俺が指定した時間の10分前に来ると薮は既に居た。
「やぁやぁ、ちょっと話がしたくてね。」
「は、はい.......。その、あの動画のメールを送ってきたのは貴方なんですか?」
ダーツ場に入る前に聞いてくるのは辞めて欲しい。一応ここ人が通らない事もないんだよな。
「その前にまずは入ろうか、お互い色々聞かれると困るだろ?」
「は、はい.......。」
それにしてもそんな怯えた表情をしないで欲しい。
俺達はダーツ場に入った。ここの扉は防音式でフリーでやれるタイプだ。従業員なんかもいないので密会の為に用意されてるのか疑うレベルだな。
「まぁじゃあ単刀直入に聞くか、お前ら軽井沢を虐めただろ?その動画、誰かに撮られたんじゃないのか?」
そう言いながら俺はダーツの矢を的に投げる。的が光ってコングラッチュレイジョン!の文字が光る。投擲はやっぱり得意だな。
「え、あの動画って天野君が送ってきたんじゃないの?確かに私達は軽井沢さんを虐めたし、その動画を撮られちゃったけど.......。」
「いや、俺が送ったのは昨日のメール一通だけだ.......その動画、見せてもらえるか?」
俺の指示に薮はケータイを操作して恐る恐ると言った感じで渡してくる。
動画を再生すると、諸藤が殴りまくってる所から動画は始まっている。山下と薮は後ろで無言で立っているが、手は出していないようだ。
『前々から気に食わなかったのよ!!!』
それにしても諸藤は.......サイコパスか何かだろう。まるで復讐を口実に軽井沢をボコす事で快楽を得ている獣の顔だな。
結局真鍋も2,3発手は出しているが、圧倒的な物量で手を出していのは諸藤一人か.......山下と薮は見張りなのかは知らんが手を出していないようだ。
手を出したか否か、この差は大きい。手を出していないなら軽めのペナルティで済むこともありそうだ。
俺の予想するに、薮、山下は虐めを見過ごしはしたが、手を出していないので一週間の停学、少なめとはいえ手を出した真鍋が二週間の停学、圧倒的にボコボコにした諸藤が一ヶ月の停学と言う所だろう。審判員が『堀北生徒会長』ならの話だが。
まぁおそらくあの動画を撮ったのは恐らく綾小路だろう。綾小路と話したいならいくら何でもこの場所は危険すぎるか。
「取り敢えず真鍋と山下を呼び出せ。諸藤にはバレないようにな。」
「わかりました.......その、私達ってどうすれば。」
薮が死にそうな顔でこちらを見てくる。まぁコイツらが悪いとはいえ無理も無い。この後龍園から制裁を食らって一歩間違えたら退学、学校に残っても後ろ指を刺されるのは確定だろう。
諸藤はもう救えそうに無いので今回の試験で足切りするべきだろう。
出来れば真鍋も消したいが取り敢えず今回じゃなくて良い、そもそも学校側に訴えたいならこんな裏で止めるような事はしないでさっさと訴えている。軽井沢.......いや、綾小路がそれをしないという事は軽井沢の虐めを明るみに出るのを恐れているのだろう。ここら辺は原作通りだな。
「薮、待ってる間ダーツでもしようぜ。」
「は、はい.......。」
薮は欠片も乗り気では無かったが俺に言われたからかダーツはするらしい。人間ダーツ?勿論しねぇよ。
「ちなみに誰かに見られてた、とか自覚はあるか?」
「幸村君と綾小路君に一度バレた.......かな。」
やっぱり綾小路か。とはいえコイツらに話すメリットもないな。
「まぁそいつらが誰かに相談した可能性もある。取り敢えずアイツらが揃うまで待つか。」
「その.......私達って退学になる.......んですか?」
さっきから定期的に言葉が詰まって怯えている表情ばっかりしてるなコイツ。精神不安定か?まぁ退学するかもとなれば無理もないか。
「うーん、もしあれが訴えられたとしても薮と山下が退学になる、って事は無いと思うぞ。停学は食らうだろうけど、真鍋はちょっとグレーゾーンだけどまぁ長めの停学だろうよ。諸藤はアウトかな。」
「だから諸藤さん以外を呼んだんですね。諸藤さんを今回の試験で退学させるために。」
どうやら薮は思っていたより頭の回転は早そうだ。
「正解!場合によっちゃこれをクラスメイトに見せる事になるかもしれないけどそんときは覚悟しろよ?」
「それは分かってます.......悪いのは私たちですから。」
どうやら薮には罪の意識はあるらしい。さてどうしたものか。
ガチャリ
扉の開く音がした。後ろを見ると真鍋と山下も来たらしい。
「なんで天野くんがここにいるの。」
「その前に取り敢えず扉は閉めてくれよ。せっかくの防音が台無しじゃないか。」
真鍋は俺に言われた通り扉を閉める。俺は薮の携帯から俺の元に送っておいた動画を真鍋たちに見せる。それを見るやいなや真鍋たちの顔はどんどん青くなって行った。
「さて、お前らに今日ここに来てもらったのは他でも無い、この動画のことについて色々話したいんだよ。あ、先ず言っとくけどお前らにメールを送ったやつは俺じゃない、たぶんDクラスの奴らだ。」
「え、嘘でしょ?」
山下が愕然とした表情で言う。まぁそりゃそうなるわな。
「俺がお前らを呼んだのはお前らは訴えられても停学ですむと判断したからだ。真鍋がマイナス50クラスポイントと一ヶ月の停学、薮と山下がマイナス25クラスポイントニ週間の停学、って所だろうな。だが諸藤はマイナス300クラスポイントで退学って所だろう。」
わざと少し大袈裟目に数値は出しておく。それを聞いた真鍋達はさらに震えあがる。
「という訳でだ、このまま諸藤を残しておいたらクラスの癌にしかならんので今回の試験で諸藤を退学にさせる、方法は単純お前らが諸藤にバレないように退学先を諸藤にしたいって言えばそれで事はすむだろうよ。」
「でも.......」
「お前ら全員仲良くクラスから虫けら扱いされたくなきゃ俺の言う事を聞いとけよ。龍園は俺ほど優しく無いからチャンスなんてあげない。龍園の耳に今回の事が入ったらお前らの人生は終わりだろうよ。」
龍園という名前に再度真鍋達は怯える。そして一つの結論を出したようだ。
「わかった、リカを.......退学にさせる。」
「場合によってはこの動画はクラス内で共有する事になる。そうなりたくなきゃ上手くやる事だな。」
「あの.......質問よろしいですか?」
真鍋がおそるおそるという感じで手を上げる。だからなんで敬語なんだよ。
「ん?どうした?」
「でもそれじゃあ、リカが退学した次は私達って事になるんじゃ?」
真鍋が脅えた表情で聞いてくる。まぁそりゃそうだろうよ。
「このままじゃあ、な。今回の試験票数をコントロールしてお前ら全員退学、なんてことも出来たが、今後の事も考えて弾除けとして残してるのは事実だ、が。それはあくまでも今の話しだ。お前らがアルベルトや金田、石崎や伊吹みたいにクラスの中でも株を上げれば別のやつが消えるか、救済するかって判断になってくるだろうよ。退学したくなきゃ勉強も運動も頑張って、今後こんなことが起きないように生活態度を改める事だな。」
俺の言葉が果たしてこいつらにどこまで届くかは分からない、がまだこいつらにはギリギリ救える価値がある。これで頑張らないようならこいつらにつける薬は無いだろう。
「わ、わかりました.......それで、どうやって私達の虐めに気付いたんですか?」
薮がおそるおそると言った感じで聞いてくる。まぁ疑問に思うか。
「それは俺の盗聴器に音声が入ってたからだ。動画のが有力な証拠になるから動画にしたけどな。」
それを聞いた真鍋達はさらに俺に怯えてた気がしたが知らん。
「他にはなさそうだな。今回の事は一先ずは龍園にも黙っておいてやるよ。次はねぇけどな。わかったな?」
「「「はい!」」」
俺たちはそのままダーツ場を出ようとする、が、扉を開けたところで俺は自分がダーツの矢を一本返し忘れた事に気付いた。このまま戻って返すのはちょっとダサいかな?
ブォン!!俺は手に残っていた矢を投げて的の中心部に命中させる。自分の横ギリギリを通過した山下の顔は真っ青になっている。
「もう一度言うが、次は無いぞ?」
「はい.......」
こうして俺達は解散した、俺は自分のケータイから、諸藤を除いたクラスチャットに『退学候補の一位から三位まで全て諸藤リカと書く事、理由は明日説明。』を連絡し、義務付ける。今回の試験の投票内容はクラス内では公開される。俺を不意打ちで退学させようとしてもやったやつはバレるし俺はプライベートポイントで退学を回避するだろう。そしてそいつらに待っているのは地獄以外の何者でも無いはずだ。まずやらないとみていい。
次に自分が退学にさせたい生徒の名前を書いて残ってしまった場合だが、これはクラス内に禍根を残してしまう事になり良くない、結局こうやって誰かしらに票を集めるのが一番なのだろう。
俺は次に綾小路にチャットを送る。内容は軽井沢と船の第4デッキに今から来るようにってところだろう。幸か不幸かすぐに了承の返信が来た。
そのまま俺は第4デッキに向かう。俺が着くと、既に綾小路と軽井沢は着いていた。ちなみにこの第4デッキだが滅多に人は来ない。そしてここに監視カメラはないがここに来る道には全て監視カメラがある。目立ちたくない綾小路はこれで事を荒立てにくくなったはずだ。
「それで、話ってなんだ?」
綾小路がすっとぼけた表情で言ってくる。悪いが俺は確信してるんだよなぁ。
「軽井沢のイジメの件と真鍋達の処分についてだな。まずはあのメールを送ったのは綾小路、お前だよな?」
「なんの事だ?」
まぁ惚けるだろう。だが軽井沢は恐怖からか若干顔を強ばらせている。
「まずは軽井沢、あのバカどもがすまなかった。虐めなんて本来人としてやっちゃいけない行為だ。教育がCクラスの末端まで届いていなかった。軽井沢が望むのなら真鍋達は龍園に粛清させてもいい。」
「えーと、なんのこと?」
軽井沢も恍けるのか.......予め口裏を合わせていたのだろう。
「あんまり見せたくないが仕方ないか.......真鍋達のケータイに匿名のメールでこの動画が送られてきた。送ったのは綾小路、お前だろ?」
それを見た軽井沢が怯えた表情になる。
「安心してくれ軽井沢、俺は誰かに言いふらすつもりは無いし、真鍋達は俺が龍園からの制裁で脅して言えないようにしてある。お前とこのメールを送った綾小路が黙ってればバレる事は無いだろう。」
俺の言葉がどこまで信じて貰えるかは怪しい所だ。
「.......3つの事件の時にお前を脅したのは失敗だったらしい。だが.......その録音機は止めてもらおうか。」
そう言われておれは自分のポケットのボイスレコーダーをオフにする。
「それと胸ポケットのボイスレコーダーと、そこの壁にある録音機もだ。」
そう上手くは行かないらしい。俺は胸ポケットのボイスレコーダーをオフにして、壁の録音機の電源も切る。やはり原作主人公は恐ろしいな。
「.......なるほどな。そういう事か。」
そう言って綾小路は手すりの方に向かい、手を伸ばして船のデッキの裏に貼ってある『本命の盗聴器』を取り、電源を切って俺に投げた。
「壁の録音機とボイスレコーダー二種はブラフで、本命は見えない所につけておいた録音機だったようだな。危ない所だった。」
こいつは.......勝てない。俺の中の勘がそう告げてくる。まぁ俺もそんな気がするが。
「お前どんだけチートなんだよ.......まぁいいや、こっちが求めるのは『軽井沢の虐めのこの一件に関して無かった事にする』だな。軽井沢には悪いが、話を聞く限り軽井沢にも責任の一端はありそうだ。真鍋達には後日謝罪させる.......が、諸藤はこの試験で退学になるだろうからそれは諦めてくれ。」
軽井沢は若干不満そうな顔をしているが、綾小路には逆らえないらしい。完全に飼い慣らされているようだ。
「こっちのメリットはなんだ?」
「『Cクラスが軽井沢が虐められっ子だったってのを言いふらさない』事と『真鍋達の謝罪』、それから『メールを送ったのが綾小路だって事を他人に言わない』、って所でどうだ?お互い争いたくないだろ?軽井沢が虐められっ子だとバレたくない以上お前らは学校側に訴えられないし、ポイントが減りたくないから俺も訴えられるのは辞めて欲しいんだよ。ウィンウィンって奴だ。」
「はぁ?プライベートポイントぐらい寄こしなさいよ!!」
軽井沢が 賠償金を要求してくる。こいつ割と強気だな。
「いや、その条件を飲もう。」
「え!?.......いや、わかった。」
綾小路に逆らえないらしく軽井沢は大人しく黙るしか無くなった。ちょっと可哀想な気もする。
「それなら軽井沢が5月の頭にしたクラスメイトの何人かに借りた金を返すぐらいの額ならあげるよ。その金でクラスメイトへの借金でも返すんだな。」
「譲ってもらって悪いな。」
「いや、気にするな。それで後いくらだ?」
流石に軽井沢が不憫な気もしたのでそれぐらいは出してあげる事にしよう。金取られた奴らも可哀想だしな。
「後2万ギリ行かないぐらい.......」
「連絡先をくれ、金は振り込んでおくから。」
俺は軽井沢の連絡先を追加して、2万プライベートポイントを振り込む。
「助かった。どこで知ったんだ?」
知った.......何を言っているんだこいつは。全くわからん。
「秘密だ。その代わりと言っちゃなんだが絶対裏切らないでくれよ。」
「わかっている。もし裏切ったらプライベートポイントを無理やり取られたなんてお前は言いかねないからな。それに何処にあるか分からないが録音機で録音しているだろうしな。お前が事を荒立てたくないだろうから大丈夫だろうが。」
「どうやって気付いたのやら.......まぁそうだな。お互い事を荒立てたくない。録音機は保険程度にしか使わんよ。」
そうして綾小路と軽井沢は去っていった。彼らが去っていったのを確認して、俺はデッキの『壁の裏側の部屋に設置した録音機』を回収する。少し付けてみたが、音はかなり小さいが最大限大きくすれば何とか聞こえそうだ。
それにしても場所はさすがに分からないだろうがどうやって気付いたんだろう。やはり原作主人公は化け物らしい。
Dクラスが気になった俺は櫛田に聞いてみる事にした。場所は安定の極限でいいだろう。
俺がそのまま極限へ向かうと櫛田は既に極限の前で待っていた。時間は夜10時半、人など通らないだろう。
「お待たせ、またせたか?」
「ううん、今来た所だよ。それにしても聖君が私を呼び出してくれるなんて.......嬉しいな。」
近くに人は俺とお前、いても大将ぐらいだろうよ。
「まぁな。取り敢えず入ろう。」
俺達は入ってテーブル席に着いて裏メニューの絶品鴨蕎麦を注文する。
「それでDクラスって今どうなってるの?」
「今回の試験の事だね.......結論から言うと、平田君が主導で、今残り退学候補が10人に絞られた感じかな。」
「平田が.......あいつがその手の事をするのは意外だな。」
原作の山内退学の時のあれは一体何処へ行ってしまったのだろうか。いや須藤の時は割とドライだったか?
「私も驚いた、それで、これからのことに着いて説明する前に、聖君は今Dクラスが4つに別れているのは知ってる?」
「4つ?」
平田の独裁政権じゃねぇのかよ。
「うん、一つは御門君を中心にグループに居ない人達が退学にならない為に同盟を結んだ『ぼっちグループ』、ここは他に高円寺君や三宅君、長谷部さんなんかが居るかな。」
「言い方に悪意があるな.......2つ目は?」
「二ツ目は平田君を中心とした『平田グループ』平田君は当然、軽井沢さんとか松下さん、佐倉さん、佐藤さんみたいな女子が沢山いるかな。男子は他に須藤君と綾小路君しかいないけどね。」
どうやら原作通り綾小路は佐倉を救うのに成功したらしいが.......。中々だな。
「おぉぅ.......3つ目は?」
すると櫛田は暫く黙り込んでしまった。どうしたんだこいつ。
「大丈夫だよ.......聖君には私がいるからね?」
そう言いながら上目遣いをしてき始めた櫛田だが.......ダメだもうこいつ考えてることわからなさ過ぎる。
「別に嫉妬してるわけじゃないんだ.......それで3つ目は?」
「ふーん.......まぁいいや。3つ目は私の『櫛田グループ』、私以外には王ちゃんとか心ちゃんとかみたいなギャルじゃない女子と.......後は池とかみたいな一部の変態かな。」
池の望みは無さそうだ。まぁ大体あっているんだけどさ。この後盗撮も確定してるし。
「池が変態なのは間違いない。それで四つ目は?」
「四つ目は篠原さん達のバカな女子グループと、宮本とか伊集院みたいな池達と仲が良かったヤツらの『篠原グループ』、このグループは.......まぁ色々あったんだよね。」
「色々って?」
俺が聞き返す。何があったんだ一体。
「えーとね、伊集院君が松下さんの事好きなんだって、それで頑張って篠原グループとくっついたんだけど、軽井沢さんに佐藤さんと松下さんは招集かかってそっち行っちゃったっていうすごい面白.......可哀想なお話。」
「今面白いって言わなかったか?俺はマジで面白いと思うけどさ。」
松下.......上手いこと逃げたんだろうなぁ。
「何のことかな。それより、それで退学候補10人から誰を退学させないかを選ぶんだけど、私のグループから二人、平田君のグループから二人、ぼっちグループから一人、篠原さんのグループから一人退学にさせない人を選ぼうって話になったの。私と平田君グループと篠原さんとボッチグループの人数の差は単純に所属してる人数の差だね。」
「それだと1人余らないか?」
その計算では4人残るが確か退学は3人だったはずだ。
「えーとね、それはまず誰がなんで退学候補なのかを話す所から始めなきゃ行けないかな。まず退学候補の1人目は軽井沢さんだったんだよ。理由は皆にプライベートポイントを借りたままだったからなんだけど.......。」
綾小路のどこで知ったってそういう事かよ。
「いまさっき、プライベートポイントを返したから、候補から外れたんだよね。」
大体の事情は察した。
「後は新六馬鹿、つまり堀北さん、篠原さん、池君、外村君、本堂君、沖谷君も退学候補だね。無人島試験で本堂君は下着泥棒、堀北さんは勝手にリーダーになって大失敗、沖谷君はリーダー外し、篠原さんは無人島で無断のポイント使用をしたし仕方ないかな。」
加えて外村と池は盗撮犯になる訳だが.......全滅じゃねぇか!!
「後は次の六馬鹿候補の佐藤さん、篠原グループからハブられた森さん、友達が少ない佐倉さんかな。」
どう頑張っても佐倉って退学が危ういんだな.......俺は悲しいぞ。
「ちなみに他のグループは誰を助けるって?」
「えーと、ぼっちグループが堀北さん、篠原グループは篠原さん、平田グループは佐倉さんと外村君だね?誰を残しときたい?」
つまり残る退学候補は佐藤と森と池と本堂と沖谷か。
平田.......と言うより綾小路は自分の駒である佐倉とコンピュータ関連において最強格の外村を残した訳だ。まぁ戦力としては妥当なところだろうな。
それにしても残ったメンバーも中々の雑魚揃いだな。
「取り敢えず池は残そう。何もやらかしてないって免罪符もあるし、六馬鹿は残しておいた方がクラスにダメージが入る。」
「池君ね、了解。私としてはさっさと退学して欲しいけど.......あと一人はどうする?」
「あいつはどうせいつかなんかやらかすと思うけどな.......。」
実際直近でやらかすしな。
「そうだね.......私もそんな気がする。」
あと一人か.......この中で一番スペックが高いのは恐らく森だろう。まずこいつは退学させた方がいい。
本堂は積極的に虐めてきたクソ野郎だしさっさと退学してもらいたい。こいつも退学。
となると沖谷と佐藤か。
「櫛田.......佐藤を救うが、この試験が終わった後ここだけの話!みたいな感じで俺のお陰で佐藤が退学になるのが代わりに沖谷になったみたいな事を佐藤にだけこっそり言っておいてもらえるか?」
佐藤は原作でも惚れっぽい女だ、俺が助けたと分かれば王子様っぽく見えて勝手に惚れてくれるかもしれない。スペックは大差ないだろうしな。
あと一応女子のが次の体育祭の活躍レベルは悪そうだし.......。多分。
「恩の押し売りって事ね。それとなく上手い事やっとくね。それじゃあ池君と佐藤さんを救済するよう言っておくね。」
「あぁ、これで退学は本堂、森、沖谷に決まった訳だが.......森はまだしも残り二人は妥当だな。」
「これでまた六バカの席が2つ空くね.......新しい六バカは佐藤さんと佐倉さんになりそうかな?軽井沢さんはカリスマ性でゴリ押すだろうし。」
まぁおそらくそうなるだろう。これでDクラスは5人の退学者が出る事になる訳だな。
「なるほどな.......まぁ何はともあれこの調子で頼むぜ。退学者の発表は全員の前でやるらしいからな。楽しみにしている。」
「性格が悪いなぁ.......。まぁ私も楽しみだけど。」
こうして俺達は、鴨蕎麦を食べながら夜の密会を行った。
この裏でもう一つの取引が結ばれている事を俺が知る事を.......俺はこの時知らなかった。
戸塚弥彦を
-
許すな!
-
許してあげよう