サバイバル初日、誰もがまずどんな物資を節約してどれだけポイントを保つかについて考えているだろう。各クラスリーダー格が話し合いながら必要ラインを考えている。或いはスポット捜索を優先したクラスもあるだろう。いずれにせよ、全てのクラスが『今回の特別試験のポイントを増やす事』だけを考えているはずだった。
「いいか、まずは俺達は今回の特別試験での物資とかを買うための300ポイントは基本的に捨てる。」
だからこそここにいる俺以外の奴らはこの龍園の発言の真意が最初理解出来なかったのだろう。この龍園の発言を聞いて数秒は誰も反応が出来ていなかった。
「は?どういう事!!!龍園!!!」
数秒のラグを持って伊吹が突っかかる。他の奴らも発言こそしないが同じ事を思っているのか頷いていた。例外は2人、アルベルトと椎名だ。椎名は話の真意を読み取ろうとしているようだ。アルベルトは無言で微動だにすらしないのでわからん。
「うるせぇよ伊吹、他クラスにバレたらどうするんだ。ちょっと黙ってろ。」
「そうよそうよ、伊吹さんは黙ってなさい。」
「いや真鍋も黙ってろよ。」
不機嫌そうに言う龍園に便乗する真鍋を窘める俺というなんとも分かりずらい構図が出来てしまった。船上試験のために無人島の時点で軽井沢と揉め事を更に増やせたらな程度でDクラスへの煽り役として真鍋一派を用意したつもりだったが人選ミスったなこれ。
「なんでこいつらを連れてきたんだよ天野…」
「いやこいつらCクラスで1番ウザイからDクラスの挑発に使おうと思ってたんだけど……人選ミスったわすまん。」
「まあCクラス来て日が浅いからな…分からねぇのも無理ねぇがこいつらと伊吹の相性は最悪だぜ?」
「次から気をつける。」
俺は龍園にとにかく謝る。原作設定を完全に忘れていた。ドジっ子なのかもしれない。魔法少女ではないけどな。
「まぁいい……それで作戦だが……今回のうちのクラス物資のポイント200ポイント分をAクラスの物資を用意するために使おうと思う。」
どうやら原作通り進むらしい。スポットのポイント増加もあったし心配していたんだが原作通り行くらしい。
「はぁ?そんな事してなんの得が……いやなんか考えがあるって事?」
いつもみたいに噛みつかず考える力を得た伊吹が少しだけ理解する。堀北と違ってこっちはなんか成長してた。
「ああ、詳しくは決まってから説明するが大量のプライベートポイントが毎月入ってくるようにするつもりだ。まぁ俺は今からその交渉に言ってくる。後の説明は戻ってきたらしてやるよ。」
「さすがです龍園さん!」
石崎が合いの手を入れる。俺にしてみればこいつただの無能なんだけどなぁ。
「取り敢えず金田と椎名は他の奴にはポイントを使わせないように見張っておけ。アルベルトと近藤はBクラスの、石崎と小宮はDクラスの追跡をしろ。もし見つかったようなら煽って帰ってこい。ただし手は出すなよ?」
「了解です!!!」
内容を聞くや否や彼らはどこかへ急いで去っていった。隠密は0だな。
「それで天野、俺はAクラスに行くがお前は俺が戻ってくるまでに他にも色々使えそうな作戦を考えておけ。あとはマニュアルでいいものがないかの確認もしとけ。」
「まぁそれはいいけどさぁ…俺が真鍋達でやろうとした事なくなっちまったじゃねぇか…。」
「真鍋たちみてぇなバカを使う訳にも行かねぇだろ……。」
「まぁそれもそうか。真鍋Cクラスでもトップクラスの馬鹿だし。」
真鍋達はと言うと目の前で俺らにボコボコに言われて凹んでいた。龍園はまだしも俺にまでちょっと怯えてる気がする。怖くないよ〜。俺はアルカイックスマイルを向けるがさらに怖がられてしまった。何故だ。
「まぁいいや、取り敢えず日焼け止め大量に貰っといて〜。」
「わかりました…行ってきます!」
何故か敬語になってそのまま走るように逃げて言ってしまった真鍋達、俺そんな怖いのかな。女子と楽しく話したかったんだけど。
「木下は他の人達にも呼びかけて一応スポット探して来といてくれ。」
「了解!10人くらいで探すね!」
木下はちゃんと同級生としての反応をして去っていった。何の違いですかねぇ…。
「取り敢えず俺も探してくるか。」
俺は龍園に言われた事を考えながら、取り敢えずスポットの探索に向かうのだった。
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「これで6つ目か……」
俺はスポット捜索から30分、6つのスポットを見つけていた。
俺は伊賀忍者の里で半年も修行を積んだ自分を忍者だと思い込んでいる痛いやつだ。まだまだ若いものには負けんよ。え?君も忍者だって?甲賀出身?許さねぇ!!
「ねぇねぇスポットじゃない?ここ!」
そんな事を言ってると誰かしらが来た。俺は近くの草むらに隠れる。おのれぇ甲賀め、早くも仕掛けて来よったか。
「そうだね…リーダーは誰にするかは一先ず置いといて、皆をここに来させた方がいいんじゃない?」
ここに来たのは伊賀でも甲賀でも西郷隆盛でもなく大天使一之瀬帆波だった。隣のヤツは……白波なんだろうか?なんか白波によく似たメンヘラにしか見えないが……。
「千尋ちゃん、取り敢えず皆をここに呼んでこよっか。他のスポットを集める皆を集めてここに来るまで20分ぐらいかな?」
やっぱり白波らしい。なんかもう…見てられなかった。一体どんな酷い振り方をしたらあんなにメンヘラになるんだろう。一之瀬帆波はメンヘラメーカーなのかもしれない。龍園よりたちが悪くないかそれ?
まぁ何はともあれ……これからここで話し合う訳だから万が一こんなとこでリーダー情報がわかるなら善は急げ。俺は自分のかけているメガネの先端のボタンを押し、木の幹が入り組んだ見えないであろう所に隠しておく。
実は今回、俺が着けているメガネはどこかの幼児化する高校生探偵も真っ青のインチキメガネである。
メガネのつるの部分が2つとも外れるようになっておりそこが発信機&盗聴器&録音機。しかも太陽光でバッテリー充電ができ、12時間も持つ優れもの。防水体制付きだ。
ちなみにメガネはふたつに分離でき、UVカット付き、暗視ゴーグルのような効果や赤外線探知など合わせて12の効果を持ったハイスペックメガネだ。さすがにサッカーボールは出せないが。
新しくケヤキモールに出来た何でも依頼屋で作ってもらった5000ポイントの最強サングラス……間違えたメガネは誰だか知らないが煙草を吸って帽子を来たツギハギのおっさんによって作成された。
まぁ何はともあれ放置して帰るか。
俺は足音を立てないようにそそくさと拠点に戻る。その途中で近くにあるトマト畑の存在に気づく。
「トマト畑か…」
本来なら食料があると仲間に通達して取りに来るだろう。そう、本来なら。
だが俺たちのゼロポイント作戦にトマトなど不要だ。
俺はトマト畑にあるトマトを片っ端から地面に投げつける。地面は真っ赤に染っていき、トマトがどんどん無くなっていく。そして全てのトマトを地面に投げつけた事を確認して、その場を去った。
そしてその帰り道で龍園と出会う。
「どうなった?Aクラスとの話し合い。」
「成功だ。毎月一人辺り20000プライベートポイントが送られてくるぜ。葛城が弥彦と二人の時を狙ったかいがあったぜ、三輪がいたらもっとめんどくせぇことになっていただろうからな……。」
「三輪……誰だそいつ?」
俺は思わず聞き返す、だれだよそいつ。
「お前はCクラスに来て日が浅いから知らねぇのも……いや関係ねぇか。三輪護良、弥彦みたいな腰巾着とは違ってしっかりと葛城の懐刀をしている男だ。頭も良く勉強もできて運動神経もいいらしいぞ。まぁ交渉内容の改ざんや変更は出来ないようにしたし問題ねェだろ。」
世の中広いものだ。全く知らんやつがでてきた……誰だよ本当に。まぁ何はともあれセーフか。
「まぁ覚えとこう。それでどんな作戦を考えているんだ?」
俺は原作を知っているが、確認しとくに越したことはない。
「まずは俺達は豪遊してると思わせるために100ポイントのうち50ポイントを使って遊び呆けている様子を見せて偵察に来たヤツらを煽る。頃合になったら大半の奴にはリタイアさせてスパイを用意する。スパイは伊吹と金田にやらせるつもりだ。取り敢えずここまでで異論はあるか?」
どうやら原作通りらしい。これなら心配いらないだろう。綾小路も今回はのほほーんとしてるはずだし。
「まぁ無いけど……スパイなんて送らなくてもBクラスのリーダー情報は手に入るかもな。」
「なんだと…!?どういうことだ。」
龍園が驚いた声を上げる。静かにしてくれないかな。耳元であんまり大声出されると鼓膜からタコぱんち出てきちゃうだろ。
「実はこのメガネの先端盗聴器にも録音機にも発信機にもなるスグレモノなんだけど、これをBクラスが偶然スポットにしようとしていたところを見つけたから設置しておいた。運が良ければこれでBクラスのリーダーを見つけて終わりだろ。」
「クハハハハ、お前やっぱり最高だぜ!!場合によっちゃ伊吹はいらねぇわけだな!」
「そういう事だ。ところで残りの50ポイントは何に使うつもりだ?」
「トランシーバーとかカメラだな。葛城の野郎は慎重派だからな。」
そう言えばそんな設定あったな、忘れてたわ。もしかしなくてもガバガバもあ〜。頭ガバガバすぎてモアイ像になっちゃうもあ〜。いやキモ。
「まぁバレないところにしまっとけよ……ついでに誤魔化すのに使った50ポイントの余った物資はリタイアする時にでもプライベートポイントでBかDクラスにでも売つけとこうぜ。端金だろうが増やしといて損はねぇだろ。」
「まぁそれはそうだな。」
龍園も似たような事を考えていたのかもしれない。
「あと食料だが、ゼロポイント作戦を使うであろう俺らにはまじで不必要なものだから見つけ次第地面に投げ捨てるなり食っちまうなりして減らせるだけ減らしとこうぜ。さっきトマト畑は破壊しておいた。」
床がトマトで血塗れみたいになっていた。あそこで転んだやつは最悪だな。
「それはいいな。ついでに川の水の中とかも泥なんか入れとくか?監視カメラも対してねぇし泥程度なら汚染扱いにもならねぇだろ?」
「そもそも俺達は減らされるポイントは無いんだから普通に大量に貰った日焼け止めの液を流しとけばいいだろ。0からいくらマイナスしても0だろ?」
真鍋達に大量の日焼け止めを用意させたのはこのためである。日焼け止めがどこのクラスのものかなんてどうせ分からないし、その川を使ってるクラスがワンチャン汚染でマイナス食らうかもしれんしし我ながら名案だろう。
「クハハハハ、お前の言う通りだな。だったら山火事や森林破壊なんかもありって訳か。面白ぇなぁ……。ところでスポットはどうするつもりだ?」
「そんなもん取れるだけ取っておいて直前にリーダーをリタイアすればいいんじゃねぇのか?どうせ俺らの初期ポイントはゼロなんだしさ。」
「いや、一応スパイ活動をする以上俺が島に残っているのがバレるってデメリットもある。たくさんスポットを見つけられりゃ作戦を切りかえてもいいんだが……」
「それなら6箇所見つけたぞ。Bクラスに一つ取られたけどまだあと5つもある。どうにかなるだろ。一先ずリーダーは適当なやつに任せてさっさと取っちまわねぇか?」
いや普通に取ればええやろ。リーダーなんてバレたらバレたでリタイア続ければいいだけだし、うちは0だし。だいたいスパイ作戦とやらもAクラスの同盟とBクラスの録音で実りが薄いしな。
「まぁそれもそうだな。そうなると豪遊はやめて数人だけ残して大半はリタイアさせるか?そうなるとスパイ活動の方はゴミになりそうだが……俺一人で島に潜伏するよりいいかもしれねぇな。」
龍園はニヤニヤしながら言う。汗ぐらい拭けよ。
「まぁそれでもいいけどな。残すメンバーは任せるけど俺はやめてくれよ。別でやりたい事があるんだよ。」
「まぁ残すメンバーに含めないのはいいが…なんだよぞのやりたい事ってのは?」
龍園が不思議そうに聞いてくる。
「まぁまずはその前に色々確認だな。今回の試験の不参加者って誰かわかるか?全員教えてくれ。」
「あ?後で聞いといてやるよ。」
「あぁ、んで話ってのは前に話したDクラスの綾小路が能ある鷹は爪を隠す状態だってはなしはしたな?」
「あぁ、お前の話を聞いている限りじゃ相当やばいらしいな。」
龍園は半信半疑なようだが知らん。綾小路なんか関わりとうない。ワシは平穏が欲しいのじゃ。
「まぁそれでだ。綾小路…あと一応高円寺の監視をしときたいんだよな。アイツらが本気を出したらこの試験どう足掻いても終わりだからな。」
「まぁわかった…が、そんなにやばいのか綾小路は?」
龍園が怪訝な目でこちらを見てくる。本来お前綾小路に心折られるんだぞオラオラ。
「やばい、高円寺の本気と同等だ。俺なんか料理と洗濯と合間の待ち時間で潰されるレベルだ。」
「わかった……行ってこい。絶対にそいつらを野放しにするんじゃねぇぞ。」
龍園もやばさを理解したのか、或いは俺の気迫に押されたか。まぁなんにせよ龍園の許可は出た。綾小路清隆を潰さなければどの道俺はDクラスに復讐などできない。
さぁ……本気を見せてくれ、原作主人公よ。
「とりあえず元の場所に向かうぞ。」
「あぁ……」
こうして俺達は元の場所に向かうのだった。だが俺はこの時知らなかった。奇跡的な幸運に俺達が恵まれていた事に。
何も知らなかった俺たちは、綾小路と高円寺に脅えながら戻るのだった。
ミワ モリヨシ
名前三輪 護良
Aクラス
誕生日9/5日
学力B
身体能力B
知性B
判断力B
協調性B
面接官からのコメント
全体的にバランスよく優秀なためAクラスへの配属とする。
担任からのコメント
葛城の参謀としてクラスを引っ張っています。今後に期待しています。
Dクラスを
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許すな!
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許してあげよう