

「阿呆木、お前はカンニング、並びに赤点で退学とする」

 

茶柱先生の悲痛な声がクラスを響き渡る。山内以外はみんな座ってるっぽいし山内早く座れよ。

 

「いや、俺は嵌められたんだ!!信じてくれ!!」

 

阿呆木が声を荒らげる、まぁそりゃそうだろうが。

 

「残念ながらそれを示す証拠は無い、それに赤点は事実だ。放課後私の元に来るように」

 

それだけ言い残して茶柱先生は去っていった。

 

「そんな..............」と、阿呆木は愕然とする。

 

「Bクラスにポイントを借りて点を補填して貰おうにも山内のせいで印象最悪だから無理だろうし.......どうすることも出来ないね」

 

 

いつの間にか爽やかモードになった平田の言っていることは事実だ。この荒れた状況でも適切な状況判断が出来ている当たりこいつは成長しているのだろう。

 

「俺は、悪くねぇ!!お前らのがテストの点も下じゃねぇか!クソ!」

 

山内はブチ切れながら走って教室を出ていった。

 

「きゃっ、何をするのですか!!」

 

坂柳を突き飛ばしながら.......幸いにも俺がカバーして坂柳がコケる事はなかったが山内は最低最悪のクズだろう。

 

 

「大丈夫か?」

 

「ありがとうございます.......やはりAクラスに来ていただけませんか?」

 

「お断りします」

 

坂柳からの勧誘をサラッと躱しながら俺は元の位置に戻る。

 

「私、山内君を慰めてくるね!!」

 

櫛田はそれを言い残し山内を追いかける、その直後に10人ぐらいの男子が櫛田を追いかけて行った。

 

「彼らのあの行為が許されるのなら、私が授業を受ける必要は無いね、失礼するよ」

 

それだけ言い残して高円寺も去っていく。

 

それを見て葛城派と坂柳派は帰っていく。そろそろ俺達も帰るか.......

 

「龍園、帰ろうぜ.......って何してんの?」

 

俺は阿呆木にカメラを向ける龍園に思わず聞いた。マジでなにしてんの?

 

「記念すべき退学の瞬間の撮影だ。いいだろ?」

 

そう言いながら龍園は撮影を止め、スマホを弄り何かを打ち込みだす。

 

「学年の掲示板をみてみろよ」

龍園に言われた通り見ているとそこには阿呆木と山内の泣き顔が写っていた。上には退学者の退学の瞬間と書いてある。

 

こいつは最高だ。やっぱりCクラスに来て良かった。そう思った俺は更にDクラスを追い詰めるような発言をする。

 

「そういえば龍園、この不良品だらけのクラスにあの完璧な生徒会長の血を受け継いだにも関わらず無能過ぎて家から家畜当然の扱いを受けている妹がいるらしいぜ」

 

俺はさらに爆弾を投下した。堀北の顔は両頬が真っ赤に腫れているが他の部分は顔が真っ青になり少し強ばっている。その反応が誰かを示すのには十分だった。

 

「まじかよこいつが?完全に一族の恥じゃねぇか、なんで生きてるんだ、恥ずかしすぎるだろ」

 

堀北は顔を下に俯く事しかできない。俺達はその姿を写真に取りまくる。

 

そしてチャイムがなる。

 

「ここまでだな。帰るぞ天野」

 

「あいあいさー!団長!」

 

俺は気の抜けた返事をしながら戻って行った。数十秒後、Dクラスから聞こえてくる坂上先生の絶叫を聴きながら、俺達は坂上先生を哀れに思うのだった。

Dクラスを

  • 許すな!
  • 許してあげよう
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