俺はBクラスの拠点の方向へ向かう途中、近くにあるザラザラした岩に手を擦り付け、擦り傷を作る。別にブイズ見たく進化はしない。
その近くを見ると……みかん畑があった。
「手をつけられてはいないな……」
手を付けられていない事を俺は確認すると実っているみかんを全部地面に投げつけた。みかん畑は常に荒らされる運命にあるのだ。魚人から村を買うための1億ベリーどっかに隠されてたりしねぇかな。
俺はみかん畑がぐちゃぐちゃになったのを確認するとBクラスのキャンプへとそのまま向かった。目の前から男子が2人来る。俺はひとまず木の裏に身を隠すことにした。伊賀直伝である。甲賀は帰れ。
「櫛田ちゃんマジ天使だよなぁ…可愛すぎる。」
声と話し方でわかった。こいつ池だわ。
「そうでござるねぇ……それにしても平田殿がいないとは……櫛田殿が頑張ってくれてるとはいえ指揮系統はズタボロでござるな。」
話し方でわかった。江戸時代からタイムスリップしてきた武士だわ。というのは冗談で外村だな。
「だよなぁ……堀北がずっと調子乗ってるし…なんであんなのを櫛田ちゃんは推薦したんだ?訳わかんねぇぜ。」
雰囲気的にリーダーっぽいがこいつらは馬鹿なのか?何処で誰が聞き耳立ててるかも分からないのになんでペラペラペラと話しているんだ。ぺラップ以下だな。
「堀北殿は可愛いがキツいでござるよ……リーダーとしては向いていないでござる。」
外村が明らかにアカン発言をした。ここにあの録音メガネを持ってきていない事が悔やまれる。
「あいつ調子乗りすぎだよ……泣き顔が見てやりてぇぜ……なんかいい方法ねぇかな……。」
「拙者の機械テクを使って何とか出来ないかでござるね〜。女子更衣室の盗撮とか…。」
「やるならやっぱりプールだよな!!夏休み中に桔梗ちゃんと堀北のやつを誘って撮影して、堀北の着替えてるところだけ掲示板にでも貼ろうぜ。」
なんだか知らんけど俺はさっさとスパイに行かなきゃ行けない。幸いにもこいつらはとてつもないほどのアホだ。ソロリソロリと行けば何とかなるだろう。どこの芸人だよ。
バキッ!!!俺は一歩目で全力で木を踏みつぶしてしまった。
案の定池と外村に見つかる。
「誰だお前……って天野!?今の話聞いていやがったのか、卑怯だぞ!!」
「天誅、天誅にござる!!」
やっぱお前江戸時代の武士だろ。尊皇攘夷してんじゃねぇよ。
「いや卑怯も何もお前らがペラペラ話してただけじゃねぇかよ……まぁ条件次第では聞かなかった事にしてやってもいいけどな。」
「じ、条件ってなんだよ!?」
池が怯えながら聞いてくる。そんな酷い事言わないよ俺。
「うーん3つ、1つ目は今言ってた盗撮をいつ誰とやるか教えて欲しいってのと撮れたら俺にもデータ送ってくれよな!連絡手段は後日話そうか。」
俺は清々しい程の笑顔で言う。まぁ勿論本命はデータでは無い。どうせ綾小路は原作とかけ離れたこの世界線ではのんびり暮らすだろうし。そうなれば敵無しだろう。データを学校に提出して晴れてこいつらは退学だ。
「お、おう!もちろん任せとけ!お前も男で助かったぜ……」
池がほっと胸を撫で下ろす。いや君アウトだからね?
「2つ目は外村、お前機械いじりが得意だったよな?色々作って欲しいものがある。詳しくはまたこの試験が終わった後何処かで話すからやれよ?いいな?」
「は、はいでござる……ちなみにもし出来なかったら…でござる。」
「責任を取って退学するんだな。」
「ひ、ひぃぃいぃぃ、やる、やるでござる!!」
怯えながら外村も協力に応答した。普通に考えてマトモな判断が出来れば退学になんかならんと気づくだろう。まぁ盗撮はアウトかもしれないが、取り敢えずこいつも大したことないアホだな。
「んで3つ目なんだが……堀北鈴音を気絶させてあそこにある洞窟まで運んでこい。片方が拘束しといたままで、それが出来たら偵察ってBクラスのところにいる言い訳をして俺に伝えに来い。バレないようにだ。いいな?」
「「は。はぃぃぃぃぃ。」」
「それがちゃんとどきたらきかなかったことにしてやるけど……できなきゃお前らの人生はここでおしまいだな。取り敢えずもう行っていいぞ。」
「し、失礼しまァァァァス!!」
「逃げるでござるぅぅぅ。」
外村と池はそのままどこかにダッシュして行った。最後までアホだったなあいつら。本当に高校生なのか?あれが6人いたとかDクラスってかなりやばかったような……いや何も考えまい。
まぁ外村の協力と池たちの盗撮はついでだ。そのついでで池と外村はワンチャン退学だがまぁそれはいい。いてもいなくてもマイナスである事に変わりはないだろうし。
1番大事なのは堀北をリンチする全責任が池達に押し付けられるということにつきる。これで心置き無く殴り飛ばせるわけだ。
まぁそれもこれも全て俺がBクラスのスパイに成功したら、だが。
何はともあれまずはBクラスに潜入する事だ。まず大事なのはあたかもBクラスのスポットにたまたま辿り着いたかのようにする事だ。
俺は左足を引き摺り、右手で左手の薬指を庇うような仕草でゆったりとBクラスのベースキャンプへ顔を出した。そう言えば口の中を切るのを忘れたな。口から血のひとつでも吐き出せれば違ったんだが……まぁ仕方ない。
「どうしたの…!大丈夫…?」
一之瀬達が詰め寄ってくる。やっぱり優しいなBクラスは……。
「だ、大丈夫だ気にしな…グファッ!!」
俺は即座に口の中を噛んで口から血を吐き出す、昔よく虐められてた時にやられまくったフリをして手加減してもらうテクニックを覚えた。あの時は地獄でしかないぐらい惨めに感じたがまさかあの経験がこんなに生きてくるとは……人生わからんもんだな。
「ち、血を吐いてるし絶対大丈夫じゃないよ!本部まで連れていくからリタイアして…!」
「ま、待ってくれ、話……話を…」
俺は呂律が回らない振りをしながら口元を右手で拭う仕草を見せる。すると当然だが視線は右手に集まりやすくなる。そしてその手で左手の薬指を庇う仕草を見せればどうなるか?
「え、左手の薬指腫れてる…これもしかして折れてるんじゃない?」
「やっぱ今すぐにでもリタイアするべきだぜ!」
誘導に綺麗に乗っかってくれてありがとうモブの諸君。
「り、リタイア…は…でき…できない…するわけ…にはい、いかないんだ…。頼む…。」
俺は死にかけの顔を作りながら言う。
「待て、Cクラスからのスパイかもしれない!迂闊に近づくな!!」
何処からか声が聞こえる。少し低い気もするが女の声に聞こえる。どこかで聞き覚えがあるような…気の所為か?
俺は声の先を見る。Bクラスの奴らはずっとこっちをみたままだが、俺は目を疑った。
目の先、200mぐらいだろうか?二足歩行の熊だ。熊がいた。擬人化でも比喩でも直喩でも隠喩でも体言止めでもなんでもない。本当に熊がいた。
「んぇ…?く、クマぁ…!?」
見間違いだろうか、目を擦ると熊は居なくなっていた。なんだか頭がフラフラする…ケガのためとはいえ血を出しすぎたんだろうか。
「やっぱり限界なんだよ!リタイアしなよ!!」
モブが心配した声をかけてくる。Bクラスは仲良しで優しさもあっていい所だ。Dクラスも見習って欲しい。
「待て!スパイの可能性もある!」
神崎が叫ぶ、君、正解。
「スパイだったとして自分の骨を折って血を吐いて意識を飛ばしながら来るか?」
柴田の発言は最もだろう。俺は事実そうしむけたのだから。
それにしても意識がどんどん消えてくな。持ってあと2分ぐらいか。
Bクラス内には半信半疑の雰囲気になる。まぁここまでは予想通りだ。そしてここからは真実と嘘を織り交ぜるお時間だ。
「俺は…龍園…に…Cクラス…から…スパイ…Bクラス…の…するように…言われた…。」
「ほら見ろ!やはりスパイだ!」
神崎が言う。人は嘘の中に嘘を隠す事で嘘を嘘だと分からなくするのだ。これは本当だが。
「それで…真実味を…出すために…骨…おられて…殴られたり…して…こうなった…あんなやつ…仲間じゃ…ない…」
これは嘘だ。全部自分でやった。
「いくら真実味を出すためとはいえクラスメイトにここまでやるのか…龍園!!人の風上にもおけんやつだ!」
神崎が激高する。こいつ実は良い奴だろ。まぁ原作では良い奴だったが。
「だから…殴られ…たく…なくて…Bクラス…来た。リーダー…分からない分には…まだ…いいけど…リタイア…は…殺される…帰れる…場所…無い。」
これは100パーセント嘘だ。てかなんならもうリーダーリタイアは一応分かっている。
「ぁ……君!ぁ……!」
目に見える景色と一之瀬の声がどんどん遠くなる。やっぱり血を流しすぎたらしい。完全に誤算だったがまぁいいだろう。帰って信用性が増す。これは真実だからな。
あとは、リタイアをさせられない事だけを祈って俺はそのまま意識を飛ばした。
あぁ……神様……どうか坂柳と葛城と一之瀬と龍園が綿白神の奴とDクラスをフルボッコにしますように…。
俺は心の底から復讐を神に願いながら、倒れるのだった。
イチジョウ シンジロウ
名前 一条 進次郎
誕生日1/25
1年A組
学力A-
身体能力A+
知力 C-
判断力D+
協調性B-
面接官からのコメント
学力、身体能力、協調性に大変優れており、Aクラスへの配属とする。ただし怒ると視野が狭くなる点や、感情をコントロール出来ずに後先考えず行動してしまう点があるため、改善を期待する。
担任からのコメント
綿白神の側近として学力、身体能力、協調性を発揮しています。ただし、綿白神の事になると熱くなってしまい視野が狭い行動をしてしまう点には改善を望みます。
Dクラスを
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許すな!
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許してあげよう