投票前日、俺は石崎から退学する生徒が誰なのかを指名し、投票させるよう言う原作の堀北ポジションを貰った。とは言え、恐らく本人達も含め候補は片手で数える程しか居ないが。
1人目と2人目は山下紗希と吉田攻節、このCクラスを裏切った経験のある裏切り者だ。内憂外患なんて言葉もある。内憂は取り除くべきだろう。その上別に2人とも特段優秀な訳では無い。山下はまだ多少強化したが、吉田なんか全ステータスが恐らくうちのクラスの平均以下だろう。
3人目はかつての王、龍園翔だ。暴君としてCクラスに君臨し続けた以上恨んでいるものは多々いる。その上他クラスとしても残しておきたい存在とは言えない。上二人はまだ無能を残させるという意味で称賛票をぶち込まれるかもしれないが、龍園に関してはほぼ無いと見ていいだろう。退学させる方法はあるにはあるが、恐らく気付けるやつはCクラスには居ない。
そもそも大半の人間は優越者が何たるかすら怪しいだろうしな。優越者にしか『グループ分けをプライベートポイントで無理矢理変更する』なんてのは思いつかないだろう。俺としても今後のリスク云々を抜きにして友達として残って欲しいので救う方向性で行きたい。
4人目……と言ってもここからは可能性が低い話になるが、適当な誰かである。そして俺が2000万プライベートポイントで救済という流れだ。当然誰も退学しないならそれがいいという人間は多い。
だが幸いにも今回の試験では他クラスから批判票を入れられる事も無く、寧ろ上手いこと行けば称賛票を稼げる訳だ。実は種明かしをしてしまうとAクラスとの交渉条件で俺に称賛票が38票入る事になっている。書面にも書かせているため、2000万プライベートポイント払う事はまず有り得ないと見ていい。
反骨精神のある時任なんかも邪魔だが……まぁ今回消す人間は決めている。そう時間はかからずにやれるだろう。うちのクラスは問題は無いだろうな。
これは一見切り捨てるという非情な選択を出来るかどうかを見られているように感じるだろう救済にもそれ相応のデメリットがある。だが本質は違う、邪魔者を特にデメリットなく切り捨てられる試験だ。尤も平田や一之瀬みたいなタイプにはきついだろうが……。まぁ何はともあれ明日が楽しみだ。
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翌日、投票直前、誰しもに取って大事であろう時間帯だ。場所は様々な配慮があるらしく、各クラス話が聞こえないように別の棟で行われるらしい。俺としてはどうでもよかったんだがな。
「皆、投票する前に少し時間を貰えるか?特別試験に関して、話したいことがある。」
俺の言葉を聞き様々な反応に分かれる。怯えるもの、或いは自分は大丈夫だと高を括るもの、或いはこれから誰かが退学するという事実を受け入れられないもの。まるでネット民みたいである。踊る阿呆に見る阿呆という言葉が相応しいのかもしれない。
「退学者についての話だ。ここ数日間、いろんな可能性を考えた。どんな結果になるにせよ誰かしらは不幸になるだろう。だがこのまま誰も彼もがこの時限爆弾に手を伸ばさなければ迎えるのは最悪の結末だ。というわけで勝手ながら俺が指揮を取らせ、独断と偏見で退学する生徒を決めた。」
俺の言葉に時任が待ったをかける……まぁ恐らく内容は予想が着いているが。
「待て!天野、お前は2000万プライベートポイントを持っているはずだ。しかも今回の試験では試験が終わればクラス内で1番のポイント獲得者に3000万プライベートポイントが入る仕組み、退学者を決める必要などあるのか?」
尤もな意見だろう。大半の生徒が心のどこかで思っているであろうこと。普通の意見だ。
「確かに『もし全員がクラスに取って必要な生徒なら』時任の言う通りだろう。だが今回の試験、見方を変えれば足切りととる事も出来る。それに誰かしらが退学しても3000万プライベートポイントは入る、その上クラスポイント250も大事だしな、そうだろ?」
「確かにそうだが……逆にそれならクラスにとって不要な生徒ってのは誰の事なんだ?……いるとしたら、俺は龍園だと思うがな。」
時任としてはここは乗っかり、龍園を退学にさせたいのだろうが残念ながらそう上手くは行かない。
「本来ならば全員で話し合うべきなんだが残念ながら時間がない。だから俺の話を聞いて、合わせてくれ、最悪の結果で関係無い誰かしらが退学、なんて展開は避けたいしな。まず、恐らく皆が投票したいであろう人間は3人に別れるとみてる。勿論私怨で他にもいるかもしれないが、全体的には、3パターンだろう。」
大半は俺の言葉を木偶の坊のように聞いている。駒のスペックが終わってやがるな、まぁどうせ来年からはコイツらとも離れ離れだ。
「3パターンと言うのは誰の事だ。」
みんなの代表と言わんばかりに時任が聞く。本来このポジションは金田の予定だったのだが、天然で生まれたならそれはそれで都合がイイ。
「一人目はお前の言ってた龍園、だが残念ながら俺は龍園を退学にさせるつもりは無い。」
「そんな選択、間違っている。龍園は退学させるべきだ!」
時任は俺の意見に真っ向から反論をする。せっかちなやつだこと。
「時任、そもそもなんだが……龍園は退学しないぞ、仮にここに居る全員が批判票を入れたとしても、な。だから無駄なんだよ。そもそも投票出来ないしな。龍園は投票したい人間ではあるが投票は出来ない。」
「は?どういうことだ!!」
時任は頭の整理が追いついていない様だがコイツはそもそものルールを忘れているらしい。そしてこの反応だと、抜け道に気付けている人間は居なさそうで何よりだ。
「それすら理解してないのかよ……まぁもう面倒くさいから言うぞ、Cクラスで最も退学すべき人間は……お前だよ、吉田攻節……っ!」
この発言を聞いて真っ先に安堵したのは山下、まぁお前はブービー賞なんだけどな。
「な、な、何で俺が!ふざけんな!お前なんかがそもそもなんでそんな事!」
残念ながら吉田のその発言に乗っかるものはいない。みんな自分が退学になるリスクとかしょいたくないから当然だけどさ。
「安心しろ、退学の理由は今から話してやるからよ。理論的に考えればみんな同じ結論になるだろうよ。吉田が退学するべき根拠は4つ。信頼性の無さ、能力の低さ、人間性、協調性の無さ。まぁ他にも上げだしたらキリがねぇけどな……」
「俺の退学の理由なんか何処にもある訳ねぇだろ!殴るぞてめぇ!」
吉田は俺に殴りかかろうとするがアルベルトに羽交い締めにされる。こいつこんな雑魚だったっけ、元々弱いのは知ってたけどさ。
「その先を見据えられない哀れな頭脳と自分を正しく見れない哀れな視線も追加だな。さて、まず1つ目は能力の低さからいこうか。吉田の学力、つまりはテストの点数はクラスでも31位、大した事は無い。。前回も前々回も似たような成績だな。このことから少なくとも学力はゴミだ。そして運動能力も前測った際は下から6番目だった。身体能力もゴミだな。そして今の言動を見ればわかるが思考力も低い。今回の試験の内容すら把握出来ているか怪しいしな。」
「だったら時任だって理解出来て無かったぞ!」
それはそう。正直時任の評価は心の中で何段階か落ちたしな。
「でも吉田は基本何やっても時任より下じゃねぇか。どの目線からものを言ってんだ?」
「は……?巫山戯んなよ!俺が雑魚みたいに言いやがって。」
「雑魚だろ……えぇ。」
わめいている吉田だが、既に皆自分じゃない事を確信したお陰で吉田に入れる気満々だろうよ。無駄な喚きだな。散り際は美しくしてくれな……。
「2つ目は信頼度の無さについてだ。お前は既に1度俺達Cクラスを裏切ってDクラスと手を組んでいる。結果Dクラスは恐ろしい躍進をし、俺達は衰退した。現に今俺達はCクラスなのはそのせいだ。違うか?」
「それを言い出したら山下もだろ!だいたい俺は山下に騙されたんだ、何とか言えやブスが!!」
「石崎、もうこいつ口も塞いでくれ。」
「わかった。おら、大人しくしやがれ!」
もう周りの目線はゴミを見るようになってきた。これ以上はオーバーキルだろうがまぁ……容赦ないところを見せつけておくか。
「お前がいなきゃ退学だっただろうけどな。山下と違ってお前は色慾でやらかしただけじゃねぇか……それに山下のがスペックも上だしな。」
「もごごぉ!」
まだ話す気力があるのかこいつは……周りを見れ無さすぎだろ。
「これは3つ目の話、人間性についても言える。そもそも色仕掛け如きで引っかかる様なやつがこの先、この学校で生き残れるわけもねぇだろう。裏切りの一件から成長も見られねぇだろ。お前。」
「もごごぉ!もごごぉ!……ぷはぁ、そもそもそのブスが色仕掛けなんかしやがるからだろ、売春野郎!…もごごぉ!」
「石崎!おい!」
「す、すいません。こいつの体液が汚すぎて……。」
これに関しては同情するしかないな。
その言葉を聞いた山下が涙を流し、それを見たCクラスの面々から同情するような視線を向けられる。恐らくこれで吉田の退学は確定だろう。
「そして4つ目は協調性の無さなんだが……まぁ今見てもらった通りだ。コイツがいてもクラスに百害あって一利なしって訳だな。」
「もごごぉ!」
「まぁ後は自分達で判断して貰って構わないが……こいつのために多額の2000万プライベートポイントと、300ものクラスポイントを失うのは俺は割に合わんと思うね。」
俺の言葉にクラスメイト達が大きく頷く。
「巫山戯んなよてめぇら!!!」
「いいや、ふざけてなんか無いぞ俺は。お前は自分の実力を客観視する事だな。」
「く、クソ野郎が!!そうだ、真鍋とか薮も雑魚だろ!なぁおい!種子島なんか坂柳に目をつけられてやがるぞ!」
名前を上げられた3人が不安そうな目で俺を見る。そんな不安にならなくても吉田の退学は確定だろうが。
「真鍋も薮も今やテストではトップ10に入り、身体能力もかなり上昇している。今や大事なクラスの戦力なんだよ。それに種子島が坂柳に目をつけられたって言ってるが……坂柳はどうやら俺をご指名みたいだからそれは全くのデマだろうよ。」
「……く、クソ。もごごぉ!!」
誰もが沈黙する。最早、何かを言える空気ではない。重苦しい重圧の中、俺はさらに続ける。
「以上が俺の意見と根拠だ。お前らにも思う所は、色々あるだろう。だがな、反論する場合はそれ相応の理由と変わりに退学になる奴を用意してくれよな?」
俺は一応こう言っておくが、これだけやらかした吉田を守ろうとする物は居ないだろう。俺からすれば今回の試験はいらないゴミを消してプライベートポイントを稼げるだけの美味しい試験になったな。結果論だが。
吉田は泣き崩れてその場で蹲り、動かなくなった。邪魔だなこいつ。
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「今から投票を始めます。……と言っても恐らく退学は吉田君でしょうが。それでもやるので席に着きなさい。」
俺達は言われたように席に着く。そして前の席から配られる紙に俺は吉田攻節の名前を書く。あと3人は誰でもいいが……時任と小宮と西野にしておくか。こいつらは3人とも俺をピキらせたことがあるからな。理由なんてこんなもんでいいだろ。
「それでは集めます。」
投票用紙が集められる。と言っても結果はお察しだろうが。
------------------------こうして、Cクラスから吉田攻節が退学した。
次回は結果発表と他クラスについてやるつもりです。
冤罪が無かった世界線がifルートとして
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