世間では、男子より女子のが人間関係が面倒くさいなんて言われがちだ。私も実際そうだと思う。男子が思っているよりも女子は現実的だし、闇が深いもの。ちょっとした事が原因で簡単に人間関係が崩れたりもする。
「バス内の事前説明で、各自、試験の内容は理解できていると判断させてもらう。よって、この場で改めての説明は行わない。ではこれより、小グループを作るための場と時間を設けさせて貰う。
各学年は話し合いの元、6つの小グループを作るように。全小グループを作成後は大グループを作成する。補足として、大小問わず大グループの取り決めに学校側は一切の関与をしないものとする。」
茶柱先生の説明が終わり、学校側は遠くへ行ってしまった。手を出さないと言う意味なのかもしれない。
私は知っている。こう言うグループ決めが女子の中でかなり面倒くさい部類のものであり、後々尾を引いたり人間関係が崩れたりしてしまう事を。
「私達Aクラスは13人で1つのグループを組みます。余った7人のメンバーは何処へ置いてもらっても構いません。何方でも良いので1人来てくださいませんか?勿論道連れ等にはしない事は保証しますし、責任者は私が受け持ちます。」
試験が始まりそうそう綿白神さんがなんとも言いずらい提案をしてくる。確実な勝ちを目指す、という意味では良い一手なのかも知れない。でも当然Dクラスの女子の中でも行こうとする子はいない。
ここで行ってしまえばクラス内での立場や人間関係が悪く場合もある。皆は軽井沢さんや篠原さんのご機嫌を伺っている。前者はともかく、後者は私に言わせればただのバカでしか無いと思うし、ヘイトもみんなかなり溜まっていると思う。正直言って迷惑だし邪魔かな。Dクラスの今後を考えるなら今回の試験辺りで退学になって欲しい所だ。
「私達はAクラスの提案に乗るべきでは無いわ。罠かもしれない。それよりも私達は私達でグループを決めましょう。」
リーダーぶって堀北さんが私達に声掛けをするが誰も従おうとするものは居ない。元々女子の中で嫌われていた上に、最近では御門君の腰巾着となっている堀北さんは女子の中でもかなり嫌われている。あの櫛田さんですら嫌っているんだから最早Dクラスに彼女の意見に従おうという者はいないだろう。
Dクラスの女子の勢力図は現在かなりややこしい事になっている。まず軽井沢さんのグループと篠原さんのグループがある。その上両方に居る人もいる。後は櫛田さんに着いている人達もいるが、櫛田さん本人がどのグループにも満遍なく顔出しをしているのでなんとも言い難い感じはある。
加えて佐倉さんや長谷部さんのようなあまり集団を好まないタイプの人に加えて、大きい方を漏らしたせいで前園さんが、最早説明不要で堀北さんが嫌われている。本当はここに篠原さんも入るべきだと思うけど、Dクラスの下澄みの人達は未だに妄信的に従っている。まともな人達はゴミを見るように感じているだろうけど、そもそもDクラスがゴミの集まりだし仕方ないか。
最近は平田君と御門君の指揮と活躍で勝ててると言われているけど、私からしたら彼等以外の誰かしらが裏で動いていると見るべきだろう。不幸というか幸いというかDクラスの大半はバカばっかりで頭が回っていない訳だが。残りのDクラスの中でまともに気付けそうな私と櫛田さんはスパイ、堀北さんはあの始末だ。少なくとも女子にバレる心配はしなくていい。
「わ、私もグループの優待者をやるから!一之瀬さん!一緒のグループに来て!」
篠原さんが声を荒らげる。正直私としてはそのグループにだけは入りたくない。負け組確実だろう。篠原さんも、篠原さんに集まる人達も大した力は無いのだから。ただ、何やら妙な気がする。一之瀬さんを呼ぶ事もそうだし、一之瀬さんを呼ぶ篠原さんの顔は命でもかかっているのかと言うぐらい必死だ。
「……えぇと、クラスの意向に従わなきゃ行けないから、ごめんね?」
一之瀬さんも少し困惑しているようだ。まぁこの場にいる大半が困惑しているとは思う。篠原さんの様子からして一之瀬さんを使って立場の回復……と言うよりも誰かしらに弱みを握られて、失敗したらバラされるみたいな表情に見える。私はそれが突飛な発想だと思いいつつも何処か頭の中に引っかかってしまう。それにそうだとしたら、一体『誰』が篠原さんを……
「良いよ、行ってきなよ一之瀬さん。津辺ちゃん達のグループの4人と、篠原さんたちのグループの5人と足してちょうど10人だよね?」
まるで示し合わせたかのように白波さんが逃げ道を潰す。白波さんがこの戦略を勝つためにやっているんだとしたら間違えなく愚策だろう。篠原さん達の勝ち目は無い。
もし白波さんが篠原さんの弱みを握っているとしたら……尚更目的が分からない。一之瀬さんをわざわざ篠原さんと押し付けてもクラスにとってのデメリットしか私には思い付かない。
ダメだ。後で聖君に聞いてみるとしよう。何かわかるかもしれないし。
「白波さんもこうやって言ってるし問題ないよね一之瀬さん。それとも私達が嫌だ?」
篠原さんが圧をかける。一之瀬さんがBクラスで失墜した話は聞いていたけどそれを差し引いても扱いが酷い気がする。Cクラスでは龍園君がリーダーから降ろされたなんて噂もあるけど、正直な所どれも信じられない。
「えぇと……その……」
「またそうやって嘘をついて逃げるんだね、卑怯者の一之瀬さんは。」
言い淀んだ一之瀬さんに白波さんが追い打ちをかける。まるで前に一度嘘をついて逃げたような言い回し方だ。
「私は卑怯者なんかじゃ……」
「とぼけないで!!!!!私がラブレターを入れて告白しようとした時のこと!忘れないとは言わせない!!」
否定しようとする一之瀬さんに対して白波さんが声を上げる。その様子にBクラス以外の周りは驚いている。もちろん私もだ。一体彼女達の間に何があったのだろうか。
「あれは誤解なの!!木山くんと八雲くんが……」
「嘘つかないで!2人から話はもう聞いてる!」
一之瀬さんは必死に弁明しようとするが白波さんの剣幕に負けている。白波さんは畳み掛けるように言う。
「だいたい、告白の場所に男を、それも2人も連れてくる事自体人として有り得ないから。分かったらさっさとグループ申請してきてよ。」
「違うの千尋ちゃん、あれはあの二人があの場所にたまたま……」
「言い訳が聞きたいんじゃない。後、その千尋ちゃんって言うのやめて。私はもう一之瀬さんの事好きでも無いし友達だとすら思ってない。なんなら大嫌いだから。」
白波さんの吐き捨てるような言葉を最後に、一之瀬さんは言い訳をするのをやめた。一之瀬さんの性格から考えるにそれが本当の事であれ、誤解であれ、白波さんを傷付けた事の自覚はしているのだろう。
一之瀬帆波は善人だ。これは誰もが思っている事、だけどそれ故の弱点や、問題点もある。白波さんとの間にある確執を詳しくは知らないけれど、今の話運びだとそれがモロに出てしまったように聞こえる。なんとも上手いやり方だ。
こうして白波さんの圧力の元で1つ目のグループが完成し、グループ作成の報告をしに行く。白波さんが纏う剣幕に大半の生徒は萎縮していた。大半の生徒は、だが。
「それで、何方でも良いので一人来て欲しいですね……仮にも私達はAクラス、それが13人となると上位を取れる確率は高いと思いますよ?」
実際綿白神さんの言う通り上位『は』取れるだろう。とは言えそれを認めてしまえば上位グループの枠を一つ明け渡すようなものとなってしまう。迂闊に賛成は出来ない。いくら馬鹿なDクラスとは言えどもそれは分かっているみたいだ。
「私達Cクラスは、条件付きでそれを認めます。」
どうやら静観していたCクラスはここで動くらしい。独自の戦略をねってきたAクラス、場を支配する力のあるBクラス、大局を見て動いてきたCクラスと比べてDクラスは堀北さんが吠えているだけ、今回の試験でも一歩も二歩も出遅れている。
「条件付き?条件とはなんでしょう。」
綿白神さんが聞く。彼女と对を成すリーダーのはずの坂柳さんは何も言わず従っている。大方今回の試験でBクラス落ちをさせて、綿白神さんを失脚させたいのだろう。
「Cクラス11人、Aクラス、Bクラス、Dクラス1人のグループを認めていただきたいです。勿論残りの9人はAクラスのように好きに配置してもらっても構いません。」
話している椎名さんがクラスを率いている印象はあまりないけれど、Cクラスの元リーダーの龍園君、現リーダーの石崎君に参謀の金田君、そして私達が付き従う天野君等Cクラスは男子に割合が寄っている気がするし、女子のリーダーは目立たないだけで普段から椎名さんなのかもしれない。
「私は賛成かな。」
ここでクラス内でかなりの発言力を持つ櫛田さんが賛同の意を示す。口うるさい篠原さんはもう居ないし、軽井沢さんも天野君に取り入る道を選んだ以上逆らう事は無い。恐らくこの場でたった一人を除き声を荒げられる人はDクラスには居ないだろう。尤もたった一人が問題なのだが。
「ちょっと!?貴方正気なの?櫛田さん。私達Dクラスが似たような事をやれば負けるのは明白よ!私以外の大半が無能だもの。Cクラスもそこまでアベレージは高くないにしても、3番手に食い込む可能性は十分にある。リスクが付きまとい過ぎるわ。」
たった一人、堀北さんだけはやはり異を唱える。Aクラスを目指している堀北さんにしてみれば、せっかくクラスポイントが上がって来たDクラスが、これでCクラスとの差が絶望的に開く事を恐れているのだろう。
「でもあのグループが4位以下を取れば逆に一気にCクラスは地の底に落ちるんじゃないかな?それがわかってないほどCクラスも馬鹿じゃないと思うけど。それに3位になら滑り込めても2位以上は無理だと思うな。」
「当然わかった上で言っています。それにDクラスでも同じ事をされてはいかがでしょうか。」
椎名さんの提案と櫛田さんの考え方はある種の正しさを持っている。それは堀北さんも分かっているはずだ。
「……分かったわ。但し、万が一Cクラスの合同グループが2位以上だった場合、貴方にはリーダーの一角を降りてもらう、それぐらいの責任と覚悟はあると思っていいのね?」
堀北さんがたとえ櫛田さんをリーダーから落としたところで櫛田さんはCクラスに逃げ込むだろうし、堀北さんが次のリーダーになれるとは思えないが、どちらも堀北さんは失念している。堀北さんは優秀ではあるけれど、傲慢な節がある。
「いいけど……そっちもそれだけ言うって事は、4位以下だったら何かしらのペナルティがあるって事だよね?じゃなきゃ不公平だよ。」
櫛田さんはいつものような誰にでも優しさと笑顔と愛嬌を踏み込む感じを保っているのだが、何処か少し怒りのオーラを感じられる。いきなり堀北さんにリーダーを降りろとか言われた以上大半の人間はイラつくので仕方ないように思えるけどね。
「分かったわ……とは言えあまりにも他人任せだわ、もしCクラスのグループが4位以下になってしまう…或いは私が優待者をやるグループが一位じゃなかった場合、自主退学をする事にするわ。貴方にとっても望ましい条件のはずよ。」
堀北さんが爆弾を投下する。確かに櫛田さん……というかDクラスの女子皆は堀北さんが嫌いだろうけども……まさかここまで言い張るとは思わなかった。
「……いいけど、本気なんだね?」
「いつまでも立ち止まっては居られないもの。」
堀北さんの目には覚悟が写っているように見える。冬休みに何かしら成長に値する出来事があったのかもしれない。
「その上でAクラス、Bクラスにお願いするわ。私達は軽井沢さんの7人組のグループにAクラス、Bクラス、Cクラスの3クラスが入って貰う事、そして私のグループに3クラスから実力のあるメンバーを送って貰いたいと思っているわ。」
「Aクラスとしてはこちらの条件を飲んでくれるなら異論はありません。」
Aクラスは賛成らしい。堀北さんが1度暴走し出すと誰が何を言ってもきっと止まらないのでDクラスの面々は諦めている。止められそうな櫛田さんは賭けをした以上何も言えないし、軽井沢さんも言う気は無いらしい。この2人が黙っている以上、この場にいるDクラスは逆らえない。尤も皆堀北さんには期待しておらず、人によっては自主退学すら望むだろうが。
「Cクラスも同じくです。後はBクラスですね。」
Aクラス、Cクラス、Dクラスはそれぞれお互いのリスクを抱えつつもリターンを優先した戦略を選ぼうとしている、だが、ここでBクラスが反対するようなら話がまた変わってくる。何かしらの条件と引き換えに認める選択をするのが1番ベターだろう。
「わかった。だけどこちらからも条件が3つある。1つ目はAクラスの一枠の権利は私たちが貰うこと。姫野さん、行ってきてね。」
「…わかった。」
姫野さんをグループに配属するようだ。誰からも反対の声は上がらないので問題は無いだろう。
「それじゃあそのままAクラスのグループは登録してきていいよ。メンバーもそれでいい。2つ目は、堀北さんのグループは最大倍率を狙うために14人のグループになると思うけど、その中でうちのクラスの割合を5人にして欲しい。」
これにはざわめきが起こる。とは言え優待者が堀北さんのうちのクラスは旨みは得られる側だし、AクラスとCクラスはそれぞれ自分達の条件を満たす為に既に一度主張をしてしまっている。反対できる人間などいないだろう。余程厚顔無恥な人間でなければだが。
「待ちなさい、流石にそっちにメリットが大きすぎるわ!」
そういえば堀北さんは厚顔無恥な人間だった。軽井沢さん達は最早どうでも良さそうに雑談をしているし、櫛田さんは何か可哀想なものを見る目線を向けていた。
「Dクラスだって多少旨みはあるしいいでしょ?」
「そうね、Aクラスのメンバーを好きにしていいという話も含めて譲歩するわ。その代わり3年生の大グループの指名順を1番で頂戴。2年生に関しては最後でも構わないわ。」
「まぁそれぐらいならいいよ。でも1年生が指名順を貰えるかは分からないから、1年生が指名順を貰えたら、ね。」
取引は成立したらしい。それにしてもいつもよりも堀北さんの提案がまともな気がする。なにか心境の変化でもあったのだろうか。
「そして3つ目、残り二つのグループも4クラス構成にして、なおかつBクラスの人数が最も多くなるようにして欲しい。」
本来ならここは反対して、グループをひとつに絞るべき所だ。なのに何故か堀北さんは反対しなかった、クラスが勝つ先を見れていないとしか思えない。それともまるで他にやる事があるとでも言わんばかりなのか…。堀北さんはよく分からない。
「決まりみたいだね。それじゃあメンバーの方を詰めていこうか。」
結局2時間の間何処に誰が配置するかを堀北さんと白波さんで話し合う事になった。
結果として、先に決まった2つのグループ以外の4つのグループの調整は、若干Bクラスが攻めに出た形になったと思う。
Aクラス、Cクラス、Dクラス3人、Bクラス5人で堀北さんが責任者をやる、高スペックチーム。
Cクラスの生徒11人と、Aクラスから神室さん、Dクラスから佐倉さん、Bクラスから網倉さんが送られてきたCクラス中心のグループ。
そしてAクラスとCクラス2人、Bクラス3人と、軽井沢さん達のグループのDクラス7人がいる軽井沢グループ。
最後に私が所属する。Aクラスから元土肥さん、Bクラスが5人、Cクラスから真鍋さんと薮さん、Dクラスからは私、櫛田さん、佐藤さん、長谷部さんがいる余り物チーム。最初は堀北さんは自分のチームに櫛田さんを入れるという厚顔無恥な事をしようとしてバッシングを食らっていた。結局小野寺さんとみーちゃんが入ったが、堀北さんの株はまた下がっただろう……これ以上下がるところがある事に驚きだが。
「1年生はもう組み終わった?」
2年生と3年生の先輩達はもうグループが決まっているらしく、大グループを決める為にやってくる。
「はい、組み終わりました。」
白波さんが組み終わった意を示す。言葉では言い表せない存在感と圧が彼女を包み込んでいる……様な気がする。
「それじゃあ指名順は……」
「2年生の先輩方の皆さんで決めてください!」
3年の先輩が言いかけた言葉を遮り、白波さんが2年生に譲る意を示す。これが通ってしまえば堀北さんのやろうとしていた事は無駄骨で終わってしまうだろう。
「ふざけないで頂戴!!話が違うわ!!」
事実堀北さんは激怒する。とは言えこれは内容をしっかりと指定しなかった堀北さんの落ち度だろう。結局本質の部分は変わらないのが人ってものなのかもしれない。
「いやいや、なんの事かな。それじゃあ先輩、お願いします。好きに指名しちゃってください。」
「待ちなさい!」
堀北さんがさらに喋ろうとするも、篠原さん達に無理やり口を塞がれて黙らされてしまう。身内の恥を防ぎたいんだろうか……それにしては必死な気がしないでもない。何かある気がする。
「うーんと……まぁあの子には申し訳ないけどこの学校は実力至上主義だからね、騙されたら負けなんだよ。」
先輩の言うことは事実だろう。堀北さんの人望はさらに低下したと思う。元々マイナスだったと思うけど。
「それじゃあまずは私達から、橘先輩のいるグループと、一之瀬さんのいるグループを指名します!」
最初に選んだ2年生のグループは生徒会の実績のある橘先輩とBクラスのリーダーでもあった一之瀬さんを選んだようだ。それを聞いた瞬間に堀北さんは泣きそうな顔になっていた。悔しさからなのだろうか……それにしては泣き虫な気がするけど。
それを見た橘先輩は一瞬何かを悟った様な顔になり、堀北さんの方を数秒見つめる。ほんの数秒、気付くかどうかすら怪しいレベルだ。だがその目線が合った後、堀北さんは涙を流し始めた。何があったのだろう。
「私達は……綾瀬さんのいるグループと坂柳さんのいるグループを指名しようかな。」
坂柳さんは堀北さんのグループにいるので堀北グループだ。ちなみに未だに堀北さんは篠原さん達に拘束されている。堀北さんよりも篠原さんの方が表情が後がないように見える。
「それじゃあ私達は櫛田さんのいるグループと綾辻さんのいるグループにするね。」
私達の組む先も決まった。2年生はBクラス主体のグループ、3年生もBクラス主体のグループのようだ。Bクラスが多いので平均以上の結果は出せるだろう。そのまま私達は申請に行く。後のグループ順は分からないが、残っている2、3年生は1つのAクラスが多いグループを除けばCクラスとDクラスが大半だ。Aクラスのグループになった所以外はあとが厳しいだろう。
私達はそのままグループの決定をいい渡しに行く。戻って来ると、グループ事に解散する事になった、大半の生徒はこの場を去るが、泣いている堀北さんは橘先輩の元へと向かっていった。大半の生徒は気付いていないが、堀北さんは暴走列車みたいな人なので万が一問題を起こさないためにも付けていき、場合によっては止めるとしよう。
「…すいません…私が、私が不甲斐ないばかりに橘先輩がっ……!!」
「やはり気付いていたんですね。でも大丈夫です。その気持ちだけで十分ですよ。」
何に気付いていたと言うのだろうか……まるで持病が悪化して余命を言い渡された人みたいな物言いだ。
「偶然聞いてしまいました……でもこのままじゃ橘先輩はっ……!!!」
「大丈夫です。堀北くんならきっと後は何とかしてくれます。私が居なくてもきっと大丈夫。妹さんも私の為に何とかしようとしてくれてありがとうね。」
「兄さん……兄さんざぁぁぁぁんん……うっ……うっ…」
その言葉を皮切りに堀北さんは泣き出してしまった。兄さん、というのは堀北元生徒会長の事だったはずだ。それにしても橘先輩の言い方はまるでこの学校から今回の試験で退学する事を見越しているな様子だ。
……もしかして『各学年からスペックの低い人間を寄せ集めて橘先輩を退学させようとしている人がいる。』のだろうか?だとしたらそれは一体誰が?少し考えてみたが特に思い当たりそうな人物はいなかった。とは言え聖君には話しておくべきだろう。
白波さんが一之瀬さんをあのグループに無理やり押し込んだのはわざと最下位を取らせて一之瀬さんを完全に失墜させる為だとしたら話の辻褄が合ってくる。メリットはあまり無いように見えるが、損得を抜きにして白波さんが恨みの感情で動いている可能性は十分にある。私は恨みや憎しみで復讐しようとする人の恐ろしさはわかっているつもりだ。
私は今回の試験に起こるであろう景色に怯えながら、寝泊まりをする部屋へと向かうのだった。
ふと読み返してて思ったんですけど原作の全員投票で櫛田を庇い出したあたりで堀北はリーダーとしてアウトなので高円寺を庇う人間が消えて高円寺退学になると思ってたのは私だけですかね(白目)
優勢世代は
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本編にガッツリ出して欲しい
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天野兄の偉業を語る程度の登場でいい