ようこそ間違った教室へ   作:あもう

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綾小路無双

扉を開けた先には二人いた。一人は見張りをしていたアルベルト、それはつまりもう一人の相手が黒幕Xである事を示唆示唆しているのと同義だった。

 

そしてもう一人の登場人物は……なんとと綾小路清隆である。まぁ俺は知ってたんだけどさ。その場の雰囲気ってあるじゃん、ね?

 

 

「……ッ!?」

 

伊吹が目を見開いて驚いてる気がする。後ろからなのでなんとも言えないが。

 

「……やっぱ、来たか……」

 

「これはこれは……誰が来たかと思えば、綾小路じゃないか。冬休みに入った人気のない屋上に何の用だ?」

 

「天野からメールを貰った。報酬を用意する代わりに軽井沢を助けてほしいってな。」

 

そんな事を言った覚えは無いが綾小路が屋上に現れた事よの口裏を合わせろということだろう。報酬は適当に金とかでいいだろうからな。

 

伊吹や石崎は綾小路の登場に驚いているようだが、龍園は自分の予想通りだったのか楽しそうに笑っている。まぁ実際あれだけ原作より劣化したCクラスなのでボロが出まくったのだろうが。

 

「正直、軽井沢がただ壊れるだけなら黙って見捨てるつもりだった。連絡先などのオレに繋がる証拠も全部消したしな。用無しだから切り捨てる気だった。軽井沢を持つメリットよりデメリットのが多いからな。そしてそれは今も変わらない。」

 

 

「………っ……!」

 

それを聞いた軽井沢が目を見開き涙を流す。皮肉にもそれを薮と真鍋が慰めている構図になってしまった……よく分からないマッチポンプだな。

 

 

「……綾小路。お前がXだな?」

 

「あぁ。オレがお前たちが探し求めていた人間だ」

 

 

綾小路の言葉に龍園の口元はさらに吊り上がる。

 

だが、伊吹や石崎は清隆がXだと認められないのか、否定を始める。取り敢えず俺の報酬の事はスルーらしい。セーフ!

 

 

「こんなことをいう奴が本当に黒幕だと思うの龍園!」

 

「自分も怪しいと思います……自分を本物のXだと言うのはいくら何でも……。」

 

「そうか。だが、軽井沢の顔を見てみろ。あれが嘘をついているように見えるか? それに、もし綾小路がXじゃなくこの場にいるのなら、軽井沢は切り捨てられた発言を聞いて涙を流したりするか?

 

……それに俺がXでもこの時点で軽井沢は切り捨てている。天野がどんな報酬を用意したのかは知らねぇが、欲をかいたみてぇだな。」

 

「あぁ。オレが裏でクラスを率いていたことを知る人間は軽井沢を始めとした一部の人間だけだ。そして天野から用意される報酬の内容を詳しくは言えないが……オレにとってとてもありがたいものだったのは確かだった。事情が少し変わったが、それでも保険としては悪くない。それにもう契約した後だからな。」

 

 

 

 そして、綾小路はまだXが綾小路だと信じていない伊吹たちに聞かせるように裏で行っていたことを話す。

 

干支試験の後で真鍋達が軽井沢を虐めていて、それを録画して脅していたこと、選択退学試験でのAクラスとの契約、体育祭の参加表でカマをかけて圧勝したトリック、ペーパーシャッフルでの脅しの件などだ。それを聞いた石崎を始めとした他の生徒は信じていたようだが、ただ1人伊吹だけは未だに信じられていなさそうだった。ある種の裏切りである。

 

 

「さて、綾小路よ。それでこれからどうするつもりだ? お前の存在はいつでも明るみに出せる。正体が分かった以上、こっちから軽井沢の虐めを暴露する意味も薄れた。のこのこと姿を現した以上、策があるんだろ?それとも天野の用意した人参に釣られただけか?」

 

「この状況で打てる手なんて存在しないが……そうだな。お前たちの得意分野で戦ってやるとするか。」

 

「あ? 何言ってんだお前は。俺たちにお前一人で勝てると思ってんのか?こっちに何人いると思ってんだ?」

 

「天野達が参加しないことは分かっている。この場にいる34人だけじゃ、オレは止められないぞ。」

 

「いや、私はやる、ムカつくから。だから35人って訳。」

 

伊吹はやるらしい。まぁこいつの性格を考えればそうなるのか。

 

「誤差だ。伊吹1人程度たいしたことは無いからな。」

 

「何それ……最高にムカつくんだけど。」

 

 

「ク、ククク。ククククク……クハハハハ!」

 

 

綾小路の言葉に伊吹は不機嫌になり龍園は腹を抱えながら笑う。

 

綾小路の能力がいくら高いとはいえ相手は35人、流石に無理だと思っているのだろう。だが綾小路ならばやりかねないと俺は確信しているが。

 

というかこの場にいる35人だけじゃ止められないって当たり前のように発言するのが恐ろしすぎる。コイツとだけは敵対したくねぇな。

 

 

「……なるほどな。俺達じゃ暴力で支配することなんてできないってか? だったら見せてもらおうか、その自信のほどをよ。やれ、石崎。」

 

「い、いいんですか……龍園さん?」

 

 

龍園の攻撃命令に、石崎が思わず躊躇する。綾小路は傍から見たら須藤のような喧嘩慣れしている生徒ではない。

 

躊躇うのも無理ないが……まぁやればわかる。無駄な杞憂だろう。

 

 

「遠慮なくやれ。責任は俺が持つ。それにこいつはお前の予想よりやばいだろうよ。」

 

 

「……悪く思うなよ綾小路。これも龍園さんの指示だ。」

 

「あぁ、構わない。石崎じゃオレは倒せないからな。」

 

 

そう言って、綾小路は石崎の大振りで放たれた拳を右手で受け止めた。

 

 

 

「……!?」

 

「石崎。やるなら本気でやった方が良いぞ。喧嘩慣れしていないと思っての配慮は不要だ。」

 

 

綾小路が単調にそう告げる。それは事実なのだが…大半の人間は信じられなさそうだな。

 

単調な大振りのモーション。避ける事はそう難しくないはずだ。だが、綾小路はあえて受け止めた。力の差を見せつけるためだろう。

 

そして、拳を掴まれた突然石崎の様子がおかしくなっていく。

 

 

 

「あ、っ、つ! ちょ、待っ……やめっ!ぐわ、ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

石崎が両膝から崩れ落ち、冷たい床に膝を付ける。左手で綾小路の腕を引き剥がそうとするが、それは叶わない。

 

事態を真っ先に把握したのは龍園でも伊吹でも無く、真後ろにいた山田アルベルトだった。アルベルトが綾小路に向かって左腕を振るう。それを清隆は冷静に左手で、再び正面から受け止めた。

 

バチッと高く重い音が響く。アルベルトの身体能力は力ならば須藤すらも超えるはずなんだがな…黒人のハーフだぞ…?

 

 

 

「……流石に痛いな……。黒人ハーフは伊達じゃないか。」

 

当たり前の事だがそれをそんな真顔で言うことではない。無機質なのが酷く恐ろしく感じるな。現にCクラスの大半は現実を直視出来ずにいるしな。

 

綾小路が石崎を解放すると同時に、アルベルトが突進して再び腕を振るう。それを避けて、アルベルトの腹部にカウンターを決める。

 

 そして、さらにフェイントを混ぜながら喉に手刀の先端を突きこみ、アルベルトをのけぞらせる。

 

 

 

「綾小路っ!」

 

 

「……来るならわざわざ叫ぶなよ。」

 

綾小路の背後から再び殴り掛かる石崎の軸足を蹴り飛ばし、頬を左手で打ち抜いた。叫んだのは配慮…なんだろうか?石崎のバカの考えはよくわからんね。

 

そして、アルベルトのみぞおちに膝蹴りを浴びせ、石崎、アルベルトは崩れ落ちる。

 

 

「い、石崎……てめぇ…綾小路!!」

 

それを見た小宮と近藤が綾小路の元へと走っていく。走って殴るというこちらもまた単調かつ愚直なモーション。それを見た綾小路は近藤の拳を避けると同時にもう片方から来てる小宮の殴る力を利用して近藤の顔に小宮の拳を入れる。

 

そして2人の足を掬い、2人の頭をごっつんこさせ、首に手刀を下ろす。手刀を受けた小宮と近藤も倒れてしまう。

 

 

「う、う、嘘でしょ……?遊んでるんじゃないの?小宮、近藤、石崎、アルベルト…?」

 

「どうやら、俺たちが思っている以上らしいな。これは想定外だったぜ。」

 

「悪いがオレの方は想定内だ。お前の手のひらで泳がされているように見せて、こっちが泳がせていた。お前が暴力を仕掛けてくる手段に出るように誘導もしたしな。」

 

「……そりゃあ、大ピンチだな。どうする伊吹。」

 

「…………チッ!なんなのよ!あんたも、綾小路も!」

 

 

 舌打ちをした伊吹が清隆に飛び蹴りをかます。

 

 それを後ろに下がり、清隆は落ち着いて避ける。

 

 蹴りを避けられた伊吹はスイッチが入ったのか、隙のない動きで蹴り主体で清隆に迫る。

 

「……っ!」

 

 

 全ての蹴りをギリギリの動きで避けていく。伊吹は武道を嗜んでいるだけあって力もありそうだが、綾小路は煽るように躱している。

 

 

 

「ホントにあんたがXなわけ……?」

 

「あぁ。信じられないか?」

 

「ムカつくわ。何か分かんないけど、ムカつく!」

 

 

 

 再び跳躍する伊吹に、清隆は即座に距離を詰めた。

 

 

「なっ!?」

 

 

 清隆は、跳躍した伊吹の首を掴み、そのまま床へと背中を叩きつけた。目を見開いた伊吹は、即座に意識を失い動かなくなる。

 

「ククク、マジか、こいつは驚きだぜ!かかれお前ら!これは命令だ!」

 

その言葉に震え上がったCクラスの面々が綾小路を攻撃しようとしていく。種子島と時任はその場から動こうとしなかったが、他の生徒は全員向かっていった。

 

それを綾小路は背負い投げ、正拳突き、システマ、カンフーキック、1080度回し蹴りなど様々な技で順番にしとめていく。それも男女容赦無しにだ。それを見て龍園は楽しそうに笑っていたし、俺はたまにスカートがヒラついて見えた女子のパンツを脳内に焼き付けていた。どっちも最低である。俺をジト目で見ているひよりと目が合った。

 

「……どうした?ひより。」

 

「いや……聖君も男子高校生なのは分かりますけど…時と場合は考えた方がいいかと。」

 

まぁそれはそうである。そんな会話をしてるうちに綾小路が全員倒してしまっていたが。

「暴力は何も龍園たちの専売特許じゃない。」

 

 

 

 伊吹、石崎、アルベルトその他etc……。

 

 龍園の支配下とも呼べる生徒たちが崩れ落ちる中、残っているのはただ一人。

 

 

「この状況を見ても、まだ冷静でいられるのは流石といったところか」

 

「頭のキレだけじゃなく、暴力まで一級品とは御見逸れしたぜ。ククク、クククハハ!!」

 

 

素直な敬意を表すように拍手し、龍園が綾小路の前まで歩いていく。

 

 

 

「俺の前に姿を現すだけはあるが……暴力の勝敗を決めるのは、何も数や腕っ節だけじゃない。心の強さも関係する。その意味がわかるか?」

 

 

そう言って龍園は腰を低く落とし左拳を繰り出した。狙いは腹部だ。綾小路はそれを後ろに飛んで避ける。だが、すぐに龍園は距離を詰め、追撃していく。

 

 

 

「悪いがまともに攻撃を貰うつもりはない。それに……」

 

 

 

綾小路は龍園の前髪を掴もうと右腕を伸ばすが、それを左手で払われる。

 

 

……直後、綾小路の蹴りが龍園の脇腹に直撃する。

 

 

 

「ガハッ!?」

 

 

 

 龍園は立て続けに攻撃されるのを避けるため、一度距離を取った。それを見た綾小路は転がっている小宮を投げつけたが龍園にキャッチされる。頭蓋骨を掴まれて投げられている小宮がちょっと可哀想だった。

 

 

 

「やるな龍園。だが、まだまだこんなもんじゃないぞ。お前が軽井沢を傷つけた事はオレとしてはどうでもいいが、お前に絡まれると色々面倒だからここで終わらせてもらう。」

 

それを聞いた軽井沢がさらに泣き出した。いいぞもっとやれ!

 

「ハッ、面白ぇ……やってみろや!」

 

 そう言って笑う龍園。

 

 結構な強さの蹴りを食らったのに、笑顔だ。ドMなのかもしれない。SMプレイをする龍園はちょっと想像したくないが。

 

再び、綾小路と龍園の戦いが繰り広げられていく。

 

 

「何で表に出て戦わない。お前なら堂々とやり合えるだろ。」 

 

「こっちにも色々ある。もうこれからは表に出るつもりもないがな。」

 

「そうかよ。だったら勝って聞かせてもらうとするか。ククク。」

 

「勝てると思ってるのか?お前がオレに?」

 

「お前は負けないと思ってるのか?お前が俺に?」

 

「……悪いな。負けるのは想像つかない。負け方を教えて欲しいぐらいだな。」

 

 

綾小路は龍園にはっきりとそう言った。龍園は以外にも怒らずに笑っている。

 

 

「確かにこの場ではお前が勝つだろうな。だが、明日は? 明後日はどうだ?」

 

「繰り返していれば、いずれ勝てると?」

 

「お前が油断している時、無防備な時、どこからでも狙ってやるぜ。クソしてる時は?小便してる時は?寝ている時は?メシ食ってる時は?隙なんざどこにでもある。常に強い人間なんか居ねぇよ。」

 

「負けることが怖くないのか?…龍園。」

 

「恐怖なんて俺には人間相手に感じないのさ。無人島試験で熊に追いかけられて落ちた時に死の恐怖を感じた以外で恐怖は感じた事がないからな。」

 

 

多分綾小路はクマより強いと思うんだがな……悲しい事に龍園もそこまでは分からないのだが。

 

「恐怖を感じない、か。オレは熊なんかに負けないけどな。」

 

 

人間は誰しも怖いと感じる物は存在する。お化けだったり、教師や偉い人などに怒られるとき、高いところなどだ。 だが、その恐怖が死以外にないということが龍園にとっての自信の源。

 

死以外に恐れるものが何もなければ、思い切って行動ができる。だが残念ながら目の前の相手はお前を殺せるしクマより強いがな。

 

 

 

「お前も痛みを知ればわかるさ。常人はそれが後々恐怖へと変わるのさ。」

 

「だったら、その痛みってヤツを教えてもらおうか。」

 

「望むなら幾らでもな!」

 

 

 

 龍園は清隆の両肩を鷲掴みすると、高速の膝蹴りを腹部に叩き込む。

 

 

 

「二度、三度喰らえば分かってくんだろ! なあオイ!」

 

 

 

 同じ箇所を狙うように、龍園は真っ直ぐ左足を踏み込んだ。

 

 踏み込むと同時に距離が近づき、左手で顔をガード。

 

 右手を突き出し、それを引きながら真っ直ぐ右足の膝を突き出す。

 

 今日一番の渾身の一撃。

 

 綾小路は後ろによろける。

 

 

 

「どうだ。これで分かってきたか?」

 

「……生憎と何もないな。ただ痛みが広がるだけだ。お前の言う恐怖とやらは感じない。」

 

「お前も、俺と同じように恐怖を感じないとでも言うつもりか?」

 

「そうじゃないさ龍園。そういうことじゃない。」

 

 

 

清隆は龍園の攻撃を受けても冷静だ。痛みもあるだろうが、それを表に出さない。綾小路は敗北の、恐怖の本当の意味を知っている。そう言う事だろう。

 

 

 

「もっと遊ぼうぜ!」

 

 

 

 そう龍園が叫び、再び清隆の腹部へと集中砲火を浴びせていく。少しだけ、綾小路の膝が下がったことで、龍園の蹴りが頭部へと迫る。しかし、それを綾小路は冷静に避ける。

 

 

 

「遊んでやがるのか? 綾小路。避けれる攻撃を割けない理由はなんだ?あ?」

 

「お前の言う恐怖ってヤツが、本当に呼び起こされるのか試してるんだ。今のところ痛みを感じるだけだがな。」

 

「どこまでも舐めた野郎だ…チッ!」

 

 

 

外から見ていて、綾小路と龍園の実力差は歴然だ。だが、それでも龍園は勢いを失わずに綾小路を倒そうとしている。

 

 

 

「お前、どこでそんな力を身に着けた? 普通じゃないな、綾小路……。」

 

ホワイトルームとかいう教育機関で最高傑作になって偽りの天才してました。が答えなのだが、魔法使いや異世界転生者並にふざけた答えだろう。まぁそれを言い出したら俺も前世の知識を持ってるからふざけた人間なのだが。

 

 

質問に綾小路が答えようとした瞬間に龍園が綾小路の顔面へと膝蹴りを繰り出そうとする。

 

だが、綾小路は龍園の左腕を掴み、強引に寄せ、容赦なく顔面へと右フックを繰り出した。

 

 

 

「がっ──!?」

 

 

 

 かなりの強さで殴られた龍園は吹き飛ぶ。

 

 そして、すぐさま綾小路は龍園の上に馬乗りになり、左右の拳を上から振り下ろす。

 

 

 

「お前は恐怖を感じたことが死以外でないって言ったな、龍園。」

 

「はあ、はあ……そうさ。俺はほとんど恐怖を知らない。一度しか知った事が無い。」

 

おかしい……原作と違ってセリフがダサく聞こえるのはどうしてだろう。よく分からない原作改変のせいで龍園のセリフがただの噛ませっぽくなってしまっている。

 

視界の半分が腫れあがり潰れても、龍園は下から反撃をする。

 

だが、威力は弱く空振りする。

 

その代わりに、綾小路からの強烈な一撃。龍園の表情が険しいものへと変わる。こう見てみると噛ませにしか見えないのはどうしてだろう。気のせいだと信じたい。

 

 

 

「ずっ、ぷっ……! 俺は喧嘩に自信があるが、負けたことがないわけじゃない。いや、人一倍やられてきたからこそわかるんだよ……。」

 

 

 

龍園は、口から血を吐き出し地面へと吐き捨てる。だが、清隆は止まらない。もうそろそろ黙るべきだよ龍園…なんか凄く台詞が弱そうな気がするぞ。

 

 

 

「かはっ! ……あ、くそが、また喋り辛くなりやがった。」

 

 

 

 左右への攻撃を、綾小路は小さく何度も、何度も繰り返す。

 

 

 

「暴力ってヤツは人間の本心が見える。殴る奴にも、殴られる奴にもな。」

 

 

龍園はそう言って笑い、もっと殴れよと挑発する。

 

 

 

「はあ、はあ……クク……さぞ楽しいだろうな綾小路。それだけ強けりゃ態度だってでかくできる。何でもおやりたい放題だ。だからこそ見せてみろ綾小路……。」

 

顔が腫れて出血をしている龍園だが、マジでそろそろ黙った方がいいと思う。原作と違って恐怖を1回感じたせいでちょっとセリフのハクが消えて弱そうになってる気がする。言い方の問題なのだろうか?

 

「もういいだろう龍園。」

 

「ク、クク。どうした綾小路。俺はまだ参っちゃいないぜ。息の根を止めてみろ綾小路!」

 

 

 

そう言う龍園に再び、綾小路はもう一度拳を振るう。痛みに表情を歪める龍園だが、それも一瞬。

 

 

 

「痛ぇ痛ぇ……だが、それだけだ。ククク。」

 

 

 

綾小路を見る目はずっと変わらない。最後にやって来る勝利を信じて疑わないようだ。

 

 

 

「今ここでお前が勝っても、俺は何度でも食らいつく。学校のどこにいても、隙を見つければ仕掛けてやる。そして最後に勝つのは俺だ。」

 

 

 

 今までの龍園はそうやって逆転し勝って来たんだろう。どれだけ強い相手でも、常に無敵なわけじゃない。その隙を逃さずに仕掛けて勝って来たからこその自負。

 

 暴力をもって相手に恐怖を植え付け、支配する。

 

 こいつを敵に回すと、いつ襲われ大怪我をするか分からないという恐怖。

 

 

 

「今一時の愉悦を味わえよ。さあ、勝利は目前だぜ綾小路!」

 

 

 

 反撃する力を失いながらも、龍園は最後の最後まで笑い続ける。

 

 

 

「人間は弱者に対したとき、面白いように感情を覗かせてくれる。そして、その感情の裏にこそ恐怖が潜んでやがるのさ…。」

 

 

 

 龍園が清隆のそう言うが、綾小路の表情は変わらない。

 

 

 

「勝ちたいのか? 負けたくないのか? お前はどんな感情を持っているんだ綾小路?」

 

 

 

 龍園が清隆綾小路問う。

 

 

 

「お前は今……俺を支配して笑ってるのか? 怒ってるのか? それとも興奮し喜んでいるのか? あるいは苛立っているのか? 俺に教えてくれよ!」

 

 

 

 それを聞いた綾小路は何も答えずに、右腕を龍園の顔面に叩き込んだ。

 

 

 

「……っ!」

 

 

 

 そして、止まることなく、右へ左へ、ただただ同じ威力の拳を繰り返す。

 

 龍園の顔が引きつっていく。

 

 目が開かれ、口元が歪む。龍園にもどうやら再び恐怖が訪れたらしいな。

 

 

 

「最後だ、龍園。」

 

 

 

 そう言って綾小路は今までよりも強烈な一撃を龍園に叩き込んだ。

 

 その一撃を食らい、龍園の意識は刈り取られた。

 

こうして綾小路VSCクラスの戦いは、綾小路の圧勝で幕を閉じた。が、綾小路は戦車にすら勝ちそうで怖いな。ナンナンダコイツ……。

 

 

「天野、そこにいる奴らは殴り合いはしないってことでいいな?あと軽井沢はもうオレには不必要だ。ゴミ以下の価値しかないからお前にやる。」

 

それを聞いた軽井沢はまたもや泣き出した。泣き虫過ぎない?

 

「まぁ貰っとくけどさ。」

 

「感謝する。……さて、コイツらはそろそろ起こすか。」

 

こうして俺と綾小路で、龍園達を起こしていくのだった。

優勢世代は

  • 本編にガッツリ出して欲しい
  • 天野兄の偉業を語る程度の登場でいい
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