将来配信者になることは決まったが、そのためには何が必要か洗い出した。
・ゲームのプレイスキル
視聴者も下手なゲーム画面を見るよりも上手な人のプレイを見たいだろう。女性配信者でゲームが上手い人は少ないし猶更だ。
・トーク力
配信者は実況者のような側面が強いためトーク力もかなり大事だ。前世ではボッチだったが今世はクラスメイトに積極的に声をかけていこう。
・趣味
配信者ならゲーム以外にも生放送で雑談などをするだろう。その時に使える趣味が必要だ。それに俺は他の同年代とは違い学ぶことが多いので勉強ばかりしていても潰れてしまうだろう。ひとまず前世からやってみたかったピアノを習ってみようと思う。
・英語力
海外のゲームを翻訳してプレイすることができたら話題をかっさらえるだろう。また日本よりもアメリカなどの英語圏のほうが圧倒的に市場が広い。覚えておいて損はないだろう。
いまのところぱっと思いつくのはこのあたりだろうか。まだ俺は5歳。何をするにも不自由が付きまとう年齢だがまずはピアノと英語の習い事に行きたいとお母さんに頼んでみよう。
お母さんに頼んでみたらあっさりOKがでた。どうやらうちは貧乏ではないらしい。よかった。
ただ、頼んでいるときに一人称が「俺」になっていることを叱られた。お母さんは教育にかかわることだと厳しくなるのかもしれない。しかしこれから女の子として暮らしていくにあたって不便なことには間違いないのでこれから一人称は「私」にしようと思う。幸い特に拒否感はない。せっかく女の子になったんだからかわいらしくなりたいと思うのはおかしくない、はず。
「めぐ!もうすぐご飯だからお風呂入ってきなさい!」
「はーい、いってきまーす!」
お母さんの言われてお風呂に向かう。
さて、お母さんにお風呂に入ってくるように言われたが私は今まで恵としてお風呂に入ったことがない。それが何を意味するかといえば...そう、TS転生したら外せないイベントNo.1、お風呂イベントだ。初めてこの体で目覚めたとき、触って息子がないことは確認したが生で見るのは前世含めて初めてだ。前世がボッチ陰キャの俺には恋人などいなかったからそういった浮ついた話とは無縁だった。言ってて泣けてきた...。
そんなお風呂イベントを体験すべく私は今脱衣所にいる。異性(今は同姓だが)の裸を前世も含めて生まれて始めて見るのでさすがに緊張してくるが、脱衣所であまりもたもたしているとまたお母さんに怒られてしまうので服に手をかけ脱ぐ。自分の体をあまり見ないようにしてお風呂場の姿見の前まで移動した。この体は顔もまだ見ていないのでどうせなら一緒に見たい。
意を決して姿見の前で目を見開く。そこには―――黒髪の美幼女がいた。
肩までかかった綺麗な黒髪。クールな雰囲気が漂う、目つきが悪いとも言える少し切れ長の黒目。かわいらしいと思える顔だが...
「...あんまり興奮しないもんなんだな。」
目の前の姿見には一糸まとわぬ姿の美幼女がいるのにも関わらず私の心は平常心のままだった。始めて見たはずなのに見慣れた姿のように感じる。不思議だがもともとこの体にはただの5歳児の黒雲 恵が居たんだ。実際に毎日見ていた体の記憶が残っているのかもしれない。緊張したのが馬鹿みたいだが自分の体でいちいち興奮してしまうようじゃこの先、生きていくのにも苦労してしまうだろうしこれで良かったのかもしれない。
緊張も解けたのでそのまま体を洗ってお風呂に漬かる。将来のことをいろいろ考えていたためか疲れていたのだろう。ふう、と息が漏れる。そのまま眠ってしまいたいくらい気持ちがいいがあまり長湯しては5歳児の体ではのぼせてしまうだろう。早めにお湯から上がり体を拭き、パジャマを着てお母さんのいるリビングに向かった。