ようこそ間違った教室へ   作:あもう

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女王と教師と王とサンドバック

 

学校生活十一日目。二日目は授業初日であるからか大半の授業は勉強方針等の説明……オリエンテーションで終わった。

 

 先生たちの多くがかなりフレンドリーで親しみやすかったことには、多くの生徒が拍子抜けしただろう。国が主導している、という観点から見ればこの学校はお堅いところだと判断されるのだろうが……それを帳消しにする程の威力があった。

 

 流石に居眠りや遅刻する生徒は居ないだろうとオレは想像していたのだが……呆気なくそれは裏切られることになった。須健を始めとした何人が二日目の一時限目の授業から眠りこけていたからだ。

 

他にも山内達はスマホをずっと弄ってたし外村はパソコンを弄ってた。高円寺は爪を研いでたしさっきから俺の方に鉛筆の芯や消しカスが投げつけられたりしている。

 

 ここで気になるのが、教師陣は誰一人として不真面目な人間を摘発しなかったこと。虐めは許さないとはなんだったのだろうか。

 

 あくまでも高等学校に進学するのは生徒個人の意思であり、これまで敷かれていた義務教育からは脱している。にしても虐めくらい止めてくれ。

 

 個人の判断に任せていると言われればそれまでなのだが……どうにも虐めが許容されているのが腑に落ちない。

 

原作改変でも起きているんだろうか·····

 

 そんな教師陣の反応を見て、二日目からDクラスの生徒たちは二時眼目、三時限目と時間が加速するにつれて須藤や山内なんかとと同じような態度を取り始めた。

 

俺はと言うと投げられる消しカスの量はこの約10日で3倍ぐらいになったし教科書をゴミ箱に捨てられたり椅子にどこで買ったのか画鋲が置いてあったりした。画鋲はありがたく貰っていくことにしよう。

 

 クラスの4割程が思い思いに授業を受け、半分ぐらいは虐めてきた。いじめてない残りの半分はこっちを卑下するような目線で観てきたりして、今やまともに授業を受けてるのは5人前後だろう。

 

 ちなみに真面目に受けていたのは平田や櫛田といったクラスの優等生キャラに、堀北といった我が道系。

 

 俺はというと……勉強に集中したいのにこのクソみたいないじめのせいで集中出来ずにいた。世の中はクソである。

 

この学校本当に国立か·····?

 

 弛緩してるようなピリピリしてるような空気のまま昼休みに入る。生徒たちは大きく伸びをしながら立ち上がり、顔見知りになりつつあるクラスメイトを誘い食事に出掛けり、友達になりつつあるクラスメイトとお弁当を食べながらこっちを睨んできたり、米粒を投げてきたりする。この学校には食堂があるらしいので、さっさとそっちに逃げたいのだが生徒だらけだろう。

 

 さて困った。

 

 昨日の放課後のように皆が俺を避けるだけなのを期待していたのだが……なるほど。どうやら俺は完全に虐めの標的にされ、それを理由に皆急速に仲良くなっているらしい。あの櫛田でさえ俺の連絡先を貰いに来ないってことはそーゆー事だろう。昨日は地獄が始まると思っていたが、割と早めのペースで言ってられない状況にまで切迫している……。

 

 取り敢えずここから逃げよう·····。

 

そう思いながら俺は扉を開け、頭にぶつけられた黒板消しを黒板にもどし、手で煙を払いながら弁当を持ちどこか人の居ないとこを探しに行く事にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

屋上は不人気な所として何より有名である。屋上で飯を食うと不良に絡まれるとか足の無い子供の幽霊に呪われるという噂があるらしいが正直既に人生呪われているようなもんだし不良は慣れているのでなんでもいいや。

 

ガチャッ俺は扉を開けて2秒で閉じた。

「あぁ?」

 

「あらあら?」

そこに居たのは龍園とその取り巻き達と坂柳とその取り巻き達だ。

おそらく噂の不良は龍園、幽霊は坂柳なんだろう。

 

取り敢えずダッシュで逃げるに限る。あいつらに目をつけられたらおしまいだ。

 

俺は取り敢えず適当な部屋に逃げ込んで飯を食べる事にした。

 

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「なんだったんだあいつは?誰だ?」

 

龍園翔は扉を開け、すぐに逃げた男を配下である俺、山脇真二に問う、俺は答える以外の術を持っていない。答えなければ右に座っている石崎から制裁を受けるだけだ。

 

このクラスになって1週間、監視カメラのないところで龍園翔は少しづつクラスを掌握しつつあるが、俺にはどうしようも無い事だった。この学校のシステムに9日目で気付き、クラスの王になると宣言したのは記憶に新しい。既に半数以上はこの男に従っている。俺もその一人だ。

 

「確か天野 聖です。Dクラスの例の事件の犯人ですよ。昨日俺たちの後ろでなんかゴチャゴチャ話してたやつです。」

「あいつか·····俺とこいつ以外にこの学校の裏のシステムに気付いてるとは·····ちっとは骨がありそうじゃねぇか、面白くなりそうだぜ。」

どうやら龍園翔の記憶にもあの男は新しいらしい。

そしてあの男は龍園翔の目にも止まってしまった以上、今以上に平穏な学園生活は送れないだろう。元々送れてないだろうが。まぁ犯罪者だし仕方ない。

 

「あらあら·····昨日の声の主は彼でしたか·········」

目の前のAクラスの少女、坂柳有栖は何かを考え込んでいるようだが俺にはわかるよしもない。

 

俺みたいな雑魚にもわかる、この2人は次元が違う。

噂では3日もかからず坂柳有栖は気づいたらしいが·····

 

「まぁ興味深いがあいつの事はひとまずいい、お互いのこの学校のシステムの予想もある程度は噛み合ったことだひ俺が結びてぇのは一先ず一学期が終わるまでお互いのクラスの不戦条約だ。絶対クラス間で争うようなイベントが来るはずだからな。」

 

龍園翔という男はクラス間で争う事やポイントが変動する事まで見抜いている。

 

「そうですね·····坂柳派は争わない事を約束致します。書面は必要ですか?」

 

「まぁいいが…坂柳派はってのはどーゆー事だ。」

 

龍園翔は訝しげな視線を坂柳有栖に向ける。

 

「そのまんまの意味です。今クラスには4つの派閥がありまして·····まぁほかの人達は派閥のつもりは無いのでしょうが。果たしてシステムの説明があった時どうなるでしょうね」

 

「なるほどなぁ·····ほかの派閥ってのは?」

 

「私共の派閥と、葛城君という方の派閥、それからかの有名な綿白神姫華さんの派閥にどの派閥にもいない人達ですね最後のは派閥と言うよりはその他ですが。」

 

「綿白神姫華ってのはあのお嬢様か面白ぇ·····まぁ良いだろう、交渉成立だ。書面は必要ねぇよ。」

「なるほど·····わかりました、それで天野君はどのようなお方で」

 

キーンコーンカーンコーン坂柳有栖の最後の声をかき消す様に予鈴がなる。

 

「話は以上だ、じゃあな、それにしてもこの学校に綿白神と天野が居るとは·····面白ぇ事になりそうじゃないか。」

 

龍園翔の獰猛な笑みを見ながら、俺は今日も自由を求めるのだった。

 

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ここは·····保健室か?どこでもいいとは思ったが入る場所は100間違えたらしい。

 

 

出ていくか

 

「こらこらどこいくの〜って天野君じゃんやっほー」

 

後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。この感じだと今日は呑んで無さそうだ。

 

 

「部屋を間違えただけです。それではこれで、ゲロ飲み屋先生」

 

俺はゲロを吐かれた恨みを盛大に皮肉りながら保健室を出

 

「ゲロ·····なんだって?もう1回言ってみて·····?

ちょっと先生とお話しようか」

 

出られなかった。後ろの圧倒的な恐怖のオーラが出させてくれなかった。

 

入学11日目にして初めて弁当を食べる相手が先生とは悲しくなってくる。

 

「最近学校は大丈夫?冤罪の話、5月まで生徒には言わないよう言われてるんでしょ?」

 

どうやら機嫌は治してくれたらしい。もう二度とゲロの話題に関しては言わないでおこう。絶対。

 

「まぁ慣れてるんで大丈夫です、それに最悪金払ってどっか別のクラス行くんで」

 

「ん?別のクラス?どういう事かな。」

 

しまった口滑らせたやっべ、普段から虐められすぎて話してないのがアダになったらしい。

 

「なんでもないです。」

 

「教えてくれるよ、ね?」結局俺は先生の強い圧力に逆らえず、全てを話す事になるのだった。

 

 

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「それにしてもそこまで気づいてるなんてね〜。AクラスとCクラスにも気付いてる子がいるみたいだったけど·····Bクラスだけ居ないなんてね、Bクラス担任としては複雑だなぁ·····そうだ!Bクラス来ない?」

 

「考えときます。」

AとCはおそらく龍園と坂柳だろう。相手したくねぇな。

いじめられてるDは論外としても、

AにしろBにしろCにしろ逃げ先は欲しいがあの二人と関わりたくねぇし、このゲロ教師が居るBも、

 

「今なんか失礼なこと考えなかった?」

 

「考えてないです。はい」

 

これ以上余計な事を考えないためにも俺は保健室からいち早く脱出するのだった。

 

Aクラスの女王、Bクラスの教師、Cクラスの王、今日は関わるべきじゃないヤツらと関わりを持ち始めてしまったと思うDクラスのサンドバックたる俺であった。

Dクラスを

  • 許すな!
  • 許してあげよう
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