歌姫の騎士   作:清涼みかん

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※ネタバレ要素がありますので、本編及びフィルムレッドを見てない人はブラウザバックをオススメします。


決着と予兆

「はああぁぁぁ!!」

 

裂帛の声が聞こえると同時に戦桃丸は大斧を守るように構えると、ガン!とぶつかり合う音が響くと同時にその体が浮いた。

 

そのまま地面に転がり追撃来ることを見越して、また大斧を盾にしながら立ち上がるが……

 

「こらこら、わっしを忘れちゃいかんでしょうが〜」

 

黄猿の指から放たれた光線が私へ狙いを定めてその身を貫こうする。しかし空中で器用に身をひねると回転し、光線を真ん中からぶった斬ると後ろでふたつの爆発音が聞こえてくる。

 

「どうなってんだ、おじきぃ!?あいつの懸賞金は2億8000万だったよな!?」

 

「う〜ん、その通りなんだけどねぇ」

 

「明らかに“麦わらのルフィ”よりも強えじゃねぇか!?」

 

「これはちょっと見積もりが甘かったかもしれないねぇ」

 

あっちこっちに切り傷を作りながらも一切躊躇なく向かってくる私に、戦桃丸も黄猿も手こずっていた。

 

当たり前だ。私は死ぬ気で相手取ってるんだぞ?相手の攻撃なんかにビビってたら二人に叩かれて終わりだ。常に1人を追い込み、防御はほぼ反射で行っている。

 

前衛後衛ができる黄猿を攻めるよりも、大斧を持っているThe近接戦闘特化の人を先に潰した方が後々楽なので黄猿には武装色を纏った斬撃を定期的に飛ばして距離を取らせている。

 

それでも針に糸を通すような援護射撃を行ってくるのだから、中々仕留められない。

 

(まぁ、あのくまさんが来ないだけマシか)

 

視界の端で本を抱えたまま成り行きを見ている大熊さん。正直このレベルの人たちを3人も相手取りたくなかったので助かった。

 

八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

 

「あっ」

 

ピカっと空が光ったかと思えば、降ってきたのは黄猿の能力で出来た光線の雨だった。広範囲かつ高火力、並の人間が喰らえばひとたまりもないところだが…。

 

渦旋風・黒(かせんぷう・こく)!」

 

上に円を書くように剣を振ると、武装色をまとった覇気がまるで傘のように広がり四方へ光を受け流す。着弾してからの爆発のことも考えて斜め上に飛ばしてマングローブに当てて対処する。

 

そのまま次弾が来る前に真っ直ぐ突っ切る。まずはあの大斧の男を倒すことのみに全力を注ぐことにした。

 

私が突っ込んで来るのを分かっていたように待ち構える戦桃丸は、深く張り手を構えてカウンターを狙った一撃を放つ。

 

足空独行(あしがらどっこい)!!」

 

「おりゃあ!!」

 

突き出した張り手には武装色の覇気が乗っていて敵を衝撃で吹き飛ばすのが()()()()なのだが、こっちも武装色の覇気を纏って攻撃しているので手と足がぶつかり合うことはなく、逆に覇気のぶつかり合いが起こる。

 

「ふっ飛べええぇぇ!!」

 

「ぐわぁッ!?」

 

覇気勝負に勝ったのは私。戦桃丸は反動で何度も地面をバウンドすると、奥にあったマングローブの根元にぶつかる。確実に仕留めるためマングローブの方へと走り出した私が目にしたのは眩い光だった。

 

八咫鏡(やたのかがみ)

 

思わず目を覆ってしまう。それほどまでに眩い光だったのだが、次の瞬間には目の前に黄猿がいることを見聞色の覇気で悟る。

 

「ッ!?」

 

「生け捕りの命令だけど、手強いんだしいいよねぇ?」

 

黄猿はいつの間にか手に持っていた光の剣を振りかぶり、横に切り裂くようなの一撃を放った。ウタは「フェリッ!?」と悲痛な叫びをあげる。

 

流石に殺すのは見ておけない“七武海”バーソロミュー・クマと“冥王”シルバーズ・レイリーがそれぞれ動き出そうとするが、時すでに遅く刃はフェリのすぐそばまで迫っていた。

 

確実にやられるタイミング、距離、威力の一撃がフェリの体を通って振り抜かれるが、振り抜いた後の黄猿がみせた顔は“驚愕”だった。

 

直ぐに光の粒子になって距離を置く。そんな彼から見えた表情は柄にもない“焦り”だった。

 

あの黄猿が何故?と思うよりも前に答えが目の前で立っていたからだ。

 

「お、おかしいねぇ?確かに仕留めたと思ったんだけど?」

 

「答えは単純だよ。ただ単に()()()()()だけさ」

 

すり抜けた?と疑問顔をその場にいる全員……いや、ウタだけは遅れて気づいた。私の武器が武装色と見聞色の覇気だけじゃないってことを。

 

「ねぇ、あなたにひとつ聞いてみたかったことがあるんだけどね?」

 

「な、何をだい?」

 

「『光の速さで蹴られたことはある』?」

 

「ッ!?」

 

さっきまで目の前にいた少女が掻き消えたかと思えば、すぐの横から聞こえる声に黄猿は久方ぶりに本能に従って武装色の覇気を纏ったガードをするが……。

 

ドゴッ!!

 

と、鈍い音が鳴ると共に自分の体が横へ吹っ飛んだ。

 

「流石はピカピカの実だね。威力、速度共に化け物級だ」

 

誰もが唖然になった。この世にある悪魔の実は全てひとつずつ、同系統の悪魔の実が存在するなど聞いたことの無い話だったからだ。

 

しかし、目の前で大将を蹴り飛ばした少女が使っていたのは間違いなく黄猿の食べた“ピカピカの実”の能力だ。しかしそれならば、斬られて平然としていられるのも分かる。ロギアには覇気の乗ってない物理的攻撃は効かないのだから。

 

「末恐ろしい化け物がいたもんだねぇ…」

 

服が土で汚れてはいるが目立った外傷のない黄猿が立ち上がる。もう一度やるのか?と思い私は剣を構えるが、「おっとっと!もうやるきはないよぉ?」と両手を上げながら伝えてくる。

 

覇気で見ても嘘をついてようには見えないので剣を下ろした。「何してんだ!おじき!」と大斧の男の人が叫んでいるが、キッパリ無視して黄猿は喋り始める。

 

「ここまで強いとは思ってみなかったんで、ここいらで我々は帰らせてもらうよ〜。目的である“麦わらの一味”は一応壊滅できたんだしねぇ」

 

「これ以上やったらシャボンディ諸島がボロボロになるからそこには賛成だけど、本部に戻るなら教えといてくれる?『安易に手を出そうとしたらぶっ潰す』って」

 

「言われなくても伝えるつもりだよぉ。その危険度もねぇ」

 

背を向けて黄猿は戦艦のある海の方へと歩いていった。大斧の人が何かを叫んでいたが、黄猿が宥めることで落ち着きを取り戻し、1度こちらを睨んでから船へと戻っていった。

 

「はあぁぁぁ……疲れたぁぁぁ……」

 

全身の力がつけてしまったかのように座り込んでしまう。1秒と気を抜かない全身全霊の攻防をしたあとなんだ。そりゃあ力も抜けるってものよ。

 

「フェーーリーー!!」

 

「ぐぼぉあ!?」

 

人生2度目の突撃、疲れきった体にはクリティカルヒット間違いなしの一撃に億超の海賊団、海軍本部の中将・大将ともやりあった私でさえ、そのオーバーしたキャパを受け止めきれることが出来ずに初めて落ちた。

 

「あれ?フェリ?フェリーーー!?」

 

「今のはお嬢さんが悪いと思う」

 

ウタがガクガクと肩を揺する光景を見て、冥王が放った一言にバーソロミュー・クマはただ同意するように傾くことしか出来なかった。

 

____________________

 

「ぅ……うん…?」

 

「フェリ!?」

 

「うわ!?」

 

目を開けると1番最初に見えたがウタの顔だったのまでは良かったのだが、大声を聞いたら驚いて体が浮いてしまいウタと額がゴツンとぶつかった。

 

「いった〜」

 

「いっつ…ウタ、ごめん」

 

「ううん。私が驚かしたのが悪かったよね」

 

互いに謝りあっていると、近くにあった机の上に飲み物とつまめるような軽食が置かれた。

 

「ごめんね、ウタちゃん。うちにはこういうのしかなくて」

 

「いえいえ!ありがとうございます、シャッキーさん!」

 

「えっと……ありがとうございます」

 

「礼なんていいのよ、フェリちゃん。なんだってファンだからね」

 

タバコを片手にニコッと笑ってくるお姉さん。ウタが言うにはシャッキーさんって言うみたいだけど……ここはどこなんだ?それにあのクマさんと白髪のおじいさんもいなくなってるし……

 

「クマさんとレイさんなら罰で買い出しだよ。あんたを助けなかったからね」

 

ニッと笑うシャッキーさん。思考読んでいる!?いや、顔に出てただけか?まぁ、どちらにしろ怪我はそう簡単に治らないし、少し留まる必要があるなぁ。

 

「戻ったぞ……っと目が覚めたようだな」

 

「あっ、どうも…お邪魔しています」

 

「はっはっは!そんなにかしこまらなくていいさ。シャッキーのファンに謝らせたら彼女が怒ってしまうからね」

 

軽快に笑っているのを見ていると、なんだかこっちの緊張も和らいだ。が、外で『ーーッ!!』とウタが叫んでいる声が聞こえる。

 

まだ回復しきってはいないが、さすがに気になったのでお店の扉を開いてみると……。

 

「ルフィをどこにやったのよ!!?」

 

「……」

 

今にも泣きそうなほどの怒った表情をしながら、目の前でルフィを消したクマさんに叫んでいた。確かに現状麦わらの一味の行方を知っているとすればこの人しかいないが。

 

「分からない」

 

「ッ!!」

 

淡々と答えたクマにウタは拳を握って殴ろうとしたが、当たる前にべつの手がその拳を受け止めた。

 

「邪魔しないで!フェリ!」

 

「怪我するのに見過ごすほど甘くはないよ。この人も中身は鋼鉄だからウタの拳が砕けちゃう」

 

「砕けてもいい!ルフィを消したこいつを殴れるなら!」

 

「大丈夫だよウタ!ルフィくんは生きてる!」

 

肩を掴んで宥めると、「ほんと…?」と涙目で見つめてきた。確実に生きているとは言いきれないが、あの瞬間殺気をこのクマさんから感じなかったし、それに……

 

「海軍大将がいる前で、自分の立場を危ぶめてまで海賊を助ける人がいると思う?」

 

「それは……まぁ確かに」

 

ここまで来るとウタも随分と落ち着いてきた。メリットとデメリットを考えれば後者の割合の方が高いのにそこまでするとは考えられないからだ。

 

「私まで巻き込んだんだ。事情はきっちり説明してもらうぞ?バーソロミュー・クマ」

 

そう言いながら店からでてきたのはレイさん。どうやら私たちが来る前にそういう密約があったのかもしれないが、私は今口にされた名前に驚きを隠せなかった。

 

「バーソロミューって……“七武海”の!?」

 

「なんだ気づいてなかったのか」

 

「いやいやいや、そんな大物がこんなところにいるとは思わないじゃないですか!?ていうか、そんな人と話し合いってレイさんあなた一体……」

 

「名は全世界で売れている。元ロジャー海賊団“副船長”『シルバーズ・レイリー』だ」

 

今度はクマさんから聞こえてきた声に私は卒倒しかけた。えっ?ちょっと待って?目の前にいる好々爺が海賊王の右腕?マジ?世間体にも疎いウタも驚いている。そりゃそうか、シルバーズ・レイリーくらいは知ってるよな。

 

「ははは!いい反応してくれるじゃないか!ルフィくん達といい見ていて飽きないな!」

 

否定しないレイさん…ではなく、レイリーさんを見るにマジのようだ。ていうことは、あの時あの場に居たのは“海軍大将”、“七武海”、“冥王”?どんな奇跡のコラボレーションだよ、おい。

 

「世間話はそこまでと言いたいが、助けなかった詫びだ。麦わらのルフィに関する情報を教えよう」

 

こっちの衝撃をサラッと無視して話し始めるクマさんの話に、驚きで頭が混乱していた私の脳は一気に正常モードへと引き戻された。

 

クマさんが懐から一部の新聞を取り出すとこちらに手渡してきた。そこに書いてあったのは『白ひげ海賊団“二番隊隊長”『ポートガス・D・エース』の処刑』に関する1面だった。

 

「今から数日後に海軍本部で行われる処刑で、白ひげ海賊団と海軍全戦力がぶつかり合う頂上決戦が起こる」

 

「これと麦わらのルフィになんの関係が……」

 

「これは同じ七武海のマーシャル・D・ティーチから聞いた話だが、彼は麦わらのルフィのことを“弟”と呼んだそうだ」

 

そんな関係性があったのか!?とウタの方を見てみるも、彼女は首を横に振った。幼馴染の彼女なら何か知っていると思ったのだが……。

 

「あくまで暫定の話だ。どう受け止めるかはお前たち次第だがこれが事実である場合、麦わらのルフィがこの戦争に首を突っ込んでくる可能性は非常に高い」

 

「兄弟に関してはよく分からないけど、ルフィなら行くよ。絶対」

 

確信を持って答えるウタ。私も麦わらのルフィについてはよく分からないが、この時の表情は聞いてる話と似ているなぁ。と思ってしまった。頑固で決めたことは曲げない…うちのお姫様はそういう人だ。

 

「行く気か?マリンフォードに」

 

「『行きたい』ってうちの子が言ってるんで」

 

「あそこで起きるのは地獄も生ぬるい戦争だぞ?」

 

「覚悟は出来てますよ。私もウタもね」

 

「そうか……」

 

引き止めてくれようとしてくれたのは嬉しいが、それでも私達はこの選択を曲げる気は無い。きっと着くまでの航海も大変なものになるだろうが、2人でなら乗り越えられるはずだ。

 

「くれぐれも無茶だけはしないような」

 

「分かってます。必ず皆で帰ってきます」

 

四皇と海軍本部のガチ戦争。そんな激戦真っ只中に2人だけで突っ込むのは自殺行為に等しいが、弱い者には弱い者なりの戦い方ってものがある。

 

私は守り抜く。誰一人として大切な人を失いたくないから。

 




ん〜まぁ頂上決戦前の導入みたいなもんですね。次回はそこまでぶっ飛びます。原作の展開的に合わせて上手く二人を滑り込ませて行けるよう頑張ります!

え〜とですね。ifルートの件で2つほどアンケート取りますので詳細は下の方を確認してください。

1.ifルートの今後の物語の展開
2.物語を書く上での構成

1の選択肢
《前回からの続きがいい》
バリバリヤンデレを発動してフェリを可愛がってしまった(意味深)の後の日情を描いた物語(ヤンデレウタちゃんが隠すことなくフェリを責め立てるのをどう受け止めればいいか悶々とするフェリのお話)

《前の物語同様にあったかもしれない世界線》
こっちでは前の話を引きずることなく、新しい展開で物語を始めるようにするショートストーリー的な物語。(時間軸いじり放題!色んなシチュエーションが楽しめる!だけど、結局最後はヤンデレ激重感情落ちになる!)

2の選択肢
《過去と今を比較した構成》
エレジアで過ごした頃のことを踏まえつつ、今とどれだけウタが変わった(激重になったの)かを比較することが出来る構成。(前半の甘々な空気楽しんだ後には、ドロドロの愛を楽しんでもらう予定)(強制)

《おめぇの好きにしやがれ!》
もう文の構成なんて毎回変えちまえ精神。1話ごとに主観が変わったり、物語そのものが過去から変わっていたりする構成。(幼馴染概念、姉妹概念、RED路線概念などの完全なるif!しかし、ドロッドロの愛をその身に受けるのは避けられない模様)(強制)

感想の方でも受け付けておりますので!そっちの方でもよろしくお願いします!

※もうあんな文章出しちゃったで、やれるところまでブレーキぶっ壊していくつもりなんでよろしくぅ!

1.ifルートの今後の物語の展開

  • 《前回からの続きがいい》
  • 《前の物語同様あったかもしれない世界線》
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