ようこそ間違った教室へ   作:あもう

78 / 86
結果発表

今からは結果発表、大半の生徒はマラソンで体力をかなり消耗したはずなようで皆ハァハァ言っている。ちなみに俺もその1人だ。俺がこの合宿でやった事は『今は』何も無い。まあこれから起こる嵐の前の静けさだと思えばいい。どうせこれから波乱が待ってる筈だ。

 

 

「林間学校での8日間、生徒の皆さんお疲れ様でした。」

 

そう言って話しているのは……見た事ない人だな。月城でも無いし彼女が新しく入ってきた校長代理なのか?確か名前は五代だったか……。それにしてもついぞや橘先輩は来なかったな。てっきり来るものだと思っていたんだが……アテが外れたか?

 

「試験内容は違えど、数年に1度開催される特別試験。前回行われた特別試験のように一部を除き全体的に評価の高い年となりました。ひとえに皆さんのチームワークが良かったことが要因でしょう。」

 

そういい目の前の初老の女は乾いた音で拍手を鳴らす。そのちょっと後に池や篠原を始めとした数名が声に出して喜んでいるが周りからの視線は痛かった。一部ってこいつらだろと言わんばかりの目だ。

 

 

「先に結果に触れることにはなりますが、男子生徒の全グループが学校側の用意したボーダーラインすべてを超えており、退学者はゼロというこれ以上ない締めくくりとなりました。」

 

 『男子グループ』が、だな。つまり女子には誰かしら越えられなかった人間が居たという事になる。

 

「それでは、これより男子グループの総合1位を発表しますが、ここでは3年生の責任者のみを読み上げます。その大グループに属する1年生、2年生、3年生の生徒には、後日報酬としてポイントが配布されることになります。また、私の話が終わり次第、現在私が話している方とは反対側の壁に掲示致します。」

 

 

壁に掲示されるのか……池達が走って向かおうとしたが茶柱先生に止められている光景を傍目に俺はそんな事を考える。なんか堀北も混ざってんな。成長しなければこの位置なのも妥当なのかもな。

 

 

「ではまず総合1位……3年Cクラス、二宮倉之助くんが責任者を務めるグループが1位です。」

 

 

という事はうちのグループが1位である。これにより俺はプロテクトポイントを入手した事が確定する。

 

 

 

「やったな堀北。これで南雲なんて目じゃないぞ!」

 

だが対照的に橘先輩の目は暗い。尤も、堀北学もその違和感には気付いているように見えるが。

 

 

「1位獲得、おめでとうございます堀北先輩、さすがですね……素直に尊敬の意を述べておきますよ。」

 

 

南雲は爽やかなオーラをだし乾いた拍手をする。それに合わせて2年生がスタンディングオベーションを始めた。なにしてんのコイツら……?アニメの世界とかじゃないんだからさ…いやここはアニメの世界だったな。じゃあ別におかしくは無いのか。

 

 

 

「お前の負けだな、南雲。」

 

藤巻先輩を始めとした数人が堀北学を庇うように前に出る、が、その顔は険しい。これから何が起こるか、雰囲気から感じ取ったのかもしれない。

 

 

「そうですかね。まだ結果発表は始まったばかりじゃないですか……楽しく行きましょうよ。ほらスマイルスマイル!」

 

中々にムカつく煽り文句だ。ユーモアの無い社会に明るい未来はやって来ないかも知れないが煽りのある社会にも明るい未来はやってこないだろう。そう言えば荼毘と南雲って何となく似てないか?気のせいか?とりぽりきれないか?

 

「抜かせ。勝負はついた。お前の負けだ。」

 

 

堀北兄はこれから起こる事を予期しているからなのか、冷たく糾弾する様な声を出す。

 

 

「そうですね。『男子』は確かにつきました。『男子』はね。」

 

ネタばらしのやり方としては3流だろう。三輪を見習って欲しい。まぁあいつも二流なのだが。それでも南雲よりはマシな感じはある。

 

 

「男子は?……女子は関係ない。そういうルールだろ南雲。」

 

 

堀北学の代理と言わんばかりに1歩でて藤巻先輩が睨みながら言う。言葉にはどこか嫌悪のような、怒りのような、負の感情が見え隠れしている。

 

「ええ、関係ありませんよ。俺と堀北先輩との勝負には、一切ね。勝負にはですがね。」

 

その言葉に何かを確信したように藤巻先輩と堀北学は南雲を睨む。何やらコソコソ話し始めたぞ……規格外の一手で俺の作戦を防ぐつもりか……?いや既に失敗しているのか。

 

「それでは次に……女子の結果発表をしたいと思います。1位のグループは、3年Cクラス、綾瀬夏さんの所属するグループです。」

 

 

 

女子のアナウンスが始まり、女子の一部は大喜びして盛り上がってるけど、男子の南雲周りは静まり返って緊張した雰囲気だ。だがその静寂をかき消すように笑い声が聞こえる。木山だ。周りも何事かと思い木山の方を見る。

 

 

「何がおかしいんだ木山!」

 

誰もが思ってるであろう事を葛城が代表して言う。周りも何事かと言わんばかりの表情だ。

 

「いやいや、あの程度の愚策に嵌るとはな。何、こっちの話さだ。時期にわかるさ。」

 

その言葉を聞き、1年だけでなく南雲や堀北学も睨むような視線を送る。まぁ木山は何処吹く風の様だが。

 

 

「えー……誠に残念なことではございますが、女子グループの中からボーダーを下回る平均点を撮ってしまった小グループが2つ存在します。」

 

 

「フハ、フハハハハハハハハハ!!!なるほど!やはり南雲先輩、貴方は尊敬に値する人のようだ!まさかこの俺と同じ手を使おうとは、大変面白い!」

 

木山の笑い声から南雲や南雲のとった行動から察した一部の人間は木山を咎めるような視線を送る。南雲はとても驚いていたが、改めて堀北学を見て、そして元通りのにやけ面に変わる。

 

 

「ふっ……。」

 

「少しトイレに行ってくる。」

 

緊迫した雰囲気の中、南雲は笑うのを我慢したような微笑みを浮べる。そして藤巻先輩が……良くこのタイミングでこの人はトイレとか言い出せたな。マジで。

 

 

 

「まずは、最下位になった大グループですが……3年Bクラス、猪狩桃子さんの所属するグループです。」

 

 

橘先輩と同じグループだ。この時点で恐らくは察された事だろう。

 

 

「そして次に、平均点のボーダーを割ってしまった小グループは……」

 

堀北学は苦虫を噛み潰したような顔になる。そしてNo.2らしい藤巻は……なんかこっちに来てないか?こいつ?

 

 

 

「1年生と同じく3年生……」

 

 

この言葉にさらに緊迫した空気が張り詰める。2年生だけはそんな事も無かったが、とにかく空気は凍り付いている。たった2人を除いてだが。

 

 

 

「責任者……猪狩桃子さんの小グループと、篠原さつきさんの小グループです。以上となります。」

 

 

 

そう宣言された瞬間、南雲が感情を爆発させたかのように笑った。木山は……いやもう爆発してたか。

 

 

 

「ふっ、……はははははは!」

 

 

 

多くの生徒が自体を飲み込めてない状況で、藤巻先輩に顔がそっくりな奴が詰め寄る。こっちには藤巻先輩本人が来て、なんか俺の目の前で止まった。

 

 

「何をした南雲!」

 

 

「今は結果発表の最中ですよ越後先輩、落ち着いて下さいよ。今のところ越後先輩には何の関係もないじゃないですか。Bクラスの生徒が退学になるだけですし、むしろライバルと差がついてよかったじゃないですか。」

 

 

後ろの上級生騒音組は取り敢えず無視で良いだろう。

 

「木山……お前っ!」

 

「まぁまぁ落ち着けって平田。まだぜんぶ終わってないだろ?な?」

 

そして別場所では平田が今にも殴らんとせんばかりの勢いで木山に詰め寄っている。須藤と三宅が何とか止めているが……。そして篠原本人は特に焦っている様子……はあるがなんだか笑っているようにも見える。気の所為か?

「お前が天野だな。時間が無いから担当直入に話す、昨日橘から見せられた契約書の内容だが……条文を一部改めさせて貰った。

 

橘本人も含め、これで良ければ問題無いとの話が出ている。情けない話だが、出来ればこの契約書にサインして欲しい。後輩を頼るしか俺達には方法が残っていないんだ。頼む。」

 

 

そう言って藤巻先輩は頭を下げる。俺達が3年周りのプライベートポイントを枯らしていた事を知らないのかもしれない……というかあれだけの契約内容を書けば普通にキレられるとすら思ってたんだが……割と大人だな。

 

契約書の内容はちなみにこうだ。

 

甲 天野 聖

 

乙 橘茜

 

1.甲は乙に4000万プライベートポイントから、3年Aクラス全体のプライベートポイントである1569万プライベートポイントを除いた、2431万プライベートポイントを支払う事。

 

2.このポイントは、林間学校試験での乙の退学を防ぐ事、もしくは『甲が2年開始時』に乙が甲のクラスに移動する事以外での使用は出来ない。

 

3.1.2を破った場合、甲乙問わず賠償金として300クラスポイントを支払う事。

 

4.甲が2年開始時、乙は甲に極力協力をする事、ただし著しく人権を侵害するような事はしてはならない。

 

流石に拒否権やプライベートな権利なんかを剥奪したのは消されたか……いやまぁそれはそうなんだけどさ。とはいえあちら側も譲歩と言わんばかりに俺が払うポイントを減らしてきているのでお愛顧だろう。あっちとしても俺に頼るしかないのか随分と有利な契約だな。綺麗に3年Aクラス全員のサインと血判までついてるところを見ると、かなりの覚悟が見え隠れしている。

 

 

「えーと、血判がいるんですか……?」

 

「いや、サインだけでも大丈夫だ。ただ俺達はそれだけの覚悟があると示したいだけだ。橘を泣かせるような事はくれぐれもしないで欲しい。今回の件、俺達は助けられる側であり、あまり強くは言えないが、それだけは約束してくれ。」

 

藤巻の目には仲間意識のようなものが宿っている。3年間ともに戦ってきた仲間を大事にしたいのだろう。

 

 

「分かりました……ですがクラスポイントは流石に自分のクラスで出してください。あと学校へのポイント譲渡の報告を星乃宮先生にしに行くので今から着いてきてください。他にもやらなきゃ行けないことは有りそうですからね…。」

 

「他にも……成程、そっちでも似たような事が起きているようだな。それならばこれだけの要求をするのも納得がいく。俺達先輩のせいで相当な貯蓄を使い潰させてしまったようですまない。」

 

先輩……まだあと1億以上残ってますとは流石にいえなかった。現状1億4000万程度あるのだがこれに関しては黙っておこう。

 

「橘先輩は俺も尊敬してますから……それじゃあ行きましょう。」

 

「それは俺としても嬉しいな。分かった。」

 

そのまま俺達は星乃宮先生の元へと向かう。

 

「えー、お静かにお願いします。誠に残念ではありますが、グループの試験結果として、責任者であった篠原さつきさんと猪狩桃子さんの退学が決定致しました。また、小グループ内で連帯責任者を命じることも出来ますので、後ほど私の所に来てください。続いて女子1位のグループを発表します……。」

 

 

この騒動を見ていた2年の男子は南雲が返していた。まぁ一年と3年は気が気でないので大半揃っているが。顔が真っ青な一之瀬を見れば大体のことは察せられるだろう。

 

 

「猪狩先輩!教えて下さいよ。誰を道連れにするのか皆さん気にされてますよ?」

 

 

 

そう南雲に呼ばれ出てきた3年女子、退学が決まってるとは思えないほど落ち着いた様子だ。まぁ救済が確定されてるしな。

 

 

 

「決まってるでしょ。私達のグループの平穏を乱した、Aクラスの橘茜さんよ!」

 

 

 

全員に聞かせるように、そして正当性を主張するかのように怒った様子で宣言した。なんというか……神室に似ている気がする。まぁそれは救済される事になるけどな。

 

「星乃宮先生、少しいいですか?」

俺が呼び止めると星乃宮先生はいつものような態度……を作っていたが隣にいる人間を見て態度が少し真面目になった。

 

「えーと……例の件じゃないんだね?隣にいるのは3年Aクラスの藤巻君って事は……」

 

星乃宮先生も何かを察した様子だ。察しが早いのはこちらとしても助かる。変ないじりで時間を使うわけにも行かないしな。

 

「時間が無いので担当直入に言います。この契約書に書いてあるとおり、2431万プライベートポイントを3年Aクラスの橘茜先輩に譲渡してください。」

 

星乃宮先生は俺の契約書を確認すると、驚いたような顔に変わる。

 

「了解…にしても君は一体どこまで見えてるのかお姉さん気になっちゃうなぁ…つんつん!」

 

星乃宮先生が俺のほっぺたをつんつんしている様子を藤巻先輩は同情的な視線で見てくる。もう要件は無いから帰っていいんだけどなぁ……あ、通じた。

 

「それでね、一之瀬さん達が足りない点数は14点だから、1点あたり5万プライベートポイントで70万プライベートポイント貰っといたからね。」

 

「ありがとうございます。」

 

思ったよりも安く浮いたな。ある意味助かった。

 

「南雲!……堀北との約束は、第三者を巻き込まないことだろ!」

 

「待って下さいよ。俺は無関係ですよ」

 

 

「白々しい!」

 

 

一方あっちではまだ言い合いが続いていた。間に合うか藤巻先輩…。

 

「じゃあ、私は道連れ相手の通達をしてくるから。」

 

素っ気なく通達に向かう。橘先輩の顔は未だに青い。まぁアレ俺が拒否した瞬間退学だから無理もないんだけどさ。

 

「橘先輩は猪狩先輩のグループの足を引っ張った。結果平均点のボーダーを下回り、道連れにされることになった。それだけのことじゃないですか。」

 

 

 

堀北学は南雲を無視して立ち尽くす橘の方に行った。威圧感を感じるが……まぁ俺の知るところでは無い。

 

 

「堀北くん、ごめんなさい……!」

 

 

「橘、なぜもっと早く相談しなかった。おまえなら異変に気付いていたはずだ。」

 

 

怒る訳でも悲しむ訳でもなく、ただ困惑した様子で聞く兄北。

 

 

「それは……堀北くんの、負担になることが分かってたから……」

 

 

ボロボロと涙をこぼしながら謝る橘。既に藤巻先輩との約束を破ってしまったような気がするけどもこれはノーカンにして欲しい。

 

 

「麗しき友情、あるいは愛情といったところでしょうか。おめでとうございます堀北先輩。改めて賛辞を送らせてくださいよ。俺の負けでしたね。」

 

 

南雲の顔は悲しそうにしているが全く悲しそうには見えない。ルビンの壺みたいな話ではなく実際そうだ。

 

 

「……。」

 

 

 

堀北学はじっと何かを待っているようにも見える。

 

 

「奇想天外、いや規格外の戦略とでも言っておきましょうか。俺の手を読める人間なんて一人もいません。堀北先輩、あなたを含めて誰にもね。ははははは!」

 

 

取り敢えず最低でも俺と綾小路と木山の裏に潜む黒幕Zは最低でも読んでたし、堀北学もある程度そうだと思っていただろう。この時点で既に4人いるんだが……。

 

 

「教えて下さいよ橘先輩!生徒会役員を務め上げ、3年Aクラスの卒業を間近に控え、そして退学していく気分はどうですか?そして堀北先輩、今の気持ちは?きっとこれまでに感じたことのない、苛立ちに包まれてるんじゃないスか?」

 

 

 

大喜びで満面の笑みの南雲に対して、堀北学は静かに息を吐き、口を開いた。南雲の息が臭くなる呪いでも掛けておくことにするか。

 

 

 

「何故俺を狙わなかった。」

 

 

 

「たとえ今回のような手を先輩に向けたとしても、あなたを退学させられるとは思わなかったから、ですからね。思いも寄らない手で防いできそうで怖かったんです。というより、別に堀北先輩を退学にさせたいと思っているわけでもありませんし。むしろあなたが退学してしまったら、顔を合わせることも出来ないじゃないスか。」

 

 

臆病な奴だ。傲慢な癖に臆病ってのは矛盾してるかもしれないがそれでも奴は恐怖に負けた事に変わりはない、堀北学という恐怖に。

 

 

「……。」

 

このタイミングで藤巻先輩が到着し、堀北学に耳打ちする。耳打ちで済ませてくれてるのは俺への優しさなのだろうか?

 

 

「そこで白羽の矢を立てたのが橘先輩です。側近であり一番親しい存在の彼女を消した時、どんな顔をするのか見てみたかったんですよ。」

 

 

 

勝ち誇った笑顔を見せ続ける南雲に対して、表情を変えない堀北学。

 

 

 

「方針こそおまえと違ったが、俺はおまえを信用していた。勝負事に関しては、真っ直ぐに向き合うことの出来る男だと。違ったようだな。お前には失望した。」

 

だが南雲は薄く笑っている笑みを崩そうとしない。

 

「信頼とは経験値のようなもの。積み重なっていき、どんどん厚くなる。その究極が家族だと思うんスよね。夜道で他人と出くわせば警戒するのに、それが家族だったら完全に油断する。

 

俺はこの2年、堀北先輩に好かれてないと感じつつも、一定の信頼を得てきました。価値観こそ違えど、全て有言実行してきたからです。あなたとの関係においては指示には従い、ルールを守ってきました。とはいえ鋭い先輩のことです、100%俺を信じていた訳ではないでしょう。」

 

 

 

「……。」

 

 

 

「しかし、仮に俺に疑いを持ったとしても、先輩が先に裏切るわけにはいかない。」

 

先輩としての矜恃をまさに突いたという訳だ。どうにも小物感のある一手だな…南雲。

 

 

「その一度の好奇心のために、大きなものを失ったぞ南雲。」

 

 

 

「信頼なんて、自分から捨てたんですよ。後輩思いの先輩に理解して頂くためにね。」

 

 

 

あくまで『計算の上』みたいに言っているがだとしたらそれこそ愚策な気がする。

 

 

 

「おまえのやり方は十分に理解できた。」

 

 

 

「それは良かったです。これはあくまでも前哨戦に過ぎませんからね。……必要ならば何人でも退学者を出せばいいんですよ。それがこの学校の本来のやり方です。」

 

 

 

「おまえは、橘が退学する前提で話を進めてるようだな。」

 

 

特に周りに動じる様子も無い。橘先輩はほっと胸を撫で下ろしているしな。とはいえ申し訳無さもありそうだが。

 

「へえ。プライベートポイントが足りない思ってたんですが、まさか吐き出すんですか?卒業間際のこのタイミングで大量の金とクラスポイントを…まぁ堀北先輩なら軽く足りない分を稼いできても不思議では無いですしね。」

 

 

そこは疑問を持とうよ。そんなんだから噛ませ呼ばわりされるんだよ南雲君さぁ…。

 

 

藤巻も掘北に同意なのかAクラス生徒に言葉を投げかける。事前にクラスで話し合ってはいるはずだが、俺がリークした事を誤魔化すための演技だろう。

 

 

 

「これまでAクラスがAクラスとして機能できた理由を、クラスの人間は誰より理解している。そうだな?」

 

 

 

「その通りだ藤巻。堀北、遠慮することはない。使え使え!」

 

原作では3年後Dクラスもあんな感じになっていたのかもしれない。まぁもう叶うことは無いが。

 

 

「本当にいいんですか堀北先輩。3年のこのタイミングで退学者を『救済』するということは、Aクラスの席を明け渡すお膳立てをすることになるんですよ?」

 

 

 

「仮に一度明け渡しても、また取り戻すだけだ。おまえの言う学校のやり方と言うやつでな。」

 

 

南雲はそれには答えず出ていった。だがまだ問題は1つ残っている。

 

 

 

「おい篠原!誰の退学を命じるんだ?教えてくれよ!なぁ!おい!」

 

そう、木山である。なんかこいつどんどん傲慢になってないか?黒幕Zにマインドコントロールでもされてるのか?マジで。

 

「き、決まってるじゃない!一之瀬さんよ。さっさと退学しなさい!この偽善者!私には2000万ポイントがあるんだからね!」

 

 

「学校側は受理したって事でいいですか?」

 

木山が学校側に確認をとる、まだ連絡が行っていないのか、受理される。木山は一之瀬を退学させたと思い込んでいるらしい。

 

「篠原……残念なお知らせだがお前はここで退学だ。2000万ポイントなんてどこにも無いからな…フハ、フハハハハハ!!」

 

「はぁっ!?巫山戯んじゃないわよ!」

 

篠原は顔を真っ赤にして木山を殴ろうとするが、軽井沢達によって止められる。

 

「なんだよ、底辺が退学しても誰も悲しまないだろうぜ、フハ、フハハハハハ!!」

 

「なんなよあんた!約束を破るなんて!!」

 

篠原は激昂し、顔を真っ赤にするが、腕を抑えられているので足をブンブンするだけに留まっている。あ、水色のパンツ見えた。誰にも需要無いけど……。

 

「何の事かなぁ?契約書も無いのに約束だってよ、フハ、フハハハ!!まぁお前はどうでもいい、それよりもだ。一之瀬、今お前どんな気持ちだ?なぁおい、聞かせてくれよ!なぁ!おい!」

 

木山は標的を変えて一之瀬を煽り出す。なんというか小物感がすごい。とてつもなく弱そうだ。一之瀬は下を俯いて黙り続けている。泣きそうなのを気丈にも堪えている形だ。

 

「あーそうそう、俺達はクラスポイントは払わねぇからさぁ、2000万貯めてもお前は退学だぜ?一之瀬、勿論クラスの移動なんかも出来ねぇだろうよ…フハ、フハハハハハ!!」

 

楽しそうだなこいつ……周りの様子を俺は見るが、御門は驚いているから白、三輪は…楽しそうにしているが分からんな。八雲と葉山等に驚いた様子は無いが神崎は何やら辛そうな顔をしていた。彼は彼で色々思う所があるのだろう。

 

「……大変申し上げにくいのですが、学校側にある生徒がプライベートポイントを支払い、『篠原さつきをリーダーとするグループ』の平均点を14点買い、、退学者が出るボーダーよりも1点高い状態になったため、篠原さつきと一之瀬帆波の退学は取り消しになります。」

 

「はぁ!?……確かにそれならばどうにでもなるな。見落としてたぜ。何処の誰だか知らないが俺に楯突こうとはいい度胸だなぁ!おい!」

 

木山は高らかに叫ぶが、残念ながらBクラスから裏切り者が出た訳では無いので楯突くもクソも無いだろう。

 

木山の失敗を認めず逆ギレする様子に周りが引いたような視線を向ける。木山のリーダーはそう長くは続かないだろう。持ってあと1.2ヶ月といった所か。

 

俺はその光景を見ながら体育館を後にする。俺だけで無く他の1年生も木山を見るに堪えないのか次々と体育館を出る。

 

自分の作戦を打ち破られた木山の怒りにも悲しみにも取れる悲痛な叫び声だけが体育館の中に響くのだった。




林間学校終了です……ここからどんどん話が進んでいく……予定です。←進まないかもしれない。

天野の革命については皆さん予想しながら楽しんでいただけると幸いです。それでは!

優勢世代は

  • 本編にガッツリ出して欲しい
  • 天野兄の偉業を語る程度の登場でいい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。