ようこそ間違った教室へ   作:あもう

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初めに謝っておきます。書いてたら右手が暴走しました。


地獄を産む借り物競争

次の種目は借り物競争の様だ。順番は先に男子、次に女子で、引いたお題のものを借りてくる、チェンジも可能だが、する場合は30秒のインターバルを要する、というものだ。ここら辺は原作通りだな。

 

うちのクラスは俺は第1走者なので準備をする。Aクラスは葛城、Cクラスは神崎、Bクラスは平田のようだ。俺は気になったこともあるので待ち時間に少し聞いてみるか。

 

「神崎、Cクラスが木山派閥と一之瀬派閥で争っているって言ってたけど大丈夫なのか?」

 

体育祭だが、Cクラスは今まで通りの正々堂々戦法をしている……最も、結果を残せている人数は木山派閥のが多いようだが。

 

「……一之瀬派閥は、この体育祭が終わったら解体する。クラス内で争うべきでは無い、木山は頭がキレるだろうからリーダーでも問題ないだろう、という平和主義である一之瀬の一言でな。」

 

争いを望まないのは一之瀬らしいと言えばらしいんだが……それでもどうも消極的な気がしないでもないんだよな。黙っている俺を見て神崎は話を続ける。

 

「一之瀬はクラス外の争いであればリーダーとしての役割を全うする、が、クラス内となると話は別だ。一之瀬は良くも悪くもクラスメイトに甘い、内紛に関しては途端に弱くなってしまう。」

 

「そんなに詳しく俺に話しちゃって大丈夫なのか?」

 

弱点を自らひけらかすとは神崎らしく無い。

 

「いずれ分かる事だろう。それに天野には一之瀬をリーダーとしていた頃のうちのクラス共同盟を結んでもらっていた事もあった。話しておくべきだと思ったのは俺の独断だ。」

 

「そうか……。」

 

原作では一之瀬は間違えなくクラスの内から内乱を起こされることなんて無かっただろう。やり方に反発される事が起きたのですら2年の2学期になってからだ。そんなクラスが真っ向から別のリーダーを立てて反発されるとなると仕方ないのかもしれないな。

 

「天野君、ちょっといいかな?」

 

平田に話しかけられるのは久しぶりだな。未来永劫話しかけず退学して欲しいんだが……。

 

「なんだ?」

 

俺と平田が話そうとするとこれ以上話すことはないのか神崎は所定位置に向かってしまった。

 

「単刀直入に言うね。今Dクラスでは天野君にした仕打ちがいかに愚かなものだったか皆理解して、反省しているんだ。それで、皆天野くんに戻ってきて欲しいと思ってる。戻って来てくれないか?」

 

「は?」

 

何を言っているんだコイツは。平田洋介は確かな成長を遂げたのかもしれない。だが未だに節穴な目をしているようだ。まだクラス皆で仲良くなれるなんて幻想に取り憑かれているんだろうか?それとも……綾小路の指示なのか?あいつがそんな事を望むとも思えないが。

 

そして何を思ったのか葛城がこちらへと向かってくる。

 

「天野、俺は戻るべきだと思う。許す強さをお前は持っているはずだ。」

 

葛城が謎の賛成をし始めた。手でも組んでんのかこいつらは?アホくせぇ……。俺は自分の中での葛城の評価を12段ぐらい落としておく。

 

「戻るつもりは無い。俺はお前らが俺にした仕打ちを許すつもりは無い。」

 

 

「お前なら……許せるはずだ。」

 

いつまでも昔の俺の幻想に囚われている葛城は何を言っているんだろうか……彼は原作より弱体化したらしいが……それを差し引いても不愉快だ。お前が俺の何を知っているんだと言いたくなる。……面倒くさいしウザイな。こいつも復讐対象に入れるか。

 

「僕からもお願い出来ないかな?」

 

平田はあたかも自分はDクラスの中でも恨まれてないと言わんばかりの頼み方をしてくる。……自分は虐めてないから許されていると思っているのだとしたらそれはオメでたい頭でなによりとしか言えないだろう。花畑牧場頭野郎に名前を改名する必要がある。

 

「俺はC……いやもうBクラスか、Bクラスで満足している。今のDクラスに戻るつもりは無い。だってさ、お前らみたいな不良品置き場のゴミダメ野郎共の元にどうして俺が今更戻らなきゃ行けない、戻る必要がどこにあるんだ?いや、どこにもない。

 

それと平田、お前を俺が恨んでないと言わんばかりの言い方だがお前もきっちり恨んでんだ、安心しろよ。日和見主義を語る我が身可愛さに傍観しているゴミが。

 

いいか、お前は……誰も救えない。それどころかお前の自分のエゴのための身勝手な行動のせいでもっともっとDクラスの人間は地獄を見ることになるだろうよ。」

 

 

「それでも……僕は……」

 

「黙ってろよ……これ以上話してると本当に我慢の限界だ。イライラする。お前みたいな物事の理解も出来ない猿は地獄に落ちろ。」

 

俺が吐き捨てられるだけ暴言を吐き捨てると、平田は苦虫を噛み潰したような顔で拳を握る。

 

「その気持ち悪い顔をこっちに向けてんじゃねぇよ、さっさと失せろ。」

 

俺がそう言うと平田は苦しそうな顔で所定位置に戻って行ったが……お前にそんな顔をする資格は無いだろう。さっさと退学して欲しいものだ。不愉快な奴め。

 

「天野……復讐に身を委ねるな!」

 

葛城はさっきから何を喚き散らしているんだ?

 

「葛城、これ以上俺の復讐の邪魔をするようならばお前も復讐の対象に入れる、いいか、これは最終勧告だ。」

 

正直もうウザくて仕方なくなってきた葛城に俺は釘をさして、そのまま所定位置へと向かった。葛城は何やら険しい顔をして俯いていたが、早く所定位置に来いよ。俺の時間を使わせないで欲しい。神崎にも迷惑だしな。

 

そして苦悩に満ちた顔をして葛城は所定位置に着いた。これ以上邪魔をしないで欲しいが………邪魔をするようならやむを得ないだろう。葛城に恨みがある訳では無いがあの手のいい子ちゃんタイプは好きじゃないしな。堀北みたいで。

 

全員が所定の位置に着いた事で改めて説明をされる。

 

「借り物競争では高い難易度のものも設定されている。その場合は引き直しを希望することもできるが、次に引き直すまでに30秒の待機を要求する。希望するものは競技中クジを引く地点にいる審判に申し出、そこにあるメガホンでチェンジ元のお題を全校生徒に知らせること。また3名がゴールし終えたらその時点で試験は終了とする。以上だ。」

 

全員が静かに頷く、この勝負……負けられない!

 

 

バァン!

 

ピストルの音が鳴った。俺たちは早速急いで走りお題の紙を見る。俺のお題は

 

『山内春樹』

 

不可能じゃねぇかァァァァァそいつ退学したんだよぉぉぉぉ

!!

 

俺は内心ブチ切れながらメガホンに手を伸ばす。来年からこんな競技潰してやる!クソが!!

 

「1年B組天野聖、お題『山内春樹』をチェンジします!!」

 

俺がメガホンを置いて30秒待つと、……全員チェンジらしく皆順番に並んでいる……こいつら何引いたんだ?

 

「1年C組神崎隆二だ、お題『秘密の育成機関で育てられたエージェント』をチェンジする!」

 

それいるよ、Dクラスに綾小路清隆って名前で。学校側はどうしてこんなギリギリを攻めたお題しかないんだ?

 

「1年Aクラス葛城康平だ、お題『表向き善人ぶっている承認欲求の怪物』をチェンジする!」

 

そいつ櫛田桔梗って言うよ。さっきから学校側はギリギリを責めて遊んでいやしないかね……いや本当に。

 

「1年Dクラス平田洋介、お題『令嬢の影武者』をチェンジする!」

 

令嬢の影武者……三輪のことだろうか?影武者と言うよりもNO.3だが…。

 

俺は30秒立ったことを確認して次のお題をめくる次のお題は……

 

『他クラスで自分のクラスに来て欲しい人』

 

2回目にしてやっとまともなお題が来た。俺は颯爽とCクラスに駈けていく。後ろから『元虐められっ子の金髪ギャル』の変更を依頼する神崎と、『何時までも過去に執着する教師』の変更を依頼する葛城の声が聞こえてきたが、この学校怖すぎやしないか?誰が担当か知らないけど来年から首確定だろうな。お、着いたか?

 

「一之瀬、俺と来てくれ!!」

 

「え…あ、うん!わかった!」

 

一之瀬は少し困惑したような……それでいて照れたような表情を浮かべながらも着いてきてくれる。後ろから『万引き現場を見つかって脅された少女』の変更を依頼する平田の声を聞きながら、俺達は駆け出した。

 

「1年Bクラス、天野聖!『他クラスで自分のクラスに来て欲しい人』で一之瀬帆波を指名する!!」

 

坂柳有栖でもいいが、あいつの場合ガチで来かねないからな……その点一之瀬なら大丈夫だろう。

 

「えぇっ…はい!そうです!」

 

こうして俺は無事1着でゴール出来た。桔梗と松下と坂柳から殺気を感じるが無視だ無視!無視無視ノンノン!disノメノンである。

 

「ねぇ…さっきのって本当なのかな?」

 

「あぁ、そうだな。」

 

一之瀬の顔が心做しか若干赤い気がする。後ろから『葛城の腰巾着』の変更を依頼する神崎の声が聞こえるが無視だ無視。

 

「わかった……私頑張るね。」

 

一之瀬はそれだけ言い残して去っていった。それにしても一体なんの事だったんだろうか。

 

そんな事を考えていると、平田は龍園を連れてゴール用のメガホンまで向かった。

 

「1年Dクラス平田洋介、お題『この学校で誰よりも嫌いな人』で龍園翔君を指名します!」

 

あいつ……怖いもの知らず過ぎないか?連れてこられた龍園は心底楽しそうに笑ってるけどな。

 

「龍園…ドンマイ。」

 

「まぁ……俺が嫌われるのはいつもの事だからな…クククク。」

 

なんでこいつは嫌われてるのに楽しそうなんだろう。ドMかな?後ろから『キャンプが得意な盗撮犯』のお題をチェンジする葛城の声が聞こえてくるがそれは池だろうよ。

 

「1年Cクラス神崎隆二、お題『この体育祭で失格になった人』で篠原さつきを指名する!」

 

こうして葛城は最下位が決定したが……あんなの学校中の秘密を握っていないと絶対分かんねぇだろ。そう思いながら俺は席に戻った。

 

次の借り物競争のメンバーは龍園、綾小路、柴田、三輪の様だ。龍園は『藍染惣右介』というお題をチェンジしていた。何処に藍染惣右介がよう実の世界線に来る作品があるのだうか。あったらみんな終わりだよ。

 

「天野、来てくれないか?」

 

俺は綾小路の呼び掛けに答えて着いていく。それにしてもこいつのお題は何だ?綾小路がメガホンを掴もうとするが、先に柴田に取られてしまう。

 

「1年Cクラス柴田颯、『学校1あざとい人』で星乃宮先生を指名します!」

 

星乃宮先生の背後からはどす黒いなんてもんじゃないオーラが出ている。オーラだけで藍染惣右介が死ぬレベルの殺気だろう。柴田は確実に死んだな。

 

「1年Dクラス綾小路清隆、『2000万プライベートポイントを使ってクラス移動した人』で天野聖を指名する。」

 

俺しかいないお題だったわ。アディオスって感じ。続いて三輪がやって来る。

 

「1年Aクラス三輪護良、『唯我独尊自由人』で高円寺六助を指名する!」

 

指名された高円寺は心外そうな顔をしていた。可哀想に……龍園は最下位である。

 

残り二つの男子グループのお題は普通だったので、ゴミとまともが1:1の割合で入っているようだ。

 

続いて女子だが…こちらも同じ事だと思われる。つまり半分は地獄行きである。

 

1組目は神室、一之瀬、真鍋、堀北だった。真鍋は点数が低いので入れられた形だ。鉄砲の音と共に一同は駆け出しお題を見て……一之瀬以外の全員は交代用のメガホンへと向かった。ここは外れブロックなのかもしれないな。

 

「天野君、着いてきて欲しいな!」

 

「もちろんだ!」

 

それにしても一之瀬と俺は指名し合ってばっかだな。どうしてこうなったことやら…。

 

「1年Dクラス、堀北鈴音、『誰でもいいから友達一人』というお題をチェンジするわ!」

 

いや全然簡単なお題の枠だった。と言うか友達一人もいないとか堀北じゃなきゃとてつもなく哀れなんだが。堀北だから滑稽だな。

 

「日頃の行いのせいだよ。」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「いやなんにも言ってないよ!それよりそろそろゴールだね!」

 

なんか物騒な事が聞こえた気がするが、後ろから聞こえる『尊敬する人』というお題をチェンジする神室の声にかき消されてよく聞こえなかった。

 

「1年Cクラス、一之瀬 帆波 『連絡先の欲しい異性』で天野聖君を指名します!」

 

「それぐらいならいつでも交換してやる。」

 

ていうかそもそも交換してなかったっけレベルなのは黙っておこう。

 

後ろから『眼鏡をかけた友達』のお題をチェンジしてる真鍋の声を聞きながらも俺達はその場で別れた。結局そのまま真鍋、神室、堀北の順でゴールし、1回戦は終わった。

 

続いて2回戦である。1回戦はまともなおだい多めだったので今回はヤバイのかもな。

 

メンバーはAクラスが確か……元土肥だったか?Bクラスは…こいつは小橋だったっけか?モブの名前はちょっと自信ねぇな。我らがCクラスからは大天使木下、そしてDクラスからは退学危機一髪森だ。なぜ森が選ばれたのかだけは全くわからん。

 

そして俺の予想通りやばいお題の組だったらしく、森が真っ先に交代用のメガホンを取る。

 

「1年Dクラス森寧々、お題『ホロライブのVTuber』をチェンジします。」

 

そんなものこの世に居ても困るしこの場にいても困るんだよな。

 

「種子島くん、着いてきてくれないかな?」

 

大天使木下は種子島に声をかける。種子島が少し嬉しそうな顔をしていたがあいつは許さねぇ潰す。

 

「それ、俺じゃダメなのか?」

 

一応聞いてみる。大天使木下とゴールインして幸せな生活を送るんだ俺は!

 

「ごめん……条件と対極に居るかなって。」

 

俺と対極で種子島が適任の条件ってなんだ……そう言われた以上引き下がるしか無いので俺はしょんぼりとした顔で座る。そのまま大天使木下と種子島は走り去って行った。一瞬天使の羽が見えたような……気の所為か。

 

後ろから小橋の『中学校の頃真実でクラス崩壊をさせた美少女』というお題をチェンジする声が聞こえてくるが、どこの櫛田だろうか。そうこうしてる内に元土肥は橋本を連れてそのまま走り去って行った。

 

「1年Cクラス木下美乃里、『クラスで1番付き合いたくない人』で種子島十成君を指名します!!」

 

大天使から放たれる聖なる言葉の弾丸に、憎き種子島は膝から崩れ落ちる。それを見た観衆は可哀想なものを見る目で種子島を見ていた。

 

それにしても対極って事は大天使木下にとって俺はクラスで1番付き合いたい人なのか……マジ?

 

恐らく間抜け面を晒しているであろう俺の目線を木下は照れ顔でスルーし……そのまま何処かへ行ってしまった。悲しい事よ。

 

後ろから聞こえてくる森の『トットムジカ』とかいう恐ろしいお題の変更はどうでも良かった。ここどういう魔境?

 

「あの、すいません、天野君……来てくれませんか?」

 

小橋……だったっけ?が俺の事を呼んでくるが何故俺なのだろう。さっきみたいなタイプだとしたら傷つくんだがな。

 

「あ、あぁ……いいぞ。」

 

まぁ人間誰かしらに嫌われることは往々にしてあるだろう。種子島は天に召されていたが…大天使パワーかな?

 

タッチの差で元土肥よりも先に小橋はメガホンを取る、それにしても元土肥遅すぎない?

 

「1年Cクラス小橋夢、『他クラスで話した事無いけど話してみたい異性』で天野聖君を指名します!」

 

良い方の指名だったらしい、セーフ。そしてやっぱり小橋で会ってたな。

 

「今度話してみるか?」

 

「うん、体育祭終わったら連絡先上げるね。」

 

誰だか分からないモブ改め小橋はとの仲が深まった。Cクラスとの仲がどんどん良くなってる気がする。それにしても何故俺なんだろう。……まぁいっか。

 

「1年Aクラス元土肥千佳子『今からコクるなら?と聞かれて真っ先に思い浮かべた人』で橋本正義君を指名します!橋本君!付き合ってください!」

 

元土肥のまさかのカミングアウトに会場が大盛り上がりする。そして橋本だが……

 

「まずはお友達から、って奴でいいか?俺もちょっと考える時間が欲しいしな。」

 

そういえば原作でも兎に角先延ばししてたんだっけな。友達と言って取り敢えず逃げ続けるハラらしい。

 

会場から元土肥にエールが送られる。これじゃあ誰が1位を取ったか分かったもんじゃねぇな。

 

ちなみにこれで森の最下位が決定した。

 

三組目はAクラスの…たしか沢田と、Cクラスの安藤、Bクラスからは伊吹、そしてDクラスは松下が出るようだ。

 

走り出しだけ見るとやはり伊吹は早い、か。

 

「1年Bクラス伊吹澪『フリーザ様』というお題をチェンジする!」

 

さっきから藍染惣右介といいボスキャラしかいないのはどうしてなのか……深く考えるのはよそう。

 

「1年Bクラス安藤沙代、お題『ENDの書』をチェンジします!」

 

そりゃあそうだ。そんなのあったら今頃世界は滅んでいるよ。

 

「聖君、来てくれない?」

 

松下は……俺なのか、なんか俺がよく借り物に借りられている気がするけど……気の所為だよな?

 

「OK。」

 

俺はそのまま着いていく。確か沢田だった人は神崎を連れてきているがこちらのが早いだろう。

 

「1年Dクラス松下千秋、『名前呼びして欲しい人』で天野聖君を指名します。」

 

 

「ふざけるなぁァァァァァァァ!!!!!」

 

伊集院は咆哮と共にこちらに駆け寄ろうとするが、教師たちに連れられて何処かへ行ってしまった……ていうかまだ居たのかよ。

 

「分かったよ、千秋、これから宜しくな。」

 

俺はそう言って伊集院の方に勝利の笑みを浮かべて置く。もう伊集院は終わりだろう。元々終わっているようなものなのだろうが。

 

「1年Aクラス沢田恭美、『実力派エリート』ってお題で神崎隆二君です!」

 

 

まぁたしかに実力派エリートなんだけど……多分それポンチ揚げ食う?でお馴染みのS級隊員だと思うんだけど。

 

伊吹だが……堀北を連れて向かってきた。最下位は免れたか。

 

「1年Bクラス伊吹澪だ、『精神年齢5歳の奴』で堀北鈴音を指名する。」

 

「ふざけないで頂戴!私は精神年齢5歳では無いわ!貴方よりは上のはずよ!」

 

この言葉に会場が全てを察した雰囲気になる。伊吹に俺も同感だな。

 

「待て!審議だ!堀北の精神年齢は2歳って所だ!5歳は盛りすぎだ!」

 

『抗議を受理します。1年Bクラス伊吹はまた新しく別の人を連れてきてください。』

 

木山の抗議は通ってしまったようだ。相談もなくノータイムな所を見ると学校側も堀北の精神年齢はかなり下に見ているらしい。

 

「学校側の目も節穴ね。国立を名乗るなんて呆れたものだわ。だいたい私は…」

 

何やらブツブツ文句を言い始めた堀北に周りはドン引きの様子だ。それを見兼ねたのか御門が堀北に近づいて行く。

 

「堀北、戻るぞ。これ以上恥を晒す前にな。」

 

御門の一言は声色こそ明るく笑っていたが、あれは内心キレてそうだった。堀北もそれを察したのか顔が真っ青になる。

 

「……っはい。……申し訳ございませんでした。」

 

「あとでおしおきだな。」

 

おしおき、という言葉を受けた堀北の顔が真っ青になる…一体何があったんだか。

 

「1年Bクラス伊吹澪!前と同じお題で須藤健を指名する。」

 

須藤の精神年齢は確かにそれぐらいな気がする。須藤のことだから食って架かって否定する……かのように思われたが以外にも須藤は何もしなかった。

 

「俺も認めるぜ……5歳あるかは俺も怪しい所だがな。」

 

以外にもあっさりと受け止めていた。それを見て驚いたのは龍園なんかも同じらしく周りが驚いた目線を向けていたが、まぁこれでクリアなのは間違え無いだろう。

 

そして最後の1戦、綿白神、姫野、矢島、王という中々珍しいメンバーが並んでいた。やはり速度だけで見たら矢島が早いか。

 

「1年Bクラス矢島麻里子、お題『魔女教大罪司教傲慢担当』をチェンジでお願いします。」

 

おだいの引き運は悪かったようだ。他の3人はいいお題を引いたのかそれぞれ目的の場所へ向かっていった。

 

「天野君、一緒に来て。」

 

えぇっ……どんだけ俺かよ。マジで。

 

「まじか……わかった。」

 

流石にこのくだりは飽きてきたんだが…まぁそうも言ってられないか。それにしても顔が赤い様な……気のせいか?

 

「1年Dクラス王美雨、お題『好きな異性』で平田洋介君を指名します。平田君、付き合ってください!!」

 

俺達が走っている最中、またもや告白イベントが起きていた。借り物競争って毎年こうなんか?

 

「ごめん……君とは付き合えない。」

 

平田はなんとも辛そうな顔で断っていた、そのまま王美雨は泣き崩れて櫛田に連れていかれた。これは『使える』かも知れない。

 

「先に謝っとくね……本当にゴメンね。」

 

「ん?どういう事?」

 

姫野の一言に質問したが俺は答えて貰えなかった。前の種子島みたいになるのだろうか……姫野に嫌われるような事をした覚えは無いんだけどな。それにしても顔がとてつもなく真っ赤なんだが…本当にどうしたんだ。

「1年…Cクラス姫野…ユキ…『他クラス…で…イケメンじゃなくて…ヤッてもいい人…』で天野…聖君を指名します。」

 

………は?

 

瞬間、場の空気が凍る。だがそれもつかの間、グラウンドにはなんとも言い難い歪な空気が流れ、龍園は大爆笑して腹を抱えている。当事者からすると被害以外の何者でもないだろうが……俺の恥ずかしさもエグいが、目の前の姫野は比にならないレベルだろう。このゴミみたいな学校側は何してるんだ。

 

「ふざけるなぁ!誰だ!こんなのを入れた奴は!探せ!今すぐ探せ!」

 

ストレスかなんかで胃が痛いはずの坂上先生がブチ切れながら本部に指示を出した。学校側は確認とかはしなかったのだろうか……大方やらかしたのは星乃宮先生あたり……いや、そんな事も無さそうだな。本人もマジギレした顔で探してるし。

 

周りを見渡すと、変態だと噂になっている、体育の先生が居た。確かDクラスにいた時に水泳を教えていた、俺をバカにしてきた先生だったか。普段から人をバカにするような発言をしていたし、先輩の中にはセクハラされた人がいるとかいないとかで噂になってた嫌いな教師ランキング1位の松志田先生とかいう名前だった筈だ。

 

『競技を続けてください。』

 

学校側からそんなアナウンスが入るが、そういう問題では無いだろう。マジで。現に出場者固まって…無いやつが1人だけ居た、綿白神だ。普通に女子に連れてこられて大喜びしている松志田先生を連れて来ていた。

 

こちらに真嶋先生が詰め寄ってくる。姫野のケアだろう。

 

「大丈夫か……姫野…?」

 

恐らく大丈夫なわけは無いだろうが……一応聞いておく。

 

「大丈夫、ごめんね天野君、……綿白神さん……どういう事?大した内容じゃないって言ったよね?」

 

ん?ここで綿白神……?話が見えてこないんだが。

 

「1年Aクラス、綿白神姫華、『セクハラをした事のある教師』で松志田先生を指名します!何故ならば、先程の姫野さんの借り物のカードを用意したのは松志田先生だからです!」

 

この言葉に会場がザワつく。俺としても一切ついていけそうに無かった。この瞬間矢島の最下位が確定したがそんな事はどうでもいい。というか矢島を責める奴は誰もいないだろう。龍園が腹筋崩壊している以外は皆困惑していた。松志田先生はと言うと訳が分からないと言わんばかりの顔をしている。

 

「松志田先生、今の話は本当ですか?」

 

真嶋先生、坂上先生が詰め寄る。顔には険悪な表情を浮かべているがまぁ当然だろう。

 

「ち、違う!綿白神に俺は嵌められたんだ!あれを用意したのは綿白神だ!俺は綿白神と接触していないんだ!分かるはずだ!」

 

「そういうなら証拠を提示して下さい。まさか無いのに言い掛かりをつけている訳じゃあありませんよね?」

 

そう言って綿白神は何処からかボイスレコーダーを取りだした。

 

『「へへへへ、令嬢のお嬢様とヤリたかったんだよなぁ。内容は何でもいいから借り物競争で1番左に置くカードの内容を教えればいいんだったな。」

 

「ええ、報酬は何が宜しいですか?やはりプライベートポイントですか?」

 

「金なんか有り余ってる、それよりもヤラせろ、いいな。」

 

「それは流石に…いくらお支払いすればよろしいですか?」

 

「うるせぇ!退学にさせるぞ!!」』

 

ボイスレコーダーから流れてきた内容はどう頑張っても言い訳出来ないものだった。綿白神が嵌めたにしろ嵌めてないにしろ松志田先生のクビは確定だろう。現に今顔は真っ青だし。

 

綿白神が強いのか、それとも松志田先生が教師を名乗るのに相応しくないレベルのアホなのかは知らないが、取り敢えず彼の人生は終わりだろう。

 

「バレないように脅されましたので、監視カメラには写っていないでしょうが、それでも音声は残っています。あれをやったのは貴方なのです。諦めて下さい。」

 

「待て、これはなにかの誤解だ!」

 

顔が真っ青になった松志田先生だったが、その言葉を信じるものは少なく、そのままどこかへと連れていかれてしまった。彼はクビか逮捕か……まぁ明るい未来は待っていないのは確かだ。

 

「綿白神さん、どういう事が説明してくれないかな、1番左の紙を取って、チェンジしないで天野君を指名する代わりに10万プライベートポイントくれるって話してたのは綿白神さんだよね?」

 

姫野が怒った顔で詰め寄る。目には涙が溜まっていたが……まぁそりゃそうだろうよ。

 

「すいません姫野さん、松志田先生に脅されまして。ですが契約内容には何も反しておりません。約束通り10万プライベートポイントは体育祭が終わった後に差し上げる事を約束致しますね。」

 

「そういう問題じゃない!!」

 

姫野は泣きながら怒っていたが、失格にさせない為にも星乃宮先生と坂上先生に連れて行かれた。なんとも可哀想な話だ。

 

「綿白神……なぜ姫野と松志田先生を狙った。松志田先生は勿論教師…いや、人として許されない行為をしたのは確かだ、証拠も無いだろう、だがお前が嵌めたんだろ。」

 

俺としても許せる行為ではない。松志田先生はともかく姫野にはなんの恨みもない訳だしな。俺が狙われたのはまぁ……因縁もあるしそりゃそうだって感じなんだが。

 

「そうですねぇ……あなたが想像してることを私も妄想させて頂きますと…姫野さんがあの役をやったのはただあの契約書の内容に乗ってくれたから、ですかね。それ以上でもそれ以下でもありません。正直誰でも良かったんですよね。強いて言うなら一之瀬派閥の人間ならなお良かったから、ですかね。

 

そして松志田先生…いえ、もう元先生でしょうね。彼ですが……日頃から女子生徒に下劣な目線を送っていたのは事実ですよ。だから今回もこんな事になってしまわれたのでしょう……私としても不快でしたからね。まぁ妄想の話ですが……例え誰かしらに声を録音、編集されてあのような音声を流されたとしても皆様信じるでしょう。女の立場というのは何時だって強いものなのですよ?

 

例えば痴漢だって、されていなくてもされたと女の人が一言声をあげれば誰であろうと恐らく犯人として扱われますからね。

 

 

 

それと妄想ついでにもう1つ、坂上先生が体調の関係で3学期から一時期療養される事はご存知ですか?」

 

 

「知らなかったが……それとなんの関係があるんだ。」

 

そしてひとつ確信した、こいつは誰かしらの声の音声を一緒に録音し、松志田を嵌めたのだろう。やはり人の皮を被った悪魔、俺の復讐云々以前にコイツは危険だ。消す必要がある。

 

「いえいえ、私の家で執事をしていたものが転職し、坂上先生の後継として貴方のクラスで臨時教師をする事になりましたので、ご挨拶をよろしくお願いします。

 

……せいぜい足掻いてください。蝉も死ぬ間際に全力で鳴くものです。それではごきげんよう。」

 

こうして綿白神は……元の場所へと戻って言った。周りは松志田先生に注目をしている事も合ってこちらの話など誰も聞いていないだろう。おれにだけ聴こえるように声のボリュームも搾っていたしな。

 

俺は、綿白神を排除するのは……間違っていないだろう。

 

体育祭はこうして不穏な空気を抱えたまま、次の競技へと進むのだった。




どうしてこうなった………

綿白神をガチクズにするのと綿白神の息のかかった坂上先生の後任が三学期に来る事を伝えるだけにするつもりだったんですが気がついたら体育の先生がセクハラでクビになりました。ユルシテ....ユルシテ...

体育祭、勝つのは……?

  • 坂柳派閥だ!
  • 綿白神派閥だ!
  • 一之瀬派閥だ!
  • 木山派閥だ!
  • 龍園達Cクラスだ!
  • オリ主だ!
  • 平田グループだ!
  • 櫛田グループだ!
  • 篠原グループだ!
  • 御門グループだ!
  • 高円寺だ!
  • 今は亡き葛城だ!
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