ようこそ間違った教室へ   作:あもう

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邂逅

「まぁ、という訳だ。」

 

俺は櫛田と別れた後、堀北のやらかし、三クラス間の同盟、Dクラスにできたスパイの存在、熊の事、Bクラスの黒幕Zについての俺の考察、一之瀬の違和感の事を話した。ついでにBクラスのリーダーの写真も見せて、リタイアする事を説明した。

 

もちろんBクラスに勧誘された事、櫛田の過去と名前は伏せ一択である。

 

「ククククク、まぁ大体の事はわかった、Dの方には俺が交渉を持ちかけておく。お前の考察が正しいならBクラスにいる黒幕Zかその有力な手駒が何処かに潜伏している可能性が高い、これと熊についても俺が調べておこう。それにしても相変わらずお前は面白いな。潜伏してる奴の候補は木山か八雲だろうな。」

 

楽しそうに笑う龍園だが完全に社畜ルートにいる気がする。原作の努力が嫌いスタイルはどこへ行ってしまったのか.......。

 

「面白いかは知らんけど、まぁだが警戒してくれよ。Bクラスのリーダーの件はどうも上手く行き過ぎてて怖い、まるで誰かの手のひらで踊らされているような感覚だ。それこそ黒幕Zのな。」

 

俺の中でどうも何かしらが引っかかる。リーダーは白波だった。潜伏しているであろう奴もいる。筆頭候補のそいつらは2人とも男だからそのどちらかがリーダー.......のように見える。そしてそいつらが熊の可能性も充分ある.......のだが何かが俺の中で引っかかっていた。

 

「まぁひとまず戻れ、また接触できる機会もあるはずだ、お前は五日目にリタイアしろ。」

 

「あぁ.......そうだな。」

 

俺は龍園の言う通りにBクラスに戻る。その途中でAクラスの奴らにであった。

 

「お前は.......Dクラスの奴だな。」

 

「いやCクラスだけど。」

 

俺はそこそこの有名人だと思っていたが目の前の男はそんな事も知らないらしい。

 

「まぁなんでもいい。AクラスからしてみればDもCも変わらないからな。」

 

「それで要件はなんなんだよ。」

 

見たところ名前すらないモブっぽいんだがこの世界線モブが強いからなぁ.......

 

「Cクラスのリーダーを教えろ。10万プライベートポイント出してやるよ。葛城派のためにな。」

 

どうやらリーダー情報の買収が目的らしい。そして葛城派閥か、此奴は俺より口が軽そうだな。

 

「龍園だ。あの男は誰も信用していないから自分以外がリーダーをやれないんだよ。」

 

まぁ大嘘である。こんなんで引っかかってくれれば儲けもの。金が入っても儲けものである。

 

「嘘をつけ。Cクラスのリーダーは金田らしいな。三輪が言っていた。嘘をついて騙そうとはお前ゴミだな。」

 

何故こうも彼はAクラスにとって不利益なことをするのだろう。三輪というのは熊に襲われた奴だがCクラスのリーダーを見抜いたらしい。偉い。

 

「ちっ、バレたか。」

 

まぁ実際金田はリタイア作戦をして新しく別のリーダーを用意するだろうけどな。

 

「その反応を見るに本当っぽいな。もう行っていいぞ。」

 

何故か俺はこいつの許可を貰いBクラスに帰った。それにしてもあいつはバカなんだろうか。どこの誰か知らないがあんなのばかりとなると葛城の未来も暗そうだな。

 

俺はBクラスに戻り三度睡眠を取る事にしよう。

 

しかしそんな思いはやはり打ち砕かれることになる。

 

森をかき分けるとDクラスのスポットに出てしまった。

 

「な、何しに来たんだよお前!!」

 

そして見つかってしまったようだ。声の主はいつぞやの池、そんな怯えないでくれよ。バレるだろ。

 

「貴方みたいな下賎な人間がここは来る所じゃないわ。」

 

何故だか堀北も来た。下賎なのはお前だしここは俺が来てもいいだろ。こいつは天竜人か何かなのか?

 

「ハイハイ。帰りますよっと。」

 

俺は堀北とも一切関わりたくないので帰る事にする。さっきから災難続きだな。

 

「堀北、そろそろリーダー更新の時間だぜ!」

 

「貴方.......余計な事をっ!」

 

本堂が堀北にリーダー更新の時間を知らせに来たらしいが傍から聞いている分には堀北がリーダーと暗に言っているようなものだからな。

 

「暗にリーダーって言ってるようなものだな。Dクラスって馬鹿なのか?」

 

まぁ六馬鹿だけかもしれないが、

 

「バカなのは新旧六馬鹿だけよ。私をあれと一緒にしないで頂戴。」

 

「新六馬鹿のひとりはお前だけどな。堀北。」

 

横から幸村が突っ込みを入れてくる。そういえばこいつクラスを裏切ろうとしてなかったか?

 

「ちなみに新六馬鹿って誰なんだ?」

 

「クラスの不利益になる事は言えない。」

 

幸村がキリッとした顔で言ってくるがこいつはクラスを裏切ろうとしてたしなんなら今堀北が六馬鹿って言ったけどな。

 

「堀北さん、池くん、外村くん、本堂くん、篠原さん、沖谷くんだよ。」

 

「おい軽井沢、無駄な情報を与えるな!」

「はぁ?クラスを裏切ろうとしたあんたに言われたくないんですけど!」

 

そりゃそうだ、Dクラスの面々も頷く。ちなみに櫛田はまだ戻ってきていないようだ。

 

「お前だってクラスのポイントを無駄に使っただろ!」

 

「それを言うなら池くん達も使ったよね!不公平なんですけど!」

 

俺は揉め合いをしている軽井沢と幸村を愚かしく感じながらBクラスの拠点へと戻って言った。伊吹は見当たらないが果てして無事に潜入できたのか、いやまぁ考えるだけ無駄か。

 

その途中にあるパイナップル畑を破壊してBクラスに行くと、太陽は沈んでいた。夏は太陽の出ている時間が長いことを考えると今は8時ぐらいだろうか?

 

「あ、やっと来た、どこ行ってたのさ。」

 

一之瀬がこっちに来る。というか俺への隔離政策はしないのか.......。

 

「これから毎日龍園に報告しに行く事になる。まぁBクラスの不利益になる事は言わねぇから安心しろよ。」

 

「その言葉、信じるからね。」

 

一之瀬がこちらを見つめてくる。まぁあくまでも『俺個人』は、だが。

 

俺はBクラスに俺が居なかった理由を説明する一之瀬を横目に、そのままハンモックに行き、思考する。

 

俺としては別にこの試験で『Cクラスが勝つ』必要性は感じえない。俺はそのまま眠りにつくのに差程時間はかからなかった。

 

帆波ちゃん、また天野君は眠りについたみたい。」

 

「ありがとう麻子ちゃん。それにしても彼本当に動く気無いね。もうちょっと動いてもいいと思うけど。」

 

「まぁ.......Bクラスに協力的なのは助かる。とは言え5日目のリーダーのリタイアの時は警戒するべきだろうな。」

 

「そうだねぇ.......『録音』の事もあるし、保険は聞くと思うけどね。」

 

「そうだな。『アイツ』はやはり恐ろしい男だ。」

 

天野も、龍園もいや、Cクラスは知らない。自分達が犯している致命的なミスの存在に.......。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ふぁぁぁ.......ぁれ?昼か?」

 

俺が起きた時間には太陽は沈むギリギリの位置にあった。恐らく6時ぐらいだろう。

 

「あー、やっと起きたんだね。おはよう。」

 

「おそようございます。」

 

俺の近くには網倉が座っていた。今日の俺の監視当番なのだろう。

 

「今日は3日目だったな。調子はどうだ?」

 

 

 

「まぁ順調かな。後今日は4日目だよ。天野君は1日寝過ごしちゃってるの。」

 

何とも曖昧な言い方だ。そう簡単に教えてはくれないか。

とはいえ目に入るだけでも仮設トイレとテント一個、ウォーターシャワー2個の購入は確定だろう。50ポイント程度は使っているとみていいな。.......ん?4日目?

 

「今日はどうするの?」

 

「俺はどうする気もない。今日の夜に龍園と会わなきゃ行けないから俺は寝させてもらうぞ。って言うか四日目なのか.......龍園から制裁飛ばされるやん。」

 

制裁ではなく俺が欲しいのは正妻!なんつって.......つまらないギャグを心の中で言おうと叱られるのは変わらないんだろう。

 

やっちまったぜ!監視の目がエグくて会えなかったって事にしとこう。そうしよう。

 

「監視の目がヤバかったって事にするわ。口裏合わせよろしく!」

 

「えぇ.......うん、まぁやるけどさぁ。それでいいの.......。」

 

「龍園に義理なんて無いし握り潰されるのはごめんだ。」

 

場の空気が一瞬凍る。なんも無かった事にして欲しい。

 

「そういえば昨日Dクラスから偵察に桔梗ちゃんが来てて、天野君に会いたがっていたよ。」

 

「櫛田が?急ぎの要件か?」

 

網倉は場の空気を無かったことにしてくれた。祈りが届いたらしい。

 

「いや、無人島にいる時にまた話せればいいみたいなこと言ってたし大丈夫じゃないかな?熊の話は聞いた?」

 

「熊の話?」

 

「うん、何でも負傷して再起不能になった人がいるらしいよ。」

 

再起不能って言うとなんか廃人になったみたいだな。 リタイアって言おうぜ.......。

 

「そうなのか.......Bクラスでは無いよな?」

 

「うん、話によるとAクラスの生徒らしいから大丈夫。」

 

Aクラス、て事は三輪だろう。あいつが残っていたら色々不味かったのかもしれないな。リーダー金田を一日程度で見抜いた着眼力、そして偽物の熊に狙われるって事は優秀だと言うことだろう。

 

「なるほどなぁ.......それじゃあ櫛田のところに行くことにするよ。」

 

「うん、行ってらっしゃい!」

 

網倉は笑顔で手を振りながら送り出してくれる。それにしてもBクラスは完全に俺を仲間だと思っているのか、泳がせているのか。警戒心が無いのか。いまいち分からないが上手く行き過ぎな気もするが.......まぁ今回の試験の勝ち負けは最悪捨ててもいいだろう。

 

俺はそのまま進んでいき、Dクラスへと顔を出す。

 

「クソ!ふざけんなよ!堀北の野郎!!!」

 

なんか須藤が大声で叫んでいた。これは原作の高円寺ポジションなのだが堀北はリタイアでもしたのだろうか。だとしたら非常に面倒臭いんだが.......。

 

「一体どうしたんだよ。」

 

俺はクラスメイトのふりをして聞いてみる。

 

「Cクラスのやつに言う義理はねぇよ。俺達が悪いとはいえ、今のお前はCクラスなんだからよ。」

 

思ったよりも意外な反応だ、てっきりキレると思っていたんだがな。

 

「成長したんだな、須藤。ところで櫛田はどこにいるかわかるか?」

 

「あ、やっと起きたんだね天野君。」

 

須藤に居場所を聞こうとすると、櫛田がやって来た。なんかちょっと怒ってる気がしないでもない。

 

「今色々あってクラスは荒れててね、ちょっとあっちでお話しようか。」

 

そう言われ俺は砂浜へと連れていかれる。櫛田に連れられ歩いて五分ほど、砂浜の上には.......綺麗な星空が浮かんでいた。雲ひとつない空。光る星々、流石に流れ星や天の川なんかは無かったが、それでも綺麗だった。俺は天野であって天の川ではない。

 

「綺麗だね、星空。」

 

櫛田がこっちを向きながら言う。櫛田の目に星空が反射している気がした。

 

「あれはアルタイルあれはベガ〜」

 

無意識のうちに俺は某有名アニメの曲を口ずさんでいた。ちなみに某ペナルティだよねさん推しである。今のクラスのリーダーの龍園もペナルティ好きそうだし蛇みたいだしある意味合ってるのかもしれない。

 

「天野君詳しいね、やっぱりセイントって名前は星から来てるのかな?」

「読み方に関しては星空が由来らしいな。昔親が俺が生まれたその時に流れ星が落ちてたって言ってたしな。」

 

今は亡き母親は流れ星が空から落ちて来た時にまるで貴方が祝福されたみたいって言っていたのはよく覚えている。父親は偶然だろう、くだらないと言って切り捨てていたが。その話を聞いた弟は.......いや、あいつの事を思い出すのは辞めよう。せっかくの綺麗な星空に申し訳ない。

 

「へぇ〜漢字の方は違うんだね。」

 

「あぁ.......そう言えばなんの用だったんだ?」

 

堀北の失踪についてだろうか?

 

「うーんと、3つ報告しときたい事があってね。一つ目は堀北が3日目の夜に失踪したんだよね。」

 

「この後本人に確認を取るが、多分龍園だろうな。バレないように拘束具をつけて洞窟に監禁してリンチするとか言ってたしな。目隠しとかで一応訴えられないように招待は隠すだろうけどな。」

 

「まぁ、日頃の行いが悪すぎるし自業自得じゃないかな。私も堀北は嫌いだし。」

 

そう言っている櫛田の顔は少し晴れ晴れとしている気がする。どこか清々しいような.......気のせいかな?

 

「まぁ俺も堀北は嫌いだな。なんとなくDクラスが騒いでた理由はわかった。点呼に来なかったってことか。」

 

「うん、正解だよ。それで二つ目なんだけどね.......船に戻ってるはずの御門君がDクラスに顔を出していたの。何でもバレないように泳いで来たらしいんだけど。」

 

「は?まさか本当にやる奴がいるとは思えなかった。というかあいつはクラスに協力するタイプには思えねぇんだが。」

 

「私もそう思う。自分の利益とか快楽を優先するタイプだし、なんか事情があるとは思うんだけど.......」

 

取り敢えずこれで尚更堀北をリタイアさせる訳には行かないという事だ。龍園に忠告しておくべきだろう。それにしてもBクラスといいDクラスといい死んだフリ作戦が多すぎませんかねぇ?というか船からどうやって本部にバレずに泳いで来て

本部に帰るつもりなのかは一切わからんが、御門は高円寺みたいなものなのかもしれない。

 

「御門って櫛田から見たらどんな奴だ?」

 

「高円寺君と龍園君を足して2で割ったみたいな人?」

 

なるほど、どんなやつかはわからんが想像は着きそうでつかない。暴力的な高円寺って所だろうか。少なくともクラスの為に動く気はサラサラ無いだろう。

 

「だとしたらクラスの為なんて100無いわ。うん。」

 

「あはは、だよね。それで3つ目の話なんだけど、天野君は熊の話は聞いた?」

 

櫛田は苦笑しながら聞いてくる。とりあえず御門とやらとは関わりたくないな。

 

「熊か、三輪って言うAクラスの奴が襲われたらしいな。」

 

櫛田を信用していない訳ではあるが、三輪の事は離さないでおく。普通信用しているが、とか言うんだろうね。まぁ信じてないが。

 

「そうそう、結構な人が本物の熊だって言ってるけど私は偽物だと思う。それで御門君はわかんないけどDクラスに該当者はいないと思うな。リタイアしている人以外は。」

 

リタイアしている人以外はという辺りに櫛田の有用性が光っていると思う。

 

「Bクラスも同じくだな。ただBクラスは船からこっそり来てる奴がいそうだけどな。Cクラスは船も含めて無いはずだ。龍園が知らないって言うことはそういう事だ。」

 

「Aクラスの三輪君を襲ったって事はAクラスでも無いのかな?」

 

さすがに内部分裂の蹴落とし合いまでは予想がつかないか。つかなくていいけどな。

 

「正しくは葛城派は、だな。まぁ熊に関しては龍園が何とか調べるだろうよ。」

 

「龍園君の管轄なんだ.......ところで、ちゃんと私をCクラスに連れて行ってくれるんだよね?」

 

櫛田の目線がこっちを向く。顔からは天使の仮面が剥がれ笑みが消えていた。

 

「当たり前だろ。そんなに信用出来ないか?」

 

「ううん、天野君だから信じるよ、私は。」

 

なんか毎回俺『だから』を強調している気がする。相手に優越感を持たせるためのテクニックか何かなのだろうか。

 

「ありがとう、櫛田。」

 

「あ、でも私は天野君以外のスパイをやるつもりは無いから。例え天野君に言われても。そこだけは分かって欲しいな。」

 

「元々他の奴に櫛田をスパイとして使わせるつもりは無い。例え龍園でもな。」

 

これは事実だ。櫛田の取り扱いは色々難しい。他人にもリードを渡したらどうなるかわかったもんじゃない。

 

「ありがとう、私.......頑張るから。だから絶対に捨てないでね?」

 

「あぁ、勿論だ。情報助かった。次も期待してるぞ。」

「ありがとう、それじゃあ私は戻るね。」

 

なんだか戻る時の櫛田の顔が少し赤かった気がするが、まぁ多分気のせいだろう。

 

俺はそのまま龍園の元へと向かった。しかし俺はこの時想像を遥かに超える事態が起きていた事を知らない。知っていたら.......何かが変えられたのかもしれないがそれは無意味な過程だろう。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は龍園との待ち合わせ場所に行ったが龍園は居なかった。寝過ごした事を怒っている.......とは思えないし、寝過ごしたとも思えないが、とにかくCクラスの拠点まで出向く必要がありそうだ。

 

もしかしたら今『俺が後をつけられている誰か』に気付いたのだろうか。前に感じたつけられている相手とは違う。あの時は気配を消していたので何処にいるかすら分からなかった、何処かにいた事だけは分かったが何処かは分からないので正直引いてくれたのは助かった。

 

だが、今回は違う。わざとなのか腕が無いのか知らないが、気配を隠していない。それが敢えて隠せないのか、隠すだけの実力が無いのかは分からないが。ともかく俺はそちらを睨みながら待つ。10秒.......20秒.......1分がギリ立たないぐらいだろうか。オーラの主は姿を表した。

 

「久しぶりだな天野、俺は御門って言うんだが覚えてるか?」

 

その気配の主を見て、敢えて隠さなかった事を悟る。此奴は高円寺や龍園と同じ域な筈だ、そんな奴が気配すら殺せないとは思えない。

 

「あぁ.......それで何の用だ?」

 

「なんだ、俺がリタイアしてるはずなのにいる事には驚かねぇのかよ。」

 

「リタイアしてた事を知らなかっただけだ。」

 

まぁ普通に考えて苦しい言い訳だろう。それにしてもこいつが俺に態々姿をみせる理由は見えて来ない。目的が分からないのだ。普通に考えてデメリットなのだが.......高円寺タイプなのだろうか。

 

「お前がそんな間抜けだとは思えねぇが.......まぁそれはいいや。本題なんだが、龍園が怪我を負わされてリタイアした。」

 

「.......は?嘘だろ?」

 

思わず俺も間の抜けた声が出てしまった。龍園がリタイア?何故?何時?

 

「リタイアしたのは昨日の丑三つ時ってとこだな。理由と俺がここにいる説明は今からしてやる。」

 

丑三つ時とかカッコ良く言うんじゃねぇよ。

 

「まず俺がリタイアしたはずなのに島にいるのはこっそり泳いできたからだ。理由は単純、龍園に金で雇われたんだ。」

 

「なるほどな。」

 

来た方法こそあってはいるが本当かは怪しいものだ。

 

「疑ってるな。これがなんだがわかるか?」

 

そう言って御門が取り出したのは俺が龍園に預けていたメガネのつる。つまり録音機だ、御門はそれを慣れた手つきで再生する。

 

『天野、御門は俺がプライベートポイントで雇った。リタイアした俺の仕事の引き継ぎって訳だ。俺が無様を晒して悪ぃが計画に変更はねぇよ。詳しくは御門から聞け。』

 

「って訳だ。雇われたのは本当だぜ?」

 

「その録音機の録音、それで全部か?」

 

それすらも怪しい。なんせ目の前に居るのは信用性ゼロの男、最初に六馬鹿のボスみたいな位置にいたやつだ。何を考えてるかわからん。

 

「ああ、信用出来ねぇだろうしこれはお前に返すぜ。」

 

そう言って録音機が投げられる。暗闇の中俺は上手いことキャッチをする。俺すげぇな。

 

「それで何処まで頼まれてるんだ?龍園は誰にやられた?他の奴らは無事なのか?何が目的だ?誰が知っている?」

 

「おいおい落ち着けよ、順番に答えてやるからよ。まず俺の目的は単純に金だ。後は龍園をやった奴らが単純に気に食わねぇんだよ。」

 

「まぁひとまず信じてやるよ。」

 

まぁ此奴らしい理由ではある。此奴のことは詳しく知らんけどな。

 

「んで知ってる奴は俺と襲った犯人、あとCクラスのスパイに行ってる連中以外ってとこだろうな。俺の知る限りじゃあな。」

 

Bクラスでも一之瀬達からそんな話は聞いていないし櫛田からも聞いていない、ということはそういう事なのだろう。

 

「続けるぜ、他の奴らは.......少なくとも俺が知る限りじゃCクラスは龍園だけだな。Aクラスの三輪ってやつもやられたらしいがな。」

 

三輪を運んだのは俺なんだが.......まぁいいや。

 

「それで誰にやられたんだ?」

 

俺は少し焦り気味に聞く。龍園が消えるとか冗談じゃねぇぞ。

 

「その前にだが、俺が頼まれてるのは堀北のリンチとお前への連絡だけだ。龍園はお前に全部の指揮系統を任せるつもりらしいからな。堀北は俺が捕まえといた。堀北をバレずにリンチするのとリタイアさせねぇ事については任せろ、堀北は俺も嫌いだったし何より強気な女を殴って心折るのは俺の好みだからな。」

 

御門は悪びれもせずケラケラと笑いながら言う。龍園みたいの意味が分かった気がした。

 

「まぁ任せた。それで誰にやられた?俺はどこまでの権限を貰った?」

 

「権限は好きにやっていいらしいぞ、お前のやり方でな。やられた奴だが.......熊だ。いや、正確には熊ともう一人だな。」

 

「また熊かよ.......偽物だって龍園なら気付きそうなものだが、もう一人ってのはどういうことだ。」

 

「順番に説明してやるから焦るな焦るな、それじゃあ順番に行くぞ。」

 

御門はやれやれと言わんばかりに肩を竦める。

 

「龍園は熊と目が合って、熊が来たらしいから、逃げるふりをして龍園は崖から突き落とそうとしたんだよ。」

 

「アイツらしいな.......それは。」

 

熊にすら怯えない当たりは龍園らしい。

 

「それで、熊をフルで煽って崖まで連れてきて、熊と取っ組み合いになったらしいぜ。その時点で偽物なのは確定だな。」

 

「違いねぇな。だがここまで話を聞いてると龍園がボコされたとは思えんぞ。」

 

「どうなら、熊とやり合ってる最中に後ろから気絶させられたらしい。顔はわかんねぇがそれ相応の手練なのは違いねぇな。熊と共犯の可能性も高い。それで目が覚めたら大怪我だったらしいぜ。」

 

「それ普通にバレたら退学レベルだろ。」

 

「それは堀北の件も同じだからCクラスに訴える事は出来ねぇだろうな。って見込みなんだろうよ。」

 

「なるほど、でも熊がそんな事知ってるとは思えねぇが。」

 

普通に考えて知ってたらおかしいだろう。

 

「まぁそうだろうが、偶然か狙ってか、そんな状況だぜ?」

 

「まぁな。熊に関しては俺は取り敢えずスルーでいいだろうよ。裏で攻撃してきた奴も同じくだが.......黒幕Zかもしれんな。」

 

「可能性はあるが、それにしてもこの試験暗躍してる奴が多すぎねぇか?」

 

「それはそうだな。お前もだけど」

 

俺は御門をジト目で見ると目を逸らされた。なんでや。

 

「ともかく、お前の策略でクラスを勝たせるこったな。」

 

御門はそれだけ言い残して去っていった。黒幕Z、熊、その共犯、わからない事だらけだが俺には現状どうしようも無い。それが御門で無いと分かっただけでも収穫としとくか。

 

取り敢えず俺はCクラスの拠点へと向かった。

 

「天野氏!戻ってきてくれましたか!」

小声で金田が感激そうに声を上げる。アルベルトも頷く。

 

「龍園失踪のわけは聞いた。一先ず俺がリーダーだ。」

 

「龍園君もですが石崎君もリタイアですね。無理をし過ぎてしまったようで.......」

 

耳元でボソボソと椎名が言ってくる。距離感近すぎて恥ずかしい限りだ。

 

「それで作戦をお願いします」

 

金田はメガネをグイッとあげながら言う。

 

金田の呼び掛け通りここは作戦を伝えるべきだろう。

 

「さて、作戦だが.......スポットのポイントってどうなっている?」

 

「えーと.......この試験の終わりが7日目の10時、始まりは1日目の10時です。スポット占有を始めたのは18時ですので.......5スポットを占有している訳ですから5×(16+120)で680ポイントですか?」

 

改めて聞くとバカげた数値だと思う。原作でもやらなかったレベルでスポットのポイントが多い。おそらくは他クラスも似たような感じだろう。つまるところリーダー氏名をされたらその瞬間終わりという事。いきなりやべぇ試験をぶち込んできたな。

 

「そうだな。Bクラスだが占有してるスポットは2つか3つだ、占有時間は俺らと同じぐらいだとして、まぁあいつらのスポットのポイントはざっと400ってところだろうな。それに加えてスペシャルポイントが200ぐらいはあるだろうし600って所だ。だがリーダーの指名の話もある以上一概には言えねぇだろうよ。」

 

「Aクラスを見てきたのですが占有しているスポットは4つほどでしょうか?ポイントもそのまま残っていますのでスポットで530としますと、800ポイント残る計算になりますね。」

 

椎名が眠そうに行ってくる。相変わらず恐ろしい計算速度だな。

 

「Dクラスはわかるか?」

 

「Dクラスですか.......?おそらくはスペシャルポイントは150というところだと思います。スポットは3つほど占有していたのですが3日目と4日目の間に堀北さんが失踪されたので1.5個という扱いで計算させてもらいますと200ポイント程ですかね。合わせて350ポイントと言った所でしょうか。」

 

「いや、明日から堀北が1日2回の点呼に参加出来ない上に昨日も2回とも参加してないだろう。最終日は一回しかないだろうから-5×7で-35ポイント、165ポイントってとこだな。」

 

まぁ実際には俺達が堀北をリーダー指名できるのでスポットのポイントは消えて115ポイントは確定だろう。勿論そんな程度で終わらせるつもりは無い。

 

堀北鈴音に『地獄』を見せる為にも.......

 

「まぁ計画が上手く行けばDクラスに最後に残るポイントは50ぐらいになるかもしれねぇがな.......」

 

「計画、とはなんでしょうか?」

 

金田がこちらを真剣な目線で見てくる。俺はホモじゃないんだが。

 

「実は、Aクラスの葛城、Bクラスの一之瀬、そしてCクラスの俺で堀北の悪行に見かねてお灸を据えるために軽い同盟みたいなものを組んだんだ。Dクラスのリーダーが堀北だって情報をAクラスとBクラスにも流して3クラスからクロスファイアしてやる。これでさらに-100ポイントだな。これでアイツらのラストのポイントは65ポイントだ。ほかのクラスと見比べても終わりだろ。」

 

俺の話を聞いて周りがドン引きの目線を送るが知らん。

 

「金田、お前はアルベルトと椎名を連れて6日目の夜3時半ぐらいにリタイアをしろ、木下は報告内容を得るまで6日目までずっと潜伏させとけ。次のリーダーは木下だ。」

 

「何故3時半なのですか?確かに夜の方がいいと思いますが。」

 

金田はメガネをクイッとあげる。

 

「統計的に1番寝静まってる時間だからだな。それじゃあ頼んだ。俺はBクラスに戻る、そろそろ朝日も登りそうだしな。」

 

「わかりました。」

 

こうして俺達の運命の5日目が始まった。

 

生き残るのは堅実な戦法を取ったAクラスなのか

それとも黒幕ZのいるBクラスなのか

スパイ作戦をしたCクラスなのか

絶望的な状況から大逆転を起こすDクラスなのか

 

 

 

 

.......いやDクラスだけは無いか。

 

 

ともかく

 

 

 

俺はこの戦いで結果を出せるよう、朝日に願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、運命の5日目が始まった。

山内に再登場

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