ようこそ間違った教室へ   作:あもう

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三巻部分
盗聴器と冗談


7月も終わり、俺は今日出発予定の豪華クルーズ客船に朝早くから向かっていた。もちろん寝坊なんて事は許されず、当然してくるようなやつもいないだろう。

 

今回、豪華クルーズ客船には期末テストで退学した阿呆木と退学は確定しているが敷地から出られない山内以外の──原作では搭乗していなかった坂柳も含めた──1年生158人が搭乗している。

 

一応学校の敷地内なら山内の行動は自由らしい。武闘派の職員でも用意しているだろうしまぁ大丈夫だろう。

 

俺は自前の度付きサングラスを着けながら豪華クルーズ客船に乗り込んだ。船内には大抵のものはあると聞いているので、俺もほとんどの生徒と同様に必要だと感じたもの以外は持ち込んでいない。

 

今日のファッションは相棒の度付きサングラスに制服、AirPadsというイヤホンだ。靴はこの前暗躍に使った靴.......ではなくケヤキモール内で用意した靴に変えた。二度同じ轍は踏まない。

 

「おはよう。サングラス似合ってるね〜私も持ってこればよかったかなぁ?」

 

目を向けると船の近くには何故か松下がいた。俺の事を待っていたらしい。というかこいつは俺とこんなに関わってDクラスの立場は大丈夫なのか?.......まぁいっか。こいつは打算計算は得意だろうしあのDクラスだから。まぁ.......。

 

「おはよう。そっちもすごい格好してるな.......」

 

松下は制服.......なのだが麦わら帽子を付けていた。こいつの将来の夢は海賊王だろうか。俺らが乗るのは豪華客船であって海賊船じゃないんだがな.......。

 

「普通じゃない.......?まぁいいや、そのキャリーバッグの中って何入ってるの?」

 

松下は興味深そうに俺の黒のキャリーバックの中身を聞いてくる。大半の生徒はクルーズ客船に大半のものがあると聞いて大したものは持ってきていないようだった。マジョリティーも魔女リティーも俺には無い。ちなみに俺がイヤホンで今聞いている曲は47人のアイドルグループのサイレントマイノリティーという曲だ。マジョリティーじゃないんかい。

 

「中身は.......夢と希望かな。」

 

俺は自分の心の中でノリツッコミを入れたあとボケて言う。別にボケてはいるがふざけている訳では無い。中身はあんまり人目が着く訳にも行かないしな。仕方ない。

 

「内緒ってことか.......それなら部屋までずーっと着いてっちゃうよ?」

 

松下は悪戯な笑みを浮かべて言う。イタズラなkissじゃなくて良かった。

 

「勝手にしてくれ。」

 

口の堅そうな松下にならキャリーバックの中身がバレてもいいだろう。ただDクラスのうるさい奴らや坂柳とか葛城とか一之瀬にはバレたくない。

 

俺達はそのまま豪華客船に乗り込んだ。だが俺達はこの時知らなかったのだ。豪華客船の中に潜む1匹の魔物の存在を。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さて、荷物はこんな所だな。」

 

俺は豪華客船の中にある自分の部屋に着くや否や真っ先に荷物の確認をした。後ろでは松下が値踏みするようにこっちを見てきてる。最初は部屋に戻るよう言い続けていたのだが、Dクラスの雰囲気が最悪だから戻りたくないと泣き落としされた。俺のハニトラ耐性は0である。荷物はもう隠す事を諦めた。誰にも言わないらしいしいいだろ。

 

「一体これからこの豪華客船で何が起こるの?殺人事件でも起こるの?」

 

松下は若干呆れ気味に言う。が、別にじっちゃんの名に何かとかけてくる高校生も見た目は子供頭脳は大人の小学生も色黒の西の高校生探偵もこの豪華客船には乗っていない。

 

「まぁなんかしらの試験が行われる事は予想が着いてるし一応な。松下もそれぐらいはわかるだろ?」

 

 

「まぁわかるけどさ.......」

 

松下がジト目で見る先には俺の荷物達があった。

 

ちなみに俺の荷物だが学生証と充電器。ドローンと操縦機、ドローンで運搬するようの袋。それから高スペックのパソコンとボイスレコーダー二つに盗聴器を10個、血糊にマジックミラー、ティッシュにタオルにアイマスク。あとは決闘究極者というカードゲームのデッキと遊戯神というカードゲームのデッキを1個ずつ。メモ帳と小型カメラだ。変なものが数個混ざっている。

 

ちなみに俺の部屋は俺がクラスを移籍したため、Cクラスの人数に余りが出て俺は一人部屋だ。ラッキー。

 

俺は取り敢えずパソコンを起動する。盗聴器にはマーカー機能も着いており、同じ機種の盗聴器ならばパソコンの専用ツールで場所がわかるシステムになっている。盗聴器が反応するかのテストである。起動した結果11個の反応がしっかりと部屋に確認できた。よし、異常なさそうだな。

 

.......ん?11個?俺10個しか持ってきてないよな?この場合考えられるパターンはふたつ、部屋に設置されたか、俺の荷物に付けられたかだ。俺は今日唯一接触のある松下を見るが、きょとんとしてた。こいつでは無いな。

 

取り敢えず俺は音を立てないようにして周りを探しだす。

 

「どうしたの?急に。」

 

なんも理解してない松下だったが俺の表情から何かを察したのか顔が真剣になる。俺は指で静かにのマークを作って、パソコンに「盗聴されてる。」と打ち込んだ。

 

それを見た瞬間松下の顔がとても驚いた顔になったが声は出さなかった。偉い。今度ご褒美にうまい棒を奢ってあげよう。

 

俺は手を探りながら、ついにベットの下に付けられた盗聴器を発見した。それにしてもベットの下ってエロ本を隠した男子中学生かよ。

 

そう思いながら俺は盗聴器を海に投げ捨てる。暫くすると壊れたらしくパソコンの反応は無かった.......が、俺の中の危険信号はまだ鳴りやんでいなかった。俺らよりも先に部屋について盗聴器を設置出来るような人間が一つしか設置しないだろうか?念の為俺はさらに捜索を続ける。

 

「えっと.......なんでまだ続けてるの?」

 

状況を理解出来てなさそうな松下が不思議そうに聞いてくる。あざとい。

 

俺はパソコンに「俺がいいと言うまで喋るな」というメッセージを書き残し、少し黙らせる。

 

そしてしばらく探すと案の定、俺の予想通り2個目の盗聴器を発見した。これもまた海に投げ捨てる。最近は環境汚染が云々言われる時代だがこれぐらいは許して欲しい。

 

その後も捜索したがそれらしいものは無かったので、俺は松下に会話する許可を出した。

 

「えーと.......あれ盗聴器だよね?二つとも。同じ人なのかな?」

 

松下が驚いた表情で言う。まぁ驚くのも無理はない。俺達は最短距離でここまで来た。つまり早い時間に船に来て設置した奴がいるという事になる。

 

「同じ人の可能性もあるけど片方はケヤキモール内で売ってるものだがもう片方は見た事無いようなやつだった。違う気がするな。」

 

俺は正直な感想を言う。なんか片方は手作りっぽかった。プロのハッカーでも学年にいるのだろうか?

 

「まぁ何はともあれ誰にも言わないでくれよな。」

 

俺は念の為松下に口止めをする。

 

「わかってる、というか誰も信じないでしょ。それにしても.......血糊は本当になんで?」

 

「なんでだろうな。」

 

これは上手い事この血糊でDクラスへの訴えを増やせないかな程度で持ってきたものだ。龍園あたりに渡して上手い事使えないかな?

 

『こちら、学年主任の真嶋です。豪華客船が出発した後ですが、この中に本来退学になり、敷地内に居残りのはずの山内春樹君がこの豪華客船の何処かしらに潜伏している事がわかりました。なので予定とは違いますが、只今から.......本年度はじめの特別試験を始めたいと思います。』

 

急な学校からのアナウンス。それにしても山内原作より根性持ち過ぎじゃないか?忍耐力だけは間違えなく上がっただろうが.......。

 

『試験の内容ですが、この船の中にいる山内春樹君を捕獲して3階304号室の私の部屋まで連れてきた者には、100万プライベートポイントを人数で割った額お渡しします。見つけられなかったクラスにもペナルティはありません、探すのも探さないのも皆さんの自由です。期限は帰りに敷地内に戻るまでとします。』

無人島試験と干支試験だけだったはずが.......山内の奇行により本年度の特別試験が新しく出来てしまった。雰囲気的にこれで無人島試験と干支試験が消えることはない.......とは思うが.......。大丈夫だよな?

 

まさか山内がここまで原作を歪めるとは思わなかった。なんて事だ。

 

「私、山内君引っ捕まえてくる!!」

 

アナウンスを聞いて松下はそのまま何処か言ってしまった。だが逆にこれはチャンスかもしれない。俺は自分のベットの下に盗聴器を設置し、荷物をキャリーバックにしまい直し、部屋を出る。

 

そこから機関室など計9箇所に盗聴器を設置しておく。山内が何処かしらに逃げれば盗聴器で音を拾って場所がわかる算段だ。設置途中、色んな所へ走って探す集団がいたが盗聴器の設置には気付かれなくて良かった。俺は龍園に盗聴器設置、並びに山内捕獲のために音声が入ったら連絡する旨を伝える。

 

ちなみにこの盗聴器は音声が入ったらその瞬間通知が来るようになってる優れものだ。他にも様々な機能があるがひとまずいいだろう。

 

俺は部屋に戻る事にした。そして俺は戻る途中、坂柳と出会う。嫌なエンカウントだ。

 

「あらあら、天野君では無いですか。山内君を探さなくて良いのですか?」

 

やたらと落ち着きのある雰囲気で坂柳は言ってくる。後ろには神室一人だ。残りは捜索隊というところだろう。

 

「まぁな。罠は仕掛けたし。」

 

「罠ですか.......興味深いですが私も山内君を捕獲しなければ行けません。彼にはだいぶ屈辱的な目に合わされましたからね.......天野君がいなかったら一体どうなっていたか。やはり天野君、私が綿白神さんを追い出しますのでAクラスに来ませんか?」

 

坂柳はなにやら後ろから白いオーラを出しながら山内の事を思い出す。隣の神室から冷や汗が出ていたが山内は生きて帰ってこられるだろうか。

 

「まぁその時になってから考えるさ。というか坂柳がCクラスに来たらどうだ?」

 

俺はいつもの意趣返しのつもりで軽く口にした。してしまった。これは悪手だった。

 

「なるほど.......ポイントが貯まったらそれもありですね。前向きかつ真面目に検討させて頂きます。そうと決まればまずは龍園君とお話しなければ行けませんので私はこれで失礼しますね。」

 

俺はとしては冗談のつもりだったのだが、坂柳は本気にしてしまったようだ。後で龍園に叱られるかもしれないが、取り敢えずこのことは頭の隅に追いやって俺もその場を離れる事にした。

 

そして、この後龍園から会いに来るよう連絡が来て豪華客船終了の1週間前に龍園の部屋に来るよう呼び出しがかかる事になるのだがこの時の俺はそんな事知る由もなかったのだった。

Dクラスを

  • 許すな!
  • 許してあげよう
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