試験2日目、今日から本格的な生活が始まる事になる。料理当番は堀北先輩たち3年生が腕に寄りをかけて作ってくれるらしく、天野家特性チャーハンの出番は無かった。まぁそもそも素材が無い可能性が高いのだが……
うちのチームのメンバーは幸いにもやらかしそうな人間は居ない。まずは俺たちCクラスだがアルベルトも龍園も間違いなく信頼出来るメンバーだ。黒幕Zとも綿白神とも繋がっている事も無い。完全な味方と見ていいだろう。
そしてBクラス、黒幕Zが木山という線は薄くなった。あいつは原作の堀北枠である隠れ蓑と見ていいだろう。成長した堀北みたく学力と身体能力は高いがコミュ力は論理武装してるっぽいしな。
という訳でBクラスの綾小路こと黒幕Zの候補だが、そもそも黒幕ZはBクラスに居るのかすら疑わしい。2000万ポイントを貯めて移動する事を考えている線もある……流石に考え過ぎなのか?
今回のメンバーは隠れ蓑木山と、原作キャラの柴田と神崎、まぁこの3人が黒幕Zの線は間違いなく薄いだろう。
だがあと一人、葉山勇斗は俺の視点ではかなり怪しい。表立って何かをしていた印象も特に無いが、干支試験では龍グループに配属されていた。その事からもかなりの実力があると思われる。それなのに名前すら聞かないのもおかしな話だ。
他グループの怪しいヤツ筆頭は八雲なのだが、そうだとしたらあまりにも単純過ぎる。木山の横に常に居た奴が木山を操っていたという事実。今までの念には念を貼る動きが多く、正体をバレないようにしていた黒幕Zのやり方だとしたら隠すのがあまりにも単純だと感じてしまう。灯台下暗しの可能性もあるが、それでも目をつけられる位置なのは間違いない。
それに松下の話では白波の告白イベントの場にも居たらしい。加えて体育祭でのあの走り、情報が全然出てこない事などを踏まえると、どう見ても黒幕Zなのだが、だからこそ引っかかってしまう。
現状この2人以外に目立っており、かつ原作に居なかっただろこいつ!って奴は特に思い付かないが、もしかしたらいるかもしれないな。これに関しては俺が下手に探るより綾小路に押し付けた方が早そうだな。
「綾小路、ちょっと散歩しないか?」
俺は綾小路を起こす。綾小路のベットは俺の一個下なので分かりやすい。
「ん……天野か、良いぞ。オレも眠気を覚ましたいしな。」
俺達は外へ散歩しに行く。幸いにも朝早いので、他の奴らは眠っているらしい。
俺達は他の奴らを起こさないようにそっと部屋を出て散歩に行く。そのまま建物を出て、外の水飲み場へと向かう素振りをする。
……やはりそう上手くは行かないか。
「綾小路、俺たちを尾行している『奴ら』を巻くぞ。曲がり角でダッシュだ。」
「分かった。それにしてもまさか3人も尾行されるとは……皆朝が早くて羨ましいな。」
え?3人?俺は気配を2人分しか感じられなかったんだけど……黒幕Zか?取り敢えずダッシュしてから聞いてみるか。
俺達は曲がり角で高速ダッシュをして、尾行をまきにかかる。100mほどダッシュした所で尾行は居なくなった。
「天野、まだ1人残っている。それもかなりの手練だ。気配の方向は分かるが具体的な位置を掴ませてくれそうにない。」
どうやら綾小路が察知した3人目が未だにいるらしい。残りの2人…橋本と司城は巻いたから油断していた。確か司城は綿白神派なので綿白神からの命令か何かで、橋本は寄生先を探して付けてきたと言ったところか。じゃああと一人は黒幕Zか?だとしたら同じグループに居る葉山の仕業の説が高いのか。
「……厄介だな。天野、どうする?」
既にこちらの手持ちである綾小路という駒がバレているのはそれはそれでやりずらい事間違いない。さて、本当にどうしたものか。
「ふぅーやっぱり朝のランニングは気持ちいいぜ!無理矢理誘っちまって悪かったな!」
俺は綾小路に声を掛ける。まぁもちろんこんな事で反応するほどバカじゃないだろうが……取り敢えず時間を稼ぐ必要があるだろう。あとは既成事実を作る為だ。
「ああ、こんなに気持ちいいとは思わなかった。」
勿論こんな事で黒幕Zが微動だにしないのは分かりきっている。その後も俺達はスピードを上げたり止まったりを繰り返す。潜伏しながらの追跡というのは意外と体力を消耗する。何度も繰り返しているが、一向に消える気配が無い。それどころがさらに気配を消すのが上手くなっている気さえする。
「……天野、次走る時に、あの木と木の間に石を投げてくれ。」
俺は言われるがままにこっそり石を拾い、走り出した瞬間に茂みに投げる。そのまま俺達は全力疾走をする。
「はぁ…はぁ…撒けた、のか?」
「……あぁ、あちらもこれ以上追うのは危険と判断したのだろう。あっちとしてはオレと天野が繋がっている事を知れただけで十分という訳か。」
まぁたしかにあっちは正体がバレないのが必要最低限、万が一にもそのリスクのある行動は取れない、か。
「でもいいのか、バレたら不味くないか?それ。」
「いや……この試験が終わったあとからお前の力を借りる事もある。むしろ好都合だ。」
おそらくホワイトルームの事だろう。同タイミングでNewton工房の回し者の校長に変わるらしいし、こちらも好都合だ。
「まぁ、働き分に応じた協力はするさ。それよりも次の仕事だ。黒幕Zが想像以上に危険すぎる。お前には黒幕Zの調査を手伝ってもらいたい。というかお前がやってくれ。」
「……それはまた面倒な。オレ1人でやれと?」
綾小路が眉を顰めるが勿論理由はありしかりしかどだ。
「俺は絶対にマークされるだろうからな。囮作戦ってやつだ。これからも俺はいろんな奴と話す。流石に全員をマークは出来ねぇだろうよ。」
「……分かった。ちなみに現時点での候補はいるか?」
候補ねぇ……と言っても見えてこない事だらけなんだが。
「怪しいと思ってるのは葉山と八雲だな。勿論Bクラスとは限らない訳なんだが……まぁ何はともあれ頼んだ。」
「……分かった。ここでお前からの協力を打ち切られるわけには行かないからな。」
「あぁ……悪いな。」
こうして俺達はそのまま解散して戻って行った。当面、黒幕Zは綾小路に任せればいいだろう。この試験で俺がやるべき事は沢山の人間と接触する事だしな。
「お前ら、どこ行ってたんだよ?」
司城が聞いてくるが、コイツは恐ろしくイケメンだ。噂では上級生の彼女が居たが綿白神に一目惚れしてフッたとか何とか聞いた。イケメンは女が選びたい放題で憎い事である。
「ちょっと水を飲みにな。さっさと飯を食っちまおうぜ。」
「お前が言うなよ……」
橋本から飽きられた目線を向けられたが、お前には言われたくない。
「まぁ気にするな……それよりも……まずは持久走の為の体作りだったか?」
「あ、あぁそうだな。だったらあんまり食いすぎ無い方が良いな。」
俺達は飯は腹八分目にして、さっさと外へと向かった。遅れてほかのメンバー達もやってくる。どうやら班事に順番にやるらしく、既に女子のグループが走っていた。堀北と小野寺がトップを争っている所を見ると、堀北グループで間違いなさそうだ。
「あら、お久しぶりです天野君。」
坂柳は走れないから見学席にいるのは当然か。それにしても綿白神派との決着は一体どうなっているのだろうか。
「おう、久しぶりだな坂柳。」
まずは社交辞令からだ。坂柳は一瞬龍園に目を向けるが、直ぐに戻す。
「噂によると龍園君がリーダーを降りられたそうで、加えて貴方も副官のポジションから落とされたと聞いています。」
「事実だ。」
正直バレた所でそれぐらいはなんの問題もない。坂柳も事情はある程度察している事だろうしな。
「そうですか……黒幕Xさんとやらは侮れない方のようですね……ところで天野くん、Aクラスに来ませんか?」
黒幕X…お前誰か知ってるだろ。心の中で思わず突っ込んでしまった。
「いや、断らせてもらう。例えCクラスでの扱いが悪かろうとな。」
「そうですか……私の下に付く気はありませんか?かなり良い待遇を約束しますよ。」
「悪いが着く気は無い。」
坂柳の下について楽しい事も無いだろう。神室や橋本のような使いっぱなしになるのはごめんだしな。
「そうですか……どうやら微塵も着く気はなさそうですね。」
「悪いが他を当たってくれ。俺じゃあ役不足だろうしな。」
俺としても目を付けられるのは避けたい。復讐が出来れば俺はそれで十分だしな。
「残念です……ですが諦めるつもりはありません。予言しましょう。1年が終わるまでに貴方は私の駒になっていますよ。」
坂柳がそんな事を……事を…事……を……は?
「は?」
「どうやら私の手は読めていないようですね、持久走の練習の順番はそろそろでは無いですか?行かれた方がよろしいと思いますよ。」
「あ、あぁそう……まぁ行くしかないか。」
俺は坂柳の言葉に取っ掛りを覚え続けながらも、持久走は一位を取るのだった。
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あれから4日間、沢山の人間と密会をして会話したり、座禅を余裕で組んでみせたり、坂柳に執拗に絡まれ続けたり、付けられまくったりしたがいつも通りの日常を遅れていた。特別試験なのだがなんというかいつもの生活と大差ないな。
強いて言うなら種子島が原作の山内みたく坂柳とぶつかってコケさせた事ぐらいか。とは言っても山内とは違ってしっかりと謝ってたし鈍臭いとかも言ってなかったからな。まぁ問題は無いだろう。
持久走も特別授業も正直余裕だ。個人部門でコケることはまず無いだろう。
座禅は最高難易度まで余裕で組める。前世の従兄弟の家が寺だったのでよく組んでいた甲斐があったと言うものだ。スピーチもまぁ悪い点は取らないだろう。
さて、なぜ四日目に動き出す必要があるのかと言うと、珍しく尾行が着いてこないからだ。明らかな囮作戦だと撹乱したのが良かったのかもしれないが、一応気配を消して着いてきている奴がいるかもしれないな。
俺は飯を食べ終えた後、トイレに曲がるふりをして階段のそばの窪みに姿を隠す。1分程したが誰かしらがいる気配も来る気配もしない。俺はそのまま目的の人物が居る場所へと向かう。
「橘先輩、大丈夫ですか?」
そう、橘茜だ。彼女が現状助かる確率は0だ。堀北学陣営にプライベートポイントを払う事はできないから彼女を救えない。代わりにプライベートポイントを払う人間も居ない。
「……っ!?」
橘先輩は顔を上げる。涙ぐんでいる所を見ると、声を押し殺して泣いていたのかも知れないな。
「随分とお困りのようですね?」
「何の事ですか、私は何も困ってません。」
さて……どうしたものか。このタイミングを探していた以上、俺は橘先輩に対する『契約書』を持ってきている。中身は……まぁ最終日になったらわかる事だろう。
「じゃあなんで泣いてたんですか?何か困ってる事が有るからじゃないですか?俺でよければ力になりますよ?」
「気持ちは有難く受け取っておきますが、貴方ではどうしようも無い事です。」
確かにクラスポイントはどうしようも無い事に見える。『一見』だが。解決方法は何個かあるが、今回は堀北生徒会長……いや、もう元生徒会長か。何はともあれ彼が払ってくれるのだろうから特に触れる必要性も無いだろう。
「まぁ確かにクラスポイントは…どうしようも無くは無いですけど恐ろしく費用が嵩むので堀北元生徒会長に払ってもらいたい所ですね。」
「……ッ!?……貴方は南雲君の…南雲君に……ッ…!?」
「誤解です。あんな奴の下になんか誰が着くんですか。馬鹿らしい。」
南雲の部下は嘘でも演じたく無さすぎる。キモイなんてもんじゃねぇぞアイツ。
「……信用に値しません。堀北くんは協力者だと言っていましたが……。」
堀北元生徒会長は俺の事をしっかりと協力者呼ばわりしてくれたらしいが、あくまでも俺が堀北元生徒会長と契約しているのは『南雲への敵対』だけ、誰も堀北元生徒会長と敵対しないとは言っていないのだ。
「正確には南雲の敵だ。敵の敵は味方の精神で堀北元生徒会長は協力者と表現したんだと思いますよ。それで……このまま退学するつもりですか?」
「……貴方には関係の無い事です。」
「この契約書にサインするつもりは無いですか?」
そう言って俺は契約書を見せる。内容は……まぁ当日までのお楽しみって奴だ。
「……舐めてるんですか?」
橘先輩が訝しげな視線を送ってくる。
「本気ですよ。少なくともそれだけの価値を先輩には感じています。前言ったでしょう?先輩の事は尊敬しているって。それに4000万程度のプライベートポイントなら持ってますからね。」
勿論橘先輩が言いたいのはこんな事では無いのだろう。わかった上でわざと論点をズラす。まずは彼女に冷静さを失ってもらう必要性……は無いがそちらの方が都合が良いだろう。
「それもそうですけど……そうじゃなくてこの私に対する契約内容です。何故『天野聖が一年生を終了した時』何ですか?」
革命の事は……まだ言う訳にも行かないか。何処まで信用に足るかも怪しいしな。
「先輩だって今のクラスに沢山思い入れがあるでしょうから。それ以上でもそれ以下でもありませんよ。囁かな優しさってやつです。」
「……優しさがあるならこんな内容の契約書は渡しません。こんなの……こんなの……。」
橘先輩は赤い目と青い顔でゾンビみたいになってしまった。この人はろくな目にあってねぇな今回の試験。まぁ今更か。
「まぁそこまで酷い事はしませんよ。それに貴方はこれに乗らない限りはこの試験で南雲の玩具にされて退学させられると思いますよ。堀北元生徒会長が助けるにしてもクラスに莫大な迷惑を掛けてしまうでしょうね。この方法以外なら、ですけどね。」
他に助けられそうな人間が南雲と黒幕Zぐらいなもんだが、流石に黒幕Zですらこれは読めないだろうし、南雲は敵だ。まず助けることは無い。
「……少し考えます。」
橘先輩は弱々しい声で言う。だが俺は確信している。『クラスと堀北学』に迷惑を掛けられるならば今この時点で堀北元生徒会長は何かしらの手を打っているだろう。そして『Aクラスでの卒業に興味がない』なんて事も恐らくは有り得ないだろう。で、あるならばあの契約書にサインをするしかないだろう。
最終日が楽しみで仕方ない。
「分かりました。南雲に見つかるのも面倒なので、当日の結果発表の前に決断を聞かせてくださいね。とはいえ尊敬している先輩がその後輩に玩具にされて退学とか嫌なんで、良い返事を期待してます。」
俺はそれだけ言い残してその場を去る。まぁ間違いなくサインをすると俺は信じている。
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そして最終日、試験の内容は順番に『座禅』、『筆記試験』、『駅伝』、『スピーチ』だ。
とは言っても特に個人として苦戦するようなものは無い。特に試験として問題のある要素も無いだろう。まずは坐禅からだな。どうやら本番は女子も混合でやるらしく、女子も左側に座っていた。
「1年Cクラス、天野聖、1年Bクラス、八雲夜、1年Dクラス、櫛田桔梗、1年Aクラス、司城大河、1年Aクラス神室真澄、1年Aクラス五条朔、前に出ろ。」
どうやらトップバッターらしいがキャラが濃すぎ無いか?八雲に櫛田に神室か……なんともキャラの濃い事である。呼ぶ順番の変動に周りがどよめくが、俺としては原作を知っていたので特に驚く事もなかった。
「座禅を開始しろ。」
合図の通り俺は坐禅を組む。特に失敗する要素も無い、満点で良いだろう。ほかのメンバー達は詳しくは知らないが、成績はかなり高いはずだ。
坐禅の次は学力試験だが、こちらの内容はちゃんと授業を聞いていれば余裕で解けそうな問題が8割を占めている。この程度ならば間違いなく上位陣は満点を獲るだろう。当然俺も満点なはずだ。特に話すようなことも無い。
だが問題なのは次だ。次の試験は『駅伝』、各々が1.2キロメートル走る事になる。そして計18キロメートル走るので、15人入れば一人あたりで1.2キロメートルで割り勘してちょうど良くなるが、うちは12人、1人が走るのを増やすにしても1.2キロメートル事になる上、全員1.2キロメートルは走る必要があるので、誰かしら3人が2.4キロメートル走るのがベターなのだろう。
「駅伝だが……誰が多く走る?」
柴田の問いかけに対して名乗り出る者はいない。やはり俺が行くべきか。
「俺が4.8キロメートル走る、それぐらいならば問題無い。」
前世の俺は陸上部、それも3000メートル障害物競走をメインとしていた。やれない事は無いだろう。というか寧ろそれが一番まである。鬼頭もアルベルトもどちらかと言うとパワー系だし、柴田もスタミナは心許ない。綾小路は目立ちたくないだろう。葉山は未知数で、三宅、橋本、神崎、龍園はそこそこ早いどまりだ。司城はただの雑魚だしな。イメージとしては幸村の強化版のようなイメージだ。
「……それ本当に大丈夫かよ?後、お前も龍園もリーダーとサブリーダー降りたってのは本当か?」
柴田のストレート過ぎる言葉に神崎が頭を抱えている。柴田は身体能力とコミュ力は高いがバカっぽいな。
「あぁ、事実だ。と言ってもあまり深くを語る義理も無いが。そして4.8キロメートル程度なら問題ない。」
大会では3000メートル障害物競走→3000メートル→1500メートルを走り続けていたんだ。負けるとは思えない。別に前世はそこまで早かった訳でもないが知識はある。今世の努力の末に生まれた肉体と合わせれば先ず間違いなくかなりの速度だろう。
「お、おう……」
「あ、トップバッター貰うな。後はどうする?」
「割と自由人だなお前……じゃあ2番手はアルベルトにお願いすることにするか。」
どうやら俺の次はアルベルトらしい。そのまま話し合いでアルベルト以降も三宅、神崎、司城、龍園、木山、綾小路、柴田、鬼頭、橋本、葉山の順に決定した。
俺達はそのまま別れて俺はスタート位置に着く。他のグループからは……よし、御門や高円寺、八雲も居なさそうだ。他グループから参戦している奴でめぼしいのは須藤だけだろう。
「天野……改めてすまなかった。いつか必ずお前をつれもどす。それまで待っててくれ。」
須藤がこちらに来るや否や頭を下げる。常に成長と退化を繰り返す須藤だが、やはり罪悪感はまだ心の奥底にあるらしい。とはいえ綾小路は須藤が駒の可能性もあるのか。
「俺はお前達を許す気は無い。連れ戻したいと思うのならばそれ相応の実力を付けることだな。」
暫し悩んだ末、俺は叱咤激励とも取れる拒絶を送ることにした。これならば聞いてる感触としてもそう悪くは聞こえないだろう。
「……すまねぇ。」
ちなみにDクラスからはもう1人池がトップバッターとして来ていたがこちらを睨んでくるだけだった。帰れよお前。
「それではスタートしてください。」
俺達はスタートの合図でスタートする。俺は序盤からフルスロットルで飛ばす。理由?須藤の心を折るためかな。強いて言うならば。
俺はみるみるうちに1位になり、そのまま差を開いていく。須藤も頑張ってはいたが、やはり無理だった。
俺はそこからほんの少し減速して進む。だが特に須藤に追いつかれることもなく、俺は須藤と40秒程度の差をつけて1.2キロメートル地点へと着く。
そこから再度俺はスピードを戻す。ここで出し惜しみをする理由も無いだろう。
そのまま俺は1位でバトンを繋ぐ。後ろとの差は開きすぎていてよくわかんねぇな。
「……恐ろしいスタミナとスピードだ。もしも僕たちが過ちを犯さなければ或いは…」
平田が一人でなにやらブツブツ言っていたが、無視だ無視。あんな地雷男に関わる必要性も特に無いだろう。
俺はそのまま次のスピーチ会場へと向かった。流石に本気で4.8キロメートルを走ったので俺としてもかなり体に来ている。
スピーチの内容は統一されており、『今の社会のあるべき姿』がテーマだ。こちらも男女混合なようで再度周りはどよめいていたように思える。
「常に強者が強者らしくある社会を目指しましょう!」
綿白神のクソみたいな演説が直前だと思うと泣けてくる。しかも思想は真逆と来た。やはり相容れない運命だったのかもしれない。仕方ないので少し内容は変えるとしよう。『平等』な社会ではなく『均一』な社会を目指すこと、とでもしておくか。
特にスピーチで大きな減点も無いだろう。俺はそのままスピーチを終える。特に他のメンバーも悪いものは無かった。アルベルトが全部英語だったのは少し気になったが、まぁアルベルトだしセーフだろう。
こうして全ての試験が終了した。そしてこれから波乱の結果発表が始まるだろう。
試験を巻いた?なんのことかなぁ(すっとぼけ)
真面目な話あんまり書くことも無いのでこうなりました。よく良く考えれば走ってテスト受けて坐禅組んでスピーチしてるだけだし←だけで済ませられる量じゃない。
まぁ何はともあれ次回は結果発表です。お楽しみに。
優勢世代は
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本編にガッツリ出して欲しい
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天野兄の偉業を語る程度の登場でいい