俺達Cクラスが集合場所に着くと最後だったらしく、全校を代表してか誰か知らない先生から挨拶があった。
『私は校長の前島です。それでは今から右側に赤組、左側に白組で集まってもらいます。ただし1年生だけはその前に連絡事項がありますのでこの後真嶋先生のいる所へ集まってください。それでは話し合いを始めてください。』
この学校理事長と校長といたんだな……初めて知ったわ。それにしても何故1年は集められるのか……多分裁判だな。
「集まったか、と言ってもたいした話ではない。1つ目は今から戸塚のハンマーで天野を殴った事件、一条が熊として龍園と三輪を襲った事件、池と外村がプールのレジャー施設を盗撮した事件においての裁判をするため、今から言うメンバーは私についてきてくれ。」
俺と龍園無しでCクラスが話し合えると思えないんだがそれは……それにしても『一つ目は』か。
「2つ目はDクラスとCクラスがプライベートポイントを使って組を交代し、赤組がBクラスとCクラス、白組がAクラスとDクラスになった。」
たいした話じゃねぇか!!まさか本当にそれをやる奴がいるとは思わなかったよ。やったのは一之瀬達……では無さそうだな、皆無茶苦茶驚いてるし、この状況で驚いていないのはただ二人、平田洋介…あと多分綾小路清隆の二人だけだった。こいつらが犯人かよ。
「なるほど……盲点でしたわ。これで選択退学試験で結んだ契約を自分達にもプラスになるように変えた……という訳ですのね。……なかなか油断出来ない方ですわね。貰ったプライベートポイントを念の為少し多めにするためにわざと低く言った……と言った所でしょうか。」
驚いた顔を頑張って取り繕いながら綿白神が言うが……平田に金出したのはこいつらか。取り敢えず綿白神派閥は皆知っているようだな。
「なんの事かしら、説明しなさい平田くん。」
全員が疑問符を抱いているであろう当然の質問を堀北が投げかける。この場で投げ掛けるのは悪手だろうよDクラスにとっちゃァ……まぁ堀北はそんな事分からないか。
「平田の代わりに俺が説明してやるよ。分かりやすく言うとだな、俺達綿白神派閥は干支試験で手に入ったプライベートポイントと毎月の小遣いだったプライベートポイントから全員で合わせて500万プライベートポイントをDクラスにプレゼントしてやった。
その代わり今回の体育祭では俺達Aクラスが勝つようにDクラスが相手だったら八百長で負ける、味方だったらAクラスが勝つ事を最優先に協力って話になっていたんだよ。今回の試験、坂柳は参加出来ねぇから俺達の派閥を広げるチャンスだったしな。
だからこいつらは赤組白組のグループ分けが発表された瞬間、俺たちと同じ組にすることで本来減るはずだったAクラスとの400ポイントの差を0にして見せた訳だ。なかなか油断出来ない男だな、平田洋介。」
「なぜ全部話してしまうのでしょうか……まぁ何はともあれそういうことですわ。何れにせよDクラスと私達Aクラスが協力するのは明白でしたの。まさかDクラスにそんな発想力があるとは思いませんでしたわね。Dクラスの評価は改める必要がありますわ。」
いつもの如き軽口で全部バラしてしまった三輪に叱責する綿白神だがこいつも割とペラペラ話しちゃうタイプな気がする。綿白神派は優秀なのかもしれないが油断慢心がどうも多いような気が……気の所為か?ちなみに他のクラスの奴らは当然のように石となってる。俺からしてもそれは完全に予想外だ。
平田視点で見れば選択退学試験で既にここまでの予想をつけていた事になるが……本当に成長しまくってるなコイツ。最早別人だろ。綾小路の仕業かもしれないがまぁなんにせよDクラスが強くなりまくってやがる。
「悪いが連絡を続けさせてもらう。まず一条の事件だが、三輪は訴えるつもりは無く証言する事もしないそうなので龍園、お前だけが着いてこい、そして戸塚の事件は天野と証人として坂柳、それから盗撮の事件はカメラを提出し訴えた櫛田、、そしてカメラを仕掛けた疑いのある外村、池。今呼ばれたメンバーは今から私についてくるように。」
これでAクラスの話し合いは綿白神がするだろうしCクラスの話し合いは終わりだろう。裁判の内容次第だが体育祭という面では坂柳派閥とCクラスは一歩出遅れたのは間違えない。Dクラスも櫛田、松下が居ないので櫛田派閥は出遅れているだろうが平田が仕切る気マンマンだしあんまり変わらんか。隣でリーダー面してる篠原は知らん。堀北より酷い気がする。
俺たち以外にも橘先輩と堀北生徒会長が生徒会枠として連れていかれたらしく、俺達はそのまま裁判室という部屋に向かった。名前が物騒すぎる。ちなみに先生は茶柱と真嶋先生だけだ、何故か今日に限って坂上先生がいないが……流石にわざとでは無いと信じたい。
おっと、そうこうしてるうちに着いたみたいだ。裁判室の中には坂上先生もいた。顔色が悪い気がするけど大丈夫なんだろうか……?まぁいいや、何はともあれそれぞれが所定の位置に着く。
「まずは一条の事件から始める、他のものも中に入っていてもらうが自分が関係している事件以外は発言は禁止とする。」
堀北生徒会長の言葉に一同が頷く。池と外村の顔色は終わっている。俺が一応人睨み送ると更に顔が青くなった気がする。引き金を引かせたのは俺とはいえ、今までの行いからして自業自得だろ。
「それでは状況を説明致します。まず、元1年Aクラス一条は熊の着ぐるみを被り、三輪、龍園の両名を負傷させ、その後の干支試験、選択退学試験に不参加にさせています。怪我の度合いは2週間程度とかなり大きい怪我だと言えます。」
「クククク、状況は説明するまでもねぇだろうよ。やらかした一条もいねぇんだ。弁明も無いだろうしな。」
「言い方に問題はあるが龍園の言う通りだろう。こちらの事件は三輪は訴えを取り下げているので被害者である龍園からしか話は聞く事が出来ない。龍園は話せ。」
堀北生徒会長のこの威圧感に怯える池達だが、龍園は物怖じすらしていない。この威圧感だがプライベートポイントは50000である。俺が2億5000万程度あるので俺は歴代最高の生徒会長の5000倍のプライベートポイントを持つという文面だけ見たら恐ろしいやつになってしまった。
「ククク、日にちは忘れたが無人島試験でサバイバルに勤しんでたら熊の着ぐるみを着た一条に暴行された後崖から突き落とされて全治2週間程度の怪我を負ったわけだ。もう提出してあるが一条がその熊だった証拠の写真もあるし確定だろうよ。」
怪我はお前が悪化させて時間数を増やしていたような気がするが黙っておこう。制裁怖いし。
「その写真はこちらでも受理している。また、退学前に一条から聞いていた証言とも一致している……少し早い気もするが判決を言い渡す。」
ちなみにそれを聞いている後ろの坂柳はルンルン気分で、真嶋先生はズンズン気分だ、あまりにも対照的すぎる。
「判決は…Aクラスのクラスポイントをマイナス150ポイントとする。理由はあまりにも酷い暴行だと判断したからだ。また、Cクラスにポイントを譲渡しないのは本人が既に退学しているからその分を減刑してある。異論は無いな?」
龍園も真嶋先生も異論は無いらしく頷く。龍園が真面目な顔してるのがシュールすぎるな。
「ならば龍園はこの部屋を出て体育祭の話し合いの場所へと向かうように。」
これで坂柳の最下位も含めればAクラスは2012ポイントにまで下がった。まぁこの程度で終わるとも思えんが。
「次にだが、戸塚の事件に移ろう。橘、説明を頼む。」
「はい、状況ですが……こちらは8月10日に元1年Aクラス戸塚が元1年Cクラスの天野の頭をハンマーで強打、幸い当たりどころが良かったため命に別状はありませんでしたが、完治に10日ほど掛かっております。証人として1年Aクラス坂柳が血にまみれたハンマーを握り顔を真っ赤にして天野に暴言を吐きながら蹴飛ばしている場面を目撃しています。また、こちらは監視カメラの映像とも一致しています。」
「なるほど、坂柳、今の話に嘘偽りはないな?」
「もちろんありません。」
坂柳は……心做しか不機嫌になっている気がする。戸塚は相当ストレスだったらしい。
「それとこの場で改めて謝罪を申し上げます。天野君、大変申し訳ありませんでした。二度とこのような事がないように致します。」
「坂柳のせいじゃない。」
坂柳……だいぶ引き摺ってんな。まぁそれならそれでこっちは好都合と見るべきなのだろうが。
「天野もそれで問題ないな?」
「はい、大丈夫です。」
というかぶっちゃけなんでもいい、復讐する前に戸塚は退学してしまったし……。
「では判決を言い渡す。Aクラスはクラスポイントをマイナス150ポイントとする。坂柳、天野の両名は退室しろ。」
「分かりました。」
俺達はそのまま堀北生徒会長に一礼をし部屋を後にする。坂柳は体育祭の話し合いには参加する事は無いらしいので、俺は櫛田に池と外村がどうなったか後で教えるようにチャットを送った。
そのまま俺は体育祭の話し合い場所に戻ったが……龍園の指示なのかCクラスは居なかった。
「あ、天野くん!」
「一之瀬か、Cクラスを知らないか?」
「Cクラスは…龍園君と一緒に話し合う価値なんか無いと言って出て行っちゃったんだよね。本当にごめんね。」
そういえば原作でもそんな感じだったな。龍園は報酬のレートが変わってもやり方は変わらないって事だな。
「いやいや、一之瀬が謝ることじゃない。それなら俺も特に用事は無いし帰るかな。」
ちなみに逆側では平田が意気揚々としてた。あいつあんなキャラだっけ。
「ちょっと待って……その、話があるから、ほ、保健室の前のベンチに今から来てぇぇぇぇ!!!」
それだけ言い残して佐藤は走り去ってしまう。佐藤はテラキオンかなんかなのか?イメージでいちばん近いのはビリジオンな気がするけどな。
「何があったんだよ松下。」
「今佐藤さんは軽いイジメにあってるんだよね。篠原グループからハブられた森さんが逆恨みして、退学しかけたのは佐藤さんのせいだって言って聞かないし……。それに篠原グループも便乗して、自分達がやった天野君に対する虐めとかも全部佐藤さんのせいにしてたんだよね。」
「あいつらゴミだな。」
佐藤に虐められてた俺ですら同情するレベルのことを平気でやらないで欲しい。篠原達の学習能力は0だな。
「松下、篠原グループはそろそろ潰そう。残っててもメリットは無さそうだしな、誰にとっても。」
「まぁそれはまた話しを聞くけど……それで佐藤さんは何故か天野君が佐藤さんを助けるために口添えしたって事を知ってて、それで……余計虐めの原因になってる感じかな。佐藤さん、多分天野君に謝りたいんだとおもうよ。」
ワンチャン佐藤は惚れてるかもしれないがまぁせいぜい利用するだけだ。
俺は保健室のベンチに向かった……がそれにしても佐藤さん早すぎやしませんかね。なんか汗かいててハァハァいっててちょっとえろいんですがそれは……。そして何故櫛田と長谷部と三宅はいるのか。
「天野君、佐藤さんと三宅君と長谷部さんが謝りたいらしくて……」
「だいたい察したぞ。」
やっぱりDクラスの中でも三宅と長谷部ってまともな部類だよな。良かった良かった。
「その……俺たちはいじめをした訳では無いが、傍観者も同罪みたいなものだ。だから謝りに来た。許してくれ、とは言わないがそれでも謝らせてくれ、天野、すまなかった。」
三宅の言葉と一緒に長谷部は頭を下げる。……自分の言葉は…?と思ったがまぁ謝りに来ただけマシだろう。それにこいつらは別に虐めてないからな。
それにこの後起きるであろう『アレ』の事を考えるとここは許すのが最善だろう。
「別にお前らは虐めてた訳じゃないしな、これからは仲良くやろうぜ。」
まぁ少なくとも三宅とは仲良くやれそうな気がしている。俺たちは固い握手を結ぶ。
「噂の何倍も天野君いい人じゃん。疑って損した〜。」
「おい長谷部……長谷部がすまない。悪意がある訳では無いんだ。」
「いやまぁ別にいいんだけどさ、噂って?」
ふと気になったので聞いてみる。冤罪のことか?
「龍園君の右腕としてクラスメイトを恐喝したり制裁を加えたりしてるって篠原さんが言ってたんだよね。まぁどう見ても天野君そんな事する人じゃ無さそうだけどさ。」
割と近いとこまで行ってるぞそれ……まぁ言わないけど。
「篠原は成長してねぇな……相変わらずの自己中だこと。」
「篠原さんのグループも崩壊寸前だし、篠原さんもオワオワリじゃない?」
なんだよオワオワリって、尾張国民が涙するぞ。
「まぁ……何はともあれこれは俺と長谷部の連絡先だ。今まで迷惑をかけた分また何かあれば頼ってくれ。」
「そうじゃなくても気軽に連絡してくれると嬉しいな〜私達も天野君とは出来れば仲良くなりたいしね。」
それだけ言い残して三宅と長谷部は去っていった。幸村とは一体全体何処で差が着いてしまったのか。考えないようにしよう。そして俺は残った客人、佐藤の方に目を向ける。俺から見たイジメ理論って奴だが佐藤はまだ始まったばっかりな気がする。アーネスト・サトウも涙目だ。暫く見ていると……佐藤は土下座を始めた。それも地に頭を付けるタイプの奴だ。コイツどうしたんだ急に……。
「そ、そ、その……今まで虐めて本当にごめんなさい。許して貰え無いと思うけどそれでも出来れば許して欲しいです。虐められて初めて虐められる側の辛さがわかったって言うか……その、ごめんなさい。私天野君の事虐めたのに選択退学試験では櫛田さんに口添えして私の事助けてくれたらしいし本当にどう恩返しすればいいのか……本当にごめんなさい。」
佐藤本人も頭が纏まりきっていないのか、心の中に巣食う感情を吐き出したのか。どうも支離滅裂な文脈だが、明らかに後悔と反省の感謝の気迫は感じる。とはいえそんなに簡単に許すのもなぁ……。
悩んでいると佐藤が壊れ始めた。なんか泣いている気がするしごめんなさいしか言わなくなって来た。どうしてこうなった。
「その……私の立場から言うのも違うと思うけど佐藤さん、あれから相当後悔したみたいで篠原さん達に謝りに行こうって言ったらしいんだよね……。」
「それで篠原達から虐められたってことか。」
櫛田のさすがの情報網により虐めの原因っぽいものは分かった。それにしても篠原グループはクズしかおらんのか?その話だけ聞いてると佐藤は完全に可哀想な奴なのだが……うーん、虐められている人間にはどうも弱いな、俺。同情ってやつだろうか……まだまだ俺も温情を捨てきれては居ないらしい。
「佐藤、顔を上げろ。」
顔を上げた佐藤は涙で顔が結構グチャグチャしてたが……まぁ元々美人なので何とかなっている。目からは怯えと後悔しか見えない。……まぁこの復讐はその分篠原にぶつける事にしよう。あいつはろくな死に方はさせない。
「今回は許してやる、が次は無いぞ。いいな。」
「ゆ、許す……え、許してくれるの?あんなに酷い事したのに?」
最近バーサーカー化が進んでいた俺だが、人間の要素を少しだけ取り戻せたらしい。よかったよかった。
「お前への怒りはその分篠原にぶつけるとする。話だけ聞いてりゃ反省も後悔もしてそうだしな。貸し一つだぞ?」
「うぇっ……ひぐっ……ありがどぉぉぉぉぉ!!」
「俺の制服はハンカチでもティッシュでも無いんだが……まぁいいや。」
俺に抱き着き泣き着く佐藤だが人の制服をハンカチかティッシュの代わりにするのは辞めて欲しい。まぁ微塵も表に出さないのだが、さっき心の声が漏れちゃった事は黙っといてくれ。賄賂出すからさ。
「よしよし……よく頑張ったな。」
俺は取り敢えず佐藤の頭でも撫でとくか。これでハニートラップでしたとか言ったらもうお手上げだな。松下と櫛田は……気がついたら消えていた。
あれ、マジでこれハニトラじゃないよね?佐藤でハニトラ食らってポイント削られるとか嘘だろ?周りに……カメラ、並びにボイスレコーダーや盗聴器は無さそうだし、まぁ多分大丈夫……か?
まぁこのタイミングで松下と櫛田が俺に反逆するメリットは無いし大丈夫か。三宅と長谷部が加担するとも思えない。佐藤が綾小路の駒にされている可能性も考えたがあいつが表立って動く理由もない気がするし大丈夫か。
まぁ一抹の不安はあるが一先ず後でいいや。それよりも途中から佐藤のありがとうコールが大好きコールになってヤンデレみたいになってる気がするんだが……気の所為、だよな?現実逃避じゃなくてこれは夢だ。きっとそうだ。アイスソーダ。
「ま、まぁとにかく佐藤、今日の所はもう帰れ。この場面を誰かに見られる訳にもいかないし。」
「え、あ……うん、そうだね、これ私の連絡先だかっ!」
佐藤は恥ずかしさからか連絡先を渡してどこかへ走り去ってしまった。お前は玉五郎かっての。
その後念の為盗聴器の類等は確認したが特に無く、盗撮の類は松下と櫛田が警戒のために見張りをしていてくれたので有り得ないだろう。疑ってごめんなお前ら……今日は極限連れてくからな。
「櫛田、松下、極限奢ってやるよ……。」
「急にどうしたの……まぁ有難く奢ってもらうけどさ。」
「聖君の為にやったことだから……ね?有難く奢ってもらうけど。」
そうして奢られることに躊躇のない二人に極限を奢り今日という一日は終わるのだった。
そして……今までの試験で最もハイリスクな体育祭が幕を開ける。
現在のクラスポイント総数
(旧)Aクラス……1912ポイント(坂柳は確定で最下位なので-50ポイントは確定)
(旧)Bクラス…1160ポイント
(旧)Cクラス…1332ポイント
(旧)Dクラス……500ポイント
体育祭、勝つのは……?
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坂柳派閥だ!
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綿白神派閥だ!
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一之瀬派閥だ!
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木山派閥だ!
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龍園達Cクラスだ!
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オリ主だ!
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平田グループだ!
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櫛田グループだ!
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篠原グループだ!
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御門グループだ!
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高円寺だ!
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今は亡き葛城だ!