俺達がプールの前まで行くと既に他のメンバーはみんな集まっていた。俺たちが最後らしい。
「よし、今日はプール代は俺の奢りで出してやる。お前ら、全力で楽しむぞ!」
やっぱこういうのってムードが大事よな。楽しムードを作っとこう。
「おー!」
「YES!BOSS!」
「いぇーい!」
しかし残念な事にアルベルトと椎名と木下しか反応してくれなかった。金田.......伊吹.......真鍋グループ.......どうしてだよ。俺は反応してくれなかった奴らの方を見た。
「それで天野氏、今日は何の目的でプールに行くのです?」
金田は理由がなきゃプールに行かないのだろうか.......こいつ絶対インドア派だろ.......。理由.......理由か。
「毎年夏に体育祭がやっているらしいからな。その為に今日はプールで泳いで体を鍛えようって訳だ。もちろん楽しむ事が最優先、だけどな。」
嘘です。今咄嗟に考えました。そんなつもり全く無いです。ちなみに俺は楽しむ事しか優先するつもりは無い。
それを聞いたまわりの顔が少し引き締まった気がする。いいから楽しめよお前ら、夏だ、プールだ、バカンスだ、だぞ?俺の奢りだし.......。
「なるほど.......そういう事ならば頑張らせて貰います。自分の分は奢りじゃなくても構いません。」
それを聞いた金田は何を思ったのが自ら奢りを断った。同じ意思なのかアルベルトも頷く。
「私も天野くんとはお友達ですし奢って貰わなくても大丈夫ですよ。今日はみんなで楽しみましょう。」
椎名も便乗する。何か申し訳なくなって来た。これから着替えが取られるのを見過ごすのがすごく申し訳ないような.......いや、これはDクラスを地に落とす戦略、俺は悪くない、俺は悪くないぞぉ!
「私もいい.......そんなにポイント困ってないし。」
伊吹は貸しを作りたく無いタイプだからなのか奢りを拒否する。
「私もいいかなぁ.......天野くんと遊べるだけで満足だしね。」
大天使木下はとんでも無い爆弾発言をしながら俺の方に微笑んでくる。コイツ原作でこんなキャラだったっけ。可愛いを通り越して天使なのだが.......俺的ヒロインレースは間違えなく優勝だ。ちなみに他の参加者はいない。というか木下も含めてヒロインレース参加者は0人である。そんな事が許されるのは原作主人公や2次小説のオリジナル主人公ぐらいだろう。そして当然俺はそのどちらでもない。
つまり俺が金を出すのは自分の分と真鍋グループだけなのか.......そういやこいつらなんで乗らなかったんだ。おー!って言ってくれるだけでよかったのに.......どうして.......
「え、えぇと.......私達も自分で払うよ、ねぇ?」
「う、うんうん。」
「も、も、もちろん払うよ、ね?」
俺がノリに乗ってくれなかった事に恨みがましく視線を向けてみると奢りを拒否された.......違うそっちじゃない。そっちじゃないんだ。
「.......まぁいいや。プール行こうぜ!」
結局、俺は一人で盛り上がったテンションを維持しながら、プールへと向かうのだった。
「ところで天野氏、天野氏はこのクラス内に派閥を作るつもりなのですか?」
金田が着替えの時に恐ろしい爆弾発言をして来た。恐ろしいことを言わないで欲しい。
「いや、作らねぇよ.......龍園の耳にそれが入ったらどうするんだお前.......。」
「ですが.......龍園氏がいない間に結果を出したのは天野氏ですよ.......?」
まぁそれはそうなんだけど.......龍園から許可貰ってたしセーフだろ多分。
「龍園の指示って事にしとくさ、それに次の体育祭は龍園に一任するつもりだしな。」
あくまでも俺は平和主義者なのだ。龍園みたいに全クラスを敵に回すつもりは無い。Dクラスと綿白神一派は潰すけどな。
それにしてもあの三輪ってやつ、綿白神の所にいた執事に顔が似てる気がするんだよな。普通に綿白神のボディーガードとしてこの学校に入ってるのだろうか。この世で最も強い力は綿白神に取って権力なのだろう。まぁ実際強いのだが。
まぁボディガードにしろそうじゃないにしろ、綿白神の仲間な事は間違えないだろう。葛城派を内部から崩壊させる手腕からしてもかなりの実力だ。今後1番警戒するべきかもしれないな。
この学校.......と言うよりもこの人生で綿白神姉弟には絶対に復讐をしなければ行けない。絶対にだ。
まぁ今ぐらいは復讐なんて忘れて一時のプールを楽しむとするかな。
「アルベルト、金田、行こうぜ!」
「了解です。」
「YES!BOSS!」
俺達はそのまま更衣室を出る。あとは女子だけだな.......まぁ着替えシーン後で見れるからいいんだけどさ.......犯罪?知らんな。結局この世の中は金や権力さえあれば軽犯罪ぐらいなら揉み消せてしまうのだ。勿論殺人とかまで行くとアウトだろうが.......住居侵入や器物破損程度なら本当に何とかなるンじゃないだろうか。結局軽犯罪って言うものの大半は被害者側が訴える事で起きるしな。要は被害者側にそれ相応にメリットがあればいいのだ。
まぁ悲しい事に俺の被せられた冤罪はその大半に入らないものだったのだが.......。
「おーいみんなー!」
そんな事を考えていると木下達が着替えてきたようだ。というかプールでこんな物騒な事考えるもんじゃないな。
「天野くん.......水着.......どうかな?」
大天使木下だが上下ピンクのフリル付きのビキニだった。大変可愛くていいと思う。椎名は木下の色違い版の水色、伊吹は学校指定の競泳水着だった。真鍋グループは興味無いしどうでもいいだろう。多分誰も期待していない。
「とても似合ってて可愛いと思うぞ!」
「え、ほんとに.......嬉しい。」
大天使木下は照れ顔も大天使だった。この学校には大天使櫛田エル親衛隊なるものがあるらしいが俺に言わせれば木下のが大天使に見えるぞ.......。
「今なんか失礼なこと考えなかった?」
「別にそんな事無いぞ櫛田.......櫛田?お前も来てたのか?」
何を察知したのか知らないが櫛田がこっちに話し掛けてきた。咄嗟に来てた事を知らない素振りを取れた俺はマジで偉いと思う。ノーベル賞モノだろう。
「うん、Dクラスの子達と一緒にね、今元Bクラスの子達と遊ぶ約束したんだけど良かったら元Cクラスもどうかな?」
「皆どうしたい?」
「いいと思うよ!ね、みんな?」
大天使木下の呼び掛けにCクラスで逆らえる者はいない。勿論俺もだ。龍園よりもこのクラスの人気は高いのではなかろうか.......と思ったが龍園はそもそも学年一嫌われてるから誰よりも低いわな。俺達はそのままDクラスへと向かう。
「何でこっち来たんだよ.......まじで。」
俺は櫛田に小声でボソボソ聞いてみる。周りには聞こえて無さそうだ。
「外村君が日射病で倒れたんだよね.......そのせいでそろそろプールお開きにしようみたいな雰囲気になっちゃってたから、元Cクラスが参戦する形で上手いこと回そうと思ってさ.......。」
博士野郎は最後の最後まで不良品の鱗片を見せ付けてくれたらしい。それにしてもこれが計画なら上手いものだが.......まぁ外村の頭でそんな事は思いつかないだろう。というかデブが水着で倒れて誰が喜ぶんだよ。マジで。そして他に方法はなかったのか櫛田.......。
「まぁ.......悪いのは外村だが.......、兎に角事情はわかった、乗り掛かった船だ、行くしかねぇな。」
「ごめんね.......本当に.......。」
「悪いのは外村だし気にするな。」
そうして俺達はそのままDクラス、元Bクラスと合流をする事になった。それにしても元〜クラスって呼びずらいな。真島クラス、星ノ宮クラス、坂上クラス、茶柱クラスでいっか。そしてここで意外な来訪者が現れる。
「その話、私達Aクラスも混ぜて貰えませんか?迷惑にはならないと約束しますよ。」
坂柳一派だ。メンバーは坂柳、神室、橋本、鬼頭、あとはモブが3人、そして坂柳派閥にちょっと前に入った葛城か。
「うんいいよ!皆で楽しもうね!」
「桔梗ちゃん!CクラスとAクラスの子達を連れてきたの.......?」
一之瀬はデカかった、何がとは言わないが.......それにしても白色はよく似合ってるな。
「うん、皆でやった方が楽しいと思って.......外村君が本当に辛いならお開きにするしかないけど.......外村君.......大丈夫?」
俺がつれてこられた理由がわかった、ここで大丈夫と言わせる為か.......まぁ幸か不幸か全クラス巻き込んでるしな。
俺は外村を一睨みする。わかるよな、おい?
「勿論やれるでござるよ!」
こうして熱中症よりも命の危険を感じた外村の復帰が決定した。
「それじゃあ四クラス対抗でビーチバレーでも.......どうかな?」
「受けてたちましょう。」
「私達も乗ろうかな。」
「乗ってもいいぜ、どうせなら何処のチームが優勝するか賭けないか?賭け金は10万プライベートポイントってとこで。」
別にポイントは俺としちゃどっちでもいいのだが、まぁ稼げるだけ稼ぐべきだろう。
「いいでしょう、その勝負乗りましょう。」
「負けられないよね。皆。」
「勿論だよ!皆で頑張ろう!」
全クラス乗り気らしい。
「櫛田さん.......今ここにいる皆のプライベートポイントを合わせてギリギリの額なんだけど.......さすがにちょっと.......」
否、平田は乗り気では無いらしい。そういえば森を救うのに2000万使ってたんだっけか。
「ダメ.......かな?」
「ごめんけどDクラスだけは賭け無しでやらせてもらおうかな。本当にごめんね。」
と、言うわけで、Dクラスは参加こそするものの賭け無しになった。Dクラスって大貧民だらけだし仕方ないか。
「それじゃあ1回戦!Aクラス対Cクラス!」
「ちょい待て、一之瀬、それじゃあ何処が何処のクラスか分かりにくいし眞島クラス対星ノ宮クラスみたいな呼び方にしてくれ。」
「ダメ.......かな?」
俺の提案に何故か櫛田が秘技 ダメかなを使ってくる。それそんなに簡単に使って良い奴だったのか?まぁいいや。
「そうだね、そっちのがいいね。それじゃあ負けないよ!坂柳さん!」
「いえ、私は見守らせてもらうだけにしましょうか。ビーチバレーは6人チームですし、Aクラスは鬼頭くん、葛城くん、橋本くん、神室さん、森重くん、十文字さんにお願いしましょう。」
ある意味これも特別試験みたいなもの.......だと考えよう。午前中から計画頓挫の連続で頭が痛くなるような事ばっかなんだが.......切り替えって大事だよな、うん。
「それじゃあ私達は私と神崎くんに柴田くん、姫野さんに麻子ちゃん、濱口くんで行こうかな.......と言っても6人しかいないんだけどね。」
頬をかく一之瀬、それにしても黒幕Zこと木山やメンヘラ百合少女の白波、他にも八雲とかが居ると思っていたんだが.......。
「今現在俺達星ノ宮クラスは木山率いる『このままの皆仲良くではダメだ。』という考えの通称木山派と、一之瀬率いる『皆仲良く頑張ろう。』という考えの通称一之瀬派に別れている。木山派の中には濱口のように仲良くやりながら頑張る者もいるが、その過半数以上が俺達に敵対意識を持っている。」
どうやら黒幕Zは動きだしたらしい。それにしても.......一之瀬が統率出来ないとか何の冗談だろうか。原作改変に拍車が掛かりすぎだろ.......一之瀬が率いない星ノ宮クラスとか想像がつかないなんてもんじゃない。
「なるほど.......気分を悪くしたならすまない。」
「いや、気にしないでくれ、取り敢えず眞島クラスには勝たせてもらうとしよう。」
「負けませんよ。」
いや、別に坂柳は戦わんだろうよ。
こうしてビーチバレー1回戦が始まった。審判は何故かこのプールで泳いでいた堀北生徒会長がやっている。理由は一切分かんない。何したいんだこの人.......本当に。
考えられる理由は南雲降ろしに対抗出来る1年生を探すため.......と言った所か?流石に盗撮の件がバレてるとは思えないし思いたくない。軽く悪夢だ。
「天野くん、真島クラスに来ませんか?」
「お断りします。坂柳こそ坂上クラスに来ないか?」
俺達はもはやいつも通りの挨拶を交わす。社交辞令ってやつだな。
「龍園君に断られてしまいましたので.......ところでなのですが、二学期中に体育祭が行われる事は知っていますか?」
「勿論知ってる.......それがどうした?」
まぁ皆知ってる筈だ.......さすがに。
「実は体育祭で「待たせたわね!」.......この話はまた今度にでもしましょう。関わり合いになりたくない方が来てしまいました。」
坂柳の言う通り確かに関わり合いになりたくないやつが来たな。堀北妹はここに来なくてもよかった.......というかむしろ来て欲しくなかった迄あるんだが。
「堀北さん.......?前日に『プールなんて幼稚ね、私は図書館へ行って勉強させてもらうわ。』って言ってなかった?」
櫛田から中々の爆弾発言が飛び出す。周りも驚いているが、俺と椎名は来た理由がよく分かった。図書館を追い出されたからだろう。
「なんの事かしら、ともかく私も参加させてもらうわ。」
さも当たり前のように受け流し参加をしようとする堀北、だが図書館の守り神はそれを見逃してはくれなかった。
「堀北さんがこっちに来たのは図書館で喚き散らかして出入り禁止になったからです。恥ずかしいと思うプライドがあるなら参加しないでください。」
図書館の守り神こと椎名は爆弾を投げる、まぁ俺としても堀北妹と関わり合いになりたくは無いしな。
「貴方には関係無いわ!」
「てか誰が堀北誘ったんだ?」
「いや、誰も呼んでないはずなんだけど.......ていうか堀北さんなんで知ってるんだろ.......怖い。」
「ストーカーなんじゃね、やりそうじゃん。」
援護射撃と言わんばかりに味方のはずの茶柱クラスからも攻撃を食らう。
「俺も椎名に同意見だな。」
俺も賛成しておく。
「堀北さん、私が貴方に不快な感情を感じる前に目の前から消えてください。」
坂柳からも口撃が飛ばされる。星ノ宮クラス以外全滅じゃねぇか。ちなみに現在星ノ宮クラスと真島クラス(坂柳は除く)は試合中だ。堀北兄なんか妹に見る目すら向けていない。
「.......ッ!貴方達、覚えてなさい!」
それだけ言い残すとそのまま堀北はどこかへ行ってしまった。兄の手前だから頑張りたかったのかもしれないが.......まぁ何はともあれ目の前から厄災は消え去った。
「これで終わりだ!」
そして俺らが気づかないうちに柴田のスパイクでBクラスは勝利していた。
「15対11で星ノ宮クラスの勝利とする。」
15点満点らしいビーチバレーの勝敗を堀北兄が告げる。この人は本当に何をしに来ているんだ?まぁ考えるだけ無駄かもしれんな。
「葛城くん、賭けに負けたぶんは貴方から出します.......。」
「どんまい.......葛城。」
坂柳に財布をジャッジメントされた可哀想な葛城を見てBクラスも勝ちを素直に喜べなくなっていた。葛城.......哀れ.......。
「次は坂上クラス対茶柱クラスだ。」
「思っていたより長いよようですね最初期のクラスの文字を取ってAクラス~Dクラスで呼ぶべきかもしれませんね。」
「いや、まぁそこは自由にしてくれ。」
結構気に入ってたんだけどなぁ.......まぁいいや。大したことでは無いし。
「俺達は俺、アルベルト、伊吹、木下、薮、椎名で行く。」
金田の運動神経の無さは有名だが山下は椎名より酷い、真鍋は椎名よりはマシだが頭がいい分椎名のが役に立ちそうな気がする。
「僕達は僕と須藤君、軽井沢さんと松下さん、櫛田さん、池くんで行こう。」
あっちは何やら平田が仕切っていた。というかメンバーはそれでいいのか.......。
「待ちたまえ平田ボーイ、この勝負私が出ようじゃないか。」
そう行ってどこからが現れたのは高円寺だった。色々突っ込みたいところはあったが高円寺に突っ込んでいたら過労死してしまう。スルーでいいだろう。
「そう驚かないでくれたまえ、ただの気まぐれさ、ブラックボーイの天然の素質と私の天才的な美しさ.......どちらが強いかのね。避暑地ガール、代わりたまえ。」
軽井沢は確かに避暑地だけどその呼び方はどうなんだ.......まぁいいや。高円寺だし。うん。
高円寺にもしあだ名があるとしたら突っ込みクラッシャーだな。
「まぁいいけど.......。」
軽井沢は面倒くさそうにコートから出た。流石は高円寺、関わるだけだるい。
「それでは改めて、両者礼!」
俺たちは一礼をする。
こうして......俺達の名誉をかけたビーチバレー合戦が始まった。
戸塚弥彦を
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許すな!
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許してあげよう